2023/10/02

しゃぶ葉に熱い想いを持ったユーザーに限定したコミュニティ「おやさい学校 しゃぶしゃ部」が目指す、
ユーザー全員にとって価値のある施策立案とは?

しゃぶ葉に熱い想いを持ったユーザーに限定したコミュニティ「おやさい学校 しゃぶしゃ部」が目指す、
ユーザー全員にとって価値のある施策立案とは?

株式会社すかいらーくホールディングス
マーケティング本部(メニュー・プロモ統括) しゃぶ葉開発チーム
リーダー
岡田 智子様

運用のポイント
  • 入部審査を実施してメンバーを厳選し、熱い想いを持ったロイヤルカスタマーのコミュニティを作る

  • ユーザー数ではなく、効果的な施策アイデアの獲得を目標にする

課題
  • SNSでは測りきれないユーザーインサイトを深く知る方法を探していた

  • 定性調査の実施には時間がかかり、スピーディーな調査ができていなかった

期待する
効果
  • ユーザーと濃いコミュニケーションが取れる場にする

  • コミュニケーションで得たインサイトを、ユーザー全体の価値へと転換する

厳選したロイヤルユーザーだけが集うしゃぶ葉のファンコミュニティ「おやさい学校 しゃぶしゃ部」。ブランド担当者ですら想像しなかったロイヤルユーザーの行動やニーズが明らかになってきていると言います。その立ち上げ経緯や運用のポイントを株式会社すかいらーくホールディングス マーケティング本部 しゃぶ葉開発チーム 岡田 智子様に伺いました。

ユーザーインサイトの収集を目指してファンコミュニティを立ち上げ

インタビューをうける岡田さん

──まずは岡田様の役割やミッションを教えてください。

岡田様:私はマーケティング本部で「しゃぶ葉」というブランドの担当をしております。元々は開発分野でのキャリアが長く、その後プロモーションに関わってきまして、2023年3月の社内の組織改革でしゃぶ葉の担当になりました。
当社はプロダクトアウトの開発スタイルを長く続けてきており、自分たちが作りたいと思うメニューやサービスを開発・提供してきた会社です。ところがコロナ禍で顧客離れが起きてしまい、客足が戻り始めてからもコロナ禍以前に戻ったとはいえない状況になりました。

またコロナ禍には、その時々に合わせたプロモーション(シーズナブルなものなど)は行っていたものの、多くのプロダクト開発は止めていました。アフターコロナの今、離れてしまったお客様に戻ってきていただく、また減少傾向にある新規のお客様へのアプローチに改めて取り組もうとすると、コロナ禍以前の、自分たちの作りたいものをつくるというスタイルに戻せばいいのではなく、お客様のインサイトを見て、マーケットインでメニュー開発、プロダクト開発に取り組んでいかなければならないという流れに社内の考えが変わってきました。

そんな中でしゃぶ葉の担当になったので、私のミッションはお客様のインサイトを調査し、それに合わせたマーケットインのスタイルでメニュー開発やプロダクト開発につなげていくことにあります。

一方通行のSNSだけでは測れない、ユーザー同士の会話から探るニーズ発見はコミュニティならでは

コミュニティのTOP

──coorumの導入前に感じていた課題と、ファンコミュニティの運用を決断した背景を教えてください。

岡田様:以前からTwitter(X)を中心にSNSの運用に力を入れています。多くのしゃぶ葉好きのフォロワーがいるため、当社から発信するプロモーション活動としては十分活用できているのですが、ユーザーインサイトを探るという観点で考えると、一方通行の発信だけでは測れないなと思いました。SNSの主な役割は拡散だと思っているので、もう少し自分から近づいていって、直接インタビューを行うなどユーザーの話を聞けるようになればいいなと考えていました。

コミュニティでは、企業とお客様、お客様同士という三方向の関係性を作っていくことができているのがSNSの違いだと思います。ロイヤルユーザー同士が同じ目線でしゃぶ葉について語っていただいている会話の中から、お客様ニーズが改めて発見できるのはコミュニティならではの特徴だなと感じています。

──コミュニティ以外の施策もご検討されたのでしょうか?

岡田様:顧客ターゲットという意味で1番課題があったのは、お子さまがいらっしゃるファミリー層だったので、はじめはそこにアプローチする施策を検討していました。しゃぶ葉は食べ放題スタイルなので感染リスクを感じやすいのか、コロナの影が薄くなってきてからも単身者やシニアのご夫婦などに比べてお子さま連れのファミリー層はなかなか戻りが弱い現状がありました。

お子さま向けの施策ならと、待ち時間に遊んだり、店外でしゃぶ葉の疑似体験を楽しんだりできるゲームを開発して認知を高めるということも考えていました。ただ、なにか施策をする前に、まずはお客様が何を思っているのか、どんなことを求められているのかをしっかり確認しなければならないということに気が付き、最初にコミュニティを導入するに至りました。

──以前から定量調査を実施していたと伺っていますが、コミュニティでのユーザー調査との違いはいかがでしょうか?

岡田様:定量調査は年に1回行うことで、潜在顧客のボリュームや狙うべきターゲットなど、今の立ち位置を明らかにできるので必要だと考えています。

一方で定性調査と考えると、コミュニティ内での発話は重要で、解像度が高いなと感じています。コミュニティなしで定性調査を行おうとすると、インタビューのテーマ設計や設問定義、実施などと3ヶ月程度はかかるので、なかなかスピーディーなサイクルには載せにくいところがあります。日々の会議など目先の検討には、コミュニティ内のコミュニケーションから見えてくるところがあり、お客様に必要なものをすぐに知ることができるのはコミュニティならではだなと感じています。

──coorumを選んだ決め手を教えてください。

岡田様:他のコミュニティツールも検討させていただいたのですが、私自身の特性として分析したいという思いが強く、客観的な目で分析ができるだろうという可能性を感じたのがcoorumでした。例えばユーザー一人ひとりの行動を追跡できる機能などがあるのは魅力に感じました。またデザイン性の部分で自由度が高いのも決め手になりました。

ご担当いただいている佐藤さんや平川さんが当社に寄り添って伴走していただいているのもとてもありがたく感じていまして、御社の人の魅力もcoorumの強みだと思います。

短期間での施策実行を目指して。初期メンバーの選考を実施

──コミュニティの立ち上げについて、まずはコミュニティの名前に込めた思いを教えてください。

岡田様:Twitterで「#しゃぶしゃ部」という活動を以前から行っていまして、ユーザーのしゃぶ葉での体験を「#しゃぶしゃ部」をつけて投稿していただいていました。このハッシュタグをつけて投稿してくれた方は部員認定をし、月に一度は公式アカウントからネタの提供をして、それなりに盛り上がっていました。

この#しゃぶしゃ部員の方にお声掛けして、リアルの場をご用意しましたという設定でコミュニティを立ち上げたので、これを活かした「しゃぶしゃ部」。
さらに、部活といえば「学校」ですよね。しゃぶ葉のブランドロゴである「おやさいたっぷり しゃぶ葉」からもじって「おやさい学校 しゃぶしゃ部」としました。もともといらっしゃるユーザーが自然と受け入れられるような場を作りたいという思いで名付けました。

──コミュニティを通じて届けたい体験や、伝えたいことはありますか?

岡田様:SNSを見ると、しゃぶ葉の自分なりの活用術、裏技のようなものが多数投稿されています。これは裏を返せば、しゃぶ葉はあまりに自由度が高くて、オーソドックスな使い方以外に様々な楽しみ方や食べ方があるということだと思います。

他の人のおすすめの技があれば知りたい、真似したいというニーズがあると思っていたので、しゃぶ葉の裏技を発表する場を用意しました。ユーザー同士の横のつながりを楽しんでいただけたらとても嬉しいです。

──立ち上げ時のユーザーには審査があったと伺ったのですが、どのように初期メンバーを集めたのですか?

岡田様:今回のコミュニティの目的は、ユーザー数を増やすことではなく、ロイヤルユーザーのインサイトを探るというところに置いていたので、コミュニティに入部希望される方にはまず熱い想いを語っていただいて、判定するという流れを取りました。

コミュニティを始めたら短期間で何らかの結果を出したいと考えていたので、誰でも入れるコミュニティにして、希薄なコミュニケーションになってしまうことを恐れていました。しっかりとコミュニケーションが発生するユーザー規模がどのくらいなのか分からなかったこともあり、ユーザー数を目標にするのではなく、少なくてもいいからしゃぶ葉に対して意見を持っている方にまず集まってもらうことにしました。

ロイヤルユーザーの行動を、新規ユーザー向けに体験設計。核から全体へ広げる施策立案

キャンペーンの投稿

──ユーザーとのコミュニケーションのなかで得た気づきはありますか?

岡田様:しゃぶ葉のロイヤルユーザーの方は自ら情報収集をして、それを楽しむ能動的な方が多く、1回の来店を最大限楽しむために、来店前にどのコースを選ぶのか、どんな食材を試すのかなど戦略を立ててからお越しいただいていることがわかりました。

私個人としては、外食というのは何気なくふらっと行くものだと思っていたので、そこに戦略があるのかと、改めて気付かされました。

私たちの立場では、しゃぶ葉に来店する新規のお客様も増やしたいという思いがあるので、はじめての来店時の体験、2回目、3回目と来店回数を追うごとに新しい楽しみ方を見つけ出すための体験設計をどのように作るべきか検討に入っています。

──コミュニティ運営において、KPIにしていることはありますか?

岡田様:ユーザー数は追っておらず、コミュニティで得たインサイトから、1つでもリアルの施策に活かすことを目指しています。いくつかチャレンジした施策の中から、売上が立つ施策ができればそれを元手に、今後もコミュニティでの取り組みを広げていけると考えているので、まずは何かしら施策を生み出すことに注力しています。

──「おだし」をコミュニティの方と一緒に開発する施策に取り組まれていると伺いました。

岡田様:コミュニティを立ち上げる際のキラーコンテンツとして「新だしの共同開発」を掲げてロイヤルユーザーに集まっていただいています。コミュニティ内でアンケートを取ったので、そのアイデアを基にしたおだしを11月に発表する予定です。

当社の強みの1つはスピーディなメニュー開発ができることです。今回の「おだし」の共同開発のようにコミュニティだけでその価値を測るのではなく、コミュニティから発生する価値をコミュニティの外の多くの人に提供し、全体への波及効果を確認することで、コミュニティでの活動をより意義の高い取り組みにできるのではないかと考えています。

──「おだし」が出来上がったら、ぜひまたお話を聞かせてください。本日はありがとうございました。

決めポーズ

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小父内 信也 CCO
2010年、名刺管理システムのSansan株式会社に入社。データ化部門責任者を経て、名刺アプリEightのコミュニティマネージャーへ。 2019年に株式会社Asobicaに取締役CCOとして参画。
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金光 佑樹 カスタマーサクセスグループマネージャー
医療業界特化の人材紹介会社にて営業責任者・人事責任者を歴任後、ITベンチャー企業にてフィールドセールスに従事。 2022年に株式会社Asobicaに入社。 現在はCSMとしエンタープライズ企業を中心にコミュニティの立ち上げ支援を行う。
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上原 明子 カスタマーサクセスグループマネージャー
札幌のコワーキング・ゲストハウス・シェアハウスを運営するコミュニティ系不動産に新卒で入社。東南アジアを中心にバックパッカーをしながら、海外営業/新規店舗の立ち上げを経験。 その後ライブ配信プラットフォームにてCX関連の部署に所属し、オンラインイベントの企画/実施や新機能設計、効果分析などを担当した経歴を持つ。
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平川 貴詞 カスタマーサクセスグループマネージャー
早稲田大学人間科学部卒業。新卒で株式会社リクルートスタッフィングに入社し、大手通信企業向けのセールスを担当。 その後人材系ベンチャー企業に所属し、主にセールスとして中途・新卒採用の採用支援を経験した後、学生向け記事メディアの編集・マーケティングを担当。現在はCSMとして外食・メーカー企業を中心に幅広いお客様を支援。

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