「世の中の体温をあげる」ためのスープストックトーキョー社内コミュニティ
株式会社スープストックトーキョー
平田なつ様
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専任で社内コミュニティを運営できる人がいない
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忙しいメンバーも多く閲覧にも時間をさきづらい
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登録者のデータを管理したい
効果
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距離や立場を超えてスタッフ同士がフラットにつながる
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社員やアルバイトの”生の声”が集まる
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卒業後のスタッフとも繋がり続けられる
食べるスープの専門店「Soup Stock Tokyo」をはじめとした飲食店を運営する株式会社スープストックトーキョー。同社は社員エンゲージメントが高い企業としてメディアでも多く取り上げられています。スープストックトーキョーの人事施策を支える一つの手法が、2015年にオープンした社内外オンラインコミュニティの「Smash」です。今回は現在の運用担当の平田様に、社内オンラインコミュニティを始めた背景や、社内オンラインコミュニティがもたらす効果について伺います。
──コミュニティ運営に至ったきっかけを教えてください。
平田様:私たちは「世の中の体温をあげる」という企業理念を大切に、日々の活動を行っているブランドです。そして従業員は「その理念を信じる仲間」として社員、アルバイトスタッフ(パートナー)は垣根ない仲間であろうという文化があります。
そのため、コミュニティ運営前は紙媒体で運営していました。社内から有志のメンバーが集まり、各店舗のスタッフ紹介やお客様からのお褒めの声を掲載していました。より強化していく機運が高まり、2015年にオンラインに移行しました。
オンラインに移行してから今も、「仲間にスポットを当て、互いに共感をする」という方針は変えずに運用しています。例えば、「日めくりカレンダー」というコーナーを作り、パートナーも含めた店舗スタッフを毎日紹介しています。弊社で働いてくれている人は、一緒に働く仲間への興味がとても高いので、自然にアクセスも増えるコンテンツになりました。雇用形態を問わず気軽に会話をするきっかけになれば、という思いもあります。
一方、オンライン化した社内報には業務上のお知らせコンテンツもあるため、忙しい人ほど業務情報を閲覧するだけになってしまう課題もあり、2022年にサイトをリニューアルする決断をしました。新たなコミュニティサイトでは、働いている仲間の素顔がより見られ、お互いにコミュニケーションがとれる設計にしたいと考えました。またスープストックで働くパートナーの多くは、バイト先での仲間づくりや社会で生かせる経験値を積むことを目的にしている方が多く、そのような機会も提供したいと思いました。
──2022年のオンラインコミュニティへのリニューアルにあたり、coorumのご利用が開始しました。実際にcoorumをお使いいただいて、いかがでしたか。
私たちの行いたい事への理解と弊社の理念に共感してくれる、コミュニティの運営協力会社を探していました。社内工数の不足やコロナによる影響で、専任でコミュニティを運営できる人がいない状態でした。私自身もPR/広報業務やプロジェクトマネージャーと兼任で運営しているので、なかなか手が回りきっていませんでした。
アソビカの担当の方に密にサポートしていただけるので、本当に手厚いなと感じています。私たちのことを客観的に判断して、弊社に寄り添ったご提案をしてくださり、とてもありがたいと感じています。
また、リニューアル以前は紙媒体や簡易的なウェブサイトだったため、登録者のデータも不揃いで困っていました。coorumはしっかりとシステムで管理できるので、その懸念も払拭されました。
実際にリニューアルしてからは、スタッフからさまざまなお声があがりやすくなりました。内容は「仕事をしていて嬉しかったこと」から「好きなアイドルの話題」まで多様な内容が投稿されています。仕事以外の素顔を見られるサイトにもしたいという当初の目的通り、スタッフが自由に投稿してつながりを持てる場所にすることができました。業務上の会話も遠慮なくできるSNSのような場として、活用させて貰っています。
──実店舗を持ってる企業では、管理系の部署の方が店舗の声を聞くことが難しいですよね。お客様と直接近い位置にいる店舗スタッフの方の話をうまく引き出せる体制は、とてもいい環境だと思います。
そうですね。私たちも、アルバイトスタッフ(パートナー)が社内コミュニティに参加できることは非常に価値があることだと思っています。
店舗に立ってお客様と接している時間が長いのは店舗社員やパートナーのみんなです。
現場感を持っているパートナーと社員が同じ場所でコミュニケーションが取ることができ、どのようなことを考えてお店に立ってくれているか分かることは、非常にありがたいと感じています。
──パートナーさんの”生の声”を集めるために工夫されていることはありますか?
弊社では1月7日に1日限定で全店で七草粥を販売しています。商品として七草粥をご提供するだけでなく「今年も1年健康でお過ごしください」と、心からの一言をお伝えしながら提供しています。社として大切にしている企画ということもあり、営業担当も「形だけにならずに、なぜそれをするのか」を重要視して実施したいと考えていました。
そのため、この企画の起案者である社長にインタビューを行い、この取組みに込めた思いを記事と音声で「Smash」に投稿することにしました。その結果、その思いに対するパートナーさんからのリアクションがこれまでよりも多く返ってきて「これならきっとみんなで気持ちを込めて七草粥を提供できる」と実感する事ができました。
──実際にパートナーさんに投稿を見てもらい、店舗での行動に移してもらうのは、想像以上にハードルが高いと思います。どのような情報発信を心掛けていらっしゃるのでしょうか?
パートナーさんには学生の方も多くて、実際に「文字が多くて読み切れない」という声も上がっていました。なので、音声の方が反応がもらえるかなと思いチャレンジしてみましたが、うまく機能してくれたかなと思ってます。
また、スマホでいつでも「Smash」に参加できる点も閲覧頻度の向上につながっていると思います。シフト前の通勤時間などでも気軽に内容を確認することができるため、社員はシフト前の通勤時間中などで確認するようになりました。
──社員のオンボーディングや研修にも社内コミュニティを活用されていると伺いました。
社員やパートナーがコミュニティの投稿を通じて、上司や店長へプレゼンする施策を行っています。入社して最初の指標として「店舗に立ってお客様の体温をどうあげられるか 、自分で考えて実行できるか」があります。その結果のプレゼン内容を「Smash」でも発信するようにしました。
これも社員やスタッフの”生の声”を聞けるきっかけになれば、という狙いのもと実施しています。発信した後に周りから賞賛される文化が醸成されているので、投稿のモチベーションも高まっています。
──社員やパートナーの投稿を通じて、お客様の声に触れることも多いとおもいます。お客様の声をどのようにして日々の業務に活用されていますか?
お客様からの反応を「Smash」での投稿を通じて知ることも実際よくあります。私も企画者側に立つことが多いので、プロモーションの振り返りの際に「Smash」でお客様の反応を聞いています。
あとは社内の巻き込みがどのぐらいできたのかとしての指標に使うことがあります。例えばイベントの場合、パートナーさんが興味関心をどれくらい持ってもらえたかが、当日の接客や店舗の盛り上がりにつながると考えています。アルバイトさんが見たくなる打ち出し方はどのようなものか、投稿の反応を見ながら振り返っていました。
──その他、人事施策にもコミュニティを活用されていると伺いました。
私たちは、スープストックトーキョーを卒業してからも理念で繋がる仲間でいられるように、「バーチャル社員証」という取り組みを行なっています。例えば、バーチャル社員は現役スタッフと同様の社員割引が受けられたり、商品開発の試食会に参加をしたりする事ができます。
その取組みの一環として、「Smash」では、バーチャル社員の中からライターを募り、共にコンテンツを作る取り組みを始めました。その投稿には常のリアクションだけでなく、「思わぬ再会ができて嬉しい!」と言った再開を喜ぶコメントも見られ、運営としては嬉しい限りです。
──今後の展望を教えてください。
今後はもっとバーチャル社員の登録数を増やしていきながら、「Smash」でのコミュニケーションを通じてつながり続けられるような設計にしていきたいですね。また、バーチャル社員は現在様々な会社に勤務しているので、バーチャル社員とパートナーの学生を引き合わせて、コミュニケーションの橋渡しもできればとも構想しています。
coorumにはユーザーの属性に分けてコンテンツや分析軸を分ける機能があるので、どんどん活用していこうと思います。結果としてバーチャル社員からスープストックトーキョーに復職する・パートとして働くなどのキッカケにもなるような場所にもしていきたいです。