リテンションレート(顧客維持率)とは?計算方法や改善施策の例

2024-08-27 2024-08-27 コラム

リテンションレート(顧客維持率)は、特定の期間内に商品の購入を続けた顧客の割合を示す言葉です。新規顧客を獲得する難易度があがるなか、既存顧客の継続率はビジネスの成否を分かつ要素となりつつあります。
今回はリテンションレートを重視すべき企業や計算方法、具体的な施策例などを紹介します。

リテンションレート(顧客維持率)とは

リテンションレート(顧客維持率)は、継続的に自社の製品やサービスを購入する顧客の割合を表すものです。お客様の満足度を測る指標としても用いられ、顧客定着率と呼ばれる場合もあります。

顧客維持率が高い=顧客からの評価も高いといえ、利益の安定をもたらし、将来的な発展も期待できるでしょう。一方で顧客維持率の低さは、利用者が製品やサービスに不満を抱いている証です。

直ちに顧客のニーズを把握し、ビジネスモデルや商品の改善に乗り出すべき状況です。まずはリテンションレートの種類や、顧客維持率を重視するべき企業を紹介します。

リテンションレートの種類

リテンションレートには、次の3つの種類があります。

  • フルリテンション:毎日、商品を使う顧客だけをカウントする方法
  • クラシックリテンション:利用開始から1か月経過した顧客だけをカウントする方法
  • ローリングリテンション:任意の期間内に一度でもサービスを利用した顧客をカウントする方法

採用する指標は、自社のビジネスモデルやサービスに合わせて決めましょう。月額課金型のSaaSの場合、クラシックリテンションかローリングリテンションに絞られます。

リテンションレートを重視するべき企業

リテンションレートはBtoB・BtoCにかかわらず、顧客に商品を提供する企業なら意識したい指標です。

なかでも、サブスクリプションモデルやリテンションモデルを取り入れている企業は、とくに重要な概念です。これらのビジネスモデルで、顧客維持率が重要になる理由を詳しく解説します。

サブスクリプションモデルの企業(継続利用サービス)

継続した利用があって初めて利益が発生するサブスクリプションモデルでは、リテンションレートの測定が不可欠だといえます。

「初月無料」や「契約後3か月は特別キャンペーン」などで利用を促進していますが、契約を獲得しても、長期で継続を得られないと十分な売上は望めません。

お試し利用の時点で毎月お金を支払うほど使い続けたくないと判断されると、多くのケースで赤字を余儀なくされます。サブスクリプションモデルでビジネスとして通用する水準の収益をあげるならば、顧客維持率への意識は避けられないでしょう。

近年は音楽や動画から車、ソフトウェアに至るまで、サブスクリプションモデルの提供に励む業種が増えつつあります。

リテンションモデルの企業(SaaSや消耗品など)

リテンションモデルとは、顧客に商品を継続的に提供して成り立つビジネスモデルのことです。

たとえば、定期刊行が可能な商材や、定期的な購入が基本となる生活必需品などを扱う企業が該当します。また、会計ソフトやCRMのようなSaaS系サービスも、リテンションモデルの代表例です。

一度商品を購入した顧客は問題がなければ、同じ製品を繰り返し選択する傾向にあります。一方でリテンションモデルが扱うのは、明確な理由がないのに他社へ流れてしまう可能性もある商材です。

意図せぬ顧客の流出を防ぐためには、リテンションレートを逐一観察し、数値が低い場合はサービスの改善に乗り出すことが大切です。

リテンションレートの計算方法

リテンションレートは必要な材料をそろえさえすれば、シンプルな計算式に当てはめて、簡単に算出できます。計算式や具体的な計算事例をみてみましょう。

リテンションレートの計算式

顧客維持率の算出にあたっては、次の情報が必要です。

  • 期間開始時点での既存顧客数
  • 期間中に獲得した新規顧客数
  • 期間終了時点での総顧客数

対象期間は1年や半年、四半期が一般的ですが、顧客継続率が重要な企業では、より短いスパンで測定することもあります。

リテンションレート(CRR)の計算式は次のとおりです。

  • (期間終了時の総顧客数-期間中に増えた新規顧客数)÷期間開始時の既存顧客数×100

より簡略化して、継続顧客数÷新規顧客数×100で求める方法もあります。

リテンションレートの計算例

具体的な事例をもとに、実際にリテンションレートを計算してみましょう。対象期間が4月1日から翌年の3月31日までの1年間、期間開始時点での既存顧客数が1,000人、期間中に増加した顧客数が600人、終了時点での総顧客数が1,000人だとします。

  • (1,000-600)÷1,000×100=40%

期間が変わっても、数字を変更して再度計算式に当てはめるだけで、容易に算出できます。リテンションレートが判明したら、競合他社と比較して業界の平均と比べて高いのか低いのか把握しましょう。

既存顧客の維持に関しては、有名な「5:25の法則」を押さえましょう。これは離脱率が5%低下すると、少なくても25%の利益が改善することを示した法則です。

リテンションレートを改善するメリット

リテンションレートは近年重要度を増しつつあり、今やあらゆるビジネスで注視が必要な指標だと定義しても過言ではありません。

なぜなら、LTV(顧客生涯価値)の向上やCAC(顧客獲得単価)の改善を通して、企業の利益を押し上げられるためです。

また、顧客との信頼関係の構築という目に見えないポジティブな影響までもたらします。リテンションレートの改善で得られるメリットを、詳しく解説します。

LTV(顧客生涯価値)を向上させられる

顧客維持率が高いとは、言い換えれば優良客(リピーター)の多さを表し、顧客が生涯の間にもたらす利益を示すLTVの向上に直結します。なぜならリピーターは購入頻度が高い上に、新規顧客よりも販売単価が高い傾向にあるためです。

LTVの向上に成功すれば、顧客全体の数が多くはなくても安定した売上が見込め、企業の長期的な発展につながります。契約を獲得しても一度だけの利用で解約されたり、他社に流れてしまったりすれば、LTVは改善しないでしょう。

近年はサブスクリプションモデルが普及し、消費者は初期費用を投じずに、興味がある商品をお試しで利用できるようになりました。新規顧客の獲得のハードルが下がった反面、気に入られないと即座に離脱するリスクへの対処が必要な状況が訪れています。

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CAC(顧客獲得単価)の改善できる

リテンションレートを向上できれば、新規顧客の獲得に集客コストを投じずとも、既存の顧客だけで利益を得られます。顧客の獲得に要した費用の総額を表すCAC(顧客獲得単価)の低減が可能です。

ビジネスやマーケティングの鉄則として、新規顧客の獲得には既存顧客の維持と比べて、5倍ものコストがかかると示している「1:5」の法則があります。

ゼロから顧客を得ようとすると、広告の出稿やコンテンツの拡充、営業など多くの施策を講じる必要からコストが高騰します。興味や関心を惹きつけても購入に至る割合は限られるため、費用対効果が見合わない残念な結果に陥りやすいでしょう。

すでにサービスや商品の魅力が伝わっている既存顧客が相手なら、数々の施策を行わずとも、クロスセルやアップセルが実現しやすくなります。結果的にCACを抑えられるため、既存顧客の継続率をわかるリテンションレートを負い続けることで、コストパフォーマンスの高い営業活動が実現します。

顧客との関係構築に良い影響を与えられる

顧客維持率が高い企業は、顧客満足度も高めです。総じて顧客との間で良好な関係を構築できている傾向にあります。リテンションレートを重視して、数値が悪化したら次々と施策を実行に移す企業は、顧客を大切にする信頼できる会社だとリピーターからの評判が高まります。

他のサービスでは得にくい良質な顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)が得られ、長期的にサービスを選び続けるようになるでしょう。定期的に商品を購入する顧客は満足度が高いため、企業が働きかけなくても、良い評判をSNSや口コミで広める可能性があります。

信頼できる企業だと認知を得られれば、人づてで新規顧客を獲得につながるケースも多々あります。このような好循環が生まれるのは、高いリテンションレートを突き止めた結果です。良好な数字の裏には、顧客目線を重視した施策の立案・実行があります。

リテンションレートを改善させる施策例8つ

リテンションレートの改善に効果的な施策を、8つ紹介します。

初回利用時に使い方の説明を行う

新規利用者向けに、初回の説明を丁寧に行うのが一つです。商品の魅力を感じて契約しても、機能が複雑で使い方がわからないと、即離脱するリスクが伴います。新規利用者を対象にサービスへの理解度を高め、自走して使いこなせるまで支援するオンボーディングが必要です。

具体的な手法には、画面上にスライドを表示して使い方や特徴を伝えるウォークスルー、画面に吹き出しや矢印を出して説明を加えるコーチマーク、段階的に適切なアクションを提示するチュートリアルなどがあります。

カスタマーサポートチームが支援に入り、複数の手法を組み合わせて習熟度の向上を図るのが一般的です。

オンボーディングではひととおり操作方法や使い方を教える必要がありますが、長すぎるチュートリアルは逆効果です。製品の理解が不十分な状況で一方的に説明をまくしたてると、ユーザーはストレスを感じてしまうでしょう。

必要に応じて、マニュアルをスキップできる機能を実装し、スムーズな理解を促す配慮も求められます。

一方で、簡単に操作手順を飛ばせると必須の機能の説明まで省かれる恐れがあります。オンボーディングを適切に行うには、実際のユーザーを想定して何をどの粒度で説明すれば良いか、詳細な設計が必要です。

チュートリアルでは、必要以上にユーザーの手を煩わせないことも意識すべきです。初回の登録や操作説明の際に余計な会員登録を求める仕様だと、手間がかかり、利用を躊躇われるでしょう。

ログインのたびに、生年月日や氏名を入力するようでは面倒です。SNSとのAPI連携を通じてアカウントを同期させる仕様を取り入れれば、慣れていない当初の段階でもスムーズにチュートリアルへと移行しやすくなります。

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インターフェース改善して顧客体験を向上させる

Webサービスやアプリの画面が見にくく、使いたい機能の表示方法がわからないと、ユーザーはストレスを感じてしまうでしょう。

操作性が悪いとUX(顧客体験)が阻害され、利用を止めてしまうリスクが高まります。顧客体験を向上させるには、快適な操作性やスムーズな操作環境が欠かせません。

リテンションレートを高めるUX設計の基本は、「適切なオンボーディング」と「スムーズな疑問解消」です。

契約後サービスの利用までスムーズに移行できれば、顧客体験は向上します。反対に操作方法が難しく、カスタマーサポートの支援も不十分だとサービスの価値を実感できず、解約率の向上を引き起こしかねません。

疑問や不安が生じたときは回答が得られるのはもちろん、対応のスピード感も重要です。問い合わせ後に何日も待たされると、丁寧で的を射た回答でも、顧客満足度は低下してしまうでしょう。

インターフェースの改善ではアクセス解析ツールを用いて、Webサイトやアプリのどの段階で離脱が多いか確かめるのが効果的です。離脱要因となり得るページのファーストビューに情報を追加し、一目でわかる状態にするだけでも、UXの改善効果を期待できます。

インターフェースの改善では、一般的に、改修の規模とユーザーからの印象の変化は比例しません。リテンションレートのボトルネックを突き止め、的を射た対策を施せば、小規模な対応でも目覚ましい効果をもたらす場合があります。

通知機能を活用してメッセージを配信する

通知機能を実装して、ユーザーがアプリやWebサイトを利用していないときも、コンタクトを取れる環境を整えるのも有効です。契約して何回か使っただけで、利用を中断したユーザーの興味関心を引き戻すきっかけとなるためです。

リテンションレートの改善が目的の場合、アクティブユーザー数の増加とは通知の頻度や内容は異なることに注意しましょう。また、プッシュ通知は休眠顧客を掘り起こし、サービスの再開を促したいときにもおすすめします。

たとえば1か月や3か月など期限を設定し、一定期間利用がないユーザーに通知を出す機能を実装します。単にお知らせを流して忘れていたユーザーの興味を再度惹きつける以外に、期間限定ポイントの配布も効果的です。

利用履歴などに応じたメッセージを送信する

アプリやWebサイトの閲覧履歴や行動履歴に応じて、パーソナライズ化を施したメッセージを送るのも効果的です。悩みや課題に合致したテキストを読んだユーザーは、利用者全員に向けた画一的なメッセージと比べて、反応を返す確率が高くなります。

ニーズをしっかりと捉えた対応によって、企業や商品へのイメージもよくなるでしょう。リテンションレートの改善には、顧客との関係強化が必要となります。その際に重要なのが顧客とのコミュニケーションに応じて、一人ひとりに合わせた対応ができているかどうかです。

個人ごとに最適化する取り組みはパーソナライゼーションと呼ばれ、近年のマーケティングでは重要度が高まっている概念です。マーケットは飽和状態にあり、商品の質で競合他社と差別化を図るのが難しくなり、ブランディングには別の切り口が必要な状況が訪れました。

よりいっそう、顧客一人ひとりに応じてチャネルやコミュニケーションの取り方を考えるパーソナライゼーションが重要です。

ユーザーの利用履歴を計測できる、さまざまなツールが登場しています。日々忙しいマーケターが業務の時間を確保するには、これらの積極的な活用が必須だといえます。一つのツールでリテンションレートの解析からメール配信まで、一元的に対応できる種類もあるほどです。

たとえば、MAツールのCRM機能を通じて、顧客との関係性を把握した上でセグメントに応じたメルマガのステップ配信が可能です。

メッセージの送信やプッシュ通知を、人の手を介して行うには限界があります。パーソナライゼーションを意識した各種施策の立案や実行には、便利なツールを積極的に取り入れてみてください。

コンタクトセンターなどのサポートを充実させる

リテンション率の改善を促す基本的な戦略の一つが、顧客対応の品質を向上させることです。とくに不明点があるときや、トラブルが発生したときの最初の接点となるカスタマーサポートの充実度は極めて重要だといえます。

昨今はAIを搭載して、顧客との対応を自動で行うチャットボットが登場しました。人の手を介した対応とは異なり、担当者ごとの回答にばらつきがなく、24時間365日正確無比なサポートを提供できるのが利点です。

入力した個人情報や機密情報の流出というセキュリティのネックがあるものの、コンタクトセンターの品質向上に役立ちます。

問い合わせページにAIチャットボットを組み込み、定型の問い合わせ対応は一任し、複雑な問い合わせにはコールセンターのスタッフにつなぐような段階的な体制を整えるのも効果的です。

メールやSNSなどで顧客接点を増やす

リテンションレートの改善には、メールやSNSの活用による顧客接点の増加も有効です、心理学で使われるザイオンス効果にもあるとおり、人は接触回数が増えるほど、相手に好感や愛着などのポジティブな印象を抱く傾向があります。

SNSは大企業から個人事業主に至るまでさまざまな規模・業界が公式アカウントを運用していて、今やネットに限らずビジネスに不可欠なツールとなりました。SNSを使っていないだけで競合から後れを取り、顧客との関係構築や取引先の開拓で不利に立たされる恐れもあります。

顧客接点の増加でポイントとなるのは、複数のチャネルの掛け合わせです。顧客とかかわるチャネルにはさまざまな種類がありますが、オムニチャネル戦略で接点となる場が広がれば、媒体関係なく、いつでも見込み顧客やリピーターとコミュニケーションを図れます。

WebサイトやSNS、メルマガなど複数の手法を組み合わせれば、認知度の向上にも寄与するでしょう。企業独自に収集したファーストパーティデータを分析に活用して、最適な広告配信にも活かせて一石二鳥です。

アンケートなどを活用して改善の方向性を探る

リテンション率が低い理由がわからない場合、手当たり次第に施策を実行に移そうとせず、まずは顧客理解を深めましょう。アンケートや対面インタビューを実施して、既存顧客の本心の理解に努めます。

リテンション率が低いのは、端的にいえば顧客の満足度が低いのですが、深掘りすると次のような本音が見えてきます。

  • プッシュ通知が多すぎて煩わしい
  • 操作の説明が不十分でわかりにくい
  • カスタマーサポートが無愛想で頼りにくい

何が不満なのかわかれば、改善の方向性が定まり、講ずべき対策を判断できます。

休眠顧客にもフォローを行う

リテンション率をあげるには利用を中断している休眠顧客へのフォローも欠かせません。長い間、サービスの利用から遠ざかっていても、契約が残っているならアプローチする意義はあります。

休眠顧客になった背景を掘り下げると、「期待値を大きく下回った」「継続的に利用するほど価値を感じられない」などの不満が隠されています。

アプローチ方法はメルマガの送付やプッシュ通知の送信など、他のユーザーと同じ方法です。ただし、顧客のネガティブな感情を捉えた配信が求められます。

リテンションレートが低くなる原因

リテンションレートが低いときは早急に状況を調査し、原因の究明に乗り出しましょう。一般的に顧客維持率が低くなりやすいのは、次のシチュエーションです。

  • 顧客との関係構築に問題がある
  • UX(顧客体験)に問題がある
  • サービスの魅力を伝えきれていない
  • 過剰なアプローチを行っている

それぞれリテンションレートにどのように悪影響を与えているか詳細に解説します。

顧客との関係構築に問題がある

既存顧客と良好な関係が構築できていないと、ユーザーはしびれを切らして利用を中断してしまうでしょう。サービスや商品の質に問題がなくても、コミュニケーションの取り方やビジネスマナーで不快な思いをさせたために、途中解約に終わるケースも多々あります。

問い合わせを受けたら素早く対応し、迅速に顧客の問題を解決することを重視しましょう。定期的に何度も商品を購入しているロイヤル顧客には、新規顧客やサービスの利用期間が浅い顧客より手厚く対応を行うのもおすすめです。

すべての顧客に同じような対応では、ファンやリピーターは物足りなさや不満の原因になりかねません。対応に差をつけるのは差別の類ではなく、何度も買い続けているロイヤル顧客への感謝の現れです。

しかし、人によっては自分だけ優遇を受けることに居心地の悪さや申し訳なさを感じるのも事実です。顧客との関係構築を改善する方法は関係性に応じて無数にあるため、まずはアンケートやインタビューを実施して顧客の気持ちの把握に努めてはいかがでしょうか。

UX(顧客体験)に問題がある

アプリやWebサイトのUX(顧客体験)に問題があると、ユーザーは使い勝手が悪いと感じて、離れてしまうでしょう。

UXは便利さや楽しさにとどまらず、さまざまな要素を内包しています。情報アーキテクチャ論の祖とも称されるピーター・モービル氏が提唱したUXハニカムでは、UXを次のように定義しています。

  • Useful(有用性)
  • Usable(使いやすさ)
  • Findable(探しやすさ)
  • Credible(信頼性)
  • Accessible(アクセスしやすさ)
  • Desirable(好ましさ)

開発した商品がユーザーの目的を満たし、課題を解決できる有用性を備えているのは大前提です。利用者の課題を解消させられる製品か、ユーザーのニーズに即したサービスを提供しているかは必須の確認事項です。

使いやすさとはWebサービスでいえば、画面設計やCVへの動線設計が該当します。ボタンが小さくクリックしにくい場合や、テキストの文脈と関係ない位置にリンクがあると、ユーザーは使いにくいと感じるでしょう。

探しやすさとは探している情報にストレスなく、辿り着けるかどうかです。たとえば、Webサイトの構造が複雑で目的のコンテンツの場所がわからなければ、顧客の満足度は低下します。いくら有用で役立つ情報を提供していても、ユーザーの目に触れなければ意味を成しません。

信頼性とは、提供するコンテンツの正確で過不足がないかを表す概念のことです。企業が虚偽で不正確な情報を掲載していると、ブランドの価値下落まで招きかねません。

アクセスのしやすさは近年重要度が増しつつある概念で、ITリテラシーの不足や障害などハンディキャップがある人も容易にアクセスできる環境の構築を指します。

目が不自由な高齢者には音声読み上げ機能を実装すれば、Webコンテンツも難なく楽しめます。利用者を限定せずに、多くの人が使いこなせる機能性があるサービスが選ばれる時代です。

最後の好ましさとは、端的にいえば、ブランドや企業に対するイメージです。サービスが素晴らしい機能性を備えていても、提供企業に今まで抱いていた感情とマッチしないと、ユーザーは違和感を抱きます。

顧客体験の向上では、ブランディングやマーケティングとの整合性を意識する必要があります。

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サービスの魅力を伝えきれていない

商品やサービスが魅力的なものであっても、それが十分に伝わらなければ顧客維持率の低下をもたらします。製品の質が高く、顧客との良好な関係の構築に成功していても、利用者が商材の価値を把握していなければ離脱します。

良い商品を提供すれば自然に顧客はつくだろうと悠長に構えず、積極的に情報を発信して、自らの独自性や魅力を取引先に伝える努力できると良いかもしれません。たとえば、商品開発秘話や創業者の思いなどは、日頃から深くかかわりをもつ相手なら興味があると感じるでしょう。

提供するブランドや企業、創業者も相まって、商品の魅力を構成します。伝える情報に不足がないか、伝え方に問題がないか、今一度見直してみてはいかがでしょうか。

過剰なアプローチを行っている

過剰なアプローチはユーザーに嫌悪感を与え、サービスの利用を敬遠するばかりか、怒りの感情をもたらす可能性もあります。

登録したアプリのプッシュ通知の回数が多すぎて、宣伝がましく嫌な思いをした経験がある方はいるでしょう。自社の製品のよさを一方的に訴求すると、ユーザーは押しつけがましいと感じて、他のサービスに乗り換えるきっかけを提供します。

アプリのプッシュ通知やメルマガはユーザーの行動を促す強力な方法ですが、頻度や内容をパーソナライズしてこそ、効果を発揮します。不快感を与えないよう頻度には細心の注意を払い、メッセージの送付では読む負担を下げるため文量への配慮も必要です。

リテンションレートを意識して施策を進めよう

新規顧客の獲得はコストがかかり難易度も高いなか、既存顧客をいかに維持できるかがビジネスの成否を分かつ時代となりました。今やリテンションレートは、サブスクリプションモデルやリテンションモデルを取り入れる企業のみならず、すべての企業が注視すべき指標です。

顧客維持率を高める施策に注力し、LTVの向上やCACの低下を実感できれば、利益率のアップに直結します。また、既存顧客の口コミや書き込みによって、広告を出稿せずとも自然に企業の評判があがりやすいのも利点です。

リテンションレートが低い原因は複数考えられますが、大事なのは顧客のニーズを捉えて、パーソナライズした対応を施すことです。

「何をすれば顧客維持率が改善するかわからない」「実行した施策がうまくいっているか知りたい」などの悩みを抱える方は、ぜひお気軽にご相談ください。

cxin

株式会社Asobica cxin編集部。
コミュニティやファンマーケティングに関するノウハウから、コミュニティの第一人者へのインタビュー記事などを発信。

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