2025/03/27

短期間で成果を生み出すBtoBコミュニティ戦略。IFSジャパンが語る成功の秘訣

短期間で成果を生み出すBtoBコミュニティ戦略。IFSジャパンが語る成功の秘訣
IFSジャパン株式会社

写真左から:

マーケティング本部マーケティングスペシャリスト 髙田 恵理様

アジア・中東地域担当 マーケティングバイスプレジデント リア センタ様

IFSジャパン株式会社 マーケティング本部本部長 吉田 祐子様

運用のポイント
  • 業界特化型の強みを活かした専門性の高い情報交換プラットフォームの構築

  • 少人数でも1ヶ月での立ち上げを実現した段階的・計画的な実施アプローチ

  • 顧客同士の自発的交流がもたらす業界課題解決と製品価値の共創

課題
  • お客様と直接対話する機会が限定的

  • ユーザー同士の情報交換や相互学習の場が不足

  • クラウド移行への不安

期待する
効果
  • IFSとユーザー様の対話を強化し、長期的な関係を構築

  • お客様の声を直接収集し、Fit to Japan Standardに基づいた製品開発に反映

  • 成功事例を共有し、クラウドへのスムーズな移行と価値を明確化

スウェーデンに拠点を置くエンタープライズソフトウェア企業のIFS。米国、北欧、南欧、アジア太平洋・中東の4地域で90カ国以上で展開する同社は、業界平均の3倍という急成長を遂げ、7年連続で2桁成長を続けています。

そんな同社の日本拠点であるIFSジャパンが次なる戦略として選んだのが、ユーザーコミュニティの構築でした。

パートナー企業との関係を大切にしながら、顧客との直接対話の場を新設することで、顧客体験の向上を目指した、1ヶ月という短期間での立ち上げながら、目標を大きく上回る参加を得た同社の取り組みをご紹介します。

6つの業界に特化したERPが生み出す独自の顧客価値

──まず、IFSの事業概要についてお聞かせください。

リア様:IFSは、90カ国以上で展開するグローバル企業で、従業員数は7,000人を超えています。製造、航空宇宙・防衛、エネルギー・公益・資源事業、サービス産業、建設エンジニアリング、テレコムの6業種に特化し、ERPとEAMに加え、フィールドサービス管理(FSM)の3領域の製品を1つのプラットフォームで提供しています。近年は産業用AI分野でもリーダーシップを発揮しています。

特に、過去7年間連続で2桁成長を達成し、業界平均の3倍以上の成長率を維持できているのは、お客様第一の思考で意思決定を行い、それを製品開発に反映してきた成果だと考えています。

吉田様:弊社の最大の特徴は、業界特化型のアプローチです。一般的なERPパッケージでは、業界固有の機能を追加開発する必要がありますが、私たちの製品は各業界でよく使われる機能を標準で搭載しています。実際に、当社製品に切り替えたことでアドオン開発を80%削減できたお客様もいらっしゃいます。このような業界特化型のアプローチと産業用AIの技術力が、私たちの成長を支える両輪となっています。

──御社のクラウド製品とオンプレミス製品の関係について教えていただけますか?

リア様:IFS Cloudという名前ですが、実は同じ製品をクラウドでもオンプレミスでも提供しています。多くのベンダーがクラウドのみの提供になっている中、防衛産業や厳格なセキュリティ要件を持つお客様向けに、両方の環境で同じ機能を使える柔軟性を維持しています。この点も、お客様のニーズに合わせた私たちの顧客中心アプローチの表れと言えると考えています。

顧客との直接対話を実現するユーザーコミュニティの構築

──ユーザーコミュニティを開始された背景を教えてください。

吉田様:これまではパートナー企業様経由でお客様の声を聞くことが多かったのですが、「Fit to Japan Standard」をテーマに掲げる私たちとしては、日本のお客様に必要な製品やサービスを提供するためにも、お客様との直接的な関係性を築き、製品の価値を直接お客様に伝えられる機会の創出が必要だと考えました。

──コミュニティツールの選定はどのように進められましたか?

吉田様:コミュニティツールの選定では、まずWeb検索で複数の選択肢を洗い出しました。グローバルツールと国産ツールの比較から始め、最終的には3社のツールについて詳しく評価・検討を行い、coorum(コーラム)を選択しました。決め手となったのは、シンプルで使いやすいインターフェースブランドイメージを損なわないカスタマイズ性、そして手頃な価格設定です。特に、デモの段階でIFSのブランドイメージを意識した提案をいただけたことは、印象的でした。

短期間での立ち上げを成功させた導入プロセス

──具体的な立ち上げプロセスについて教えてください。

高田様:実は、コミュニティの立ち上げは約1ヶ月という短期間で行いました。通常このような取り組みには3ヶ月程度かかると言われていますが、私たちは7月に開催予定だった弊社フラグシップイベントのIFS Connect Japanに合わせて、なんとしても1ヶ月で立ち上げたいと考えたのです。

──マーケティングチームの体制はどのような状況だったのでしょうか?

高田様:日本のマーケティングチームは吉田と私の2人と、比較的少人数で運営しています。正直なところ、私自身コミュニティマーケティングは初めての経験で、何もわからない状態からのスタートでした。しかし、coorumのカスタマーサクセス担当者の手厚いサポートのおかげで、何を決めるべきか、社内の関係者とどのように議論を進めていくべきかを、段階的に整理することができました。顔が見えていつでも相談できる担当者がいることで心強く、安心して新しい取り組みを進めることができました。

結果として、IFS Connect Japanでの発表後、当初の想定から大きく上回るユーザー様に登録をいただき、現在も口コミでの広がりを見せています。パートナー企業様からのご紹介や、日常的な営業活動の中での案内なども、新規会員獲得のきっかけとなっています。

同業種ユーザー同士の共感が生むエンゲージメントの高さ

──予想以上の反響の理由はどこにあるとお考えですか?

高田様:業界特化型の製品であるため、もともとユーザー同士で共有できる話題が豊富にあることが大きな要因だと考えています。例えば、製造業のお客様が集まった際には、生産管理について等、専門的な議論が自然と生まれます。

特に印象的だったのは、12月に弊社オフィスで開催したユーザー会が満員になったことです。ディスカッションがメインの会でしたが、アップグレードの進め方や業界特有の課題について、お客様同士で活発な意見交換が行われました。IFSの製品だけでなく、業界全体の課題や解決策についても議論が広がり、参加者の方々から非常に高い評価をいただきました。

(ユーザー会が開催された新本社オフィスのカフェテリア)

──コミュニティを通して、他にどのような機会が生まれていますか?

高田様:例えば、コミュニティサイト上で「この機能についてもっと学びたい」というご要望をいただき、それが有償トレーニングの提案につながったケースがあります。また、お客様の興味関心が定量的に可視化されるため、求められているコンテンツを迅速に提供できるようになり、結果的にお客様満足度の向上とビジネス機会の創出の両方が実現できています。

吉田様:また、メールでのレスポンス率やイベントへの参加率が、業界平均と比べても群を抜いて高く、これは製品に対する強い関心とロイヤリティの表れだと感じています。業界に特化した製品だからこそ、ファンの方々のエンゲージメントが非常に高く、それがコミュニティの活性化にも繋がっているのだと思います。


(初めてのオンラインユーザー会はIFSケーブルカーに乗った和やかな雰囲気で開催)

ローカルとグローバルの融合で進化するコミュニティの可能性

──今後の展望についてお聞かせください。

リア様:お客様を大切にし、満足していただくことが重要です。そのためにも、コミュニティ活動は非常に重要だと考えています。IFSは各国でユーザーコミュニティが形成されており、将来的には日本のコミュニティと海外のコミュニティとの交流も視野に入れています。グローバルでの知見共有が、お客様のビジネス価値向上につながると考えています。

吉田様:日本のユーザー様から寄せられる製品改善の要望や活用事例を、グローバルの製品開発にも活かしていきたいと考えています。コミュニティを通じて収集できる生の声は、製品開発にとって非常に貴重な資産となります。このように、コミュニティは単なる情報共有の場を超えて、グローバルでの製品価値向上にも貢献する重要な役割を担っていくと期待しています。

 

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小父内 信也 CCO
2010年、名刺管理システムのSansan株式会社に入社。データ化部門責任者を経て、名刺アプリEightのコミュニティマネージャーへ。 2019年に株式会社Asobicaに取締役CCOとして参画。
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金光 佑樹 カスタマーサクセスグループマネージャー
医療業界特化の人材紹介会社にて営業責任者・人事責任者を歴任後、ITベンチャー企業にてフィールドセールスに従事。 2022年に株式会社Asobicaに入社。 現在はCSMとしエンタープライズ企業を中心にコミュニティの立ち上げ支援を行う。
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上原 明子 カスタマーサクセスグループマネージャー
札幌のコワーキング・ゲストハウス・シェアハウスを運営するコミュニティ系不動産に新卒で入社。東南アジアを中心にバックパッカーをしながら、海外営業/新規店舗の立ち上げを経験。 その後ライブ配信プラットフォームにてCX関連の部署に所属し、オンラインイベントの企画/実施や新機能設計、効果分析などを担当した経歴を持つ。
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平川 貴詞 カスタマーサクセスグループマネージャー
早稲田大学人間科学部卒業。新卒で株式会社リクルートスタッフィングに入社し、大手通信企業向けのセールスを担当。 その後人材系ベンチャー企業に所属し、主にセールスとして中途・新卒採用の採用支援を経験した後、学生向け記事メディアの編集・マーケティングを担当。現在はCSMとして外食・メーカー企業を中心に幅広いお客様を支援。

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