
コホート分析では、条件や属性などの共通因子をもとに顧客をグループに分け、時間の経過とともに現れる行動変化を分析していきます。この記事では、コホート分析の基本情報やコホート分析のメリット、活用方法などを紹介します。
コホート分析はサービスや商品を顧客に継続的に利用してもらうために役立つ分析方法であるため、自社商品のリピーターを増やしたい場合には、しっかりと内容を理解しておきましょう。
コホート分析とは
まずは、コホート分析の概要について解説します。あわせて、コホート分析でわかることやコホート分析が重要視される背景、コホート分析で改善される指標についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
コホート分析の意味
コホートとは、共通因子を持つ集合体のことを指します。心理学や社会学において、特定グループが取る行動の変化を要因ごとに分析するために用いられるものです。
コホートを活用した分析手法がコホート分析で、顧客を条件や属性でグループ分けして、行動を分析していきます。コホート分析では、条件や属性によって分けられた各グループが、時間の経過とともにどういった行動変化をするのかを分析します。
また、コホート分析はWebマーケティングを中心にさまざまな分野で活用可能です。Webマーケティングにおいては、ユーザー属性や条件でコホートに分け、ユーザーの動向を探ります。
ECサイトでは、キャンペーンを基準として月ごとのコンバージョン率や購入金額などの変化を追うことで、キャンペーンの成果を測ることが可能です。そのほか、アプリの利用においても、ダウンロードしたタイミングごとに顧客のリテンションレートの変遷を追うなど、さまざまな分野で活用できます。
コホート分析でわかること
コホート分析を行うことでわかることとしては、次のようなものが挙げられます。
- 顧客動向のトレンド
- 現在の顧客ニーズ
- 将来的な行動パターン
例として、特定の日付にECサイトで商品を閲覧した顧客について、次のようにグループ分けしたとしましょう。
- 閲覧のみの顧客
- 購入した顧客
- 商品カゴに入れたものの購入には至らなかった顧客
各グループの行動を分析することで、顧客動向のトレンドや顧客ニーズを把握できるほか、改善点の発見につながります。
また、キャンペーンごとにコホートを設定することで、コンバージョン率や購入金額の変化の分析も可能となるため、各キャンペーンの長期的な効果も確認が可能です。
このように、グループごとに適した方法や施策タイミングの予測を立てられるため、商品やサイトを継続的に成長させる施策作りに役立ちます。
コホート分析が重要視される背景
コホート分析が重要視される背景には、顧客の消費スタイルの変化があります。従来はモノを所有することに重きをおいていましたが、現在は必要な分だけを利用・シェアするスタイルに変化しています。
例として、サブスクリプションサービスをイメージするとわかりやすいでしょう。サブスクリプションサービスでは、定額料金を支払うことで一定期間サービスの利用が可能です。
一方で、企業側からすると初期費用を抑えているため、継続利用してもらわなければ利益を得られない仕組みになっています。そこで、顧客に関心を持ってもらい続けてサービスを利用し続けてもらうために有効なのが、コホート分析というわけです。
コホート分析は、サブスクリプションサービス以外のビジネスにおいても有効な手段です。コホート分析の活用方法を知っておくことは、ビジネスの成長を担ううえでも大切なことといえます。
コホート分析で改善される指標
WebマーケティングやECサイトなどにおける、各顧客の動向把握においては、アクセス数や顧客維持率、コンバージョン率などさまざまな指標の計測が欠かせません。コホート分析を行うことで、これらの指標の改善につながります。
なかでも、顧客維持率は、安定した利益を確保するために重要な指標です。新規顧客がリピーターになる割合のことを指し、同時に商品・サービスに対する満足度や企業に対する信頼感の現れともいえます。
コホート分析では、リピーターになる人とならない人とに分類することで、それぞれの行動パターンを把握でき、顧客維持率向上につながるでしょう。

コホート分析をするメリット
コホート分析をするメリットについて解説します。主なメリットは、次の5点です。
- トレンドを知れる
- ロイヤル顧客を特定できる
- 顧客ニーズを把握できる
- リソースやコストの最適化を図れる
- 改善箇所を把握できる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
トレンドを把握できる
コホート分析をすることで時間の経過にともなう顧客の行動変化がわかるため、そのときどきのトレンドを把握することができます。同時に、顧客が離れた場合には離れる傾向もつかむことが可能です。
このような行動変化のデータを活用することで、顧客がサービスを再び利用してくれるような施策を効果的に打てるようになります。
顧客セグメントごとに注目すべき対象者を把握できる
コホート分析をすることで、顧客セグメントごとに注目すべき対象者を把握でき、施策検討につなげられます。
たとえば、ロイヤル顧客を把握するのであれば、一般顧客がロイヤル顧客に引き上がる際には、きっかけとなる顧客体験があることが多いものです。
コホート分析を行って顧客の心理・使用実態を収集すれば、注目すべき対象者が誰なのかを特定できます。
顧客ニーズを把握できる
コホート分析では、顧客をグループ分けして行動を追うため、顧客ニーズを正確に把握できます。
コホート分析で把握した、顧客が再利用したタイミングや離脱したタイミングなどのデータを活用すれば、顧客が望む体験を継続的に提供できます。そうすれば、顧客ロイヤリティやLTV(顧客生涯価値)向上にもつながるでしょう。
また、現在の日本市場は商品やサービスが広く行き渡っている状況です。企業が安定的に収益をあげるためには、顧客との深いつながりが欠かせません。
そのため、コホート分析を通じた顧客ニーズや動向の把握は、企業が利益をあげるうえで重要な役割を担っているといえるでしょう。
顧客ニーズや動向の把握に役立つのが、「coorum(コーラム)」です。「coorum(コーラム)」では、顧客の変化を捉えられるほか、顧客を起点とした施策の実施・検証が行えます。
「coorum(コーラム)」を活用することで、顧客の行動変化をリアルタイムで把握可能です。データに基づいた商品改善やプロモーション改善などの施策を適宜行うことで、顧客ロイヤリティやLTV(顧客生涯価値)向上にもつなげられます。
リソースやコストの最適化を図れる
コホート分析を行うことで、リソースやコストの最適化を図れることはメリットです。限られたリソースやコストで計画的に顧客維持率を向上させるためには、売上増につながる顧客に焦点を当てた対策が必要です。
その点、コホート分析では因子ごとにグループ分けして購買行動や嗜好を探るため、グループごとに適した施策を実施できるうえ、リソースやコストの最適化につなげられます。
改善箇所を把握できる
コホート分析を実施すると、改善箇所を把握できるようになります。売上の増加には、具体的な改善策が必要です。コホート分析をすれば詳細なデータが収集できるため、より具体的な改善策を立てられるようになります。
たとえば、ECサイトにおける商品キャンペーンにおいて売上目標を達成できなかった原因を調査すると仮定します。すべての顧客を対象にして調査を行った場合、なぜ売上が伸びなかったのかについての詳細な原因は突き止められません。
一方、コホート分析であれば世代や訪問日時などで分類し、グループごとの行動分析が可能なため、目標を達成できなかったグループに合った改善策を検討できるようになります。
コホート分析を行う際の注意点
コホート分析を行う際の注意点について解説します。メリットの多いコホート分析ですが、注意点も存在します。注意点を理解したうえで、活用しましょう。
十分なデータがないと正確な分析結果を得られない
コホート分析を行う際には、十分な量のデータがないと正確な分析結果を得られない点には注意しましょう。分析するデータの母数が少ない場合は、望む結果が見込めない可能性があります。
また、活用するデータ自体にも注意が必要です。データが不正確な場合、誤った結論になる可能性もあります。
外部要因も考慮する
コホート分析では、顧客の行動変化を分析します。しかし、行動に影響を与える要因には外部要因が存在することもあらかじめ理解しておきましょう。
外的要因としては、市場の変動や季節性などが挙げられます。また、時間の経過による行動や属性の変化も考えられるでしょう。期間について分析をするのであれば、時間の経過にも考慮する必要があります。
コホート分析の活用方法
コホート分析のメリットや注意点を理解したところで、コホート分析の活用方法についても見ていきましょう。コホート分析の活用方法としては、以下のようなことが挙げられます。
- 顧客の行動データの把握
- 顧客が離脱しやすいポイントの把握
- 顧客リストの見直し・整備
- 将来的な売上予測
- キャンペーンやセールの効果検証
- 新規顧客獲得数の算出
- サービス解約率の改善
それぞれの活用方法を確認していきましょう。
顧客の行動データの把握
コホート分析は、顧客の行動データの把握に活用できます。コホート分析によって得られるアクセス数や顧客維持率、コンバージョン率などのデータを理解することで、顧客の行動変化を把握できるようになります。
顧客の行動を把握する際は、顧客をマスで捉えるのではなく一人ひとりに焦点を当てて理解することが大切です。
顧客が離脱しやすいポイントの把握
コホート分析を活用することで、顧客が離脱しやすいポイントへの効果的な施策を実施できるようになります。
例えばWEBサイトにおいて離脱率が上がっているのであれば、どのページのどの部分で離脱しているかを把握するため、WEBサイト分析ツール(Google Analytics、ヒートマップツール)用いて分析します。
また、商品購入やサイト訪問の際に、離脱率が高い顧客と低い顧客を比較することも、離脱しやすいポイントを把握するために大切です。
仮に休日昼間のサイト訪問者の離脱率が低く、平日夜間の訪問者は離脱率が高いという結果が得られたとしましょう。その場合、平日夜間の訪問者が自社に求めているものが何かを理解する必要があります。
コホート分析で顧客の行動を分析することで、各行動タイミングを把握できるだけでなく、必要な対策を取れるようになります。
顧客リストの見直し・整備
コホート分析を実施すれば、各コホートの行動やニーズ、ロイヤリティなどがわかるため、顧客リストの見直しや整備に役立ちます。また、自社の製品やサービスの見込み度に応じた見直しも可能です。
顧客リストの見直し・整備は、顧客ターゲットがより正確になるため、効果的な対策を検討するうえでも有効となります。
将来的な売上予測
コホート分析は、将来的な売上予測を立てる際にも役立ちます。売上予測を立てるうえでは、市場における需要の見通し把握が重要なカギです。
コホート分析ではグループごとに長期的な維持率や離脱状況の測定が行えます。そのため、各グループの需要予測をもとにすれば、将来的な売上予測を立てることも可能です。
また、コホート分析は顧客あたりの総売上(LTV)予測にも有効です。新規顧客の獲得が難しくなっている現代においては、LTVの重要性が高まっており、企業にとってはいかにロイヤル顧客を獲得できるかが、利益をあげるうえでは重要な要素といえます。
コホート分析では顧客の商品やサービスに対する定着率がわかるため、LTVに基づいた長期的なマーケティング戦略が展開できるようになる点は、企業にとって大きなメリットです。
LTVについては下記記事で詳しく解説しておりますので、あわせてご確認ください。
キャンペーンやセールの効果検証
キャンペーンやセールの施策検証をする際にも、コホート分析は役立ちます。
たとえば、WEBでのキャンペーンやセールの効果は、実施前後の顧客数の推移を見れば判断が可能です。また、キャンペーンやセールごとに顧客グループのリピート購入率やサイト再訪日を分析することで、顧客単位の収益や定着率も把握できるでしょう。
キャンペーンやセール全体の数値が改善された場合は、戦略が有効であるといえます。一方で、離脱傾向が見られるなど数値が低下している場合は、再訪タイミングで情報を発信するような定着に向けた戦略が必要です。
新規顧客獲得数の算出
コホート分析によって離脱率の目安がわかれば、新規顧客獲得数の目安を立てる際にも役立ちます。
たとえば、WEBサイトの顧客が1週間で5%ずつ減少している場合、減った数を埋め合わせするうえで獲得しなくてはならない新規顧客数を算出可能です。顧客の増加や減少といった傾向をつかめれば、計画的な対策を組めるようになるでしょう。
また、マーケティング用語に「1:5の法則」という言葉があります。新規顧客を獲得するコストは既存顧客を維持するためのコストの5倍かかるという意味の法則です。
売上向上を目指して新規顧客獲得に注力しても、結果的にコストがかかりすぎて利益率が低くなってしまうことを意味します。一方で、既存顧客はより少ないコストでリピートしてくれる可能性が高いものです。
無駄なコストを発生させないためには、売上アップに必要な顧客数をあらかじめ計算したうえで新規顧客獲得を行うことが重要になってきます。
サービス解約率の改善
コホート分析は、サービスの解約防止にも有効な方法です。新規顧客の解約率は、分析しなければわかりません。コホート分析であれば、会員登録時期ごとの解約率の調査が可能です。
会員登録時期ごとの解約率を調査し、解約率を改善する施策を実施することでリピーターの増加につなげられます。

コホート分析ができるツール
コホート分析ができるツールとしては、次の4つが挙げられます。
- Excel(エクセル)
- coorum(コーラム)
- Mixpanel
- Google Analytics4(GA4)
Excel(エクセル)
Excel(エクセル)でも、コホート分析が可能です。Excelでコホート分析を行う場合は、ピボットテーブルを使います。
ピボットテーブルとは、データベースの集計・分析機能のことです。関数の知識がなくても利用できるのが特徴で、手軽にコホート分析をやってみたい場合には適しているツールといえます。
なお、ピボットテーブルではデータベースの作成が必要です。そのため、大量データを用いた複雑な分析には不向きですが、小規模な分析を行う場合には適しています。
「coorum(コーラム)」
「coorum(コーラム)」は、株式会社Asobicaが提供する顧客分析ツールです。よりリアルな顧客の声を元にコホート分析をしたい場合は、「coorum(コーラム)」の利用を検討してみましょう。
「coorum(コーラム)」でできることは、次のとおりです。
- 注目すべき顧客の特定
- 顧客の変化を捉える
- 顧客を起点として施策の実施・検証
1つ目が、注目すべき顧客が誰なのかを特定することです。たとえば、一般顧客がロイヤル顧客になる際には、トリガーとなる顧客体験があります。そのような顧客体験を可視化し効果的にPDCAを回していくうえでは、注目すべき顧客が誰なのかを特定することが大切です。
2つ目が、顧客の変化を把握することです。「coorum(コーラム)」を活用し、顧客の変化を把握することで、効果的な施策の検討に役立ちます。
3つ目が、顧客を起点とした施策の実行と検証です。「coorum(コーラム)」では顧客の行動変化をリアルタイムに感じられます。それにより、効果的な商品改善やプロモーション改善などの施策を実行可能です。
さらに、施策を通して蓄積したデータをもとに効果検証を行うことで、最適なPDCAが実現できます。
Mixpanel
Mixpanelは、オンラインの顧客行動データを分析するためのツールです。事業やサービスの成長に必要な3つの指標(コンバージョン、エンゲージメント、リテンション)について、顧客行動データを軸に深掘りしていきます。
Mixpanelでは、顧客の行動・属性に影響を与える要因をもとにしたA/Bテストや仮説検証なども可能です。
Google Analytics4(GA4)
Googleの提供する「Google Analytics(GA4)」でも、コホート分析ができます。GA4とは、Googleアナリティクスの最新版であるGoogleアナリティクス4の略です。
Google Analytics(GA4)の特徴は、特別な知識や技能が不要で、誰でも簡単にコホート分析が行える点にあります。キャンペーン実施時の顧客リピート率なども計測が可能です。
「coorum(コーラム)」を活用してLTVを向上させよう
LTVを向上させたいのであれば、「coorum(コーラム)」活用を検討してみましょう。
「coorum(コーラム)」では、コホート分析に欠かせない顧客の心理・使用実態を蓄積し、顧客セグメントや顧客単位での分析が可能です。蓄積した顧客の声(VOC)から興味関心をコホート分析等で把握することで、マーケティング施策立案に役立てることができます。
顧客起点の施策の実行や検証には、「coorum(コーラム)」をぜひご活用ください。
