コミュニティはなぜ解約率(チャーンレート)を下げることができるのか?

2024-10-28 コラム

カスタマーサクセスツール「coorum(コーラム)」を提供する株式会社Asobicaの奥村です。

今回、カスタマーサクセスにおけるコミュニティ活用のお問い合わせが急激に増えている中、コミュニティが解約率にどんなインパクトを与えるかを改めて整理してお伝えできればと思います。

解約率(チャーンレート)とコミュニティの関係性

最近、お客様から
・「カスタマーサクセスを行うために、コミュニティをやろうと思っているのだけどどうしたらいいかな?」
・「コミュニティを利用して解約率を下げたいんだよね!」
という内容でDMをもらったり、自社の資料請求自体も増えてきました。
カスタマーサクセスにおけるコミュニティの重要性が日々高まっていることを感じます。

ただし、お問い合わせをいただく段階で
「コミュニティがカスタマーサクセスや解約率(チャーンレート)にどのようなインパクトを与えることができるのか?」
について明確にイメージされているお客様は非常に少ないです。

ほとんどのお客様が、『コミュニティがカスタマーサクセスに”なんとなく”役立ちそう』という漠然とした認識を持っているだけの状態です。

コミュニティやりたいなの代替テキスト

そこで今回は、コミュニティが
・なぜカスタマーサクセスに効果があるのか
・なぜチャーンレート改善に効果があるのか
を整理してお伝えしたいと思います。

※解約率の定義についてですが、もし明確に理解していない方がいたら、こちらの記事がおすすめなのです。

参考:チャーンレートとは?

コミュニティは非問い合わせ顧客のチャーンを改善する

結論、コミュニティは解約率(チャーンレート)の改善に有効です。

顧客は問い合わせという軸で大別した時に
・問い合わせしてくる顧客
・問い合わせをしてこない顧客
の2つに分類可能です。

これは言葉の通り、問い合わせをしてくる顧客と問い合わせしてこない顧客のうち、問い合わせしてこない顧客のチャーン改善に有効になるのがコミュニティになります。まず、チャーンを考えるには、この2つの顧客グループがどのような行動を取っているかを明らかにしていくことが重要になります。

解約(チャーン)する顧客はどのように発生するのか?

問い合わせしてこない顧客の解約防止について詳細を伝える前に、「なぜ解約(チャーン)が発生しているのか?」のメカニズムを「問い合わせ」という軸をベースに明らかにする必要があります。チャーン(解約)を考える上で最も重要なのは、『チャーンしているのは誰か?』を考えることです。

チャーンしているのは誰か

基本的に、チャーンは、プロダクトやカスタマーサクセス、カスタマーサポートなどを内包したサービス全体に対して顧客が不満を抱えているときに起こる可能性が高まります。

しかし、この「不満を抱えている顧客を把握する」というのが非常に厄介で、「私は不満があります!」という声を自らあげてくれる顧客は一握りです。BtoBサービスに関わったことがある方なら誰しも経験があると思いますが、不満を持った顧客のほとんどは、声をあげることはせず、いつのまにか解約になっていて、気づいた時は時すでに遅し、というのはよくある話です。

大前提として、カスタマーサクセス担当者は、「不満をもった顧客のうちどのくらいの顧客が問い合わせというアクションを行うのか」について「Goodmanの法則」を認識しておくのがおすすめです。

Goodmanの法則の代替テキスト
Goodmanの法則の図

Goodmanの法則をものすごく平たく言うと、

問い合わせを行う顧客は、不満をもつ顧客の4%にすぎない
(一部の一部だよ!)

ということです。

問い合わせをしたということは、なんらかの解決したい問題(不満)があり、その課題の解決ために顧客がアクションをとったということですが、この問い合わせをおこなった顧客は不満を持った顧客全体の4%にすぎないということです。

当然、『Goodmanの法則における「4%」という数値が、世の中に存在するすべての事業、すべてのサービスにもあてはまるものなのか?』という問いについては議論の余地はあります。そのため、「問い合わせを行う顧客が何%になるか」については、会社やサービス内容、ビジネスモデル、カスタマーサクセスやカスタマーサポートの体制によって大きく異なります。

しかしながら、不満をもった顧客のうち問い合わせを行う顧客の割合が非常に少ないというのは、カスタマーサポートやカスタマーサクセスに日頃関わる機会がある人にとっては、肌感覚として納得できるものかと思います。

ここで重要なのは「不満を感じたとしてもほとんどのお客様は問い合わせというアクションを取らない」ということです。

なお、もともと「goodmanの法則」はカスタマーサポートから発見された法則とはなりますが、カスタマーサクセス全体から見ても、とても重要な概念なので、ここではカスタマーサポートまでを内包した「より広義のカスタマーサクセスの問い合わせ」という意味で引用しています。

解約(チャーン)する顧客の3つのグループ

不満をもった顧客を「問い合わせを行った顧客」と「問い合わせを行わなかった顧客」に分類し、さらにそれを「解決した」、「解決しなかったか」で分類します。この分類によって、不満をもった顧客はお問い合わせの軸において、大きく分けて6つのグループに分類可能です。
※各グループごとの人数比率は、ざっくりとした数値をいれております。

そのうち、チャーンレート(解約率)が高まるのが次の3つのグループ:①、③、⑤になります。

解約(チャーン)する顧客の3つのグループ2の代替テキスト

チャーンレートを下げるための戦略とは

ここまでで、チャーンが起きている人というのが、問題が解決できない層、①③⑤だったということがわかりました。

従って、①③⑤各々において最適な対策を講じることでチャーンレートを下げることが可能となります。

①のグループ

 ①(問い合わせをしたが、解決できなかった人)は問い合わせを行った顧客であるため、カスタマーサポートや営業担当が対応を行っているはずです。そのため、なるべく①の割合を減らし②(問い合わせをして解決した人)の割合を増加させることができるよう、サポートの品質を向上させることが基本戦略になります。①は問い合わせの数や内容が可視化されやすい傾向にあるため、どの企業でも既になんらかの対策をおこなっていることが多いのではないでしょうか。

③のグループ

 ③(問い合わせや自ら調べることがなく、解決しなかった人)については、取るべきが対策が限定されますが、現実的な選択肢としては、
・調べなくても使いこなせすことができるようなプロダクトを作る
・プロダクト内からヘルプページへの導線を工夫し、調べるハードルを下げる
等が考えられます。

⑤のグループ

 そして、最も重要であるにも関わらず、しっかりとした対策を取っていないことが非常に多いのが、⑤(問い合わせはせず、自力で調べたが解決しなかった人)のグループになります。ほとんどの場合、離脱の明確な原因を把握できないまま、知らないうちに解約されてしまっているケースが多いのがこのグループになります。

極めて重要な点は、①のグループに含まれる解約顧客と⑤に含まれる解約顧客数を比較すると、大半の企業で、「⑤のグループの解約顧客の数」が「①のグループの解約顧客の数」を上回っている可能性が高いことです。にも関わらず、多くの企業で⑤のグループに対して明確な改善の一手を打つことができていない方は多いのではないでしょうか?

コミュニティが発揮するチャーンへのインパクト

随分と前置きが長くなってしまいましたが、チャーンレート改善を考えるときにカスタマーサクセスが優先して取り組むべき顧客セグメントは⑤、つまり「問い合わせはせず、自力で調べたが解決しなかった人」達なのです。

しかしながら、問い合わせをしてこないのですから、当然、顧客が抱える不満や問題を「なぜ解決できなかったのか?」を知ることは容易ではありません。
問い合わせをしてくる顧客であれば、問い合わせの内容をパターン化し、リスト化できるので、原因や傾向を把握することができますが、⑤のグループはそれができません。

そこで効果を発揮するのがコミュニティになります。

株式会社Asobicaが提供しているカスタマーサクセスツールcoorum(コーラム)では、以下の3つの機能を持っています。

・どの顧客がどのようなFAQやコンテンツを閲覧したのが可視化できる

・オンボーディグした顧客とオンボーディングがうまくいかない顧客の行動をタイムラインで可視化できる

・顧客同士の投稿ややり取りのうち、どんなコンテンツが見られているかを可視化できる

これにより、⑤のユーザーがどのコンテンツを理解しているのか、どの投稿に反応しているのかを可視化し、適切なPDCAサイクルを回すことができるようになります。

株式会社Asobicaでは、カスタマーサクセスツール『coorum(コーラム)』の提供を通して、①〜⑥の顧客セグメントのグルーピング、各グループにおける解約率の改善戦略の立案をお手伝いし、事業のスケールアップを支援いたします。

ご興味のある方は、以下のサイトより資料をお問い合わせください。

cxin

株式会社Asobica cxin編集部。
コミュニティやファンマーケティングに関するノウハウから、コミュニティの第一人者へのインタビュー記事などを発信。

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