店舗では拾いにくい”塚田農場”好きなお客様の色んな声を聞きたい。塚田農場が目指すオンラインコミュニティの姿とは?

株式会社エー・ピーホールディングス
代表取締役 社長執行役員 CEO
野本様
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店舗では拾い切れていないお客様の声を聞く
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商品企画や施策の反応をダイレクトに見る
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ブームになる以前から支えてくださっているお客様の声は聞けていたが、最近ファンになってくれたお客様の声を聞けていなかった
効果
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オフラインイベントに代わるお客様の声を聞く場にする
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塚田農場のファン歴が浅くても、熱狂してくれるファンを増やしたい
宮崎・鹿児島の地鶏を中心に、生産者と店を直結させる「生販直結モデル」で「塚田農場」を運営する株式会社エー・ピーホールティングスは、お客様の具体的な声を直接聞く場としてcoorum(コーラム)を始動しました。代表取締役 社長執行役員 CEO 野本氏にcoorumの導入を決めた背景と今後の展望を伺いました。
INDEX
「面白い」居酒屋から「おいしい」居酒屋へ。オンラインだからこそ拾える声を聞く場をつくる
──coorum導入前に感じていた課題と、オンラインコミュニティの運用を決断した背景はどんなものでしたか?
塚田農場は本来、ストーリーのある食材を使ったおいしい料理を提供する居酒屋でしたが、上場して店舗数を急拡大した2010年代半ばごろから、いつの間にか接客がおもしろくて、名刺制度をはじめとしたおもしろい販促キャンペーンをする、”おもしろい居酒屋”というイメージに変化してしまってました。
現在は、業績を回復させていく中で、本来の”おいしい”を訴求することを主軸においた戦略・戦術を構築しています。そのための手法の1つとして導入したのがオンラインコミュニティです。
背景は大きく2点あります。1点目は、「おもしろい」ではなく「おいしい」としての訴求へと切り替えていったのですが、この情報過多の社会の中で、既に知られた居酒屋ブランドが真面目なメッセージを出したところで「太平洋の真ん中に撒き餌をする」レベルにしかならず、固定化されたイメージを変えるほどのインパクトが出ない。一方で、SNSのインフルエンサーも存在するが、どうしても宣伝色が強くなってしまうので、我々としては「塚田農場が好きだ!」という熱量をもってメッセージを拡散してくれるインフルエンサー的な役割を担っていただくファンを求めていました。
もう1点は、ブームが去ってから塚田農場のファンになってくれたロイヤルカスタマーの声を聞くためです。復活に向けての戦略を模索する中で、ブームが去ってからファンになってくれた方々に話を聞くと「おもしろい」要素は知ってはいるが、支持しているのは「おいしい」要素が強いということがわかり、SNSを調べてみると塚田農場の料理のクオリティや味わいを評価する声が多く上がっていました。その結果「おいしい」を訴求の中心に置く戦略につながったのです。
我々もリピートビジネスですので、どうしても昔から長らく通って下さっているファンの方々の声に触れる機会が多くなります。しかしながら、新たにファンになってくださった方々もしっかりと理解したい。そこで、オンラインコミュニティを活用することにしました。
また、営業中にコミュニケーションを通じて得ることのできるお客様の声は、必然的にその時に提供する商品や実施しているキャンペーンなどコンテンツ由来であることが多くなります。ただ、店舗から物理的にも時間的にも離れたところでコミュニケーションをとることができれば、また違った視点からの声も聞けるのではないかと考えました。
かつての熱狂をもう一度。難しい施策だからこそ熱意溢れる会社とともに。
──オンラインコミュニティに注目した理由と、coorumを選んだ決め手を教えてください。
実ははじめは、オンラインコミュニティのことはまったく頭になかったんです。でも、どうやって課題に取り組もうかと考えていた時期に参加したマーケティングカンファレンスで、偶然coorumの担当者と知り合いました。打ち合わせを重ねるうちに学生時代に体験したオンラインコミュニティの魅力とその力を思い出し、導入を決断しました。
個人的な話になりますが、インターネット上の掲示板が流行っていた1990年代後半、私は大学生だったのですがミスタードーナツのアルバイトに熱中していました。当時ミスタードーナツで働く人が集う掲示板があり、そこで悩みを相談したり、仕事をする上で今でも指針になっているような大切なことを教わったりしていました。時には、そこにいる仲間に会いに遠方まで出向いたりもしてて、今でいうオンラインコミュニティで熱狂していた自分の姿がそこにはあったのです。
coorumを選んだのは、Asobicaの担当者は初回の打ち合わせから熱意が溢れていて、一緒になにかやったら面白そうな会社だなと思ったからというのが理由です。そんなこと?と思われるかもしれませんが、オンラインコミュニティは難しい施策だからこそ、意欲に溢れる会社と取り組みたいと考え決断しました。
実際に運用を始めてからも中期的な戦略と、短期的な戦略を立て、それに沿う形でさまざまな提案をしていただいています。しっかりしたカスタマーサクセス体制が取られているだけでなく、弊社のやりたいことをよく理解してくれる営業やCSのマネージャーや担当の方が対応してくれるため、良い刺激を受けています。
店舗からの伝聞では伝わってこない具体的な声が聞こえる場所
──オンラインコミュニティの運用をはじめて、成果を感じていることはどのようなことがありますか?
オンラインコミュニティを導入したことで、イベントを開催しなくともお客様の声に触れられるようになったことはまさに成果だと感じています。
私は当時いなかったのですが、聞くところによると、ロイヤルカスタマーが集まるオフラインイベントを開催していたようです。それはお客様の声(VOC)を集めていたというよりはコミュニケーションが中心だったのですが、それでもロイヤリティを高めるイベントしては非常に有効だったようです。ただ、ロイヤルカスタマーからの期待が高いイベントで、企画・運営のプレッシャーも非常に高く、かなり負担が大きかったとも聞いています。
オンラインコミュニティを始めてからは、施策に対する手応えをわかりやすく得られるようになりました。わかりやすい例に「季節の白くまアイス」があります。まずビジュアルに惹かれて注文してもらい、食べると価格以上の魅力的な商品であると気づいてもらえるというこだわりを詰め込んだ商品ですが、皆様が楽しんで投稿してくださる写真から、白くまアイスは我々の意図した通り受け入れてもらえていると、リアルタイムに感じることができています。その他にも、どんな商品が好きなのかの理由を改めて文字・文章として教えてもらうことで、我々が気付いていなかった強みが見えてきて、それを商品開発の指針に取り入れる事も始まっています。
店舗からの伝聞ではなかなか伝わってこない具体的な表現に触れられるのはオンラインコミュニティならではのメリットだと思います。
──今後の展望についてお聞かせください。
オンラインコミュニティはお客様に喜んでいただくための手段の1つなのだと思います。だからこそ、単純に会員数を増やすことにはあまり意味がなく、アクション率や密度が重要だと考えています。
ファンコミュニティを通して、ファン歴の長短に関わらず、一緒に熱狂してくれる人が10人でも、20人でも増えていくとうれしいですね。