最初は「コミュニティを作ること」で満足していた。マルコが転機を経て、ユーザーが“自分の役割”を見つけて動き出す場所を築くまで
M.B.M.Sグループ BHC部 M.B.M.S販売グループ
グループ長 伊藤 ひとみ さま
ヘルスコーチャー 浅枝 香織 さま
コミュニティ運営マネージャー 澤野 華菜 さま
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24名のヘルスコーチャーが、モニター企画などでユーザー投稿へ伴走する体制を構築
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「投票→コメント→投稿」の段階設計で、コミュニティへの参加ハードルを下げる
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スタッフ専用の「個別QRコード付き待ち受け画面」を配布し、接客現場からの導線を確立
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商品名で検索するとフリマサイトの転売情報が表示されるケースも。ポジティブな情報に触れる場が少なかった
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サプリメント継続利用における「1人で頑張る孤独感」の解消
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年齢層が高めの顧客層に対し、デジタル上のコミュニティに参加してもらうハードル
効果
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「同じ温度感で共感し合える」場所をつくり、サプリメントの継続利用を後押し
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ユーザー同士の自然な交流から、信ぴょう性のある「生の声」が集まる場所に
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店舗スタッフがコミュニティの投稿を「お客様の声」として接客時に活用できるように変化
「今日、水を2リットル飲めました」──身近な人に話しても「へえ」で終わってしまいそうなこの報告が、ここでは「すごい!」「私も頑張ろう」と本気で称えられる。補整下着メーカーとして40年以上の歴史を持つマルコ株式会社が運営するファンコミュニティ「M.B.M.Sヘルスタウン」は、そんな「同じ温度感で共感し合える」場所です。
2020年に始めた健康事業のサプリメント継続を支えるため、2024年10月にcoorumでコミュニティを立ち上げた同社。しかし当初は「コミュニティを作ること」自体がゴールになってしまい、ユーザー数は200名台で停滞していました。転機となったのは2025年2月、coorum Awardで他社の熱量ある取り組みを目撃したことです。「何やってるんだろう」という危機感から本格稼働し、半年でユーザー数が1,100人を超えるコミュニティへと成長しました。
事業全体を統括する伊藤様、コミュニティの設計・運営を担う澤野様、現場のヘルスコーチャー24名を動かす浅枝様。三者三様の視点から、立ち上げの苦労、転機となった施策そして「一般的なSNSとは違う、信ぴょう性のある場所ができた」と語る手応えについて語っていただきました。
INDEX
ネットで検索しても、ポジティブな情報がなかった
──まず、今回の取り組みの背景となる「M.B.M.S事業(MARUKO Beauty Make Supplement)」の立ち上げと、当時抱えていた課題について教えてください。
伊藤様:マルコは補整下着の会社として40年以上歩んできました。その中で、お客様の高齢化やコロナ禍といった変化を経験し、「美しさの根源は健康である」という考えに至ったんです。2020年に始めたM.B.M.S事業は、お客様の健康を守り続けていきたいという想いからスタートしました。
ただ、立ち上げ当初から課題はあって、オンライン上で触れられる情報が圧倒的に少なかったんですよね。お客様が商品について調べようとしても、自社のオンラインショップか、営業店のブログくらいしか出てきません。それどころか、フリマサイトで転売されている情報にぶつかってしまう。せっかく興味を持ってくれたのに、ポジティブな情報を得られる場所がなかったんですよ。
──オンライン上の情報が少ないことで、どのような影響がありましたか。
伊藤様:サプリメントは継続してこそ意味がある商品です。だからこそ、医師やヘルスコーチャーといった専門家の知見、私たちが商品に込めた想いに触れてもらうことが大切で、それが「続けよう」というモチベーションにつながります。でも、オンライン上にそういった情報がなければ、お客様は「なぜ続けるのか」という意味を見出しにくくなってしまいます。
それに加えて、継続するうえでは「一人で頑張っている」という孤独感を覚えないことも大事なんです。店舗ではヘルスコーチャーがお客様に寄り添って、「今日はちゃんと飲めましたか」「体調どうですか」と声をかけられます。でも店舗を一歩出ると、お客様は一人きりになってしまう。実際、「自宅で一人だと続けるのが難しい」というお声もいただいていました。
店舗で生まれているような温かいつながりや、ポジティブな声の受け皿を、オンライン上にも作れないか──。そう考えたのが、コミュニティを検討し始めたきっかけですね。
作っただけでは単なる「箱」
──課題解決の手段として、なぜコミュニティという形にたどり着いたのでしょうか。
伊藤様:きっかけは、社内で開催しているお客様向けのコンテストです。全国の店舗から選ばれた代表のお客様が、ご自身の変化や体験をプレゼンテーションするイベントなのですが、その熱量がすごくて。お客様同士が刺激し合い、称え合っている姿を目の当たりにしました。
その熱量を見たときに、「私たちが一方的に発信するだけではダメだ」と痛感したんです。お客様ご自身が主役になり、その熱量が循環する場所を作らなければ、私たちが目指す世界観は実現できない。そう考えて、ファンコミュニティという形を選びました。
──コミュニティを運営していくうえで、なぜcoorumが必要だと感じたのでしょうか。
伊藤様:最終的な決め手は「人」です。Asobicaの営業担当の方が単にツールを売るのではなく、私たちの事業が1年後、2年後にどう成長しているかという未来を本気で描いてくれていたんですよね。
「一緒にここまで持っていきましょう」と、その先のビジョンを語ってくれました。目の前の契約ではなく、私たちの成功を本気で見てくれている。その誠実さに惹かれて、この人たちと一緒にやりたいと思いました。

──コミュニティ立ち上げ時の様子を教えてください。
伊藤様:それが、正直に言うと最初は思うようにいきませんでした。お客様の年齢層が高くスマートフォンに慣れていない方も多い中で、私たち自身も「コミュニティを作ること」がゴールになってしまっていて。
オープンはしたものの、そこにあるのはただの「箱」でしかなかった。ユーザー数も200名台で停滞したまま、数ヶ月が過ぎていきました。
──そこから、どのように変わっていったのでしょうか。
伊藤様:転機になったのは、2025年2月にAsobicaが主催した「coorum THANKS PARTY(*)」というイベントに参加したことです。他の企業さんがどれだけ本気でコミュニティに取り組んでいるかを目の当たりにして、正直「何をやってるんだろう、自分たちは」と思いました。
その日を境に完全にスイッチが入りましたね。3月には全ヘルスコーチャーに個別のQRコード付き待ち受け画面を配布して、現場からコミュニティへの導線を一気に整えました。
(*)…「coorum THANKS PARTY」とは、「coorum」を日ごろからご利用いただいている導入企業様への感謝と、顧客体験を向上させた企業の取り組みや成果を広く発信するために、2023年より運営しているユーザーカンファレンスです。2025年は143社292名の方にお集まりいただきました。
キーパーソンを動かし、約2ヶ月で会員数が大幅増
──「待ち受け画面施策」について、もう少し詳しく教えてください。
浅枝様:24名いるヘルスコーチャー全員に、一人ひとり専用のQRコードを入れた待ち受け画面を作って配布したんです。お客様との会話の中で「こういうコミュニティがあるんですよ」と自然にご案内できるように。
「よかったら見てみてくださいね」と、スマートフォンの画面をお見せするだけで済むので、現場のハードルもぐっと下がりました。
施策を始める前はコミュニティの参加人数は200名台で何ヶ月も横ばいだったのですが、2025年3月に待ち受け画面を配布してから、わずか2ヶ月でユーザー数が約5倍に伸びたんです。
澤野様:たった2ヶ月で900名近く増えた計算ですよね。現場の力ってやっぱりすごいなと実感しました。
──キーパーソンであるヘルスコーチャーの皆さんを巻き込むために、どのような工夫をされましたか。
浅枝様:ヘルスコーチャーが集まる月次の全体会議に、ヘルスタウンについて共有する時間を設けました。「今月はこんな投稿がありました」「こういうお客様の声が届いています」と、具体的な動きを毎月伝えるようにしたんです。自分が関わっているお客様の投稿が紹介されると、やっぱり嬉しいじゃないですか。そうしていくうちに、少しずつ「自分ごと」にしてもらえたのかなと感じています。
──ユーザー数が増えた後は、どのようにコミュニティを活性化していったのでしょうか。
澤野様:お客様に、ご自身が愛用している商品とその理由を投稿してもらう企画で「お気に入りM.B.M.S教えて!」というキャンペーンを実施したのですが、想像以上に投稿が集まったので募集期間を延長し、活気が溢れていることをしっかり可視化しました。その結果、165件の投稿が集まり、貴重なUGC(ユーザー生成コンテンツ)が得られています。お客様のリアルな声がこれだけ集まったのは、私たちにとっても大きな手応えでした。
実際の投稿(出典:https://mbms-healthtown.com/announcements/6ecce8tkhwaaiefz)
また、「Beauty Camp」というモニター施策も反響がありました。coorumの「サークル機能」を使って限定グループを作り、選ばれた4名のお客様に1ヶ月間、商品を体験しながら進捗を報告してもらう企画です。クローズドな空間なので、参加者同士の距離がぐっと近くなるんですよね。
浅枝様:担当のヘルスコーチャーも一緒にグループに入って、毎日のようにコメントでやり取りしていました。「今日も頑張りましたね」「変化が出てきてますよ」って。参加者4名とヘルスコーチャーのやり取りを合わせると、1ヶ月で約300件近くの投稿が生まれたんです。
澤野様:単なる情報交換ではなく、「体験の共有」ができる場になっていたのが良かったなと。参加者同士で「私もそうでした」「一緒に頑張りましょう」という声が自然に生まれていて、お互いにメリットがある企画になりました。
──その後も継続的に施策を展開されていったのでしょうか。
澤野様:はい。コミュニティオープンから1周年を迎えたタイミング(2025年10月)で、3ヶ月連続のキャンペーンも実施しました。ポイントは「投票→コメント→投稿」という段階を踏んだ設計です。第1弾はクイズ形式で、coorumの投票機能を使ってボタンを押すだけで参加できるようにしました。いきなり「投稿してください」だとハードルが高いので、まずは「ポチッと押すだけ」から始めてもらおうとしたんです。
──実際に行動の変化は見られましたか。
澤野様:これまで閲覧のみだったお客様のうち、約2割の方が、初めてアクションを起こしてくれました。投票数も前月比で約2倍になっています。第2弾ではコメント、第3弾では投稿へとステップアップしていく設計にしたことで、少しずつ「参加者」から「発信者」へと変わっていく流れを作れたのかなと思います。
情報の信ぴょう性が高い場所。コミュニティの価値
──こうした取り組みを通じて、コミュニティにはどのような価値が生まれましたか。
澤野様:一番大きいのは、「同じ温度感で共感し合える場所」ができたことですね。たとえば「今日、水を2リットル飲めました」という投稿は、SNSに投稿してもほとんど見向きもされないと思います。でもヘルスタウンでは「すごい!」「私も頑張ろう」って、本気で共感してくれる人がいます。同じ目標に向かっている仲間だからこそ、その大変さもわかるし、喜びも分かち合えるんですよね。
伊藤様:私が特に嬉しかったのは、誰も役割を与えていないのに自分で自分の役割を見つけて動いてくれるお客様が現れたことです。たとえば60代のお客様で、私が「ヘルスタウンの姉さん」と呼んでいる方がいらっしゃるのですが、この方は本当に使命感を持っていろんな投稿にコメントしに行ってくださるんですよ。
他にも、毎日お弁当の写真を投稿してくれる方もいらっしゃいます。それを見た別のお客様が「私も作ってみました!」と投稿されるんです。こうした連鎖が自然に生まれているのが、本当に嬉しいですね。
──実際に購買につながるような動きも出ていますか。
澤野様:そうですね。「ヘルスタウンの投稿を見て、カウンセリングでサプリを増やしました」とか「ついに買いました!」という声も出てきています。

実際の投稿(出典:https://mbms-healthtown.com/announcements/k7zhxd7mcyew8vwu)
浅枝様:ヘルスコーチャーにとっても変化がありました。お客様の投稿をお気に入り登録しておいて、店舗でのカウンセリングで「こういう声がありますよ」と紹介できるようになったんです。お客様のリアルな声を現場でも活かせるようになりました。
──当初の課題だった「オンライン上にポジティブな情報がない」という点は解消されましたか。
澤野様:はい。一般的なSNSよりも信ぴょう性のある場所ができたと思っています。たとえば、InstagramやXって何でも投稿できるじゃないですか。でもヘルスタウンは、M.B.M.Sに関心のある方だけが集まっているので、ここに上がっている声には納得感があるんですよね。
当初は商品名で検索するとフリマサイトの情報が出てきてしまう、という課題がありましたが、今はお客様の生の声が集まる場所ができました。
一歩踏み出した誰もが「主役」になれる場所にしていく
──今後はどのようなコミュニティを目指していこうとお考えですか。
伊藤様:家庭でもない、職場でもない、学校でもない、ママ友でもない。ここには一つの世界観があって、その中で自分の居場所を皆さんが見つけてくれたらいいなと思っています。
「特別な人が特別」なのではなく、「動き出した人がみんな特別になれる」場所。何かアクションを起こしたときに、仲間やヘルスコーチャーが必ず反応してくれる。そうした心理的安全性は、これからも大切にしていきたいですね。
澤野様:運営として目指しているのは、私たちが積極的に働きかけなくても、お客様が自然に投稿したくなる状態ですね。見に来た方がいいじゃん、と思ってもらえるように習慣化を促していきたいです。
浅枝様:ヘルスコーチャーとしては、今以上にお客様と密に会話できるようにしたいですね。オンライン上でも「ちゃんと飲めてますね」「頑張ってますね」と声をかけられるようになってきたので、「この人が見てくれている」という安心感をもっと届けていきたいです。
──事業への活用という観点ではいかがでしょうか。
伊藤様:今後はパッケージの変更を計画していますし、新商品の発売も予定しています。そういうタイミングで、お客様に参加してもらいながら一緒に作っていきたいなと。1年目で土台ができたからこそ、次はそれを活かすフェーズだと考えています。
──最後に、Asobicaへの期待をお聞かせください。
伊藤様:常に半歩か一歩、先を行っていてほしいと思っています。私たちが見えていないところまで見ていて、引っ張っていってほしい。
導入を決めたときに感じた「この人たちと一緒に仕事をしたい」という想いは、今も変わっていません。それが決め手でもあったし、これから先も期待していることでもあります。

