顧客起点マーケティングとは?
コロナ禍や原価高騰などの外部環境の変化により、売上や事業運営に影響を受けた企業は多いのではないでしょうか。実際にライト顧客が離れてしまい売上に大きな影響を受けた飲食店や、類似サービスの対等により顧客離れが起きたデジタルサービスなど業界によっては大きな影響がありました。
また、少子高齢化や人口減少により、顧客ターゲットが現象しているという事実もあります。そのような状況では、商品を作ってプロモーションをして売り上げるだけでは差別化しにくく、安定した売上を作りづらくなります。
そこで注目したいのが商品やサービスを愛用してくれているロイヤルカスタマーです。競合よりもたとえ値段が高かったとしても、自社商品を選んでくれる人をイメージするとよいでしょう。ロイヤルカスタマーは会社の売上の多くを占めるだけでなく、自社や競合のサービスに詳しいため、ロイヤルカスタマーの声をマーケティング施策に取り入れることで、安定した売上の獲得につなげることができます。
顧客起点ってなぜむずかしいのか?
顧客起点マーケティングを行うにはVOCを活用する必要がありますが、VOCを集めるためのコミュニティ運用リソースやコストを確保できるのか、それぞれの施策に対してどの程度時間をかけて取り組むべきなのか判断が難しいところがあります。また、収集したVOCは本音なのか建前なのかを見極め適切に活用しなければ成果に繋がりません。
担当者の立場に立ってみると、VOCの貢献度を数値で証明するのは難しいため、自分の成果をどのように証明するのかという課題もあります。このような課題が顧客起点マーケティングに取り組むハードルを上げてしまっているのです。
顧客起点のマーケティングを持続的に実現するには何が必要か
顧客起点マーケティングを実現するためには、ロイヤルカスタマーと持続的なコミュニケーション接点を持ち、VOCが必要なときに助けてくれるロイヤルカスタマーを増やすことが必要になります。
オンラインコミュニティのほかにも顧客接点の持ち方はさまざまありますが、時間軸と関係の深さ軸でセグメントすると、上記の図のようになります。一般的なプロモーションやキャンペーンは短期的に広く浅い認知を取ることができます。同じく短期的な施策では、オフラインイベントや市場調査があり、深いVOCを聞くことができます。長期的な関係であればSNSやオウンドメディアを利用している企業が多くありますが、VOCが浅くなりがちです。
情報過多な社会だからこそ、企業からの一方的な発信だけでは不十分です。ロイヤルカスタマーと長期的な関係を築き、深い対話の場としてオンラインコミュニティが活用できます。
オンラインコミュニティを活用したアイデアの発見
オンラインコミュニティを活用してマーケティングアイデアを発見できるタイミングとして、「顧客ランクが変化した瞬間にあった顧客体験」を捉えることが重要です。
顧客ランクが変化した瞬間にあった顧客体験とは、離反していたカスタマーが復帰したきっかけとなる顧客体験や、ロイヤルカスタマーの購入金額が更に引き上がったなど、カスタマーがより商品やサービスに対してより深い行動を起こした要因となった体験を指します。
coorumでは企業が持つ顧客情報とオンラインコミュニティ上のデータを紐付けることができるので、顧客ランクに変化があった顧客のデータから顧客体験を推測し、アイデアの種を見つけることで、次のマーケティング施策につなげることができます。また、コミュニティ上でVOCを集めたり、アンケートをとることで見つけたアイデアの確認をすることも可能です。
coorumが取り組むコミュニティ事例
ここからは、「顧客ランクが変化した瞬間にあった顧客体験」を捉えて施策を行っている企業の事例をご紹介します。
LTV軸の事例|CAINS
CAINSはカインズのDIYが楽しめる空間や、DIYを楽しむ仲間とのコミュニケーションの場として、Cainz DIY Square(カインズ DIY スクエア)を運営しています。
DIYの醍醐味として「作品を誰かに見てもらえる」、「上達する」ことに注目し、オンライン上で作品紹介ができるようにしたり、DIY上級者のDIYレシピを入手したり提供できる場を作ることで仲間とDIYの楽しさを分かち合うことができるようにしています。
また、体験談や質問を投稿できる掲示板やコミュニティ限定のユーザー参加型キャンペーンを行うことで、DIYに熱狂するロイヤルカスタマーを増やしています。
ユーザーの感情に注目してコミュニティ施策を行った結果、コミュニティをローンチしてから約1年間で、総PVは約400万、累計投稿数約15万、累計いいね数約150万と顧客ロイヤリティの向上とLTVの向上に大きな成果を上げています。
VOC収集の事例|凄麺
ヤマダイ株式会社は、ご当地カップラーメン「凄麺」のコミュニティサイト「すごめんち」を運営しています。商品開発からコミュニケーション戦略までロイヤルカスタマーのVOCやインサイト、アイデアをいつでも収集できる環境が整っています。
VOCをマーケティング施策に活用した事例としては、「訴求力・共感性の高い」キャッチコピーを作成したり、カップラーメンのフタの裏にエピソードを募集する企画を実施し、カスタマーからアイデアを募りました。フタの裏にエピソードを募集する企画を実施した際には、コミュニティへの新規流入率が上がり、ロイヤルか施策への導線づくりに貢献しています。
このようなVOCやUGCはユーザーニーズが反映されているため、プロモーションにおいても、一般的なリスティング広告よりも効果が出た事例が複数あります。
商品開発の事例|ルネサンス
スポーツクラブを運営するルネサンスは、ルネサンス会員とオンラインでつながる場としてRENAISSANCE Colorsを運営しています。
コミュニティのVOCを活用したプロテインの開発を行っており、新フレーバーのアイデアを募ったところ、494件のアイデアが集まりました。
6月には試飲会を実施予定で、ロイヤルカスタマーにサンプルを試飲してもらうことで、製品の絞り込みを行います。ロイヤルカスタマーが自ら参画して作った商品ということで、商品への愛着を感じてもらえることも期待しています。
おわりに
オンラインコミュニティでマーケティングアイデアを発見し、実行している事例をご紹介しました。「顧客ランクが変化した瞬間にあった顧客体験」をしっかりと捉え、施策に落とし込むことで、顧客起点マーケティングは成果に繋がります。VOCを活かしたマーケティング施策を検討している方は、ロイヤルカスタマーと長期的に深い関係を築くことができるオンラインコミュニティを検討してみてはいかがでしょうか?