OMOとは?O2O、オムニチャネルとの違い、導入事例を解説

2023-10-16 コラム

ネットショッピングやスマホ決済が普及し、オンラインとオフラインの垣根なく情報や商品が提供されるようになりました。実店舗を主軸として運営している企業においてもオンラインと連携した取り組みの検討が進んでいるのではないでしょうか。
OMOはオンラインとオフラインのデータを連携し、良質な顧客体験を提供しようとするマーケティング施策です。
ここでは、O2Oやオムニチャネルとの違い、OMO施策に取り組む企業の事例をご紹介します。

OMOとは?

OMOは「Online Merges with Offline」の略で、「オンラインとオフラインの統合」という意味を持ちます。ネットショッピングの普及や、SNSなどを活用したオンライン上でのコミュニケーションが活発になっています。

これに伴い、ユーザーの生活ではオンラインとオフラインの垣根なく情報を収集し、商品を購入するようになりました。

そこで企業もオンラインとオフラインの垣根なく、情報や商品、顧客体験を提供し、売上アップや顧客体験の向上を目指そうとするマーケティング施策としてOMOマーケティングが注目されています。

最近では電子決済が利用しやすくなり、デリバリーサービスの利便性も向上したことでより注目が高まってきました。

実店舗を持つ企業がSNSなどでクーポンを配布し店舗への来店を促したり、店舗の外でも楽しめるゲームやコンテンツを提供したりとオンライン取り組みを広げる例も見られます。

ユーザーはどこまでがオフラインでどこからがオンラインかということは、ほとんど意識せずに利用するため、オフラインとオンラインをシームレスに統合し、企業全体として満足度の高い顧客体験を提供できるようOMO環境を構築できるとよいでしょう。

OMOとO2O、オムニチャネルの違い

OMOと似た言葉に「O2O」と「オムニチャネル」があります。それぞれの違いを見ていきましょう。

O2Oとの違い

O2Oは「Online to Offline」の略であり、オンラインからオフラインへの送客を目的としています。メルマガやSNSで店舗でのイベントを告知し、実店舗への来店を促す施策などがO2Oにあたります。オンラインとオフラインを統合した環境を構築するOMOよりも比較的取り組みやすい一方、その効果は限定的です。

オムニチャネルとの違い

オムニチャネルは、販売チャネルの統合を目指し販売機会の拡大を目指す施策です。実店舗とECサイトの在庫データを連携し、どちらでも購入できるようにすれば、どちらかで在庫が切れてしまっても販売機会を逃しにくくなります。オムニチャネルは、OMOよりも販売施策に特化した言葉と考えることができるでしょう。

OMOのメリット・デメリット

次にOMOのメリットとデメリットをそれぞれ見ていきましょう。

OMOのメリット

まずはOMOのメリットです。

より高い精度で顧客ニーズを把握できる

オンラインとオフラインの顧客データを連携し、コミュニケーションを取るOMOでは、よりユーザー像やニーズを明確に把握できるようになります。購買履歴や問い合わせ内容、商品の在庫状況に加えて、SNSやコミュニティサイトを運営してユーザーの声を拾うことができれば、商品の改善や新商品の開発、広告のキャッチコピーなどの改善も可能です。

顧客体験が向上する

先述の通り、OMO施策により顧客ニーズが明確になることでパーソナライズされた体験を提供できるようになります。欲しい商品や欲しい情報が的確に提供される体験は心地よく、ブランドやサービスの顧客体験を高めることにつながります。

また、実店舗やネットショップの他に、SNSやコミュニティサイトを活用して、企業とユーザー、またユーザー同士のコミュニケーションの場を作ることができれば、ブランドやサービスに対して愛着を持つユーザーにより深い顧客体験を提供することもできます。

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LTVが向上する

OMOを推進することで販売機会の損失を抑えると同時に、顧客体験を向上させることができれば、それに伴ってLTV(Life Time Value)の向上も期待できます。LTVとは生涯を通じてユーザーが自社にもたらしてくれる価値のことです。「このブランドで買いたい」という強い愛着を持つユーザーを持つことができれば、売上の向上にもつながります。

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OMOのデメリット

次にOMOのデメリットです。

成果が出るまでに時間がかかる場合が多い

データベースを統合したり、コミュニティサイトを立ち上げたりしてOMOの環境が整ったとしても、すぐに成果が出る訳ではなく、長期的なコミュニケーションや分析を重ねた結果として顧客体験の向上やLTVの向上につながるものと考えるべきでしょう。

OMO施策は短期的な数値として成果が出にくいため、社内の理解が得にくい、運用を継続できないなどが課題になる可能性がある点はデメリットといえるでしょう。

データベースの構築や運用のハードルが高い

OMOを推進するにあたり、データベースの統合が欠かせませんが、すでに利用している複数のデータベースを統合するのは骨が折れる作業になることが少なくありません。例えばオンライン、オフラインそれぞれで別々の顧客データとして管理している場合には、名寄せ作業が必要になります。

また、データベースの統合によりシステム変更が発生した場合には、使用するスタッフ全員が操作を覚え直さなければならない場合もあり、規模の大きな企業ほどハードルが高くなる可能性があります。

OMOの施策例

企業で取り組みが進んでいる具体的なOMO施策を見てみましょう。

モバイルオーダー

モバイルオーダーは自宅など店舗以外の場所からスマホから商品を注文するサービスで、主に飲食店のテイクアウトで利用されています。レジに並ぶことなく注文できたり、受け取るまでの待ち時間を短縮できたりとユーザーメリットが大きなサービスです。企業としては顧客情報と来店情報を紐づけて、マーケティングや商品開発に活用できる点がメリットです。

テーブルオーダー

テーブルオーダーは飲食店のテーブルに設置された端末やユーザーの手持ちのスマホを利用して注文ができるサービスです。注文を取る業務が軽減できるためその他のサービス向上に注力したり、人員不足にも対応できます。ユーザーにとっては、セットメニューなどの注文がしやすくなったり、非接触で注文できる点がメリットです。

モバイル決済

モバイル決済はQRコードなどを用いてスマホアプリで決済ができる仕組みです。スマホアプリを利用することを前提に、最低限の現金のみを持ち歩くユーザーも増えてきました。また、企業としても購入データと顧客情報の紐づけができ、クーポンの配布やレコメンド商品の提案がしやすくなるなどのメリットがあります。

ポイント・クーポン

スマホアプリユーザーやメルマガ会員向けに購入金額に応じたポイントを付与したり、クーポンを配布するのもOMO施策の一つです。スマホアプリではログインに応じてポイントを付与することで自社の情報への接触頻度を高めることも可能です。

オンラインコミュニティ

オンラインコミュニティは企業やブランドへの愛着を持つユーザー向けに企業が運営するファンサイトです。オンラインコミュニティの会員と企業が直接コミュニケーションを取れる場を持つことで、ユーザーの好感度がより高まったり、企業はユーザの声(VOC)を直接集められたりというメリットがあります。会員限定でイベントを開催したり、商品企画に参加する機会を提供したりして、ユーザーと対面してコミュニケーションを取る場を設けることも可能です。

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OMOに取り組む企業の事例

続いて、実際にOMOに取り組んでいる企業の事例をご紹介します。

ニトリ

家具を販売するニトリでは、スマホアプリを活用したOMO施策が実施されています。スマホアプリにはニトリの店内で撮影した商品をECサイトで購入できる機能や、反対にECサイトで見つけた商品が店内のどこにあるのか表示する機能があり、実店舗とECサイトをつなぐ工夫がされています。また、店内の商品バーコードをアプリで読み取りそのまま購入できる仕組みもあり、大型な家具ならではの買い物の不便さを解消しています。

セブン&アイ・ホールディングス

セブン&アイ・ホールディングスはセブン・イレブンやイトーヨーカドーなど複数のブランドを運営しています。あらゆるブランドで購入時に付与するポイントをセブンマイルプログラムに統一することで、顧客の購買データや行動データを一元管理し、グループを横断したアプローチを実現しています。

Zoff

メガネの販売を行う「Zoff」は実店舗に加え、ECサイトでの販売を行っています。メガネの購入には視力の測定が必要になるため、ECサイトでの販売には課題がありましたが、実店舗とECサイトの顧客データを連携するOMO施策を実施したことで、ECサイト上でもスムーズにメガネを購入できるようになっています。

CHOOSE BASE SHIBUYA

「CHOOSE BASE SHIBUYA」は、大手百貨店を経営する西武・そごうが2021年にオープンしたOMOストアです。実店舗でありながら、スマホ上でWebカタログを見て商品情報を確認する仕組みで新しい顧客体験を楽しむことができます。

また、実店舗とECサイトは在庫連携されており、店舗で実物の商品を見ながらECサイトで注文したり、ECサイトで注文した商品を店舗で受け取ったりすることもできます。

カインズ

ホームセンターを経営するカインズは、店舗に来店していない時間も含めてお客様の生活と繋がることを目指して、オンラインコミュニティを立ち上げました。既存の顧客データとファンコミュニティ上の顧客データを連携することで、店舗で体験したワークショップの後日談や感想などのVOCを収集でき、その後の施策に生かされています。

導入インタビューはこちら▼

DIYをライフスタイル(生活文化)に!カインズが取り組む「コミュニティ」の導入背景と展望とは

OMOマーケティングの実現に必要なこと

OMOマーケティングを成功させるためには次の3点を実現させるべきでしょう。

データベースの統合と有効活用

OMOは、顧客情報や購入履歴、行動履歴などのデータを適切に連携し、活用できてこそ期待する効果が発揮できる施策です。ECサイトやファンコミュニティ、スマホアプリ、実店舗の購買データなど異なるチャネルで発生したデータもシームレスに統合することが求められます。データの統合は企業のデータ活用だけでなく、ユーザーにストレスを与えないという意味でも重要なポイントです。

顧客接点を持つチャネルを増やす

より深くデータを活用するためには、より多くのデータを収集することが重要です。そのためには複数のチャネルを設け、顧客接点を増やすことが必要になります。利用できるチャネルが増えると、収集できるデータが増えるだけでなく、ユーザーの利便性も高まるため顧客満足度の向上も期待できます。

良質な顧客体験

チャネルを増やし、データ連携ができてもユーザーに利用してもらわなければOMOマーケティングは成立しません。実店舗での接客はもちろんのこと、オンライン上での接点においても良質な顧客体験を提供し、繰り返し利用してくれるユーザーが増えることで、より有効なOMOマーケティングが実現します。

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おわりに

OMOについてご紹介しました。顧客データを活用し、シームレスな顧客体験を提供できるOMOはユーザーと企業の双方にとってメリットが大きい施策です。マーケティング施策は購入体験そのものに目が行きがちですが、購入の前にあるユーザー同士、企業とユーザーのとコミュニケーションの間には、良質な顧客体験を提供できる可能性が十分にあります。実店舗での購買体験、ネットショップでの購買体験、アプリやオンラインコミュニティでの接点と、多様な視点でOMOに取り組むことが企業やブランドの価値を高めることにつながるでしょう。

cxin

株式会社Asobica cxin編集部。
コミュニティやファンマーケティングに関するノウハウから、コミュニティの第一人者へのインタビュー記事などを発信。

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