
ポストクッキーとは、プライバシー保護のため、Webブラウザでクッキーを使用せずにユーザーの行動や設定を追跡する新しい方法です。クッキー規制の流れを受けて、ポストクッキー時代の対策が検討されています。
本記事では、ポストクッキーの概要やポストクッキー時代に必要な対策、自発的なデータ取得として期待されるゼロパーティデータについて解説します。
ポストクッキーとは?
ポストクッキーとは、Webブラウザでクッキーを使用せずにユーザーの行動や設定を追跡する方法です。プライバシー保護という観点からクッキーの規制が推奨され、クッキーの代替手段として推進されています。
ここでは、クッキーについて確認し、ポストクッキーの流れについて解説します。
そもそもクッキー(Cookie)とは
クッキー(Cookie)とは、Webサイトにアクセスした際、ユーザーのブラウザに保存されるファイルのことです。閲覧履歴や入力したデータ、ID、利用環境などの情報が記録されます。
サイトはユーザーが過去に訪問したことを覚え、ユーザーの設定やログイン状態を維持できる仕組みです。これにより、ユーザーの利便性向上や広告の最適化などを図れます。
一方で、閲覧履歴やIPアドレスは、閲覧したWebサイトやクッキーを発行した事業者にも保存されるため、不正利用・アクセスのリスクがあります。プライバシーの侵害につながる可能性もあるでしょう。
クッキーの種類
クッキーには、次のような種類があります。
- ゼロパーティデータ
- ファーストパーティクッキー
- セカンドパーティクッキー
- サードパーティクッキー
ゼロパーティデータは、顧客から企業に提供するデータです。顧客が自らの意図を反映させた情報が含まれるため、信頼性が高いという特徴があります。
ファーストパーティクッキーとは、訪問したサイトが直接発行するクッキーです。原則として、そのサイト内でのみ機能します。
セカンドパーティクッキーは、他社サイトで発行されたファーストパーティクッキーです。他社のファーストパーティクッキーを自社が受け取って活用します。
サードパーティクッキーは訪問したサイト以外の第三者が発行するクッキーです。訪問先以外のサイトでもユーザーを特定・追跡できます。
このうち、クッキー規制やポストクッキー時代のテーマで関連するのはサードパーティークッキーです。
ポストクッキー時代の始まりはいつから?
クッキーの規制が始まったポストクッキー時代は、2020年代初頭から始まっています。主要なWebブラウザがクッキーの使用制限や廃止を進めており、その背景にはプライバシー保護の意識が高まったことがあげられます。
クッキーを活用することで企業はユーザーの行動を把握できますが、ユーザーがクッキーの存在や意味を理解するにしたがって、プライバシー侵害を指摘する声が広がっていきました。
また、Googleは2023年までにサードパーティクッキーを廃止する計画を発表したことも、ポストクッキー時代に突入するきっかけになっています。
廃止はその後撤回されましたが、サードパーティクッキーの利用が制限される流れは変わらず、多くの企業は規制に対応するため、代替手段の検討が必要になっています。
サードパーティクッキー廃止で影響を受ける施策
サードパーティクッキーの廃止により個人のデータ・プライバシーは保護されるようになりますが、企業はユーザーのWeb上でユーザーの行動を追跡できなくなります。
Cookie を利用したリターゲティング広告やWebサイト訪問者の計測など、クッキーを活用した従来の施策を続けるのは難しくなるでしょう。
サイトを訪問するユーザーがクッキー取得の許可・拒否を選択できるような仕組みも必要になります。
ポストクッキー対策の必要性が高まっている
今後のマーケティングではユーザーのプライバシー保護がより重視されるようになり、マーケティング戦略の見直しが必要です。クッキーに依存しない施策が必要になるでしょう。
ユーザーの行動履歴を活用したマーケティングは難しくなる状況で、ポストクッキー時代のサードパーティクッキーに依存しない新たなマーケティング施策の準備が急がれます。

ポストクッキー時代に求められる対策
ポストクッキー時代には、クッキーに依存せず、ユーザーのプライバシーを尊重しながら効果を上げる新しい戦略が求められます。
どのような施策があるのか、みていきましょう。
ファーストパーティデータの取得と活用
ファーストパーティデータとは、企業が自社で収集し、保有している顧客のデータのことです。主に、次のような情報があげられます。
- 自社のECサイトやアプリに登録した氏名や住所、メールアドレス
- 顧客アンケートのデータ
- 自社サイトの閲覧履歴
- ECサイト・実店舗での購買履歴
顧客の行動や取引によって取得したデータであり、第三者を経由せず自社が直接入手しているため、信頼性や精度の高い情報といえるでしょう。プライバシー侵害のリスクも少ないと考えられます。
コンテキストターゲティング
コンテキストターゲティングとは、Webページの内容をAIが解析し、関連性の高い広告を配信する施策です。
ユーザーが興味を持って閲覧しているコンテンツに関連する広告を表示し、クリック率やコンバージョン率を高めます。
閲覧の内容に沿ったターゲティングを行うため、ユーザーのプライバシーに触れることもありません。
共通IDソリューション
共通IDソリューションとは、Web全体でユーザーを識別する技術のことです。ユーザーにサードパーティクッキーの代わりになるIDを付与し、これまでに近い形でパーソナライズされた広告を配信するという仕組みです。
共通IDを使えば、ユーザーがあるサイトで商品を見て、別のサイトで広告を見て購入に至ったという流れを明確に把握できます。
機械学習アルゴリズムを使用した広告配信
機械学習アルゴリズムを使用してユーザーの行動を予測するという方法も、ポストクッキー時代の対策として有効です。機械学習アルゴリズムとは、AIの一種である機械学習においてデータからルールを学習し、そのルールに従って処理や判断を行うための手順・計算方法です。
機械学習アルゴリズムで大量のデータを分析し、ユーザーの興味や行動を予測します。その結果、適切なタイミングで最適な広告をユーザーに配信できるようになるという仕組みです。
ファーストパーティデータを機械学習すれば、パーソナライズ化してユーザーエクスペリエンスを高め、広告効果を高めることができるでしょう。
ユーザーのプライバシーを尊重したデータ分析
ポストクッキー時代には、データの収集だけでなく、データ分析でもユーザーのプライバシーの尊重が求められます。そのために役立つのが、データクリーンルームの活用です。
データクリーンルームとは、複数の企業や部門が共同でデータ分析を行うための安全なクラウド環境です。企業がデータを安全かつプライバシーに配慮しながら共有・分析できます。
個人が特定されるPII情報(Personally Identifiable Information:個人識別用情報)はすべて暗号化されるため、分析結果から直接個人を特定することはできず、統計的な情報のみが分析結果として利用されます。
自発的なデータ取得が期待できるゼロパーティデータ
ポストクッキー時代の対策として期待されているのが、クッキーのひとつであるゼロパーティデータの活用です。
ここでは、ゼロパーティデータの意味や取得方法を解説します。
ゼロパーティデータとは
ゼロパーティデータとは、ユーザーが企業やブランドに対して自発的に提供する情報のことです。ゼロパーティデータには、ユーザーの趣味嗜好や購入意思、個人的な状況な事情など、ユーザー自身の意思が反映され、自分が企業にどのように認識してほしいかという情報が含まれています。
ファーストパーティデータは企業が取得したユーザーの情報であるのに対し、ゼロパーティデータは、顧客が意図的・積極的に企業と共有するデータです。
顧客の意図を把握する際に、ファーストパーティデータでは購買履歴やその他の行動履歴をもとに推測をすることになりますが、ゼロパーティデータは、顧客の意図に基づき収集され、正確性が高まります。他社との差別化にもつながるでしょう。
ゼロパーティデータの取得・活用により、企業は顧客のニーズに応じた商品・サービスの開発ができるようになります。
ただし、ゼロパーティデータは顧客の自発的な提供が必要であり、収集するためには顧客の興味を惹き、提供を促すための工夫が欠かせません。アンケートやインタビューなどの施策にも、コストや手間がかかります。
さらに、収集したデータの分析・活用にも時間や労力がかかるといった点も課題です。
ゼロパーティデータの取得方法
ゼロパーティデータの取得には次のような方法があります。
- アンケート
- 診断コンテンツ
- ファンコミュニティの運営
アンケートはゼロパーティデータを収集するために効果的な方法です。顧客の興味・関心に合わせた質問を設定し、シンプルに回答できるような質問にすることで、回答率を高められます。ゲームの要素を取り入れたゲーミフィケーションの形式にすることで、自発的な情報を収集できます。
「スキンケア診断」などの診断コンテンツは、顧客が楽しみながら参加できる方法です。診断結果をもとにパーソナライズされた商品・サービスを提案すれば、顧客が満足できる体験を提供できるでしょう。
ファンコミュニティの運営も、ゼロパーティデータの取得に効果的です。コミュニティでは顧客の声をいつでも取得できるため、持続的に精度の高いゼロパーティデータの取得・分析が可能です。
ゼロパーティデータの取得に役立つのが、「coorum(コーラム)」です。ゲーミフィケーション形式のアンケートやコミュニティ運営などによりいつでも手間なくリアリティのある顧客心理・使用実態を収集でき、手間やコストがかかりません。
「coorum(コーラム)」では、ゼロパーティデータを取得するだけでなく、既存データと統合して分析ができます。分析により導き出したインサイトは、商品企画やブランド戦略、プロモーションなどさまざまな施策に活用でき、事業の成長をサポートします。
ポストクッキー対策におすすめな「coorum(コーラム)」
ポストクッキー時代の対策におすすめなのが、顧客との継続的な接点を構築できるプラットフォーム「coorum(コーラム)」です。収集した顧客データの分析をワンストップで行い、LTVの最大化と新規顧客獲得の効率化を実現します。
ここでは、「coorum(コーラム)」の特徴について解説します。
「coorum(コーラム)」の特徴
「coorum(コーラム)」は、顧客セグメントごとに顧客心理・使用実態を収集・把握し、既存の顧客行動データをIDで紐付け、それらをまとめて分析・改善案まで提供できるツールです。
顧客との継続的な接点をつくることで、顧客の本音をいつでも引き出すことができ、手間やコストをかけずに質の高い回答が得られます。
顧客の声を素早く収集する機能として、ゲーミフィケーションを活用したアンケートやインタビュー調整、イベント管理といった機能があり、いつでも素早くゼロパーティデータの取得が可能です。
顧客との継続的な接点を構築し、ニーズやインサイトを把握することで、商品企画・開発やマーケティング施策に顧客の声を反映できます。
顧客マーケティングを支援
「coorum(コーラム)」では、蓄積した顧客データと自社IDを連携し、解像度の高い顧客分析ができます。
IDを軸に、購買データ・属性データ・アクティビティデータを統合し、顧客を立体的に捉えて可視化します。CDPやCRM、MAとも連携可能です。
顧客の声を定期的に収集し、顧客心理の変化を特定することで、きっかけとなる顧客体験を紐解いて効果的にPDCAを回せるでしょう。その結果、顧客起点のマーケティングを実現し、ポストクッキー時代の有効な対策ができます。
ポストクッキー対策に「coorum(コーラム)」を活用しよう
プライバシー保護のため、クッキーを使用せずにユーザーの行動や設定を追跡するポストクッキーが推進されています。ポストクッキー時代の対策として、ファーストパーティデータの取得・活用やコンテキストターゲティングなど、さまざまな代替手段が模索されている状況です。
ポストクッキーの対策の鍵となるのが、ゼロパーティデータの活用です。顧客が自発的に提供するゼロパーティデータの取得・活用により、企業は顧客のニーズに合った商品・サービスの企画・開発ができます。
ゼロパーティデータを活用した顧客起点のマーケティングにおすすめなのが、「coorum(コーラム)」です。顧客との継続的な接点の構築により顧客の声を収集し、顧客データの分析と改善ができます。ポストクッキー時代のマーケティング施策を検討している方は、ぜひご活用ください。
