顧客中心主義とは?VOCで顧客ロイヤルティを高め安定基盤を築く

2024-05-28 コラム

顧客中心主義は、顧客の声やニーズを汲みロイヤリティの高い顧客を育成するための考え方です。テクノロジーの進化に伴い差別化しづらくなった市場やターゲット顧客の減少、期待する効果が出にくくなった広告などの課題を受け、注目が高まっています。ここでは顧客中心主義とはどのような考え方なのか、注目される背景、実現にあたって必要な考え方などをご紹介します。

顧客中心主義とは?

顧客中心主義とは顧客のニーズを第一に考え、顧客ロイヤリティの向上に重きを置いたビジネス展開を行うという考え方です。

テクノロジーにより「簡単」、「便利」、「安価」が追求された結果、多くの商材では市場が成熟し、商品の特徴や価格による差別化が難しい状況に置かれています。また、SNS等の普及により個人の発信が増え、顧客個人の声に触れやすくなりました。そのような状況で長期的な利益を見込んでいくためには、顧客ロイヤリティを高め長期的に継続して購入してくれるファンを作ることや、商品のクオリティに留まらず企業の思想や、楽しみを感じられる体験を提供することで競合優位性を高める必要があります。

ビジネスの中心に顧客を据え、企業と顧客の双方向な体験を生み出すことが、長期的な利益と企業成長をもたらすのです。

顧客中心主義が注目される背景

顧客中心主義が注目されている背景には、消費者の変化や社会状況、市場状況の変化などが影響しています。それぞれ詳しくご説明します。

消費者の多様化と、顧客に届く情報の変化

テクノロジーの発達とともに、生活様式や趣味、利用するツールや情報収集に活用するメディアなどが多様化しています。例えばかつてのテレビは家族で揃って同じ番組やコマーシャルを見るのが当たり前でした。その他に娯楽として利用される媒体も多くなかったため、年齢層や家族構成などで一般化したマス向けの広告は高い効果を生んできました。

しかし現在は個人それぞれが持つスマートフォンでの情報収集が主流であり、家族のなかでもそれぞれが異なる情報に触れています。メディアやアプリの種類が増えたことで、同じ年齢層や家族構成の消費者であっても触れている情報が異なり、個人それぞれに合わせてカスタマイズした情報でなければ期待する効果を得にくくなってきています。

また、プライバシー保護への取り組みが強化されるなかで、Cookieをはじめとするサードパーティデータの活用に制約がかかるようになってきました。消費者の多様化に加え、メディアを横断した従来のターゲティング広告が利用しづらくなっているため、届けたい顧客に、届けたい情報を届けるのが難しくなっています。

外部環境の変化への対応が必要

コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛や原材料の高騰による値上げなど、外部環境の変化により、ビジネスに大きな影響が出る場合も少なくありません。

当然、外部環境の変化は顧客の生活にも影響を与えることになります。例えばリモートワークの導入により、オフィスへの出社する機会が減ったことでコスメや衣類を利用する機会が減り、これらの売上は減少してしまいました。また収入が減ってしまったり、物価高の影響を受け、購入できる商品に制約がかかってしまったりすることもあるでしょう。

そのような状況であってもこの商品だけは使い続けたいと考え、類似商品よりも優先して購入してくれるロイヤル顧客が育成できていれば、外部環境の変化に負けない安定基盤を築くことができます。

ターゲット顧客の減少

少子高齢化が進行し人口減少が進んでいる日本では、ターゲット顧客となりうる母数そのものが減少しています。コロナ禍を経て、出生数が大幅に減少している状況をみると、今後もターゲット顧客は減少していくであろうことが予想されます。

ターゲット顧客が拡大していく市場においては、新規顧客の獲得に注力することで売上の拡大を見込めますが、ターゲット顧客が限られた環境では一人の顧客をいかに大切にできるかが重要です。顧客のニーズを捉えたロイヤル顧客を増やし、一人あたりのLTVや購入頻度を伸ばすことに注力すべきでしょう。

成熟市場では機能的な価値だけでは差別化しにくい

目まぐるしく技術革新が展開されている昨今では、革新的な機能を開発したとしても、短期間で追従する企業が同様の機能を持つ商品を打ち出したり、場合によってはそれを上回る技術に置き換えられてしまうことも起こりえます。

例えばスマートフォン市場では開発競争が激しく、市場が成熟しているため、どのメーカーのスマートフォンを購入しても機能面での大きな違いは感じにくい状況です。ところがスマートフォンを買い換える際にも同じメーカーのスマートフォンを購入する消費者が多く、長い間市場の占有状況には大きな変化が起こっていません。

このように機能面で大きな差異はなくともブランドへの愛着を理由に商品を購入してくれるロイヤリティの高い顧客を育成することができれば、安定した売上を維持することができるのです。確かな機能を備えることは必要ですが、それと同時にブランド価値を高めロイヤリティの高い顧客を増やしていく必要があります。

購買の意思決定は社会評価が軸に

機能的価値が成熟した市場においては、その商品を持っていることやそのサービスを使っていることで利用者がどのように見られるかという点も購入判断の重要な要素になります。企業から購入を喚起できる手段として”広告”がありますが、サービス認知の拡大や購入検討の材料にはなるものの、広告だけで購入を決断する顧客は多くなく、商品や企業の社会的な評価も重視されるようになっています。

友人や知人が悪い評判が立っている企業の商品を好んで利用していたり、問題が起こった商品を気にせずに利用していたりすると、社会問題や時事的な話題に無頓着な人なのだろうという印象を持ってしまう経験をお持ちの方は少なくないのではないでしょうか。顧客は購入する商品や利用しているサービスから、友人や知人に個人の社会的価値を判断される場合もあり、商品の機能面だけでなく社会に認められるブランドを好んで選択するようになるのです。

商品の利便性や価値に直接的には関わらない内容であっても、社会問題に貢献するような会社の取り組みが話題になれば、直接的には関係のない自社商品に注目が集まったり、反対に問題が起きれば厳しい評価にさらされることになりかねません。

顧客の価値観を中心に据えて事業を行い、多くの顧客から支持される会社の商品こそが売上を伸ばしていける環境になっているといえるでしょう。

「顧客の声」が意思決定を後押し

商品の購入を検討する際にクチコミやレビューをチェックするというユーザーが増えています。○○(いただいたパワポのデータを載せても良ければ使いたいです)で行ったアンケート調査によれば「EC・ネットショップで購入」する際にクチコミやレビューをチェックするというユーザーは、約60%に上ります。また「小売・実店舗」での購入の場合であっても40%を超える結果となっており、クチコミやレビューが非常に重視されている状況が伺えます。

クチコミやレビューには商品やサービスそのものの感想や評価だけでなく、トラブルがあった際のカスタマーサポートの対応品質やECであれば発送までに要した時間や梱包状況についてまで多岐に渡ります。顧客に満足感を与えられる商品、購入手続き、カスタマーサポートが揃ってこそ、顧客から高い評価を得られる購入体験だといえるのです。

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顧客中心主義を実現するために必要なこと

顧客中心主義を実現するためには「VOC」、「UGC」、「LTV」の3つのキーワードを軸にしたマーケティング活動が必要になります。それぞれ詳しくみていきましょう。

VOC

VOC(Voice of customer)は、顧客の声のことを指します。

VOC(Voice of Customer)とは?収集・分析方法を解説

顧客のニーズを第一に考える顧客中心主義において、VOCは非常に重要です。VOCを集め、分析し、商品やサービスに反映することで顧客が求める商品の質の向上や、カスタマーサポートの改善を行うことができます。また満足度が高いVOCがあれば、同様の体験を他の顧客にも提供することで、VOCを投稿した顧客と同じく高い満足感を感じてもらえる可能性もあります。顧客が求めていることは必ずしも難しい取り組みであるわけではなく、些細な気付きが顧客にとって大きな価値になることもありえます。

なお、VOCは企業宛に届くアンケートや問い合わせメッセージにとどまらず、SNSや個人ブログ、ECサイトなどに掲載されるクチコミやレビューからも収集可能です。企業自らSNSやコミュニティサイトを運営することで、顧客と直接コミュニケーションを取り、より深いVOCを得ることもできるでしょう。

UGC

UGC(User Generated Contents)はユーザー生成コンテツと訳され、ユーザーの手によって作成されたコンテンツのことを指します。

ユーザーがつくるコンテンツでマーケティングを!UGC(User Generated Contents)について解説

SNSやブログ、クチコミ、レビュー、写真やイラストの投稿サイト、ネット掲示板、Wikipediaなどユーザーが作成したコンテンツであれば、さまざまなものが考えられます。

UGCは顧客の意思により、顧客の体験に基づいて作成されます。商品やサービスの良い面に触れた場合には良い印象を与えるUGCとなりますが、なにか不満がある場合には良くない印象を与えるUGCが他の顧客の目に触れることになります。先述の通り、購買の判断においては他の顧客の声を参考にする消費者が多く、安定して売上を伸ばしていくためには良いUGCが多く作成されるようにする必要があります。

良い印象を与えるUGCは、満足度の高い体験をした顧客やブランドへの愛着が強い顧客から生成される可能性が高く、顧客のニーズに重きをおいた取り組みが結果として良いUGCを生み、次の顧客につながっていくのです。

LTV

LTV(Life Time Value)は顧客生涯価値と訳され、ある一人の顧客がその商品やサービスの利用をはじめてから、利用を終了するまでの期間にどれだけの利益をもたらすのかを表したものです。

LTV(ライフタイムバリュー)とは?注目される理由や向上に役立つ施策を紹介

一度の購入で高額の商品を提供するのではなく、繰り返し何度も購入したり、利用中の商品に加えて別の商品の利用も開始したりして、長く付き合いを続けていく中でLTVも伸長していきます。

長く商品やサービスを使い続けてもらうには、顧客のニーズを満たし続ける必要があります。一度商品を気に入ったとしても、環境の変化や市場状況によって他の商品に乗り換えられてしまうことは多々あります。顧客が商品のどんなところを気に入っていて、どのようなニーズを持っているのか、常に情報をアップデートすることで継続的に利用され、LTVも伸びていきます。

おわりに

顧客のニーズを第一に捉えたビジネス展開を行う顧客中心主義についてご紹介しました。多様化する消費者と市場において安定した売上を上げていくために重要な考え方です。一般的なマーケティング活動では、企業が伝えたい情報を発信することに注力しがちですが、顧客が求める情報や商品、体験はなにかに重きを置くことで、顧客との長期的な関係で良質な関係を築くことができます。まずは顧客の声に耳を傾けるところからはじめてみるのはいかがでしょうか。

cxin

株式会社Asobica cxin編集部。
コミュニティやファンマーケティングに関するノウハウから、コミュニティの第一人者へのインタビュー記事などを発信。

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