4000店をつなぐ“誰もが主役になれる”社内コミュニティ「たちまち」。立ち上げ期を盛り上げる特派員が成功の鍵
グローバル人事総務法務本部 グローバル総務部 グローバル広報課
岩橋 理恵 様
-
各課に特派員を設け、積極的な投稿や利用促進を促し、コミュニティ内の交流を活発化
-
仕事の役に立つ情報や、興味を持ち参加したくなる鮮度の高いコンテンツを提供
-
社員だけでなく店舗で働く非正規雇用のスタッフも参加
-
配信していた社内報が広報からの一方的な情報発信になっていた
-
社内報は誌面制作しポータルから配信、届く頃には情報が古くなってしまうことがあった
効果
-
広報からだけでなく、各部署から発信、交流のうまれる双方向コミュニケーションの実現
-
店舗作りのノウハウや、店舗でのトピックを共有し、学びを得られる場にする
日本国内で4,000店を超える巨大チェーンとして「DAISO」「Standard Products」「THREEPPY」を展開する株式会社大創産業の社内コミュニティ「たちまち」。正社員に加え、店舗で働く非正規雇用のスタッフも参加。「つながりを力に」をコンセプトに、誰かの励みやヒントにつながる社内向けコミュニティを目指します。
社内コミュニティの導入背景や、交流を活性化させるポイントについて株式会社大創産業の岩橋様に伺いました。
INDEX
社内報にリアクションが欲しい!双方向のコミュニケーションを目的とした社内コミュニティの導入
──まずは社内コミュニティの導入に至った背景をお聞かせください。
岩橋様:私はグローバル広報課に属しておりまして、これまで社内広報についての重要性を認識してはいながらも、おかげさまで外部向けの広報活動が非常に多く、社内広報は後手に回っていたのが現実でした。そういった中でも社内報に着手していきたいと考え、社内コミュニティを始める以前は、3ヶ月に一度ぐらいの頻度で 誌面を作ってそれをデータ化し、店舗に一斉配信をしていました。しかし限られた人数の中で社内報を配信できるのは3ヶ月に1度。情報は古くなっている上に、ひとつのニュースの社内確認に時間を要すると全体の配信が遅れることも少なくありませんでした。
また、社内報の一斉配信では、誰がどこまで読んで、どう響いてるのかが見える化されておらず、もどかしさを感じていました。そこで当社の規模に合い、かつ一方通行ではなくて受け取り手がリアクションできる双方向のコミュニケーションができるツールの導入を検討しました。
──コミュニケーションツールとしてcoorumを選んだ理由を教えてください。
岩橋様:実は検討当初、Web社内報ツールを探していたためcoorumは候補になかったのです。ツールを探しているのとちょうど同じタイミングで、当社の別部署がcoorumを利用してファンコミュニティを立ち上げることになり、複数のサービスを利用するよりもひとつに統一した方が良いと考え、Asobicaさんに引き合わせていただきました。
Asobicaさんに熱のこもったプレゼンをしていただき、私が社内コミュニティでやりたいと考えていることに対して、機能面が申し分なかったことに加え、専任の担当者をつけて伴走してくださることにやりやすさを感じてcoorumに決めました。
コミュニケーションを活性化させる鍵は「特派員」の活躍
──「たちまち」はどのような社内コミュニティですか?
岩橋様:「たちまち」は従業員が主役の従業員のための社内コミュニティで、コンセプトは「つながりを力に」です。自分の発信が誰かの役に立ったり、誰かの投稿でヒントを得て明日からの業務に活かせたり、そういったつながりを力にして、誰もが主役になれるコミュニティという風に謳っています。
名前の「たちまち」は、大創産業のルーツである広島県の方言である「とりあえず」という意味と、標準語の「あっという間に」という2つの意味を込めています。
とりあえず気軽に参加すると、あっという間につながりがうまれる。
そういう場になるようにとの思いを込めました。こうした覚えやすい愛称があることで「たちまち見た?」「これたちまちにあげるといいじゃない?」など気軽に呼んでもらえ浸透も早かったように感じます。
「たちまち」の目的は大きく2つあり、1つは自分が所属している会社が一体何をしようとしているのか、本部から発信していく社内報の役割です。もう1つが、双方向のコミュニケーションを活性化する場としての役割です。KPIとしては、ログイン率とアクション率を見ており、どちらも高い水準で達成しています。
──双方向のコミュニケーションを実現するためにどのような取り組みをされていますか?
岩橋様:「たちまち」を立ち上げるにあたって、広報からの一方的な配信ばかりになってしまうのは絶対に避けなければならないと思っていました。そこで各課に特派員を設け、特派員から投稿が上がったり、周りの社員に「たちまち」の利用を促してもらうことで、みんなが自由に発言していいんだという空気作りをはじめにできたのは成功だったなと思っています。
特派員の選定は各課の上長にお願いしました。SNSに慣れていて、情報感度が高く、物事の良い面を見つけるのが上手な方を指名してもらいました。「たちまち」では誰もが主人公ですから、みなさんの現場でそれぞれに毎日ニュースが起きるわけです。それを「たちまち」の意図や意義を理解して積極的に発信してくださっています。
特派員に選ばれているのは若手の方が多いのですが、積極的に発言したり、他の人を巻き込んでくれたりと「たちまち」上でいろんな人のキャラクターが見えてきて、そういった取り組みを見ていると、私自身が会社を愛おしく感じてきます。
──店舗で働かれている非正規雇用のスタッフさんも「たちまち」に参加できるのでしょうか?
岩橋様:大創産業は最前線で活躍してくださっているスタッフさんなしでは成り立ちません。「たちまち」にもぜひ参加していただきたいのですが、現状は任意参加です。いかにスタッフさんに参加していただけるコンテンツを作れるか、強化していこうと考えているところです。
すでに公開したコンテンツとしては、Asobicaさんからの提案で「ありがとうの声」を最近追加しました。以前からお客様から届いた感謝の声は、現場に共有していましたが、社内コミュニティ上でも賞賛しましょうということで、店舗の責任者をタグ付けして投稿する場を設けました。賞賛された方は自分たちが認められたことになりますし、他の店舗も参考にすることができます。私たちバックオフィスのスタッフとしても現場への敬意を改めて感じられる効果があるだろうと考えています。
また、今企画中のコンテストでは、「たちまち」にログインして投票する仕組みにすることで、ログイン率の向上を検討していますし、今後はさらに売り場の写真などを増やしていこうと思っています。
「たちまち」にログインした時に、活かせる情報や特典がないと、次にもう一度閲覧しようと思わないのが現実だと思っています。何か学べる情報、面白いものを載せることで、社員にもスタッフさんにも輪が広がっていくことを目指しています。
──社内コミュニティとファンコミュニティの連携についてどのようにお考えですか?
岩橋様:大創産業では、DAISOファンの方々向けにファンコミュニティ「DAISOの輪」も運営しています。ファンコミュニティとの連携は常に意識しています。「たちまち」に上がった情報で、ファンの方に喜んでいただけるだろうと思った情報はファンコミュニティの方にすぐ共有しますし、反対にファンコミュニティの方で従業員の励みになるだろうという投稿を見つけたら、「たちまち」に投稿していいか確認をとって共有させてもらっています。
また、「DAISO」の他に比較的新しいブランドである「Standard Products」と「THREEPPY」があります。それらのブランドに携わっていない従業員の商品理解を促したいという相談が担当部署からあったので、お客様がファンコミュニティに投稿された素敵な商品写真を定期的に「たちまち」に投稿し、実際にお客様にどのようにご利用いただいているのか知ることで理解が深まっています。
※ファンコミュニティ「DAISOの輪」のインタビュー記事は近日公開予定です。
グローバルを含めた全店とのつながりを力にするコミュニティへ
──これまでで印象に残っている出来事があれば教えてください。
岩橋様:仕事とは関係ない内容ですが、奈良の店舗の店長からの投稿が1番の閲覧数を誇っています。その投稿は「輝かしいスタッフを紹介したい」というものなのですが、その紹介されたスタッフさんは聴覚障がいをお持ちの方で、いつも書記などで接客してくださっています。その一方でプライベートではマラソンが趣味で、出場する大会があると店舗のみんなでスケッチブックに「がんばれ」と書いて、沿道から応援に行くそうです。心が温まるコンテンツとして私も忘れられないコンテンツです。これは「たちまち」が無ければ知ることもできませんでした。
また、店舗のスタッフさんは私たちが気づかないようなアイディアを投稿してくれるので、そこからアイデアをいただいてSNS投稿に活かしたこともあります。
さらに個人的に印象深かった出来事なのですが、「たちまち」をプレオープンしたばかりの頃で、これから特派員の方々に説明をするというタイミングで、ある社員さんが投稿していた特集記事を読んで、リアクションボタンを押して熱いコメントをくれたんです。説明会の前なのに、この人には社内コミュニティでやりたいことが伝わり、メッセージも確かに伝わったのだとつながりを可視化できた瞬間でした。このコメントを見た時に、「たちまち」は大創産業で根付くなと、私の中で確信を得ました。
今まではメディア対応が多く、メディアの先にいるユーザー様向けの仕事だったのに対し、社内コミュニティは対象者が近くにいるので反応がダイレクトにわかり嬉しいです。
──今後の展望をお聞かせください。
岩橋様:現場のスタッフさんにどのように楽しんで参加してもらうかという施策を進めることが1つです。そしてこれから注力していくのはグローバル化です。海外のグループ子会社の方々にも参加していただいて、各国での取り組みが「たちまち」に集まれば、さぞかし楽しく、大きな相乗効果が生まれるだろうなと思っています。
すでに海外の出向者からの投稿も増えてきていて、先日アメリカから投稿された、当社がスポンサーになったドジャーススタジアムの試合の様子は、多くの反応がありました。
また、海外のメンバーにとっても日本の店舗でどんな店づくりをしているのかを知る場になると喜んでもらえるのではないかなと思っています。これからどんどん海外進出していくので、「たちまち」が欠かせないツールになったらいいなと考えています。