
コミュニティサイトは、ユーザーと企業の双方向のコミュニケーション実現のために有意義なツールです。
ユーザー同士でコミュニティを取れたり、参加者が自らコンテンツを投稿できたりする仕組みを取り入れることで、コアなファンの形成につながります。今回は、コミュニティサイトの作り方や運営のポイントを紹介します。
コミュニティサイトとは?

「コミュニティサイト」とは、ユーザー間で情報交換や交流を行う場所として提供されるWebサイトのことです。特定の興味関心を持っている人や属性が共通する人が集まってコミュニケーションを行うために開設されるWebサイトの総称であり、参加資格が設定されていないオープンなサイトだけでなく、特定の条件を満たしたユーザーのみ利用可能なクローズドなサイトも存在します。
コミュニティサイトでは、その開設目的に応じてユーザーはさまざまなアクションを起こします。交流や情報交換を目的としたメッセージ交換を主体としたものから、ユーザーが制作した作品の発表や取引、ユーザー間のマッチングを行うサイトもあります。
コミュニティサイトの種類
コミュニティサイトの種類に明確な定義はありませんが、一般的に以下のような媒体がコミュニティサイトであると考えられています。
- SNS
- ブログ
- 掲示板サイト(BBS:電子掲示板)
- 会員制の企業サイト
- 質問サイト
- オンラインサロン
- ファンサイト
- 動画投稿サイト、画像共有サイト
- Webチャット
- 出会い系サイト
- 婚活サイト
SNSとコミュニティサイトの違い
コミュニティサイトを作らなくても、ユーザーとのコミュニケーションはSNSで取れば良いと思っているかもしれません。しかし、両者は役割が異なるため、どちらも必要です。
企業が認知獲得やブランディングでSNSマーケティングを行う場合、キャンペーンや商品情報などの一方的な情報発信になりがちです。ユーザーと企業が積極的に関わりを持ち、深い関係性を築くのは簡単ではありません。
一方のファンコミュニティでは、両者がインタラクティブにやり取りを交わし、関係を深めていくことが可能です。そもそも企業や商品に興味を持ったユーザーが集まるため、うまく運用すればコアなファンを育てる下地にもなります。

コミュニティサイトに必要な機能
会員登録/ログイン機能 | ユーザーIDやパスワード、メールアドレスなどを管理する機能 |
マイページ機能 | 各ユーザーが持つ固有のページで、自分の投稿や他者へのコメントなど管理する機能 |
コンテンツ投稿機能 | サイトの運営側が自社のコンテンツや最新情報を投下する機能 |
検索機能 | サイト内の過去の投稿やコンテンツを検索できる機能 |
お気に入り機能 | 過去にお気に入りとした投稿をストックし、いつでも閲覧できる機能 |
問い合わせ管理機能 | ユーザーからの問い合わせを対応済みと未対応に区分する機能 |
FAQ機能 | 基本的なサイトの利用方法やトラブルシューティングなど、よくある質問と回答を掲載する機能 |
資料検索・共有機能 | サイト内にアップロードした資料やコンテンツを検索、もしくは他のユーザーと共有できる機能 |
コミュニティサイトを効果的に運用するため、あったほうが良い機能です。
コミュニティサイトに用意するコンテンツの例
コミュニティサイトで提供したいコンテンツは、以下のとおりです。
- 最新のニュース
- オンライン型の交流会や配信
- 限定開催のイベントやオフ会情報
- 利用者参加型のプロジェクトやイベントなどの情報
- 改善や要望を受け付ける窓口
- よくある疑問と回答(Q&A)
- グッズ販売
ユーザーに価値のあるコンテンツを提供することで、顧客との接点を見いだすコンテンツマーケティングに取り組む企業は多いです。
企業がコミュニティサイトを運営するメリット

企業がコミュニティサイトを運営する代表的なメリットは、次の4つです。
- 新規ユーザーの獲得につながる
- 既存ユーザーと中長期的な関係性の構築につながる
- ユーザーリサーチの場として活用できる
- カスタマーエクスペリエンスの向上に役立つ
必ずしもコミュニティサイトを作るべきといえませんが、コミュミティサイトはマーケティングやリサーチに役立つ可能性は非常に高く、企業にとってあると便利な存在です。
新規ユーザーの獲得につながる
コミュニティサイトを活用することで、企業は「新規顧客」を獲得できるチャンスを広げることができます
コミュニティサイトでは、特定のテーマで人が集まって情報交換などの交流をしています。商品やサービス、または企業ブランドに関するコミュニティサイトでは、既存ユーザーによる「口コミ」が発信されているのです。
この口コミは、企業から発信されている公式情報からは得られない情報も盛り込まれています。新規顧客は、自分と同じ一般消費者からの情報を得ることによって企業や商品・サービスに対する安心感を得ることができ、商品・サービスの利用につながるのです。
既存ユーザーと中長期的な関係性の構築につながる
コミュニティサイトは「既存ユーザーと中長期的な関係性の構築」にも作用します。
コミュニティサイトでは、ユーザー間だけでなく、コミュニティサイトを提供する企業側とのつながりも強化できます。例えば「カスタマーサポート」や「ポイントサービス」などを提供することで、既存ユーザーはその企業や商品・サービスへのロイヤリティを高めることができるのです。
こうしたユーザーの満足度を高めるアクションは、他社製品への乗り換えを防ぐ効果が期待できます。さらに、既存ユーザーの「ロイヤル顧客化」を推進し、より高額な商品・サービスの利用につなげる効果も期待できるのです。
ユーザーリサーチの場として活用できる
濃密なファンが集うコミュニティサイトは、ユーザーの貴重な生の声が聞ける宝箱のような存在で、顧客の要望や意見のみならず、インサイトの把握にも役立つ無類の場所です。
米国で定着しているMROC(マーケットリサーチ・オンラインコミュニティ)は、顧客リサーチを目的にオンラインコミュニティを立ち上げる調査手法です。参加者の会話や行動を観察するほか、インタビューやアンケートを組み合わせてユーザーのニーズを多面的に探ります。
コミュニティサイトでは企業に対する遠慮や配慮がない、率直な意見や感想が手に入りやすいのが特徴です。ユーザー同士が同じ立場で、似たような想いを共有するからこそ、自然な発言につながります。
カスタマーエクスペリエンス向上に役立てられる
コミュニティサイトは、ユーザー同士の助け合いの場としても機能します。ユーザー視点から見た場合、状況をよく理解してくれる仲間から自分が困っていることの解決策を的確に教えてもらえます。
なかには、「私は何も困っていない」と主張する、精神的・肉体的に強い人もいるかもしれません。しかし、コミュニティサイトの参加者で仲間が欲しいと思っている場合、サイト内でユーザー同士のやり取りは同じ価値観を持った仲間との出会いの場でもあります。
商品・サービス自体ではなく、付加価値のコミュニティサイトが顧客体験の向上に役立つのです。

企業がコミュニティサイトを運営するデメリット

このように、コミュニティサイトを活用することでさまざまなメリットを享受できますが、コミュニティサイトを運営するにあたっては2つのデメリットがあることを理解しなければなりません。
構築にかかる工数、リソース
コミュニティサイトの運営にあたっては、まず「運営するコミュニティサイトを構築する」ことからスタートしますが、これは簡単なことではありません。数々の工数を経て、そこに多くのリソースを投入しなければならないのです。
コミュニティサイトを健全に運営することができれば、投入したリソース以上の利益を回収することも十分に可能でしょう。しかし、あらゆるコミュニティサイトが成功を収めているわけではないため、十分な費用対効果を得られない可能性も考慮しなければなりません。
ユーザー管理、コメント監視にかかるリソース
コミュニティサイトの運営には、構築の段階だけでなく「運営する段階でのリソース投入」についても考慮する必要があります。コミュニティサイトは、ユーザー数が増加してコミュニティが大きくなるほどに交流が活発化し、正常に機能すれば企業側にも大きな利益を生み出します。
ところが、コミュニティサイトを利用するのが常に企業側にとって都合の良いユーザーだけとは限りません。ユーザー間でトラブルを起こす、あるいは間違った情報が流通する状況が続けば、コミュニティサイトから得られるメリットは減少します。
そうしたトラブルを少しでも減らすためには、あらかじめコミュニティのルールを決めておくだけでなく、運営側で「ユーザー管理」と「コメント監視」を行い、コミュニティの崩壊を防がなければなりません。そこには、人的リソースを中心とした、相応のリソースを投入しなければならないのです。
長期的な目線で運用する必要がある
コミュニティサイトは、商品やサービスを直接販売するためのものではないため、短期的な成果は難しく、必然的に長期的な運用が求められます。コンテンツの作成に時間を要するほか、ユーザーが認知・閲覧する過程が必要なためです。
今すぐに成果が欲しくても、うまくいかないのが大半のため、長期的な視点で取り組みましょう。
YouTubeやオウンドメディアで、「SNSを何ヵ月でフォロワー〇〇人まで伸ばす方法」といった情報が公開されているのと同じく、コミュニティサイト運用は数ヵ月単位で取り組む必要があります。
コミュニティサイトの成功事例
ここからは、国内企業のコミュニティサイトの成功事例をいくつか紹介します。サービスや企業が大事にする理念など、ファンコミュニティを作るきっかけはさまざまです。
ここでは運営に至った経緯だけでなく、コミュニティサイトによって実際にどのような恩恵を受けたかも紹介します。
成功事例から学べるものはないか探し、採り入れるべき参考となる部分を見つけてください。

株式会社コメダ:さんかく屋根の下
コメダ珈琲で知られる、株式会社コメダが運営するファンコミュニティ『さんかく屋根の下』は約1万人の会員を誇ります。
従来の店舗ごとに常連顧客を獲得している状態から、「コメダの一つの会社としてつながれたら面白いのでは」とのアイデアで走り出したコミュニティサイトです。
月に1回の頻度で行われるイベントのコメダ部では、試作品の試食会や美味しいシロワールを企画する会を行っています。また、トークテーマの提供や顧客同士のやり取りにインセンティブを与える試みなどを通して、ブランドへの愛着を育む努力を続けています。
「より多くのお客様が交流ができる」コミュニティを。株式会社コメダが運営する「さんかく屋根の下」がcoorumを選んだ理由。

サイボウズ株式会社:キンコミ
業務課題の解決に役立つ、グループウェア「kintone」の開発・提供を行うサイボウズ株式会社は『すごくなくてもいい』をコンセプトとする、誰でも入れるユーザー参加型コミュニティ「キンコミ」を始動しました。
kintoneは、顧客ごとにカスタマイズすることで最適な使い方に実現するサービスのため、山の頂きのような一つの正解があるわけではありません。活動の仕方や温度感にかかわらず、誰でも参加できるコミュニティを提供したいとの想いから、キンコミは誕生しました。
気軽に参加できる環境が功を奏し、心理的な壁を取り除くことに成功、運営側の想定以上にうまく機能しているようです。
“すごくなくてもいい” サイボウズ社が提供するユーザーコミュニティ「キンコミ」の参加者が増え続ける理由
株式会社カインズ:CAINZ DIY Square
ホームセンターチェーン事業を主力に据えるCAINZは、DIYを楽しむユーザー同士が、オフライン・オンラインを問わずにつながる『CAINZ DIY Square』を、2021年11月にスタートさせました。
コミュニティ運営のきっかけは、顧客がお店に来店していない時でもトータルでサポートしたいとの想いからです。
完成した作品を共有したりわからないことを聞いたりと、利用者同士のコミュニケーションは活発で、熱量が高いコミュニティが実現しています。
DIYをライフスタイル(生活文化)に!カインズが取り組む「コミュニティ」の導入背景と展望とは

ホノルルマラソン日本事務局:ホノルルマラソンOHANA
ホノルルマラソンの日本事務局は、ユーザーのエンゲージメント向上を目指して、オンラインコミュニティ『OHANA』を立ち上げました。きっかけはコロナの影響で日本人がハワイまで行きづらい中、オンラインでもホノルルマラソンの魅力を発信したいとの想いからでした。
参加者同士でつながり、お互いを尊重できるハートフルなコミュニティの形成が狙いです。コミュニティ運営サービスを活用して、実際に走れなかった人も現地の雰囲気や熱量を体感できる、質が高いコミュニティサイトを提供しています。

企業がコミュニティサイトを構築する時の流れ
企業がコミュニティサイトを構築する際は、一般的に次の流れで進みます。
- 制作目的や目標を明確にする
- 運営の方向性を策定する
- プラットフォームを選定する
- サイト構築を進める
- 利用規約やルールを決める
- 参加者を募集する
- コミュニティサイトの運用を行う
ここでは各工程で何を行うべきか、具体的に解説します。
制作目的や目標を明確にする
失敗してしまうコミュニティサイトに共通するのは、「コミュニティの目的が定まっていない」ことです。あらかじめ、目標や目的を明確にしておきましょう。
狙いが決まればターゲットも絞れ、どのような情報を発信すべきか見当がつきます。たとえば、特定の趣味や関心を持つ人たちのコミュニティが作りたいなら、必要な道具や苦労を乗り越える方法、素早く上達するコツなどが挙げられます。
発信の軸やターゲットを明確にするために、まず制作の目的や目標を具体化しましょう。
運営の方向性を策定する
次に、どのようなコミュニティサイトを作りたいのか、方向性や戦略を構築します。熱狂的なファンを生み出すには、コアバリューと呼ばれる価値観の形成が必要です。
たとえば、「最優先事項は何か?」「重視している信念は何か?」「原動力となる想いは何か?」「コミュニティの参加者とともに、実現したい世界は何か?」などを考えます。
企業理念やブランドの価値観などとも照らし合わせて、ぜひ納得いく方向性を探ってみてください。コミュニティ内で発信するコンテンツの構想を決めるのも、この段階で行うのがベターです。
プラットフォームを選定する
企業のプラットフォームサービスを利用するか、自社でWebサイトを作成するのか選びましょう。プラットフォームサービスは、顧客情報の管理や決済などシステム面が充実し、トラブルの際にも安心して相談できます。
複数のサービスの中から自社に合ったもの見つけるには、信頼性や実績、費用相場などをチェックしましょう。
一方で、自社でサイトを作るメリットは自由度の高さです。頭の中に理想像が構築されているなら、一から作ったほうが満足度は高いコミュニティの形成につながります。
サイト構築を進める
サイト設計や実現できることなどをすり合わせ、デザインや構成、機能を実装します。
自社でコミュニティサイトを開発する場合、大まかにユーザーの目に触れる部分を制作するコーディングと、バックエンドのシステム開発に分かれます。なお、通常両者は並行して行いましょう。
制作後はテストや確認を行い、不具合や改善点を洗い出しましょう。作業を通して、バグや修正が必要な箇所が見つかるかもしれません。
利用規約やルールを決める
コミュニティの利用にあたり、利用規約やルールを定めることでトラブルを未然に防げます。たとえば、誹謗中傷の禁止やインターネットビジネスの勧誘禁止、コンテンツの流出禁止などが挙げられます。
ルールを破った場合に、適用される罰則についても明記しましょう。コミュニティ内に暗黙の了解がありすぎると、新規メンバーが戸惑い、定着を妨げる危険があるためで。できる限り、ルールを明文化したガイドラインを作成することを推奨します。
参加者を募集する
運営が開始した、または開始時期が決まったら、SNSや広告などで参加者の候補に対してアプローチを行いましょう。
とくに、初期メンバーの選定は重要で、サイトの趣旨や方向性に心から共感しているユーザーを集めることが大切です。コアなファンをはじめ、商品やサービスを熟知している人など、サイトの発展に寄与する人材を募りましょう。
ユーザーにランクやポイントを与えて、モチベーションを高める手法もあります。
コミュニティサイトの運用を行う
サイトの準備やユーザー集めが完了したら、いよいよコミュニティサイトの運用を開始できます。運営の過程でユーザーから受けたフィードバックを、サービスや商品、サイト上に反映していきます。
ポイントは、参加者とのコミュニケーションを大切にすることです。豊富なコミュニケーションツールを用意するほか、定期的にイベントやコンテストなどの企画を実施することで、ユーザー同士のやり取りを効果的に促進できます。

コミュニティサイトの作り方

コミュニティサイトの作り方は、大きく分けて3つの方法があります。
自社サイトで独自構築する
自社にノウハウがあるのであれば、自社サイトを独自に構築するという方法がおすすめです。
事例
この事例として有名なのは「Apple公式サポートコミュニティ」です。
2019年1月に開設されたこのコミュニティサイトは、Apple製品やサービスを最大限に活用することを目的として、メンバー同士がお互いに助け合うための場所として提供されています。
このコミュニティサイトの最大の特徴は「インセンティブ設計」にあります。このコミュニティサイトでユーザーからの質問に対して回答をすると、その質に応じてポイントが付与される仕組みです。獲得したポイントは、Apple関連のさまざまな特典に利用できます。
この仕組みは、ユーザーによる回答を促すことによって、コミュニティの交流を活発にする仕組みとして評価されています。
メリット
コミュニティサイトを自社で独自設計することには、以下のメリットがあります。
- サイト構築の際にデザインや設置機能の自由度が高い
- サイトのアクセス解析において、任意の計測設定ができる
- (自社にとって)理想的な回答ユーザーの母集団を形成できる
- 自社でコミュニティサイトを構築するノウハウが蓄積し、次の機会に活かせる
「自社で作る」ということですから、既存サービスの利用と比較してデザインや機能設計などの自由度が高く、より理想に近い形でコミュニティサイトを構築できます。また、規模の大きな企業であれば複数のコミュニティサイトを運営することになるでしょうから、自社でコミュニティサイト構築のノウハウを持っておくことにはメリットがあるのです。
デメリット
コミュニティサイトを自社で独自設計することには、以下のデメリットがあります。
- ノウハウがないとサイト構築の初期開発費用や工数が大きく生じる
- 各種インセンティブ設計(回答ユーザーの確保、回答促進など)も自社でしなければならない
- 運用するための人的リソースを確保しなければならない
コミュニティサイトを一から自社で構築することになるので、完成時のメリットは多いものの、そこに至るまで(構築段階)で費用や人的リソースがかかるというデメリットは否めません。また、運用にあたっても人的リソースが欠かせないため、専属で任せられる人材を確保できないと自社でコミュニティサイトを構築することは難しいといえます。
特定のサービスで自社アカウントを作成する
自社にコミュニティサイト構築のノウハウが足りないのであれば、特定のサービスで自社アカウントを作成し、コミュニティサイトとして利用するのがおすすめです。
事例
現代においては数多くの企業が「動画サービス」「SNS」「オンラインサロン」などで自社のアカウントを作成し、コミュニティを形成しています。
例えば「任天堂」は公式サイトでSNSアカウントの運用について紹介しています。
記事によれば、Twitterでは会社全体の公式アカウントやサポート専用アカウントだけでなく、各ブランド個別でもアカウントを作成し、コミュニティサイトとして活用しているそうです。
メリット
特定のサービスを利用することには、以下のメリットがあります。
- 無料で利用できるアカウントが多い
- 自社で集客する必要がない(すでにユーザー数の多いSNSなどの場合)
- 複数のアカウントで商品やブランド個別のコミュニティサイトを構築しやすい
- サービス固有の機能を利用できる
TwitterやYouTubeのように、すでにユーザー数の多いサービスをコミュニティサイトとして活用することにより、自社で集客しなくてもすでに大型サービスとして浸透しているためユーザー数を確保しやすいです。アカウント自体は無料で利用できるサービスが多く、複数のアカウントを使い分けることで商品やブランド個別のコミュニティサイトを構築しやすいというメリットもあります。
デメリット
特定のサービスを利用することには、以下のデメリットがあります。
- 機能やデザインの自由度が少ない
- 提供できる情報量が限定される
- 利用継続がサービスとアカウントに依存する
SNSなどのサービスを利用してコミュニティサイトを構築するわけですから、どうしてもコミュニティサイトの運営が特定のサービスの機能等に依存するという点は否めません。仮にコミュニティサイトとして利用しているSNSがサービス終了になったら、コミュニティサイトも閉鎖に追い込まれてしまいます。
既存コミュニティと連携する
SNS等と同様、他のサービスを利用するという点においては「既存コミュニティと連携する」という方法もおすすめです。
事例
この事例で有名なのは「ブラザー株式会社」のQ&Aコミュニティです。このサポートコミュニティは、日本初にして最大級の規模を持つQ&Aサイト「OKWave」と連携しています。
メリット
既存コミュニティと連携することには、以下のメリットがあります。
- コミュニティサイトの運用業務を連携先に任せられる
- サイトの回答ユーザーを集客しなくて済む
- 実装までの工数がはるかに少ない
- 提携先の実績や規模がコミュニティサイトの安心感を生む
独自にサイトを構築する場合と比較して、構築や運用に関するリソース配置が大幅に減らせるという点は大きなメリットです。また、提携先が「○○年の実績」「日本最大級」といったアドバンテージがあれば、それがコミュニティサイトとしての信頼を生むきっかけになります。
デメリット
既存コミュニティと連携することには、以下のデメリットがあります。
- 自社のデザインやテイストを踏襲するのが難しい
- 提携先コミュニティのルールに従う必要がある
- 運用にあたっては費用が発生する
すでにあるサービスと連携するわけですから、どうしても「自社独自のテイスト」を前面に押し出すことは難しいです。また、運用においては人的リソースが少なくて済む代わりに、一定のランニングコストが必要であるという点も無視できません。
代表的なコミュニティサイト運営/構築サービス一覧

コミュニティサイトを自社で運営するのが厳しいのであれば、プロが代行してくれるサービスを利用方法もあります。そこで、おすすめのコミュニティサイト運営・構築サービスを3つ紹介します。
coorum
「coorum(コーラム)」は、法人向けのユーザーコミュニティ管理ツールです。ユーザー同士のQ&Aやナレッジ作成機能を活用し、ユーザーにとって重要な情報を蓄積することができます。また、既存ユーザーの分析にも長けており、アクティブ率やNPS等のデータを集計してユーザー1人1人の満足度を測定することができます。
ユーザーごとに最適なコンテンツを提供することで、既存顧客の満足度向上につながります。満足度が高まったユーザーはより高額な商品の利用にステージアップし、口コミによる新規顧客獲得につながります。
coorumでは、達成したい目標やコミュニティの規模などによって最適なプランを選択できます。基本的な機能を手ごろな価格で利用できる「ライトプラン」、基本機能に加えて拡張機能も利用できる「スタンダードプラン」、立ち上げや運営までを包括的にカバーできる「プレミアムプラン」の3つが用意されています。

BiND UP
「BiND UP(バインドアップ)」は、ホームページ作成サービスです。ホームページの作成からマーケティングまで幅広く任せることができ、結果が出るビジネスサイトの運用の手助けとなってくれるでしょう。
常時SSL対応のサーバーや独自ドメインなど基本のSEO対策を考慮し、マーケティング機能を搭載することでビジネス向けのサイトとして必要な機能を完備しています。また企業やブランドのイメージに合わせて、350以上のテンプレートからサイトを構築することからできます。
BiND UPでは2つのコースが用意されています。ビジネスの種類や規模などに合わせて「基本コース」か「ビジネスコース」かを選択可能です。コミュニティサイトを複数人で管理したい場合には、ビジネスコースを選択しましょう。
commmune
「commmune(コミューン)」は、企業とユーザーをつなげるためのコミュニティマーケティングツールです。SNSやメルマガ等では困難だった継続的なユーザーインサイトの取得やLTVの向上、コンテンツマーケティングを実現します。
コーディネーターのサポートのもと、クラウド上にすぐにコミュニティを構築でき、常にアップデートされて管理保守やセキュリティも安心です。各種ツールとの連携もしやすく、コミュニティのデザインやアクション分析までを直感的に行う事ができます。
commmuneでは、3つのプランが用意されています。「ライトプラン」「プロフェッショナルプラン」「エリートプラン」それぞれで利用できる機能が異なりますので、コミュニティサイト構築にあたってのニーズ等を考慮して最適なプランを選択してください。
コミュニティサイト運営のポイント

人が集まり、退会が増えないコミュニティサイト運営のポイントは以下のとおりです。
- 会員が発信できるコンテンツを用意する
- 読むだけ、見るだけでもメリットのあるコンテンツを用意する
- コンテンツの提供を絶やさない
- コメントの確認やサービスへの反映を継続して行う
- 機能やUIのブラッシュアップを続ける
それぞれのポイントについて、具体的に紹介します。
会員が発信できるコンテンツを用意する
ユーザー同士の交流やユーザーからのフィードバックができることで、参加によるメリットを感じてもらいやすくなります。
運営のみコンテンツの投稿が不可の環境だと、忙しい時にサイトの更新が止まってしまうリスクがあります。
自己紹介や雑談部屋、お悩み相談コーナーなどが、会員によるコンテンツ生成の具体例です。情報交換用の掲示板はもちろん、趣味や特技に関する交流が可能な場所を設けるのも有効です。
読むだけ・見るだけでもメリットのあるコンテンツを用意する
コミュニティではユーザーとの交流や双方向性が特徴ですが、一般的には受け身の人の方が多くいます。
そのためコミュニティ運営では、読むだけ・見るだけで十分にメリットを感じられるものをメインに据えるのがポイントです。
オンラインイベントや交流会はあったほうが良いにしろ、何度も開催されてはユーザーは負担を感じます。見ているだけや、リアクションを返すだけの人も想定した環境作りが求められます。
コンテンツの提供を絶やさない
退会率を減らすためにも、コミュニティ内を常に盛り上げる工夫が必要です。「週に1回」「月に1回」のように、定期更新型のコンテンツを制作するのがおすすめです。
定期的な更新が難しければ、成果が出るまで、またはコミュニティができるまでの裏側を発信してはいかがでしょうか。
たとえば、事業家がアイデアを形にするまでのプロセスや心の葛藤、タレントが仕事に臨むまでの準備なども、ファンにとっては気になる情報のためです。
ユーザーからのコメント確認・サービスへの反映を継続して行う
コミュニティサイトを運営するにあたっては「ユーザーからのコメントを確認し、反映する」ことを心がけてください。
ユーザーからのコメントは「実際に使ってみた人の意見」です。運営側にはわからないような改善点やリスクなどを、ユーザーのコメントから読み取ることができる可能性があります。
ユーザーからのコメントを確認し、提供するサービスに反映することでユーザーの満足度を高めることができます。逆に、ユーザーコメントを無視する状況が続けば、ユーザーはコミュニティサイト利用の満足度を減らしてしまい、ユーザー離れを起こしてしまうかもしれません。
機能やUIのブラッシュアップを続ける
コミュニティサイトを運営するにあたっては「機能・UI(ユーザーインターフェース)のブラッシュアップ」を忘れないようにしましょう。
いかに優れた機能やUIでも、そのコミュニティサイトにおいて最善であるとは限りません。実際にユーザーに使ってもらい、必要な機能や優れた機能は現状維持あるいは向上させ、不要な機能や陳腐化したUIは一新しましょう。

ポイントを押さえてコミュニティサイトを構築しよう
コミュニティサイトの運営で熱狂的なファンを作るにはいくつか満たすべきポイントがあります。
会員発信型のコンテンツや見るだけでも楽しめる環境作り、定期的な投稿、フィードバックをもとにしたブラッシュアップなどが該当します。
最初の設計が大切なため、ルール作りや初期メンバー集めには注力することがおすすめです。ぜひ本記事を参考に、マーケティングに役立つだけでなくファンにとっても有益で、魅力的なコミュニティを実現してください。
