
会社や個人が商品やサービスを提供するにあたって、その印象を大きく左右するツールの1つとして「コミュニティサイト」の存在は無視できません。そこで、コミュニティサイトとは何か、構築・運営する方法やその魅力などについて解説します。
コミュニティサイトとは?

「コミュニティサイト」とは、ユーザー間で情報交換や交流を行う場所として提供されるWebサイトのことです。特定の興味関心を持っている人や属性が共通する人が集まってコミュニケーションを行うために開設されるWebサイトの総称であり、参加資格が設定されていないオープンなサイトだけでなく、特定の条件を満たしたユーザーのみ利用可能なクローズドなサイトも存在します。
コミュニティサイトでは、その開設目的に応じてユーザーはさまざまなアクションを起こします。交流や情報交換を目的としたメッセージ交換を主体としたものから、ユーザーが制作した作品の発表や取引、ユーザー間のマッチングを行うサイトもあります。
コミュニティサイトの種類
コミュニティサイトの種類に明確な定義はありませんが、一般的に以下のような媒体がコミュニティサイトであると考えられています。
- SNS
- ブログ
- 掲示板サイト(BBS:電子掲示板)
- 会員制の企業サイト
- 質問サイト
- オンラインサロン
- ファンサイト
- 動画投稿サイト、画像共有サイト
- Webチャット
- 出会い系サイト
- 婚活サイト
企業がコミュニティサイトを活用する意義

企業活動において必ずしもコミュニティサイトを利用しなければならないというわけではありませんが、コミュニティサイトを活用することによって企業には2つのメリットがあると考えられています。
新規顧客の獲得
コミュニティサイトを活用することで、企業は「新規顧客」を獲得できるチャンスを広げることができます
コミュニティサイトでは、特定のテーマで人が集まって情報交換などの交流をしています。商品やサービス、または企業ブランドに関するコミュニティサイトでは、既存ユーザーによる「口コミ」が発信されているのです。
この口コミは、企業から発信されている公式情報からは得られない情報も盛り込まれています。新規顧客は、自分と同じ一般消費者からの情報を得ることによって企業や商品・サービスに対する安心感を得ることができ、商品・サービスの利用につながるのです。
既存顧客の囲い込み
コミュニティサイトは「既存顧客の囲い込み」にも作用します。
コミュニティサイトでは、ユーザー間だけでなく、コミュニティサイトを提供する企業側とのつながりも強化できます。例えば「カスタマーサポート」や「ポイントサービス」などを提供することで、既存ユーザーはその企業や商品・サービスへのロイヤリティを高めることができるのです。
こうしたユーザーの満足度を高めるアクションは、他社製品への乗り換えを防ぐ効果が期待できます。さらに、既存ユーザーの「ロイヤル顧客化」を推進し、より高額な商品・サービスの利用につなげる効果も期待できるのです。
コミュニティサイトを運営するデメリット

このように、コミュニティサイトを活用することでさまざまなメリットを享受できますが、コミュニティサイトを運営するにあたっては2つのデメリットがあることを理解しなければなりません。
構築にかかる工数、リソース
コミュニティサイトの運営にあたっては、まず「運営するコミュニティサイトを構築する」ことからスタートしますが、これは簡単なことではありません。数々の工数を経て、そこに多くのリソースを投入しなければならないのです。
コミュニティサイトを健全に運営することができれば、投入したリソース以上の利益を回収することも十分に可能でしょう。しかし、あらゆるコミュニティサイトが成功を収めているわけではないため、十分な費用対効果を得られない可能性も考慮しなければなりません。
ユーザー管理、コメント監視にかかるリソース
コミュニティサイトの運営には、構築の段階だけでなく「運営する段階でのリソース投入」についても考慮する必要があります。コミュニティサイトは、ユーザー数が増加してコミュニティが大きくなるほどに交流が活発化し、正常に機能すれば企業側にも大きな利益を生み出します。
ところが、コミュニティサイトを利用するのが常に企業側にとって都合の良いユーザーだけとは限りません。ユーザー間でトラブルを起こす、あるいは間違った情報が流通する状況が続けば、コミュニティサイトから得られるメリットは減少します。
そうしたトラブルを少しでも減らすためには、あらかじめコミュニティのルールを決めておくだけでなく、運営側で「ユーザー管理」と「コメント監視」を行い、コミュニティの崩壊を防がなければなりません。そこには、人的リソースを中心とした、相応のリソースを投入しなければならないのです。
コミュニティサイト運営で大切な3つのこと

コミュニティサイトを運営し、十分なメリットを享受するためには、以下の3つのテーマについてしっかりと把握し、実行する必要があります。
ターゲット・コンセプトの設定
コミュニティサイトを運営するにあたっては「ターゲット」と「コンセプト」をしっかりと設定しなければなりません。
例えば「○○の商品に関する、女性目線での意見が欲しい」というのであれば、その商品を使っている女性をターゲットにしてコミュニティサイトを構築しなければなりません。また、コンセプトに関してもさまざまな内容が考えられます。
こうしたターゲットやコンセプトを曖昧なままにしては、コミュニティサイトの構築・運営もブレてしまいます。そうなれば、期待した通りの成果をコミュニティサイトから得ることは難しくなってしまうでしょう。
ユーザーからのコメント確認・サービスへの反映
コミュニティサイトを運営するにあたっては「ユーザーからのコメントを確認し、反映する」ことを心がけてください。
ユーザーからのコメントは「実際に使ってみた人の意見」です。運営側にはわからないような改善点やリスクなどを、ユーザーのコメントから読み取ることができる可能性があります。
ユーザーからのコメントを確認し、提供するサービスに反映することでユーザーの満足度を高めることができます。逆に、ユーザーコメントを無視する状況が続けば、ユーザーはコミュニティサイト利用の満足度を減らしてしまい、ユーザー離れを起こしてしまうかもしれません。
機能やUIのブラッシュアップ
コミュニティサイトを運営するにあたっては「機能・UI(ユーザーインターフェース)のブラッシュアップ」を忘れないようにしましょう。
いかに優れた機能やUIでも、そのコミュニティサイトにおいて最善であるとは限りません。実際にユーザーに使ってもらい、必要な機能や優れた機能は現状維持あるいは向上させ、不要な機能や陳腐化したUIは一新しましょう。
コミュニティサイトの作り方

コミュニティサイトの作り方は、大きく分けて3つの方法があります。
自社サイトで独自構築する
自社にノウハウがあるのであれば、自社サイトを独自に構築するという方法がおすすめです。
事例
この事例として有名なのは「Apple公式サポートコミュニティ」です。
2019年1月に開設されたこのコミュニティサイトは、Apple製品やサービスを最大限に活用することを目的として、メンバー同士がお互いに助け合うための場所として提供されています。
このコミュニティサイトの最大の特徴は「インセンティブ設計」にあります。このコミュニティサイトでユーザーからの質問に対して回答をすると、その質に応じてポイントが付与される仕組みです。獲得したポイントは、Apple関連のさまざまな特典に利用できます。
この仕組みは、ユーザーによる回答を促すことによって、コミュニティの交流を活発にする仕組みとして評価されています。
メリット
コミュニティサイトを自社で独自設計することには、以下のメリットがあります。
- サイト構築の際にデザインや設置機能の自由度が高い
- サイトのアクセス解析において、任意の計測設定ができる
- (自社にとって)理想的な回答ユーザーの母集団を形成できる
- 自社でコミュニティサイトを構築するノウハウが蓄積し、次の機会に活かせる
「自社で作る」ということですから、既存サービスの利用と比較してデザインや機能設計などの自由度が高く、より理想に近い形でコミュニティサイトを構築できます。また、規模の大きな企業であれば複数のコミュニティサイトを運営することになるでしょうから、自社でコミュニティサイト構築のノウハウを持っておくことにはメリットがあるのです。
デメリット
コミュニティサイトを自社で独自設計することには、以下のデメリットがあります。
- ノウハウがないとサイト構築の初期開発費用や工数が大きく生じる
- 各種インセンティブ設計(回答ユーザーの確保、回答促進など)も自社でしなければならない
- 運用するための人的リソースを確保しなければならない
コミュニティサイトを一から自社で構築することになるので、完成時のメリットは多いものの、そこに至るまで(構築段階)で費用や人的リソースがかかるというデメリットは否めません。また、運用にあたっても人的リソースが欠かせないため、専属で任せられる人材を確保できないと自社でコミュニティサイトを構築することは難しいといえます。
特定のサービスで自社アカウントを作成する
自社にコミュニティサイト構築のノウハウが足りないのであれば、特定のサービスで自社アカウントを作成し、コミュニティサイトとして利用するのがおすすめです。
事例
現代においては数多くの企業が「動画サービス」「SNS」「オンラインサロン」などで自社のアカウントを作成し、コミュニティを形成しています。
例えば「任天堂」は公式サイトでSNSアカウントの運用について紹介しています。
記事によれば、Twitterでは会社全体の公式アカウントやサポート専用アカウントだけでなく、各ブランド個別でもアカウントを作成し、コミュニティサイトとして活用しているそうです。
メリット
特定のサービスを利用することには、以下のメリットがあります。
- 無料で利用できるアカウントが多い
- 自社で集客する必要がない(すでにユーザー数の多いSNSなどの場合)
- 複数のアカウントで商品やブランド個別のコミュニティサイトを構築しやすい
- サービス固有の機能を利用できる
TwitterやYouTubeのように、すでにユーザー数の多いサービスをコミュニティサイトとして活用することにより、自社で集客しなくてもすでに大型サービスとして浸透しているためユーザー数を確保しやすいです。アカウント自体は無料で利用できるサービスが多く、複数のアカウントを使い分けることで商品やブランド個別のコミュニティサイトを構築しやすいというメリットもあります。
デメリット
特定のサービスを利用することには、以下のデメリットがあります。
- 機能やデザインの自由度が少ない
- 提供できる情報量が限定される
- 利用継続がサービスとアカウントに依存する
SNSなどのサービスを利用してコミュニティサイトを構築するわけですから、どうしてもコミュニティサイトの運営が特定のサービスの機能等に依存するという点は否めません。仮にコミュニティサイトとして利用しているSNSがサービス終了になったら、コミュニティサイトも閉鎖に追い込まれてしまいます。
既存コミュニティと連携する
SNS等と同様、他のサービスを利用するという点においては「既存コミュニティと連携する」という方法もおすすめです。
事例
この事例で有名なのは「ブラザー株式会社」のQ&Aコミュニティです。このサポートコミュニティは、日本初にして最大級の規模を持つQ&Aサイト「OKWave」と連携しています。
メリット
既存コミュニティと連携することには、以下のメリットがあります。
- コミュニティサイトの運用業務を連携先に任せられる
- サイトの回答ユーザーを集客しなくて済む
- 実装までの工数がはるかに少ない
- 提携先の実績や規模がコミュニティサイトの安心感を生む
独自にサイトを構築する場合と比較して、構築や運用に関するリソース配置が大幅に減らせるという点は大きなメリットです。また、提携先が「○○年の実績」「日本最大級」といったアドバンテージがあれば、それがコミュニティサイトとしての信頼を生むきっかけになります。
デメリット
既存コミュニティと連携することには、以下のデメリットがあります。
- 自社のデザインやテイストを踏襲するのが難しい
- 提携先コミュニティのルールに従う必要がある
- 運用にあたっては費用が発生する
すでにあるサービスと連携するわけですから、どうしても「自社独自のテイスト」を前面に押し出すことは難しいです。また、運用においては人的リソースが少なくて済む代わりに、一定のランニングコストが必要であるという点も無視できません。
コミュニティサイト運営/構築サービスの活用

コミュニティサイトを自社で運営するのが厳しいのであれば、プロが代行してくれるサービスを利用方法もあります。そこで、おすすめのコミュニティサイト運営・構築サービスを3つ紹介します。
coorum
「coorum(コーラム)」は、法人向けのユーザーコミュニティ管理ツールです。ユーザー同士のQ&Aやナレッジ作成機能を活用し、ユーザーにとって重要な情報を蓄積することができます。また、既存ユーザーの分析にも長けており、アクティブ率やNPS等のデータを集計してユーザー1人1人の満足度を測定することができます。
ユーザーごとに最適なコンテンツを提供することで、既存顧客の満足度向上につながります。満足度が高まったユーザーはより高額な商品の利用にステージアップし、口コミによる新規顧客獲得につながります。
coorumでは、達成したい目標やコミュニティの規模などによって最適なプランを選択できます。基本的な機能を手ごろな価格で利用できる「ライトプラン」、基本機能に加えて拡張機能も利用できる「スタンダードプラン」、立ち上げや運営までを包括的にカバーできる「プレミアムプラン」の3つが用意されています。
BiND UP
「BiND UP(バインドアップ)」は、ホームページ作成サービスです。ホームページの作成からマーケティングまで幅広く任せることができ、結果が出るビジネスサイトの運用の手助けとなってくれるでしょう。
常時SSL対応のサーバーや独自ドメインなど基本のSEO対策を考慮し、マーケティング機能を搭載することでビジネス向けのサイトとして必要な機能を完備しています。また企業やブランドのイメージに合わせて、350以上のテンプレートからサイトを構築することからできます。
BiND UPでは2つのコースが用意されています。ビジネスの種類や規模などに合わせて「基本コース」か「ビジネスコース」かを選択可能です。コミュニティサイトを複数人で管理したい場合には、ビジネスコースを選択しましょう。
commmune
「commmune(コミューン)」は、企業とユーザーをつなげるためのコミュニティマーケティングツールです。SNSやメルマガ等では困難だった継続的なユーザーインサイトの取得やLTVの向上、コンテンツマーケティングを実現します。
コーディネーターのサポートのもと、クラウド上にすぐにコミュニティを構築でき、常にアップデートされて管理保守やセキュリティも安心です。各種ツールとの連携もしやすく、コミュニティのデザインやアクション分析までを直感的に行う事ができます。
commmuneでは、3つのプランが用意されています。「ライトプラン」「プロフェッショナルプラン」「エリートプラン」それぞれで利用できる機能が異なりますので、コミュニティサイト構築にあたってのニーズ等を考慮して最適なプランを選択してください。
解約(チャーン)防止や、LTV向上のためには、まずは適切なカスタマーサクセスのやり方を把握し、効率的に課題解決を進めていく必要があります。
CXinでは、カスタマーサクセス体制構築のお手伝いとなるよう、実際のカスタマーサクセス現場の声をもとにした【カスタマーサクセス白書】を無料配布しております。ぜひご活用ください。
