「顧客第一」を掲げる共立メンテナンスが挑むファンコミュニティ戦略──「DOMINISTA」からの愛ある声で最高のホテル体験を提供

ホテル事業戦略本部 事業戦略部
セールスプロモーションリーダー 大宮涼子 さま
セールスプロモーション 鈴木舞子さま
セールスプロモーション 山岸乃愛 さま
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Facebookからの移行により、コアファンだけでなくライトなファンも気軽に参加できる環境を構築
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オフラインイベントとの連携や丁寧なコミュニケーションで、新プラットフォームへの移行を円滑に推進
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ブランド横断的な情報発信とファン同士の交流を促進
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従来のFacebookコミュニティでは、一部のコアなファンに発言が目を引く・突発的な仕様変更に対応できないなどの課題があった
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外部予約サイト(OTA)が大きな影響力を持つ業界構造の中で、自社ブランドのファンづくりをする必要があった
効果
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ブランドの垣根を超えたファン同士の交流と運営する他ブランドの認知拡大
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コミュニティ内でのUGC(ユーザー生成コンテンツ)活性化による、自社サイト予約への貢献
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ファンからの体験に関する「本音」を収集し、サービス改善のサイクルを高速化
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ファンとの共創による、顧客ニーズを捉えた商品・サービス開発の実現
寮事業から始まり、ホテル業界へは後発で参入した株式会社共立メンテナンス。同社は「顧客第一」という揺るぎない理念を掲げ、「天然温泉大浴場」「ご当地の味覚を詰め込んだ朝食」「夜鳴きそば」といった独自のサービスで“わが家のくつろぎ”を追求し、宿泊業界に新たな価値を創出してきました。
また一方で、外部予約サイト(OTA)からの集客が大きな割合を占める業界の現状に対し、共立メンテナンスが運営するホテルのファンと接点を持ち、その熱量を高めていただけるような施策を検討していました。そこで顧客との継続的な関係を築き、自社サイトの価値を高めるため選んだ施策がファンコミュニティ運営です。ホンネデータプラットフォーム「coorum(コーラム)」を導入し、ファンサイト『DOMINISTYLE(ドミニスタイル)』を、2024年7月23日にリニューアルオープンしました。
また、サイトリニューアル前は、Facebookの機能を活用し、2,000人規模のファンが集まるコミュニティとして運営していた同社。なぜプラットフォームの移行を決断したのか。顧客との「共創」で唯一無二のおもてなしを磨き続ける挑戦について、運営を担う3名に伺いました。
INDEX
「顧客第一」を真ん中に。共立メンテナンスが紡ぐ“おもてなし”の原点
──まずはじめに、共立メンテナンス様が事業を運営する上で最も大切にされている理念についてお聞かせください。
大宮様:弊社では、全事業部で「顧客第一を会社の心とする」という理念を掲げています。これはホテル事業に限らず、寮事業・シニア事業も共通で、お客様の満足を第一に考えて常にサービスの向上に努めていくという想いが込められています。
この理念を体現しているシーンとして、ホテルでの体験価値・満足度を高めていくために、建物内の備品やサービス内容にお客様のご意見を柔軟に反映させています。例えば、以前は客室フロアに電子レンジがなかったのですが、お客様からのご要望を受けて特定箇所に設置したり、ツーリングでいらっしゃる方向けに、屋外ではなく中にバイクを停められるスペースを作ったりもしました。
また、ホテルグループとしては「DOMINISTA(ドミニスタ)」という考え方も、弊社理念を体現する合言葉として大切にしています。
「DOMINISTA(ドミニスタ)」というのは、ドーミーイン・共立リゾートが好きで関わってくださる人“全員”を指す言葉。お客様だけでなく、清掃スタッフや協力会社の方々、そして私たち従業員も含んでいます。私たち自身も「DOMINISTA(ドミニスタ)」であり続け、ドーミーイン・共立リゾートでの体験を楽しめていることが、最終的に全社の理念として謳っている「顧客第一」を体現し、お客様の満足と良い滞在体験につながっていくと信じています。
──素敵な考え方ですね!お客様の声だけでなく、社員の皆様自身の体験もサービスに活かされているのでしょうか。
山岸様:社員が出張で自社ホテルに泊まり、その際に自分たちが使ってみて気になったところや感想を逐一共有しあっています。改善ポイントだけではなく、「あの施設の〇〇が良かったから導入しよう!」と声を上げ、それが他施設での展開・さらなるサービスの質向上に繋がっています。自分たちが本当に良いと思うものを、自信を持ってお客様に提供する。その繰り返しが、私たちの“おもてなし”の原点なのだと思います。
ファンコミュニティの規模をさらに拡大し、熱量をより多くのファンで共有できる場を
──そうした「顧客第一」の理念を実践する中で、なぜ新たにcoorumを導入し、コミュニティを再構築する決断に至ったのでしょうか。
大宮様:以前より、弊社ではFacebook上で2,000人規模の公式ファンコミュニティを運営していました。サウナ好きが集う「サウナ部」や「筋トレ部」など、趣味を軸にした「大人の部活」というコンセプトで、熱量のあるファン同士の活発な交流が生まれていました。
他方で、ホテルグループとして、ドーミーイン・共立リゾートを「ドーミーホテルズ&リゾーツ」というグループとして運営する方針に大きく変わるタイミングがありました。その際に、こういったファンの方々と関わる場所を今よりさらに拡大していきたい、ファンコミュニティですでに活発に交流していただいている方も含め、ファン歴やホテルの詳しさに関わらずファン全員が楽しむことができる場所にアップデートしていきたいという想いが強まりました。
そこで、今あるファンの交流の熱量は残しつつ、さらなる規模拡大・より多くのファンの方に楽しんでいただけるような場所の構築を目指して、この度coorumを導入してファンコミュニティをリニューアルすることにしました。
大宮様:運営面でも、Facebookは外部のプラットフォームなので、突然の仕様変更に対応しきれないという問題がありました。ECサイト、ブログ、Facebookと、複数のツールをバラバラに管理する手間も大きく、お客様とのコミュニケーションを一元化できる場所が必要だと痛感していました。
──そういった背景があったんですね。Facebookからの新プラットフォームへの移行はスムーズに進んだんでしょうか。
大宮様:やはり最初は「使い慣れたFacebookの方が良い」という声もあり、移行には苦労しました。そこで、新しいコミュニティへの移行期間をしっかり準備し、Facebookにしかなかった「サウナ部」のスペースをリニューアルしたコミュニティ内に作ったり、オフラインイベントで直接ファンの方々にお会いして使い方について説明する場を設けるなど、ファンの方々にスムーズに移行いただけるようなコミュニケーションを心がけました。
導入の決め手は「BtoC特化」と「心ときめく体験」。ブランドの垣根を超える交流に、期待通りの効果を実感
──様々な選択肢がある中で、coorumを導入された決め手は何だったのでしょうか。
大宮様:BtoC業界のファンコミュニティにおける支援実績が豊富であった点がまず大きかったです。他社サービスも検討しましたが、私たちが目指す「ファンとの交流」のイメージとなかなか合うサービスと出会えず…。Asobicaさんにご相談したところ、すぐにデモサイトや他社様の参考サイトを用意してくださり、それを見た瞬間に「これだ」と。
特に、商談中に提案いただいた、動くキービジュアルや触ってみたくなるコミュニティサイトのデザインに、私たちの心がときめいたんです(笑)。「現場で働く私たちが楽しいと思えなければ、お客様も楽しめない」というのが私たちの信条。coorumの管理画面やUIは、まさにその「楽しさ」を感じさせてくれるものでした。
また、コミュニティ運営にあたって困ったことがあればすぐにフォローしてもらえるサポート体制も良かったです。管理画面の使い方はヘルプページで確認できますし、掲載されているマニュアルがしっかりしているので、人事異動があった際の引き継ぎのハードルが低いのもポイントでした。
鈴木様:自分たちでメニューを自由にカスタマイズできる柔軟性も魅力でした。ユーザーごとにセグメントを設定し、興味や熱量に応じたコンテンツの出しわけができるなど、今後のコミュニティの成長に合わせて様々な施策が打てると感じました。
──coorum導入後、コミュニティにはどのような変化が生まれましたか。
大宮様:最も大きな変化は、今まで発言しづらかったライトなファンの方々が、気軽に投稿してくれるようになったことです。会員数は一時的に減ったものの、コミュニケーションの質は格段に上がりました。サイトのコンセプトを「好きという気持ちさえあれば誰でも参加できる」と再定義したことで、新しいファンが続々と参加してくれるようになり、今ではメンバーシッププログラム(Dormy’s)経由の会員様が半数以上を占めています。
山岸様:また、『DOMINISTYLE』という公式コミュニティができたことで、今まで様々なSNSに分散していた感想が、そこに集まるようになったのも大きいと思います。ホテルの情報を知りたい人が、他のレビューサイトやSNSなどで広く調べずとも、『DOMINISTYLE』に行けば自然とその情報やホテル体験を知ることができるような場になっていると感じます。
鈴木様:「ドーミーイン」だけでなく「共立リゾート」の認知度向上にも、コミュニティは大きな役割を果たしてくれています。もともと『DOMINISTYLE』はドーミーインのファンが中心でしたが、コミュニティ内で共立リゾートの魅力を発信し続けることで、初めて共立リゾートに泊まってみました」といった投稿が増えてきたんです。
山岸様:ブランドの垣根を越えた交流が生まれているのは、私たちも嬉しい驚きでしたね。SNSだと「自慢に思われるかも」と躊躇してしまうような宿泊体験の投稿も、公式コミュニティという安心できる場所だからこそ、気兼ねなく発信できる。そこでの会話が、次のお客様の「泊まってみたい」という気持ちに繋がっているのを感じます。
▶︎ファンコミュニティ「DOMINISTYLE」はこちら
「愛のあるダメ出し」こそ宝物。コミュニティが創り出す、唯一無二のブランド体験
──多くのホテル業界の企業様から、一般的なレビューサイトで集まる声とコミュニティ内で集まる声にどのような違いがあるのか気になるとのお声をよくいただきます。皆様が感じているその違いを教えてください。
大宮様:一言でいえば「愛」ですね。コミュニティに寄せられるご意見は、たとえ厳しい内容であっても、根底に「好きだからこそもっと良くなって欲しい」という弊社への期待が感じられます。つまり「愛のあるダメ出し」なんです。
実は、今コアファンになってくださっているお客様の中には、最初に厳しいご意見をくださった方もいらっしゃいます。その声から逃げずに真摯に向き合い、改善を重ねていく、そのプロセスを見てくださっているからこそ、より深いブランドに対する愛着と、強い信頼関係が生まれているのだと思います。
鈴木様:一方的になりがちなレビューサイトとは違い、コミュニティは双方向の対話ができることが魅力です。私たちの想いも直接ファンの方々に伝えられますし、他のお客様からのフォローや、会話から生まれるファンの方々からの体験・エピソードがさらに見つかるなど、コミュニティならではの良さを実感しています。
山岸様:ファン同士の会話から、社内で悩んでいた課題の解決策が見つかることもありますからね。企業と顧客という関係性を超えて、みんなでブランドを育てていく。冒頭の「DOMINISTA」の理念とも通ずる部分もある、関わる全員でホテルでの体験をよくしていこうという熱量を感じています。
──最後に、今後の展望についてお聞かせください。
鈴木様:コミュニティを運営していくなかで、これまで行ったことがなかった弊社運営ホテルに足を運んだという報告を直接聴くことができており、リピート顧客も増えている感覚があります。
また、私たちが「公式予約サイトが一番お得ですよ」と言うよりも、コミュニティ内で実際に利用しているファンの方々が「公式予約サイトだとこれだけ安く泊まれました」「このキャンペーンで予約しました」と発信してくださる方が断然効果があると思っており、そういった声もコミュニティ内ですでに集まり始めていることで、公式予約サイト経由での予約数向上にも少しずつ繋がり始めている手応えを感じています。
今後は、まだ参加されていない120万人以上の「Dormy’s」会員の方々にも、『DOMINISTYLE』の楽しさを届け、ブランド全体のファンを増やしていき、さらにその熱量を高めていきたいです。
大宮様:今後はログインした方だけが参加できるクローズドな企画なども実施し、ファンの方々との関係性をさらに深めていきたいですね。お客様との共創をさらに加速させ、唯一無二のおもてなしを磨き続ける。その中心にこれからも『DOMINISTYLE』と、そこに集うファンの皆様、そして「DOMINISTA」の存在があり続けられると良いなと思っています。