「ニップン アマニコミュニティ」で見つけた新たな顧客像と、毎日のアマニ習慣が広がる秘訣とは?
アマニの継続利用を促す企画を行う
アマニの食べ方を集め、探しやすくすることで、お客様の利用シーンを拡大する
メーカーという立場上、直接お客様とつながる場がなかった
日本での認知が少ないため、顧客インサイトの発見や情報発信の場を設けたかった
効果
アマニを食べるハードルを下げ、習慣化にしてもらう
お客様の声を商品開発、プロモーションに活かす
INDEX
メーカーとお客様が直接つながり、コミュニティでファンを増やす
──貴社の事業およびファンコミュニティ「ニップン アマニコミュニティ」について教えてください。
当社は創業127年を迎える総合食品メーカーで、2021年に日本製粉から社名変更しました。パスタなど小麦粉の加工品や、冷凍食品、健康食品など多角的な事業展開を行っています。
オンラインコミュニティを展開しているのは、健康食品分野の「アマニ」です。アマニというのは、亜麻という植物の種子で、ヨーロッパなどでは日常的に食べられている胡麻のような食品です。魚に含まれるDHAやEPAの仲間であるα-リノレン酸という油を含んでおり、世界保健機関(WHO)などの世界の専門機関や、日本でも厚労省が摂取を推奨しています。
アマニは、まだ、日本では馴染みがない食品ですので、コアなファンと繋がり、顧客インサイトの発見や情報配信などをしていくことを目的としてオンラインコミュニティを昨年立ち上げました。レシピ投稿や「アマニ継続チャレンジ」など参加型コンテンツを中心に展開しております。
──coorumの導入前に感じていた課題と、ファンコミュニティの運用を決断した背景を教えてください。
メーカーという特性上、実際のお客様と直接つながることができないことに課題を感じていました。アマニの販売をはじめて20年経ちますが、2018年から2020年頃にテレビ番組などで取り上げられ急激に伸びましたが、その後定着せず、右肩下がりになってきています。
ただ、その中でも継続してアマニを食べ続けている方はいらっしゃって、その方々がどのように使っているのか、どういうニーズや困りごとがあるのか、その中に何か定着のヒントがあると思っています。しかし、メーカーが直接お客様とつながるのは難しいので、それなら、オンラインコミュニティという場で、コアユーザーに集まってもらい、話を聞いてみよう、ということになりました。
また、他の食品と同様、アマニについても、様々なコストが上がってきています。そのような状況でも、アマニファンを増やしていく中で、当社を選んでいただくことが増えれば中期的な売上基盤の強化につながるとも考えています。
──coorumを選んだ決め手を教えてください。
最終的に決め手となったのはユーザビリティの良さです。お客様がアマニのレシピや食べ方など過去の投稿を振り返りたいときに、分かりやすいUIになっている点が気に入りました。また、ノーコードで作れて、運営側として使いやすいところにも魅力を感じました。
オープン当初にはできなかったことも、
カップ麺やアイスにも?コミュニティを通じて見えた顧客像
──実際にコミュニティを運営して、新しく見えた顧客像や気づきはありましたか?
アマニという食品は健康志向が強い方に好まれる印象を持っていたので、食材やお料理にもこだわっている方が多いのだろうと推測していました。実際に郷土料理や珍しい野菜など、お料理自体の話でもよく盛り上がっています。
一方でヘビーユーザーの方でも、カップ麺やアイスクリームなどの、いわゆる高カロリー食品やジャンクフードも大好き!と語っていることには驚きました。ストイックな健康や手作り志向、だけではない、ということは新たな発見でした。
中には、「今日はヨーグルトを切らしていたのでアマニ油をボトルからピュッと口に入れました」などと手軽に愛用してくださっている方もいらっしゃって、ユーザーの一つ一つのシーンが発見にあふれています。
当社では消費者調査も行っていますが、実際に使っているユーザーに直接話を聞くと、かなりのコストがかかります。オンラインコミュニティでは常時つながることができるお客様がいらっしゃる状況に非常に感謝していて、価値があることだと感じています。
280日継続!アマニの喫食記録を投稿して毎日の習慣に
──コミュニティではどのような体験ができるのでしょうか?
コミュニティのお客様にはアマニを毎日食べる習慣にしていただきたいと考えています。2月1日にオープンしてから、「アマニ継続チャレンジ」という企画に10月末時点で280日連続で毎日投稿してくださっている方がいらっしゃいます。ご自身の健康記録としてご記入いただいてるようですが、仲間がいるから続けられるというモチベーションにもなっているようです。
9月には「アマニ継続チャレンジ」よりもライトな企画として「ちょいかけ図鑑」を開催しました。この企画は、写真のみの投稿OKというハードルの低いルールを設定し、1ヶ月間限定で行ったものです。実際に始めてからは、これまで投稿していなかった方からの投稿も多数ありました。コーヒーに入れたり、お漬物にちょっとかけたりとアマニを食べるシーンが広がったのが良かったなと感じています。
企画としては一旦終了になるのですが、「ちょいかけ図鑑」に投稿してくださった方に「アマニ継続チャレンジ」にも投稿してくださいという形で導線を用意したところ、少しずつですが参加者が増えている状況です。
また、同じタイミングで運営側から「サラダにアマニ油をかけませんか?」という投稿や、「今日、アマニ食べた?」と日々のリマインドのようなコミュニケーションを取ったことで、毎日食べる習慣がついたという方もいらっしゃいました。
──お客様を表彰する仕組みもあると伺いました。
基本的には月間のページビューが多かった方と、運営側がセレクトした注目の投稿や素敵な投稿をされた方の、毎月2名をAMANI AWARDとして表彰させていただいています。受賞者には毎月、色の違う宝石をモチーフにしたバッチをお渡ししているので、コレクションのように楽しんでいただけたらなと思っています。
AMANI AWARDは受賞した方はもちろん、他のお客様からも「おめでとうございます」というコメントがたくさん寄せられて、コミュニティ全体が盛り上がる企画になっています。
商品リニューアルやプロモーションを後押しするお客様の”生の声”
──お客様の声を起点にした商品開発やプロモーションについて教えてください。
当社では、お客様の声を反映したドレッシングを発売しました。過去の販売傾向から、最近は、シーザードレッシングやサウザンドレッシングのようなこってり系のドレッシングは作っていませんでした。提案しても、取引先の方や社内から「健康志向のお客様はそんなもの求めてないでしょう」と言われてしまうことも多かったんです。
ところがお客様に座談会で聞いてみると、「いやいや、こってり系のドレッシングだって全然買う。ぜひ作ってほしい!」という話があり、この2023年春にフレンチ風クリーミードレッシングを発売しました。実際のお客様の声を具体的に説明できることで、自信をもって商品開発・提案できるようになりました。
ウェブ調査やグループインタビューを行なっても、回答者が本当に普段からアマニを食べているのかはわかりませんが、コミュニティではユーザーの投稿などから利用状況を把握した上で意見をお聞きできるのは大きなメリットだと感じています。
またもう1つの事例として商品のリニューアル時に、商品につけるPOPの文言をコミュニティ内で検討しました。当社が推したかったα-リノレン酸が60%以上であることよりも、効能面を謳うキャッチコピーがダントツの人気を誇る結果となりました。現在、採用したPOPを商品につけて販売しています。
──今後の展望をお聞かせください。
アマニコミュニティのユーザーは、年齢が高めで健康意識が高まってきたような方が多いです。ただアマニは体の中で作ることのできない必須脂肪酸を摂取できるので、老若男女問わず、皆さんにもっと食べていただきたい食品です。今後はそれぞれのライフステージごとのニーズをさらに掘り下げてアマニの可能性を広げていきたいと考えています。
アスリートの方でアマニを摂取されている方もいらっしゃるので、コミュニティの中でそういった方のお話を聞ける機会を作ったり、クラブのようなものができたら、よりアマニやコミュニティが広がっていくのかなと考えております。
──ありがとうございました。