「ビジョンをファンの皆様と一緒に叶えたい」ファンのことを第一に考える株式会社ピエトロが運営するピエトロホームタウン
株式会社ピエトロ ファンコミュニケーション室 五十畑様、日高様
ファンのことを第一に考え、コミュニティにおける企画を構想
ファンベースを推進するためにコミュニティやファンミーティングなどを実施
コミュニティを認知してもらうための導線を複数つくった
ファン同士のコミュニケーションが活発ではなかった
ファンが集まれる場所をオンライン上に作り、多くのファンと接点を持ちたかった
効果
コミュニティを起点としたピエトロファン同士でのコミュニケーションの活性化
企業とファンの共創
リアルとオンラインを繋げる役割としてコミュニティを運営
ピエトロのファンコミュニティ「ピエトロホームタウン」。coorumを導入してからファン同士のコミュニケーションが活性化し、多くのファンと接点を構築できている。株式会社ピエトロの掲げるファンベース経営の考え方や今後の展望について株式会社ピエトロ ファンベース推進部 ファンコミュニケーション室 五十畑様、日高様に伺いました。
INDEX
「創業の想い」と「ファンベースの考え方」の親和性が高く目の前のお客様を大切に
――まずは、五十畑様と日高様の役割について教えていただいてもよろしいでしょうか?
五十畑様:私はピエトロのコミュニティである「ピエトロホームタウン」の町長として、コミュニティ全体の旗振り役のような立場で業務を行っており、コミュニティの企画と運営をメインでやっています。また、ピエトロファンの方々との交流も私が主に担当しています。
日高様:私は「ピエトロホームタウン」において案内人というポジションについています。町長である五十畑のサポートをする役割ですね。ファンにコミュニティを楽しんでいただけるよう、お手伝いをしています。
――貴社ではファンベース経営を企業理念に掲げていらっしゃいますが、なぜファンベースの考え方が企業理念に反映されているのでしょうか。
日高様:ピエトロはレストラン生まれであることから、元々目の前のお客様を大事にしようという企業文化があります。2019年にファンベースという考え方に出会った際に、ピエトロが創業当時から大事にしてきた想いと親和性が高いのではないかと考え、改めてファンベースの考え方を社内に浸透させていくことになりました。ピエトロファンとはどういう人なのかという定義を改めて考えたり、ファンを大切にするための具体的なアクションを実施していきましたね。
――2020年にファンベースの考え方をもとにコミュニティを始めたとのことですが、それ以前にお客様と交流するイベント等などは行っていましたでしょうか。
日高様:コミュニティを設立する前からお客様との交流は大事にしていました。具体的には、試食販売や直売会、食育イベントや道の駅イベントを全国で開催し、直接お客様と触れ合う場を設けていましたね。
ファンベースを推進するためにコミュニティやファンミーティングなどを実施
――ファンコミュニケーション室という部署は、どのような背景があって設立されたのでしょうか。
日高様:会社として、本気でファンベース経営を進めていくため、さらに、社内外問わず、ファンベースの考え方を浸透させていくために、2020年にファンコミュニケーション室を立ち上げました。それと同時に、2020年4月にコミュニティをオープンしましたね。コミュニティはファンベースを推進するためのさまざまな施策の中でも大切な手段です。
――企業理念においてファンベース経営を掲げるなかで、ファンとのコミュニケーションをとるためにコミュニティ運営以外でどのような施策を行ってきましたか?
日高様:コミュニティ運営以外の施策は大きく分けて3つあります。
1つ目はファンミーティングです。ファンミーティングでは、コアなファンに集まっていただき、ファンの声をとことん傾聴する場を設けています。具体的には「ピエトロの好きなところ」や「どうしてピエトロを好きなったのか」ということなどを熱量高く語り合ってもらっています。ピエトロが開催するファンミーティングは、リアルで実施することが多いです。一方、オンラインでのファンミーティングでは、普段はなかなか実施できない工場見学ツアーを、各地から参加しているファンにライブ配信したこともありましたね。
2つ目はファンイベントです。ファンイベントでは、ライトなファンにもピエトロのことを知ってもらうことで、もっとピエトロを好きになってもらうための機会としています。ピエトロは福岡市から船で10分ほどの能古島(のこのしま)に自社農場を持っており、能古島でイベントを実施することもあります。その他には福岡市内にあるレストラン「ピエトロ本店 セントラーレ」でのリアルイベントも開催しました。
3つ目はファンインタビューです。ファンインタビューでは、ファンミーティングでは聞けないような具体的な話やインサイトを深掘りする機会にしています。例えば、EC事業部から「商品カタログに実際に冷凍食品を愛用しているファンの声を載せたい」と依頼をもらったときに、コミュニティ内のファンと担当者を繋げ、ファンインタビューを実施しました。またプロダクトやサービスごとの課題を解決するために、商品の使い方や良い部分などをヒアリングする場として活用することもあります。コミュニティをリプレイスする際にも、ファンにインタビューを行い、新たなコミュニティに欲しい機能や、リプレイスにあたっての懸念点などヒアリングしましたね。
ファンとのオンライン上での接点構築のためにコミュニティ導入を決意
――コミュニティの導入を決めた理由をお伺いしてもよろしいでしょうか。
五十畑様:ピエトロファンがいることはなんとなく分かっていたのですが、当初はどこに、どんなファンがいるのかを知りたいという想いからコミュニティを始めました。弊社としてはコミュニティを導入することで、まずはファンが集まれる場所を作り、多くのファンと接点を持ちたいと考えました。ファンイベントなどと目的自体は一緒ですが、オンラインのコミュニティで気軽にファンに集まっていただき、そこからリアルのイベントにも参加してもらうというような流れを作りたいと思っていましたね。
――以前は他社のコミュニティを活用されていたとのことですが、coorumを利用しようと思った理由を教えてください。
五十畑様:coorumを利用しようと思った理由は3つあります。1つ目はAsobicaの担当者の方が誰よりもピエトロのファンになってくださり、強い仲間意識を持ってコミュニケーションをとってくれたためです。一緒に運営していく担当者の方の人柄というのはすごく重要な要素だと考えていました。2つ目は、ファンが使いやすいUIデザインで、ファンがもっと交流しやすくなると考えたためです。3つ目は、弊社が参考にさせていただいていたコミュニティを運営していた企業がcoorumを使っていたためです。参考にしている企業と同じサービスを使えるというのは大きな決め手になりましたね。
――「ピエトロホームタウン」というコミュニティ名に込めた想いなどはありますか?
五十畑様:“さまざまな個性や考えを持った人が、いつでも戻ってくることができるような温かい場所にしたい”という想いから、「ピエトロホームタウン」という名前にしました。実際にコミュニティのユーザーには毎日ピエトロを使ってくださる方もいれば、そうではない方もいらっしゃいます。私たちとしてはピエトロのことだけを語ってもらわなくてもいいと思っていて、共通点は”食が好き”ということだけでいいのではないかと思っています。食が好きな人同士が繋がって、皆さんが幸せを感じられる場所にしたいと考えていました。
――コミュニティをお客様に認知していただくために工夫されたことはありますか。
五十畑様:認知してもらうために工夫した点は2つあります。
1つ目はコミュニティリプレイス前にファンにインタビューを実施し、ピエトロのコミュニティに期待していることを伺いました。さらに、プレオープンイベントも開催しました。以前のコミュニティに登録していた10名ほどのコアなファンユーザーをプレオープンイベントに招待して、「ピエトロホームタウン」に移行する想いなどを、できるだけ丁寧に伝えていきました。以前のコミュニティからのファンを新コミュニティにもご参加いただけるようにし、これまでの関係性を継続できるようにしました。
2つ目はピエトロが持っているさまざまなプラットフォームにコミュニティへの導線を作ったことです。ピエトロのアプリやホームページ、オンラインサイト上などに「ピエトロホームタウン」のバナーを表示させましたね。また、ピエトロはレストラン店舗を持っているので、レストランのテーブル上にPOPを設置し、興味を持ってくれた方に参加してもらう工夫をしました。
ピエトロファンのことを第一に考えてコミュニティを運営し、ファン同士の交流が自然と生まれている
――コミュニティの運営体制について教えていただけますか。
五十畑様:コミュニティの運営はファンコミュニケーション室のメンバー3名で担当しています。
――実際にコミュニティを運営してみて、いかがでしたか?
五十畑様:運営を始めた当初は、私たち運営サイドがファンの交流をうまく促さなければというプレッシャーがありました。しかし、「coorum」を導入したことで、ファン同士の交流が自然と生まれたことに驚きましたね。
――コミュニティ運営で心がけていることはありますか。
五十畑様:私たちが一番心がけていることはピエトロファンのことを第一に考えることです。ファンファーストで企画を構想し、ファンとのコミュニケーションを図っています。企業として利益を考えなければいけないという視点はありますが、まずはファンに喜んでいただけるかどうかを考えて、アクションを起こしていますね。
――コミュニティを運営している中で、印象的に残っているエピソードなどがあれば教えてください。
五十畑様:ピエトロホームタウンには写真館という、ユーザー同士が楽しい食の時間を写真でシェアするページがあるのですが、あるユーザーから写真館についてご質問をいただいたことが印象に残っています。写真館ではピエトロに限らず、さまざまなおいしい・たのしい食に関することを投稿してほしいと思い、あえて制限などを設けていませんでした。その中で、とあるユーザーから「たくさん投稿したいのですが、コミュニティみんなで楽しみたいので、どこまで投稿していいのかルールがあれば教えてください」と言われました。
本当に食が好きで、コミュニティを楽しみたいと思っているからこそ、どこまで投稿していいのかを気にしてくださっているのだなと思いましたね。ユーザーがピエトロのコミュニティのことをこんなに考えてくれているのだと驚きましたし、少し大袈裟かもしれませんが、今後のコミュニティのことを考えてくださったという意味ではファンとの共創の始まりなのかなと感じましたね。
――ユーザーがそこまで貴社のことを考えて発言してくれたのはすごいことですね。次に、コミュニティ内での企画についても教えてください。
五十畑様:コミュニティ内の企画に共通しているのは、“食”を楽しんでもらうことですね。企画としては大きく2種類に分けていて、ピエトロのことを知ってもらう企画、そして、ファン同士の交流を目的にした企画の2つです。
また、Asobicaの担当者さんも、私たちがイベントをやるという話をしたら、どのような時でもポジティブな反応をしてくれるので、非常にやりやすさを感じています。普通であれば、担当者として課題や懸念点が目につくはずなのに「楽しそうですね!」と言って一緒に取り組んでくれています。担当者の方が1番のピエトロファンになってくれている感じがして、本当に嬉しいですね。
コミュニティを起点としてお客様との交流を活性化させ、より共創を目指して
――今後の展望についてお聞かせください。
五十畑様:現在、コミュニティではコアなファン同士の交流が多くなっているので、もっとライトなファンも参加しやすいコミュニティにしていきたいと考えています。また、私の大きな夢でもあるのですが、ファンだけで自走するコミュニティにしたいです。とても大変なことだと思いますが、ファン起点でイベントや企画が生まれるようになったら嬉しいですね。このコミュニティをきっかけに、ピエトロの輪がどんどん広がっていってほしいと願っています。
また、ピエトロを愛するファンとピエトロの社員を繋ぐ架け橋になれたらいいなと思っています
日高様:私も五十畑と同じ考えで、ファンと一緒にコミュニティの企画を考えたり、一緒に商品企画ができたりすると嬉しいですね。私の理想的なイメージとしては、ファンの中にリーダー的な立場の人が生まれ、その人を軸に広がりが出てくると良いなと考えています。ファンと共創していくコミュニティになっていけるように頑張りたいです。
そして、コミュニティを起点として、お客様との交流を活性化させていきたいと考えています。弊社には商品やレストランがあるので、そこでピエトロを知ってもらい、興味を持った人がコミュニティに入ってもらう。そして、コミュニティ内で”食”を楽しんでもらう中で、交流が活性化し、積極的にイベントに参加していただくなどの流れを作りたいですね。ピエトロファン同士で交流することで熱量が上がり、推奨が生まれる。それに共感してくれるファンもが増えていく結果、さらなる商品購入や店舗利用につながるのではないかと考えています。そのようなサイクルを作るためにはコミュニティが軸となってくると思うので、オンラインとリアルを繋げる役割としてコミュニティを運営していきたいです。
また、ピエトロは食を通して「“未来へ”しあわせ、つながる」というビジョンを掲げているので、ファンだけではなく、お客様全体や地域社会にも貢献していきたいです。そこにピエトロで働く私たち社員も一緒になって盛り上げていき、ピエトロのビジョンをファンと一緒に叶えていくようなことができると、本当のファンベース経営と言えるのではないかなと思います。ファンと共創して、ピエトロが目指すファンベース経営の形を作り上げていきたいです。
――コミュニティ導入を悩まれている企業にメッセージをお願いします。
日高様:多くの企業が、誰が自社のファンなのかということがわからない状態だと思います。しかし、コミュニティを通じてオンライン上でファンとの接点を持つことで、ファンが何を大事にしているのか、どのようなことに価値を感じているのかなど、普段の業務だけではわからないことがたくさん見えてきます。コミュニティを導入することはお客様の声に耳を傾けるきっかけにもなりますし、熱量の高いお客様と出会うこともできます。弊社の事例が、コミュニティ導入をご検討されている企業様の参考になると嬉しいです。
――本日は貴重なお話をありがとうございました。