顧客エンゲージメントを高める方法とは?重要な指標や事例も併せて紹介

2024-02-26 コラム

顧客エンゲージメントとは、企業と顧客が信頼関係にあることです。成熟した市場において、他社と差別化するために重要な指標と考えられています。
本記事では、顧客エンゲージメントの意義や注目される理由、高めるポイントをご紹介します。

顧客エンゲージメントとは

顧客エンゲージメントとは、顧客の企業に対する信頼度を表す指標です。顧客エンゲージメントが高い顧客は商品・サービスを積極的に利用し、周囲に広めてくれる行動が期待できます。

顧客エンゲージメントと似た言葉に顧客ロイヤリティや顧客満足度がありますが、これらとは異なる概念です。

ここでは、顧客エンゲージメントの意義について解説します。

企業と顧客の信頼関係を表すもの

顧客エンゲージメントとは、企業と顧客の間に深いつながりがあり、信頼関係で結ばれていることを表すものです。エンゲージメントとは「約束」や「契約」という意味があり、マーケティングでは信頼や愛着がある状態を指します。企業を信頼している顧客は、他社よりもその企業の商品・サービスを選ぶ可能性が高く、売上アップにつながります。

成熟化して他社との差別化が難しくなっている市場においても、顧客エンゲージメントの高い顧客は自社製品・サービスを利用してくれる可能性が高いでしょう。

顧客ロイヤリティとの違い

顧客エンゲージメントと似たような言葉に、顧客ロイヤルティがあります。顧客ロイヤリティとは、顧客が企業や商品・サービスに対して抱いている愛着や信頼度を数値で表したものです。主に「顧客の感情」に焦点をあてて調査する指標です。売上を高めて他社との競争に勝ち残るには、顧客ロイヤリティの向上が求められます。

これに対し、顧客エンゲージメントは、企業と顧客の双方向のコミュニケーションを示す指標です。「好意的な感想を発信している」「競合より優先して購入する」など、顧客の行動に焦点をあてて評価します。

アプローチは異なるものの自社に信頼・愛着のある顧客を表す概念として共通するものであり、どちらもマーケティングで重要な指標です。

顧客ロイヤリティとは?ロイヤルティを向上させるポイントや事例を紹介

顧客満足度との違い

顧客満足度は、商品・サービスを利用した結果、顧客がどれくらい満足しているかを表す指標です。あくまで商品・サービスに満足したかどうかの結果であり、次も自社を選ぶとは限りません。「満足」の内容も曖昧です。より満足できる商品・サービスを見つければ、そちらに移る可能性があります。

顧客満足度は顧客エンゲージメントを測る上でひとつの指標にはなりますが、顧客エンゲージメントとは異なります。

顧客満足度の高い顧客のエンゲージメントをいかに高めるかが課題となるでしょう。

顧客体験との違い

顧客体験価値(CX=Customer Experience)とは、顧客が企業そのものや展開するブランドに対して抱く「感情的な」価値をいいます。

顧客体験価値は、企業が追求し提供するよう求められる価値の一つです。その結果、顧客は製品やサービスに対して信頼を寄せ、忠誠にも似た感情を抱くこともあるでしょう。

この関係から見ると、顧客体験価値は顧客が得る感情的な価値であり、顧客エンゲージメントは提供する企業・ブランドに対する信頼度の高さという別な指標です。

両者は関連する場合もありますが、本質的には時間軸や因果関係、対象の異なる指標ともいえるでしょう。

顧客体験とは?注目される理由と実践的なマーケティング手法を解説

顧客エンゲージメントが重視される理由

近年、顧客エンゲージメントを重視する企業が増えています。その理由のひとつが、市場競争の激化です。また、インターネットの普及で消費者の購買プロセスが変化していることも理由にあげられます。

時代の変化により、これまでと同じ方法では売り上げを維持することが難しくなっているのです。

顧客エンゲージメントが重視される理由について、詳しくみていきましょう。

市場競争の激化

顧客エンゲージメントが重視されている背景には、市場のコモディティ化により競争が激化している現状があげられます。コモディティ化とは、市場参入時には高い付加価値を持っていた商品・サービスが、市場の活性化により価値が下がって一般的な商品になることです。

付加価値は、ブランド力や品質、性能など、他社と差別化できるものを指します。技術の進化や他社の参入で、市場にはどれも似たような商品・サービスばかりになり、結果としてコモディティ化が起こります。商品・サービスの独自性は薄れ、消費者の選択基準は価格などに移ってしまうのです。

売上を維持・向上させて競争に打ち勝つためには、従来のような新規顧客を増やす方法では対応できません。既存顧客を大切にし、顧客エンゲージメントを高めることが求められます。

購買プロセスの変化

インターネットの普及により、消費者の購買プロセスが変化していることも顧客エンゲージメントが重視されている理由です。誰でも簡単に情報を探せる時代にあって、顧客は企業からの発信を待たずに自ら情報を得て比較検討します。

これまでのように不特定多数に向けた情報を発信しても、膨大な情報の中に埋もれてしまうでしょう。情報があふれる中でも自社の商品・サービスを選んでもらうためには、既存顧客との関係性を強めて顧客エンゲージメントを高めることが必要です。

顧客エンゲージメントを高める3つのメリット

顧客エンゲージメントを高めることで、以下のメリットが得られます。

  • 収益が安定する
  • 口コミにより新規顧客が増える
  • フィードバックが得られる

顧客エンゲージメントの高い顧客は継続的に自社の商品・サービスを利用するケースが多く、収益が安定します。また、好意的な口コミを発信するなど、新規顧客の獲得につながる行動が期待できるのもメリットです。

顧客エンゲージメントを高めるメリットについて解説します。

収益が安定する

顧客エンゲージメントが高い顧客は、信頼している企業の商品・サービスを継続的に利用します。企業自体を信頼しているため、他社に同じような商品・サービスがあっても目移りすることがありません。

継続的に購入してくれる顧客が増えることで、収益が安定します。既存顧客の維持は新規顧客の獲得よりもコストを抑えることができ、より収益の安定化を図れます。

口コミにより新規顧客が増える

顧客エンゲージメントが高い顧客は、信頼する企業の商品・サービスを周りの人に勧める傾向にあります。積極的に好意的な口コミを発信し、プロモーション効果を発揮するでしょう。

顧客エンゲージメントが高い顧客には、UGCの生成も期待できます。UGCとは「User Generated Contents」の略で、ユーザー生成コンテンツのことです。SNSやブログ、動画投稿サイトなど各種ソーシャルメディアに投稿されたコンテンツや、レビューなどのコメントを指します。

多くの人がインターネットで情報を得る時代にUGCは共感を呼びやすく、購買行動に影響を与えるものです。企業が広告を出す方法よりも、高いマーケティング効果が期待できるでしょう。

ユーザーがつくるコンテンツでマーケティングを!UGC(User Generated Contents)について解説

フィードバックが得られる

顧客エンゲージメントが高い顧客は、商品・サービスについて積極的に意見を寄せます。信頼や愛着があるからこそ、気になる点や改良してほしい点をフィードバックするのです。企業はこれら顧客の声をもとに改善を重ね、より良いものへと改良できます。また、今後の商品開発にも活かせるでしょう。

顧客のフィードバックを受け入れて改善・開発に活かすことは、より顧客の信頼感を高め、顧客エンゲージメントをさらに向上させるという循環が生まれます。

顧客エンゲージメントの向上に積極的な企業では、顧客と協働して商品開発を行っているケースもあります。

VOC(Voice Of Customer)とは?現代のマーケティングにおいて重要な理由や収集・分析方法を紹介

顧客エンゲージメントを高める方法

顧客エンゲージメントを高めるには、まず現状の分析が必要です。自社の顧客エンゲージメントについて現状をチェックし、カスタマージャーニーマップを作成しましょう。

マップ上で顧客との接点を明確にし、すべての接点で顧客体験を向上させることが大切です。

顧客エンゲージメントを高める方法について、4つのステップを解説します。

目標を設定する

顧客エンゲージメントを高めるには、まず顧客エンゲージメントの目標を設定することが重要です。「顧客エンゲージメント」は定義が曖昧であるため、具体的な指標を設定することがポイントになります。

たとえば、製品であれば「購入数」だけでなく、「購入頻度」や「リピート数」なども指標となるでしょう。また、Webであれば「訪問数」や「注文数」、「掲載した動画の再生回数」「アンケートへの回答数」などがあります。

重要なのは顧客のどのような行動が、企業やブランドにとって望ましいかを考えて、目標を設定することです。顧客エンゲージメントを高めたいなら、まず「何を目指すか」を定める必要があります。

現状を分析する

顧客エンゲージメントを高めるには、現状のチェックが必要です。顧客エンゲージメントの測定には、以下の指標が役立ちます。

  • NPS
  • リピート率
  • 解約率
  • RFM分析

NPSとは「Net Promoter Score」の略で、顧客ロイヤルティを測る指標です。企業への愛着や信頼がどのくらいあるかを数値化します。

商品・サービスについて家族や友人に勧めたいかどうかを、0~10の11段階で回答してもらい、結果を分析する方法です。顧客満足度の調査と異なる点は、将来の収益性につながるかどうかという点です。

顧客満足度があくまで現状の満足度を表すのに対し、顧客ロイヤリティでは「他者に勧めたいか」という質問により未来の行動を数値化しています。調査結果は、将来的な収益性を予測するのに役立つでしょう。

リピート率は、初回購入後にどのくらいリピートしているかを確認する指標です。1年間のリピート率を求める場合は、以下の計算式で求めます。

  • 1年間のリピート購入者数÷1年前までの購入経験者数×100

顧客エンゲージメントが高ければ高いほど、商品・サービスの利用頻度は高まります。リピート率の数値が高ければ、顧客エンゲージメントが高い現状にあると推測できるでしょう。

また、サブスクリプションなど継続的なサービスを提供している場合、解約率も顧客エンゲージメントを測る指標になります。

解約率は一定の期間内に契約を解約した顧客の割合を示し、1年間の解約率を見る場合は、以下の計算式で求めます。

  • 直近1年の解約顧客数÷1年前の顧客数×100

サービスに満足していれば、解約率は減ります。そのため、解約率が低いほど顧客エンゲージメントは高いといえるでしょう。

RFM分析とは、Recency (最終購入日)、Frequency(購入頻度)、Monetary (購入金額)という3つの指標で顧客を分類する手法です。

例えば、「購入頻度と購入金額の数値は高いが、最近の購入がないため最終購入日の数値が低い」という結果が出た場合、「競合他社に流れている可能性がある」と分析して対策を立てます。3つの指標で顧客を分類することで、効果的な施策ができるマーケティング手法です。

カスタマージャーニーマップで顧客との接点を明確にする

現状がわかったら、カスタマージャーニーマップを作成します。カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品・サービスを認知して購入するまでの行動プロセスを表したものです。顧客の行動パターンや感情といった消費者行動を可視化し、接点を明確にします。

顧客との接点は、Web広告や自社サイト、パンフレット、店舗など、オンライン・オフラインを問わずさまざまな場面を洗い出しましょう。洗い出した接点がどれだけ顧客の満足につながっているのかをチェックしてください。例えばWeb広告の段階では、広告の内容がわかりやすかったか、興味を惹いたかといった項目でアンケート調査を実施する方法があります。ネガティブな回答が多い場合は、課題を見つけて改善しなければなりません。

このあとはカスタマージャーニーマップを作成します。作成により顧客行動の全体像を把握でき、接点ごとに最適なアプローチができるようになります。

すべての接点で顧客体験を向上させる

顧客エンゲージメントは優れた顧客体験を得たときに高まります。カスタマージャーニーマップで洗い出した接点ごとに適切な施策を施し、顧客体験を向上させることで効果的な顧客エンゲージメントの向上を図れるでしょう。 

顧客体験を高めるには、まず従業員すべてが顧客エンゲージメントの重要性を理解しなければなりません。取り組みとしては、以下の内容があげられます。

  • 従業員の接客スキルを向上させる
  • サイト・店舗などの動線を見直す
  • SNSやサイトを通じて顧客が必要な情報を発信する
  • 商品・サービスの購入・契約後に丁寧なアフターフォローを行う
  • ファンコミュニティを運営する

これらの取り組みを通してすべての接点における顧客体験を高めることが、顧客エンゲージメントの向上につながります。

顧客体験については、以下の記事もぜひご覧ください。

CX(カスタマーエクスペリエンス)とは?向上方法と成功事例

顧客エンゲージメントを高めるポイント

顧客エンゲージメントを高めるには、いくつか押さえたいポイントがあります。まず、顧客一人ひとりのニーズに合った商品・サービスを提供することが大切です。

また、顧客エンゲージメントを高める取り組みは、全社で認識を共有して対応することが欠かせません。

ここでは、顧客エンゲージメントを高めるポイントを3つご紹介します。

顧客一人ひとりのニーズに合わせる

顧客エンゲージメントの向上は、顧客一人ひとりのニーズに合わせた商品・サービスを提供する「パーソナライゼーション」が求められます。

Webサービスでも、顧客に合わせてサービスや情報を最適化するパーソナライズが進んでいます。例えば、ネットショッピングで閲覧・購入履歴に基づいた関連性のある商品を勧められるレコメンド機能も、パーソナライズの一例です。

ニーズに合った情報を「知りたい」と思ったタイミングで提供してくれる企業に対し、顧客は自分を大切にしてくれる企業として信頼感を覚えるでしょう。

顧客起点のマーケティングとは?ロイヤル顧客を理解し施策に活かす

全社で取り組む

それぞれの接点で最適な顧客体験を提供するには、すべての従業員が同じ意識をもって取り組まなければなりません。接点ごとの対応にバラつきがあると、顧客の満足感・信頼感は損なわれるでしょう。

顧客エンゲージメントの向上は全社で取り組むことが大切であり、全従業員が顧客エンゲージメント向上の趣旨を理解し、認識を共有して統一された対応をしていかなければなりません。

ITツールを利用する

顧客エンゲージメント向上のプロセスは、ツールを利用することで効率化できます。

まず、顧客の行動・思考・感情を把握するためには、顧客情報や購入履歴など、多くのデータを収集しなければなりません。さまざまなデータを一元管理できるCRMツールが役立ちます。一元管理により、異なる部署・支店間での情報共有も可能です。

Web解析ツールなど、顧客の行動を可視化するツールも役立ちます。顧客行動のはじめは、インターネットによる情報収集でWeb広告などを活用するのが一般的です。これら広告の効果計測で顧客の行動データを可視化できます。

顧客エンゲージメントの向上には、中長期的に顧客との関係性を築くコミュニティの運営も有効です。ファンコミュニティサービスを利用すれば、充実したコミュニティ機能や構築に向けたサポートで、効果的なファンの育成ができます。コミュニティの運営により顧客との継続的な接点を構築でき、最適な施策を講じることが可能です。

コミュニティサイトとは?作り方や運営のポイントを解説

ファンコミュニティの数あるサービスの中でもおすすめなのが、coorumです。ノーコードでコミュニティの開設・運用ができ、コミュニティ内の顧客データを蓄積・分析することができます。自社サイトの顧客データなどとID連携し、解像度の高い顧客分析も可能です。

PDCAを継続的に回す

顧客エンゲージメントを高めていくためには、PDCAを継続的に回し続けることが大切です。

企業活動は、はじめから最後まで成功し続けることなどほぼないといってよいでしょう。その点において、実践から得られる分析結果やフィードバックは改善のためのヒントになります。

実践を繰り返すほど改善点が見えてくるものです。結果だけでなくプロセスにも注視し、改善を重ねていくことが重要です。

顧客エンゲージメントの計測に役立つ指標

顧客エンゲージメントが高められているかどうかを計測するには、設定した目標に適した指標を定める必要があります。

ただ目標に設定できる要素は、顧客の反応や行動、客観的な販売数やリピート数などさまざまです。しかも判断、比較をしやすくするため数値化する必要もあります。

ここで紹介するのは、顧客エンゲージメントを計測するにあたり役立つ指標の例の5つです。これから採用する指標を決めるときの、参考にしてみましょう。

NPS

NPS(Net Promoter Score)は、顧客に対するアンケート調査のなかで「(特定の製品やサービスを)親しい人にどの程度勧めるか」を、ゼロから10までの10段階で回答してもらい、数値化した指標です。

言い方を変えれば、製品やサービスに対する信頼や愛着を表す「顧客ロイヤリティ」を測る指標ともいえます。

計測するために最初にすることは、回答を次の3種類に分類することです。

  • 9・10点:推奨者
  • 7・8点:中立者
  • 0〜6点:批判者

次にそれぞれの割合を計算し、推奨者の割合から批判者の割合を差し引きます。こうして算出した値がNPSです。NPSは推奨者が多いほど高く、批判者が多いほど低くなり、批判者が多すぎるとマイナスになることもあります。

LTV

LTV(Life Time Value)とは、顧客が製品・サービスを利用し始めたから終えるまでに、自社がその顧客から得られる利益を表す指標のことです。顧客がもたらす利益を数値で表すため、企業のマーケティング活動などにおいてとくに重視されています。

LTVは、計算方法が複数あるため、厳密にいうとビジネスごとの使い分けが必要です。しかし一般的には次の計算式で表されます。

LTV=顧客単価×収益率×購買頻度×継続期間

LTVを高めるには、次のような要素が求められます。

  • 顧客単価の高額化
  • 収益率向上
  • 購買頻度の増加
  • 継続期間の長期化

これだけの要素が改善していけば、顧客エンゲージメントもたしかに高まっているといえるでしょう。

解約率

製品やサービスが、定期的に利用が発生するサブスクリプション型であれば、解約率(チャーンレート)が顧客エンゲージメントの計測に役立ちます。

顧客エンゲージメントが高い状態は、顧客が製品・サービスを使い続けたいと感じている、つまり解約率が低い状態です。解約率という「エンゲージメントの逆の指標」を用いて、顧客エンゲージメントを計測します。

解約率の計算方法は次のとおりです。

解約率(%)=一定期間に解約した顧客数(人)÷当初の顧客数(人)×100

解約率は、LTVとも関連のある指標です。計測には、どちらも欠かせない要素だといえるでしょう。

リピート率

製品やサービスに対する顧客エンゲージメントには、「まずは利用してもらうこと」がスタートです。ただし本当の意味でのエンゲージメントといえるのは、その後「また利用すること」といえるでしょう。

リピート率は、初回利用者のうちリピート利用する顧客の割合を表します。リピート率の計算に使うのは次の式です。

リピート率(%)=一定期間のリピート利用者(人)÷累計新規顧客数(人)×100

たとえば、あるネットショップの累計新規顧客数20,000人のうち、ある月のリピート利用者が1,500人だった場合のリピート率は、以下のようにと計算できます。

1,500÷20,000×100=7.5%

レビューの数・質

製品・サービスは、企業を本当の意味で信頼していれば、なんらかの方法で「ほかの人にも勧めたい」「自分の体験談を紹介したい」といった心理になっていきます。

インターネットの普及した現在、取り扱うECサイトやSNS、口コミサイト、企業のWebサイトなどへ寄せられた顧客のレビューの数や質の高さは、顧客エンゲージメントの高まりを表しているといえるでしょう。

重要なのは、ただの「数」だけでなく「質」、つまりレビューの内容の精査です。数は多くても、内容がクレームや不満ばかりなら、エンゲージメントはむしろ低いといえます。

たとえば、SNSでは好意的なコメントの数だけでなく、コメントにつけられた「いいね」や「シェア」の数も重要です。コメントの傾向も含めて、チェックしてみましょう。

ツールの活用で顧客エンゲージメント向上を図った事例

現在、さまざまな企業がツールを用いて顧客エンゲージメントの向上に努めています。ここでは、実際に企業で活用された事例についてみていきましょう。

京セラ株式会社

京セラ株式会社は、顧客の声を集約する場、顧客同士による情報交換の場がないことによる「顧客とのタッチポイントの少なさ」を、乱立していたメディアのファンコミュニティへ一本化することで解消しています。

ファンコミュニティでは、スマートフォン「TORQUE」の最新情報が得られるだけでなく、顧客同士のチャットを使った情報交換が可能です。自社が想定していなかった使い方や使い心地も、意図せずに広まる環境を整えています。

導入事例インタビューはこちら▼
コミュニティにメディアを集約してお客様との交流に注力。仲間に出会える「TORQUE STYLE」

株式会社SUBARU

自動車メーカーである株式会社SUBARUには、既存の会員サイトでのファンによる過度な先鋭化や、一方的な情報発信となっていた活用法に課題がありました。

そこで、ユーザーとは比較的距離のある技術者とをつなぐため、ファンコミュニティを立ち上げ「協創」の実現に努めています。

コミュニティはディーラー店だけではなかなか得られない、技術者の「こだわり」の感じられる情報発信や、ユーザーが日々感じる要望のヒアリングへの活用が可能です。

今後はファンコミュニティにおけるユーザーの行動ログと、すでにあったユーザーのLTVとの相関を調査し、より価値あるツールになるよう期待されています。

導入事例インタビューはこちら▼
データ統合が進むSUBARUの「効果が見えるファンコミュニティ」。お客様と技術者のつながる場を目指して

江崎グリコ株式会社

江崎グリコ株式会社では、誰にもなじみのある製品「お菓子」のメーカーでありながら直接の顧客との接点の少なさが課題でした。

製品のうち看板商品の一つ「ポッキー」について、ポッキーを愛するファンに恩返しするため、ポッキーの持つ理想の世界を発信し、ファンと深くつながる場としてコミュニティ「ポキトモ」を運営しています。

ポキトモで特徴的なのは、チャット「ポキトモchat」です。チャット上で「どのポッキーが好き?」「お花見はどこへいく?」といった、ごく回答しやすいキャンペーンがよく行われ、ファンのコミュニケーション増に貢献しています。

チャットを起点に、より深いキャンペーンも実施は可能です。今後もファンへの恩返しとヒアリングを両立する、欠かせないツールになると考えられます。

導入事例インタビューはこちら▼
ポッキーを愛するファンのためのコミュニティ「ポキトモ」。江崎グリコ株式会社がシェアする体験とは?

株式会社ルネサンス

フィットネスジム運営大手の株式会社ルネサンスは、新型コロナによる休業期間中に顧客との接点が作れなくなったこと、営業再開後も顧客の心理状態をうまく把握できていなかったことが課題でした。

そこで、ロイヤル顧客増とLTVの高まりを目的とした、オンラインコミュニティの運営を開始し、運営を続けています。

コミュニティによって得られたメリットの一つが、自社と顧客の接点が生まれたことです。たとえば、運営スタッフから「自分のレッスンにいらしてください」とコメントを送ったところ、実際に参加してもらえたケースは良い例といえるでしょう。

今後は場所の制限を受けない、全国レベルでの交流も検討されています。

導入事例インタビューはこちら▼
ロイヤル顧客の育成とLTVの向上を目指し、coorumを導入。二人三脚で目指す、リアルとデジタルが融合したコミュニティとは

株式会社すかいらーくホールディングス

さまざまな飲食フランチャイズを展開している、株式会社すかいらーくホールディングスのうち、しゃぶ葉ではより深い顧客への理解と、定性調査の迅速化が課題でした。もともとSNSの運用には力を入れていましたが、顧客理解の面では限界を感じ、自社と顧客、顧客同士の関係が作れるコミュニティ運営をスタートしました。

コミュニティでは、新しい「だし」の開発アイデアが募集されていたり、SNSでも取り上げられることの多かった「独自のしゃぶ葉活用術」や「裏技」などが多数投稿されていたりと、しゃぶ葉にまつわるさまざまな情報が閲覧できます。

運営チームは今後も登録数ではなく、コミュニティから得られた情報をもとに実際の施策に活かすことを目指し、チャレンジし続ける「きっかけ」であり続けることでしょう。


導入事例インタビューはこちら▼
しゃぶ葉に熱い想いを持ったユーザーに限定したコミュニティ「おやさい学校 しゃぶしゃ部」が目指す、ユーザー全員にとって価値のある施策立案とは?

顧客エンゲージメントを高めて他社と差別化しよう

顧客エンゲージメントは、企業と顧客の信頼関係を表すものです。市場競争が激化する現代では多くの企業から注目を集めています。顧客エンゲージメントを高めることで安定した収益を確保でき、UGCによる新規顧客の獲得にもつながります。

顧客エンゲージメントの向上には現状分析が欠かせません。カスタマージャーニーマップの作成により顧客との接点を洗い出し、課題を抽出して改善に取り組みましょう。最適な顧客体験の提供で顧客エンゲージメントを高め、他社との差別化を成功させてください。

cxin

株式会社Asobica cxin編集部。
コミュニティやファンマーケティングに関するノウハウから、コミュニティの第一人者へのインタビュー記事などを発信。

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