「DAISOの輪」に集うファンが教えてくれた、商品の利用シーンから見える予想外のインサイトを商品開発や訴求へ活用!

グローバル社長室 グローバル情報システム部 グローバルDX企画課
係長 山田 亜梨沙 様 / 主任 眞田 隼輔 様
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熱量の高いファンが集まり、直接コミュニケーションが取れる場を作る
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SNSやYouTubeなどの他媒体とも連動し、ファンの声をさらに広げていく
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これまで見えていなかった商品の利用シーンから、商品開発や訴求のヒントを発見する
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企業からの一方的な情報発信になってしまっていた
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SNS上で上がっているお客様からの声・ニーズを全て把握することが難しい
効果
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ファン同士の交流や双方向のコミュニケーションが楽しめる場づくり
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ファンだからこそ持つ商品のインサイトを商品開発や訴求検討に活用する
100円ショップ「DAISO(ダイソー)」を全国に展開する株式会社大創産業では、DAISOファンが集い、7.6万アイテムを超える商品に関する体験投稿を共有しあうファンコミュニティ「DAISOの輪」を運営しています。
ファンコミュニティを運営するなかで、ファンとの交流を通じて、DAISO側で把握できていなかった商品利用シーンから貴重なインサイトを把握でき、様々なプロモーション施策の活用につながっています。
今回は、ファンコミュニティの導入背景や印象に残っているファンとの交流、今後の展望について、大創産業株式会社の山田様、眞田様に伺いました。
「熱量の高いファン同士が楽しく交流できる場所」としてファンコミュニティを導入

──まずは山田様、眞田様の部署・役割、日々の業務を教えてください。
山田様:私たちはグローバル社長室 グローバル情報システム部 グローバルDX企画課にて、主にファンコミュニティの企画・運営や、店舗及び本部のデジタルを通じた業務改革、DAISOアプリなどの運用をしております。総じて、顧客体験の向上および従業員の業務効率化のサポートを担当しています。
眞田様:私も同部署に所属しておりまして、他にも海外店舗の発注システムの導入サポート等も担当しております。
──ファンコミュニティの導入に至った経緯はどのようなものでしたか。
山田様:当社ではファンコミュニティの導入以前からInstagramやYouTube、オウンドメディア等運営していますが、どうしても一方的な情報発信になってしまっていました。Instagramでコメントをいただくこともありますが、一件一件に返信するのは難しく、相互にファンの方々と交流できる場を設けたいという思いがありました。
一方で、SNSを中心に「DAISOのこの商品が良かった」という投稿に対して、他のファンから多数の質問やコメントがスレッド内に集まる、というようなファン同士での交流が既に発生していたので、他媒体だけでなく、DAISO公式として交流の場を設けたいという思いがありました。
──交流の場所として、ファンコミュニティを選んだ理由を教えてください。
山田様:既存のSNSを使う手段もあったのですが、SNSだと熱量の高いファンとそこまでではないファンが混在しているため、交流において熱量に温度差が出てしまうのではないかという懸念がありました。
また、SNSでも様々なご意見を多くいただく中で、特に「熱量が高いファンから挙がっている要望や提案は何なのか」を把握して施策に活用していきたいとも考えていたため、熱量が高いファンが集まる場所+相互の交流が実現できる場所としてファンコミュニティの導入に向けて検討を進めていきました。
──ファンコミュニティの立ち上げに際して、coorumを選んだ決め手を教えてください。
山田様:ファンコミュニティの運営ができるサービスを数社で比較検討しました。その中で、coorumの導入実績を伺うと、弊社の類似業界も含め多数の企業様が利用されており、その点で信頼できそうだと思いました。
あとはサポート体制ですね。ファンコミュニティ施策を進めていく上で、運営側としても楽しく取り組んでいきたいという想いがあり、熱量高く提案いただいた営業担当の方と会話する中で、coorumであれば楽しくファンコミュニティ施策に取り組んでいけるだろうと感じました。
また、Asobica様が提唱している「コミュニティドリブン経営」に共感したこともあります。顧客との対話を重視し、共創していくというビジョンも当社の考え方と一致していると思いました。
導入した後も、ファンコミュニティについて何もわからない状態からスタートしている私たちに対して、担当の方から様々なアイデアをいただいたり、困ったことをすぐに相談できたりと伴走して支援いただいている部分もありがたく感じています。
機能面においても、「楽しく交流できる場所」を前提にしてツールを探していたので、coorumの使い勝手やトップページのカスタマイズ性など、ワクワクさせてくれる機能が多くあったのも良かったです。新機能のリリースも多く、スピード感を持って開発されている勢いを感じます。
ファンの声がコミュニティ内に続々と集結。YouTube企画にも活用
──ファンコミュニティを運営するなかで、印象に残っている投稿などはありますか?
眞田様:ファンコミュニティ内で、ご自身で行かれた旅行の様子を投稿し、その時の写真を返信欄に載せて他メンバーにシェアされている方がいらっしゃいました。もともと想定していなかった使い方ですが、ユーザー様ご自身で考案された斬新なアイデアだったので、面白い投稿だったなと印象に残っています。
その投稿は旅行ブログのような構成になっているので、個人的にも楽しく読ませていただいています(笑)(以下該当のコミュニティ内投稿)
山田様:ユーザー様の中で、「もっと子どもに英語を楽しんで学んでもらいたい」という思いを持って、DAISO商品を使った英語学習のやり方、遊び方を詳しく投稿してくださっている方がいます。(以下添付の画像)
最近は、英語学習に使えそうな新商品の提案を上げてくださったり、他のユーザー様から「いつも見てます」というコメントや、「遊び方を動画にしてもらえるとわかりやすいかも」といったリクエストも付いていたりしていて、この交流がとても印象的でした。
例えば、そうした商品活用例の投稿をInstagramのリール動画として活用したり、DAISO ECの公式YouTubeで新しい楽しみ方を提案するコンテンツを企画したりしても面白いかもしれないと考えています。
──これまではお客様からのアイデアや声がSNSを通じて届くことはなかったのでしょうか。
山田様:多くの方がDAISO商品に関する投稿を上げてくださっていて、バイヤーが担当商品の投稿チェックをすることはあっても膨大なので、全てに目を通すことはできていませんでした。
その観点では、ファンコミュニティを通じて、今まで受け止めきれていなかったお客様発信のアイデアや声が可視化され、ファンからの声や意見をスピード感持って把握できるようになったと感じています。
ファンの方々が「この商品はここがいい」など直接伝えてくださるのは、ファンコミュニティでしかできないと感じていますし、私たちもお客様視点の商品価値を勉強できる良い場ですね。
──SNS・YouTubeをはじめとした他媒体とファンコミュニティはどのように連携されていますか?
山田様:例えば、ファンコミュニティに投稿されているファンからの「こういう使い方がよかった」といった投稿や話題に挙がった商品をピックアップし、ECのYouTubeの企画にする取り組みを実施しました。
当時、社内のYouTube運営チームは、「DAISOの輪」の存在は知っていたものの、具体的な投稿内容までは把握していなかったようでして…そこで、我々からファンコミュニティ上で投稿された商品をいいね数でランキング化し、内容を共有しました。
その結果、YouTube運営チーム内で企画案が立てられ、実際にコンテンツとして採用された、という経緯があります。SNSでネタを探したり、1つの企画を考えたりするには多くの時間を要するため、この共有と提案はチームに喜んでもらえました。
実際にコミュニティ内コンテンツがYouTube動画になった企画
「DAISOファンコミュニティで話題の商品」
その他にも、ECサイトで取り扱いがある商品で、関連するコミュニティの投稿があれば、商品URLを掲載し、ファンコミュニティからECサイトへつながる導線を作る取り組みを行っています。
さらにInstagramでは、「DAISOの輪」であがった実際の投稿を載せるなどの連携をしていて、現在ファンコミュニティへの主要な流入導線にもなっています。
──ちなみに、ファンコミュニティ「DAISOの輪」への登録経路は、他にどういったものが挙げられますでしょうか?
眞田様:経路としては、DAISOアプリが最も多いですね。その他にも、Instagramやホームページに掲載しているURL、店頭POP・ポスターやレシートに掲載しているQRコードなどからも流入があります。今では、店舗内で流しているアナウンスでも、ファンコミュニティの紹介をしています。
──今後、DAISOアプリとの連携を強化していく構想はありますか?
山田様:ファンコミュニティで力を入れて作成しているコラム形式の読み物のコンテンツがありまして、とてもクオリティが高いものに仕上がっています。
このコンテンツを多くの人に見てもらいたいという思いがあり、アプリからの導線をつなげたり、盛り上がっている商品の特集記事を作ったりといった連動をしていきたいと考えていて、現在少しずつ進めているところです。
ファンが語る商品の利用シーンから見えた、予想外のインサイト
──ファンコミュニティの取り組みについて、先日ファンの方々と座談会を開催したと伺いました。その座談会の様子についてお聞かせいただけますでしょうか?
眞田様:今回の座談会は、「プチブロックビルダー」と言って、プチブロックでさまざまな作品を作っている方に向けて開催しました。
DAISO商品「プチブロックビルダー」を通じたファンミーティング
率直な感想として、集まっていただいたファンの熱量の高さに驚かされましたね。今回はオンラインでの開催だったのですが、まるで対面かのように熱が伝わってきて、「なぜプチブロックにハマっているのか」「今後どんな商品が欲しいか」などの質問に対して、たくさんのご意見をいただきました。
X(旧Twitter)などで、既にプチブロックの作品を投稿して盛り上がる場所はあったものの、双方向のコミュニケーションが取れるイベントを公式的に実施することは初めてでした。この座談会を通じて、こういったコミュニケーションの場が求められているのだなと強く感じました。
この座談会に同席したプチブロックのバイヤーもファンの熱量に驚いていて、バイヤー本人もファンから寄せられた意見を聴きながら、「ぜひ商品化したい!」と高い熱量を持ってくれました。商品の開発の要望も聞ける場として、この座談会は本当にいい機会を果たせたかなと思っています。
山田様:この座談会で「作ったプチブロック作品をどのように保管しているのか」と尋ねたところ、弊社で販売している靴の収納ケースにキレイに並べて整理していたり、作品を1つずつ小さなジッパー付きの保存袋に収納していたりといった、投稿だけでは分からなかったインサイトまで発見できました。
後者については、作品を一つずつ入れておけば、何かの衝撃で作品が壊れたとしても小さなブロックを失くさない、という理由も合わせて聞くことができ、という理由も合わせてうかがうことができました。これには参加者の中で共感される方がとても多く「プチブロックあるある」として、私たちも新たな発見を得ました。
ファンコミュニティで生まれたつながりから、投稿だけでは見えないプチブロックの利用シーン・インサイトがわかり勉強になりましたね。今回はプチブロックだけでしたが、他の商品それぞれにもこういったインサイトがあるんだろうなと感じていて。他の商品でも見えてくると、販売における訴求方法が見つかったり、他の商品とセットで買っていただけたり、さらに商品POPなどで具体的な使用シーンを紹介できたり…と、施策の幅が大きく広がるのではないかと思っています。
商品化のみに限らず、商品の用途提案や訴求方法などにも活用できる、そんなファンコミュニティならではの役割を社内でも認知してもらえるように、今回の座談会を最初の成功事例にしていきたいと考えています。
「ファンの声をいつでも聞ける」社内での立ち位置を確立させたい
──今後の展望についてお聞かせください。
眞田様:今回の座談会を通じて、小規模であっても定期的にイベントを開催することで、ファンの方々に喜んでもらえるかなと感じています。座談会の様子をまとめた記事を見た社員からも、驚きや気づきがあったとの反響が届いており、会社として新たな知見を得る場としても意義を見出しています。
ファンコミュニティ上での交流に加え、イベントを通じて、参加者同士やさらにその回りの方々と繋がっていくことで、DAISOのファンの輪をどんどん広げていけたらと考えています。
山田様:海外展開も本格化していく中で、これからもDAISOを多くの企業の中から選んでもらえるブランドにしていきたいです。その目標を実現するためにも、ファンからのニーズをしっかり受け取って商品やサービスに活かしていくことが、ファンコミュニティの重要な役割になると考えています。まずは、プチブロックの事例を成功させることを目指して、今後はさまざまな商品やカテゴリにも広げていきたいです。
また、オンラインコミュニティ「DAISOの輪」で生まれたつながりが、イベントやワークショップなどのオフラインの場にも派生していけると良いなと思っています。
最終的には、ファンコミュニティを通じて事業の成功を実現していくために、「DAISOの輪」のファンの方々と一緒に広げていきながら、ブランドや商品の価値を伝えていく場所にしていきたいです。また、商品開発や訴求方法を考えていく過程でもファンからの声は大切になってくるので、声を聞ける場所としても、ファンコミュニティの社内での立ち位置を確立していきたいなと思っています。
──ありがとうございました。