「ナレッジコミュニティ」はうまく活用することで自社のビジネスに大きな恩恵を与える可能性を秘めています。活用のためには、ナレッジコミュニティの基本から応用まで幅広く理解することが重要です。そこで本記事ではナレッジコミュニティの基本から、ビジネス分野への活用方法について解説します。
ナレッジコミュニティとは
「ナレッジ(knowledge=知識や知恵)コミュニティ(community=共同体や地域社会)」とは、直訳すれば「知識共同体」ですが、わかりやすく訳すと「知識コミュニティ」や「知識共有コミュニティ」となります。総じて、知識や知恵を共有するインターネット上のコミュニティのことを指す言葉です。
コミュニティには、さまざまな共通点や共通の目的をもったユーザーが集まります。ナレッジコミュニティに集まるユーザーに共通するのは「知識や知恵を共有したい」「共有した知識をもって新しい知恵を生み出したい」といった目的です。具体例としては、会員同士がお互いの質問に答えあう「Q&Aサイト」が挙げられます。
ナレッジコミュニティの種類
ナレッジコミュニティは現代においてもあまり聞き慣れない言葉なのですが、それ自体は意外と身近な存在としてインターネット上に存在していたのです。
コミュニティ型Q&Aサイト
1つ目は、先ほども具体例として触れている「コミュニティ型Q&Aサイト」です。「Yahoo!知恵袋」や「教えて!goo」などのサイトがこれに該当します。
サイトを訪れたユーザーは、掲載されている質問文の中から任意に回答し、そのユーザーの疑問を解決する手伝いをします。また、自身が新しく質問を立ち上げて、別のユーザーに回答してもらうことも可能です。質問及び回答の履歴は一覧化され、ユーザーは何らかの疑問を持っている場合に同じ質問が過去に行われている場合には新しく質問しなくても履歴を見ることで問題を解決できる場合があります。
インターネット百科事典サイト
2つ目は「インターネット百科事典サイト」です。「Wikipedia」などのサイトがこれに該当します。
ユーザーは、非公式の情報として内容を参照できます。この手の百科事典の内容を執筆するのもユーザー自身であり、ユーザーは任意に内容を改変し、管理者が検閲して問題なければ内容に反映されます。一般的に非公式情報なので信ぴょう性の問題はありますが、往々にして正しい情報群が形成されており、豊富な情報を検索できることから多くのユーザーが調べものに用いている実績があります。
企業内ナレッジコミュニティ(コミュニティ・オブ・プラクティス)
3つ目は「企業内ナレッジコミュニティ(コミュニティ・オブ・プラクティス)」です。「社内SNS」や「社内Q&A」がこれに該当します。
上記2つのナレッジコミュニティがオープンで誰でも閲覧できるのに対して、企業内ナレッジコミュニティはその企業の従業員のみ閲覧することを前提としたナレッジコミュニティです。コミュニティ内には社内の情報に関するやりとりが行われており、業務に関することから社内連絡に用いるなどの目的で利用されます。多くの場合、社内規則で私的な利用を禁止されています。
企業がナレッジコミュニティを導入するメリット
企業においても社内SNSや社内Q&Aのようなナレッジコミュニティが活用できることがわかりましたが、企業がナレッジコミュニティを運用することにはどんなメリットがあるのかについて解説します。
個人が持つノウハウを社内で共有
1つ目に「個人が持つノウハウの社内での共有を可能にする」ことです。
社内には、さまざまなノウハウを持った社員が存在しており、各人が保有するノウハウは別の社員でも活用できるものが多いです。ナレッジコミュニティを活用することで、コミュニティを知識共有の場として利用することで効率よく各人のノウハウを社内に浸透させ、社内で有益なノウハウを共有することができるのです。
生産性の向上
2つ目に「社内全体の生産性が向上する」ことです。
前述の通り、ナレッジコミュニティを活用することで社内に散在するノウハウを属人化状態から共有可能状態にし、多くの社員がビジネスに有益なノウハウを活用できます。社内SNSなどで共有するノウハウは基本的にビジネスや社会人としての活動に関わるノウハウなので、これを社内で共有することで社員の生産性を底上げし、企業全体の生産性が向上する可能性があるのです。
教育コストの削減
3つ目に「教育にかかるコストを削減できる」ことです。
本来、新人教育や引継ぎ業務には「マニュアル作成」などの教育系のコストが発生します。ナレッジコミュニティで教育内容を定型文化し、誰でも閲覧できる状態にしておくことで教育にかかる手間を削減できます。また、短期間で新人教育や引継ぎ業務を完了させられる可能性が高まる点も、教育コストの削減に寄与します。
ナレッジコミュニティの利便性
ナレッジコミュニティを活用することで、具体的にどのような利便性を享受できるのかについて解説します。
面と向かって聞きにくいことが聞ける
1つ目に「面と向かって聞きにくいことでも気軽に聞ける」ことです。
よく「今さら聞けない」という悩みに困る人が多く見られます。例えば「すでに教わった内容」や「社会人として当然知っているべきこと」などを、面と向かって聞くのは難しいでしょう。
ナレッジコミュニティは、対面での質問を必要としません。そのため、対面では聞きづらい質問でも比較的気軽に聞けるため、疑問を疑問のまま抱え込んでしまう事態を防ぐことができます。
面識がなくてもその分野に詳しい人から話が聞ける
2つ目に「面識がない人から回答を得られる」ことです。
本来、わからないことを聞く時には同僚や上司など、自身と何らかのつながりを持った人に質問するのがオーソドックスな方法です。しかし、同じ部署の人間だとわからないことも多く、質問しても疑問を解消できないケースも珍しくありません。
ナレッジコミュニティを介して質問する場合、社内の別の部署、それこそ今まで自分と全く接点のなかった人からも回答を得られます。社内に人脈が少ない人でも専門家の意見を聞くことができるため、より多くの疑問をナレッジコミュニティを介して解決することができるのです。
アイデアを募る際にも重宝する
3つ目に「アイデアを募る際にも活用できる」ことです。
新商品の開発や、既存のサービスの改善を実施する際に、自部門のノウハウだけでは十分なアイデアを得られないケースも珍しくありません。顧客から意見を集める方法もありますが、可能な限り社内の人間だけで完結させたいケースもあるでしょう。
そんなとき、他部門の人間からも意見を集めやすいナレッジコミュニティを介してアイデアを募集するという方法がおすすめです。他部門には専門外の人間としての意見、つまり顧客の立場に近い人間としての意見を集められるため、自部門内では思いつかなかったような新しいアイデアを募ることができる可能性があります。
導入する際の3つの注意点
ナレッジコミュニティは、何も考えずに自社に導入すれば良いわけではなく、適切な運用と管理をしてはじめて成果が得られるものなのです。最後に、自社にナレッジコミュニティを導入する際に注意するべき3つのポイントについて解説します。
使いやすいプラットフォーム
1つ目に、導入するナレッジコミュニティは「使いやすいプラットフォームを利用する」ことです。
ビジネス向けのナレッジコミュニティは、全社員が使うことになるので簡単な操作で入力や検索ができることが必須です。使いにくいユーザーインターフェイスでは使用に際してストレスを溜めてしまい、ナレッジコミュニティを活用したいと思う社員が少なくなってしまうのです。
ナレッジコミュニティを活用するにあたっては「長く使い続けること」を前提として、使いやすいプラットフォームを利用してナレッジコミュニティを構築することをおすすめします。どんなプラットフォームが良いかは企業によって異なりますが、使い勝手の良さは口コミサイトなどを利用して情報収集すると良いでしょう。
シンプルな運用ルール
2つ目に「運用ルールはシンプルにまとめる」ことです。
社内用のナレッジコミュニティに関するルールが複雑だと、ルールの把握が面倒になって使われなくなる可能性があります。かといってルールをきちんと定めていなければ私的な利用など次第に社内用のナレッジコミュニティとしての形を維持することが難しくなるでしょう。
なので、運用に関するルールはきちんと定めつつ、難しいルールを盛り込まずにシンプルにまとめることをおすすめします。わかりやすいルールでまとめておけば、新入社員もルールを把握しやすくなるでしょう。
マネジメント専用の社員を用意する
3つ目に「ナレッジコミュニティをマネジメントする専用の社員(担当者)を選任する」ことです。
ナレッジコミュニティを放ったらかしてフェードアウトしないように、適切な運用の仕組みづくりをしなければなりません。そのためには、ナレッジコミュニティを運用する担当者を決めて、ナレッジコミュニティの管理や、社員への働きかけをこまめに行うことが必要になるのです。
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