ファンマーケティングとは?顧客を熱狂的なファンにするメリットや実践方法、成功事例を紹介

2023-10-31 コラム

ファンマーケティングは、企業の商品やサービスを愛用し、SNSで商品に関する情報(UGC)を発信してくれるファンに対して行うマーケティング手法です。企業の安定した売上につながることに加え、ファンからの発信により新規顧客の獲得も期待できることから新たなマーケティング施策として注目を集めています。ファンマーケティングに取り組むには、SNSやライブ配信、コミュニティサイトの構築などといった手法があります。それぞれの実践方法やコミュニティサイトを活用した成功事例をご紹介します。

※UGC(User Generated Contents):ユーザーの手によって制作・作成されたコンテンツ

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ファンマーケティングとは?

ファンマーケティングとは、商品やサービス、ブランドに強い愛着を持つ「ファン」を増やすことで、中長期的に安定した売上を目指すマーケティング手法のことをいいます。

従来のマーケティングでは、テレビや新聞、雑誌などのマスメディアを用いて、顧客になりうる多数のターゲットに対して同一のプロモーションを行ってきましたが、近年、SNSやWebサイト、UGCでのマーケティングが普及したことにより、自社のブランドを好むファンをターゲットにしたマーケティングが行いやすくなりました。

つまり従来のマーケティングは新規の顧客獲得を目的としていたことに対して、ファンマーケティングは既存顧客(一度購入していただいた、サービスに触れた顧客)に対してロイヤリティをあげるために行うマーケティング手法と言えます。

ファンマーケティングの手法としては、SNSやライブ配信、ファンが集まるコミュニティの構築などが主流で、顧客が投稿するUGCが重要な役割を果たします。また、企業 対 顧客のコミュニケーションだけではなく、顧客間での交流が行われる点も特徴です。

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パレートの法則

パレートの法則は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが提唱した法則で、「会社の売上の8割は、2割のコアな顧客が生み出している」という考え方です。ファンマーケティングが注目を集める理由であり、「2:8の法則」とも呼ばれます。

ファンマーケテイングは、企業にとって重要な顧客「ファン」に向けた施策を実施し、大切にすることで企業の売上の基軸を育てる施策といえるでしょう。

ファンマーケティングのメリット

ファンマーケティングの4つのメリットをご紹介します。ファンマーケティングは売上が安定するだけでなく、顧客によるUGCが新規顧客の獲得や、商品の改良につながることが期待できます。

安定した売上基盤を構築できる

先述のパレートの法則に則れば、ファンマーケティングによって2割のファンを大切にすれば、会社の8割の売上を安定的に得ることができるようになります。商品によっては、商品の単価以上に、新規顧客の獲得にかかる費用が大きくなる場合もあり、優良顧客を逃がす手はありません。

また商品の改良や新商品の開発などを行う際には、ファンをターゲットとした企画を行うことで、販売数の見込みを立てやすく、安定した売上につなげることができるでしょう。

良質な口コミにより新規顧客の獲得につながる

商品の購入やサービスの利用前に、SNSなどを使って口コミを調べるユーザーは多く、企業から発信する情報だけで、新規顧客を獲得するのは難しくなってきました。ファンが投稿する商品やサービスへの愛着が込もった口コミは、新たなユーザーに興味を与え、新規顧客の獲得につながることでしょう。

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また、商品の質や魅力に関する情報は、企業が自ら発信するよりも、ユーザー個人が発信する情報のほうが信憑性が高いと感じられる場合が多く、広告費をかけたプロモーション以上の効果を生み出すことが期待できます。

良質なフィードバックを得られる

日常的に商品やサービスを利用しているファンは、提供する企業の中では思いつかないような視点や発想を持っている場合があります。ファンの感想や意見を収集できる場を設けることで、既存商品の改善点や新商品のアイデアを見つけることができるかもしれません。

また、実際にファンの声を取り入れた商品を販売すれば、ファンは自分の意見を汲んでくれたことでより愛着を深め、企業とファンとのつながりをより強めることもできます。

ファン同士のコミュニケーションが活発になる

自発的に情報発信を行うファンは、商品について詳しく理解しているため、他の顧客のサポート役になったり、商品の使い方を広げてくれる存在となります。例えば、コミュニティ内に自社商品を使ったレシピの投稿コーナーを設ければ、ファンが投稿したレシピを参考にして、その他の顧客もさまざまな料理を楽しむことができるようになり、結果として売上の向上も期待できます。

ファンマーケティングの注意点

ファンマーケティングのメリットをお伝えしてきましたが、実際にファンマーケティングに取り組む際には、考慮すべき点があります。

ファンの育成に時間がかかる

顧客がファンになり、定期的な商品購入やSNSでUGCを発信をしてくれるようになるまでには、長期的な取り組みが必要になります。単発の目立った施策を実施するというよりは、長い目線で商品やブランドの魅力を打ち出し、ファン同士がコミュニケーションを取れる環境を整えていかなければなりません。短期的に成果が出るマーケティング手法ではないため中長期的な視点を持つ必要があります。

コミュニティのようにファンの発信を活かしたファンマーケティングを行う場合には、SNS等からすでにファンになっている顧客を見つけて、直接招待していくような取り組みも効果的です。

炎上リスクに配慮が必要

ファンとより近いコミュニケーションを取っていく中では、企業の担当者の人柄や個人としての意見にも関心が及ぶようになります。SNS上での何気ない投稿やコメントが、誤解を生んでしまったり、意図しない反感を買ってしまったりすることが考えられるため、あらかじめ社内で運用ルールを設けた上で、万が一炎上してしまった場合の対応について対策を練っておくと安心です。

ファンマーケティングに効果的な手法

次にファンマーケティングに効果的な4つの手法をご紹介します。商品やサービスの特性に合わせて、いくつかを組み合わせて実施するのもおすすめです。

SNSの活用

余暇時間に利用されることが多いSNSでは、顧客が頻繁に商品やブランドの投稿に触れることにより、共感や愛着を感じてもらうことができます。TwitterやInstagram、Facebook、TikTokなどの複数のSNSでアカウントを開設し、それぞれに合わせた投稿をすることで、顧客とのタッチポイントを増やすと良いでしょう。昨今様々な企業やブランドファンマーケティングの一貫でSNSアカウントを開設し顧客と交流を図っています。

SNSでは、特定の投稿に対して多数のユーザーからリアクションが付き、投稿が拡散する場合があります。アカウント運用や投稿の内容次第では、広告費をかけるよりも広く、深く投稿に触れてもらうことができ、低コストでファンを増やすことができるかもしれません。

ライブ配信の活用

リアルタイムで顧客とコミュニケーションを取ることができるライブ配信は、顧客からの信頼を得やすい手法です。顧客の知りたいことや疑問に、その場で回答できるので、購入の検討がしやすく、納得して商品を購入できます。

また、配信者と視聴者の距離が近く感じられるため、好感を抱きやすく、ファン化の一助となる点からも有効な手法といえます。

コミュニティの構築

ファンコミュニティは、ファンの間のコミュニケーションの場として活用されます。 ファンコミュニティの特徴は、SNS等の手段はどちらかというと企業側が一方的に発信する特徴があることに対して、ファンコミュニティは 企業からの情報発信もありますが、ファン同士の交流やコミュニケーションが積極的に行われる特徴があります。 企業が自ら発信する情報よりも、実際に商品やサービスを利用した顧客から発信される情報のほうが信憑性が高いと感じるユーザーは多く、UGCを収集し蓄積するコミュニティは、売上の増加につながります。

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また、ファン同士の情報交換が活発に行われたり、商品の活用方法やレシピなどがシェアされることで、商品の活用機会が増え、LTVの向上につながることも期待できます。 ファンマーケティングの手法において、ファンコミュニティを構築することは昨今トレンドになりつつあります。

クラウドファンディングの活用

クラウドファンディングはプロジェクトの企画段階で、プロジェクトに賛同する顧客から少額の出資を受け、商品やサービスの販売を行うものです。商品の生産前に、顧客の意見を集められるため、テストマーケティングの役割も果たします。

また、プロジェクトの企画段階から支援しているという意識は、ブランドへの愛着につながりやすく、熱狂的なファンを得られる可能性もあります。

ファンマーケティング成功のポイント

次にファンマーケティングを成功させるために抑えるべきポイントをご紹介します。ファンマーケティングの成功に向けて、確実に取り組んでいきましょう。

ファンのニーズを掴む

ファンのニーズを掴むことは、心を掴み、愛着を高めることにつながります。ファンのニーズを汲んだ施策や商品開発は、ファンだけでなく、新規顧客の獲得にもつながります。

ファンのニーズを掴むための具体的な方法としては、製品やサービスに関する満足度調査や、商品のモニター募集などがあります。商品やブランドが、顧客からどのように見られているのかを客観的に把握でき、ファンマーケティングや商品開発の参考になるでしょう。また、調査やモニターに参加した顧客は、商品やブランドに協力しているひとりだと感じ、より愛着を深めてくれる効果も期待できます。

ファンとのコミュニケーションを強める

ファンの心を惹きつけるためには、密なコミュニケーションも欠かすことはできません。ファンの意見に耳を傾け、反応を返すことで、ファンを尊重している姿勢が伝わります。

SNSの投稿に対し、いいねやコメントをつけたり、企業とコミュニケーションが取れるコミュニティを設けたりと積極的なコミュニケーションを心がけていきましょう。

ファン同士の交流の場を設ける

ファン同士がつながるコミュニティやファンミーティングなどのイベントも、ファンの熱狂度を高めるのに有効です。ファン同士が仲良くなり仲間意識が芽生えると、そのきっかけとなった商品やブランドへの愛着も同時に深まることが期待できます。

また、商品に関する疑問をファンの間で解決したり、互いの愛用商品を紹介して新しい商品の魅力に気づいたりと、ファン同士の発信が商品の利用頻度を上げることにもつながります。

ファンが好む企画を実施する

ファンであり続けてもらうために、新規顧客ではなく、ファンに向けた企画を実施すると良いでしょう。UGCで盛り上がった内容をLPやチラシに取り入れたり、新商品の商品名やパケージデザインのアイデアを募集したりと、普段から商品を利用しているファンだからこそ楽しめる企画を実施することで、企業への愛着が高まります。また、サンプル品や非売品グッズをプレゼントするような企画も喜ばれます。

コミュニティを活用したファンマーケテイングの成功事例

最後にコミュニティを活用したファンマーケティングの成功事例をご紹介します。コミュニティサイトは、企業とファンのコミュニケーションと、ファン同士のコミュニケーションの双方を促しやすい、ファンマーケティングの手法です。どのようにファンマーケティングに取り組むべきか検討している方はぜひ参考になさってください。

ファンマーケティングの事例を紹介!メリットや成功のポイント、注意点も解説

「凄麺」のヤマダイ株式会社

まるでお店のラーメンのような本格的な味を追求した「凄麺」を製造・販売するヤマダイ株式会社では、コロナ禍で試食販売ができなくなってしまったのをきっかけに、コミュニティサイトを立ち上げました。試食販売で得ていた顧客の声(VOC)の代わりとなったのはSNSでしたが、SNSだけでは顧客接点が不十分だと感じ、「凄麺」のファンクラブとしてコミュニティサイトが運用されています。

コミュニティサイト上では、顧客同士のコミュニケーションが活発に行われている他、企業からの発信でアンケートを行い、顧客ニーズを把握しています。顧客との対等な関係を意識し、丁寧なコミュニケーションを取っていくことで、ロイヤリティの高い顧客を増やすことを目指しています。

※VOC(Voice of customer):企業の商品やブランドを利用した顧客の声・感想

「タマチャンショップ」の有限会社九南サービス

「しあわせ食」をインターネット通販で販売する有限会社九南サービスは、愛用者のレビューを募り、もっと好きになってもらうための場としてコミュニティを立ち上げました。コミュニティを立ち上げる以前から、SNS上で愛用者のレビュー投稿が見られていたものの、企業からのリアクションに漏れが出てしまったり、他の顧客に十分に届いている実感がなかったことから、顧客の声を募る場として活用しています。

また、コミュニティに投稿されたレビューをLPに掲載したり、顧客発案のレシピを配布したりとプロモーションに活用した実績もあります。今後の取り組みとして、パッケージデザインやネーミングにもコミュニティの声を反映する企画があり、商品の生みの親になることで、より良い広がりを期待しています。

おわりに

企業の安定した売上基盤となり、ブランドを支えてくれる顧客を大切にするファンマーケティングについてご紹介しました。ファンがブランドについて発信し、活発なファン同士のコミュニケーションが行われるようになるには、工夫と時間が必要になりますが、軽んじることはできない重要な存在です。

ファンマーケティングを実施する上でSNSやライブ配信など、企業もファンも気軽に取り入れられる手法もありますが、ファンとの長期的な関係構築を視野にしてファンマーケティングを行っていくのであれば、ブランドの世界観を出しやすく、ファンの声も蓄積しやすいコミュニティサイトの構築がおすすめです。

cxin

株式会社Asobica cxin編集部。
コミュニティやファンマーケティングに関するノウハウから、コミュニティの第一人者へのインタビュー記事などを発信。

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