SaaS企業に求められるマーケティング手法を徹底解説

2023-04-10 コラム

マーケティングに関する戦略や具体施策は多種多様で、企業によって、最適な手法は異なります。そんな中、SaaS企業の間では「コンテンツマーケティング」が注目されているようです。本記事では、SaaS企業におけるマーケティングの目的や種類を整理したうえで、なぜコンテンツマーケティングが注目されているのかを解説しています。

SaaS企業におけるマーケティングのゴール

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企業が効果的なマーケティング手法を決める前に、何を目標とするかを明確にすることが重要です。定期購読型で無形商材を販売するSaaS企業においては、「リード獲得」「顧客定着化」「LTV最大化」の3つが大きな目標となることが多いです。

リード獲得

1つ目の目的は「リードの獲得」です。どの企業にも共通して言える内容ではありますが、まずは商品を認知してもらい、興味を持ってもらわなければ購入してもらうことはできません。

そのために、顧客をファネルに分けて適した情報発信をして、効率よく集客をする必要があります。

具体的には、サービスに関心のない「潜在層」、関心はあるもののまだ購買には至らない「見込層」、関心が極めて高くニーズが合致している「直近層」の3つにアプローチする必要があります。

とくに興味関心が強く、認知させることで顧客獲得につながりやすい「見込層」および「直近層」に対していかにアプローチするかが、SaaS企業のマーケティングで重要になります。

顧客定着化

2つ目の目的は「顧客定着化」です。ひらたく言うと利用し始めた顧客を離脱させないことです。

現在は市場の成熟化にともない、新規ユーザーの獲得が困難になってきています。新規ユーザーの獲得は既存顧客の維持にかかるコストの5倍のコストがかかるとも言われており、利益を最大化するためにはいかに既存顧客の離脱を防ぐかが重要な課題となります。

LTV(生涯顧客価値)最大化

3つ目の目的は「LTVの最大化」です。新規ユーザーの獲得が困難なSaaS業界において、中長期的に安定的な売上を確保することを目的とします。

LTVを最大化するためには顧客の維持はもちろん、維持している顧客の単価を高めることも重要です。いわゆる「アップセル」や「クロスセル」を有機的に活用し、客単価を高めることでLTVの最大化を目指します。

マーケティングの2つの分類

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一般的にマーケティングは「インバウンドマーケティング」と「アウトバウンドマーケティング」の2種類があります。

上記で紹介した3つの主な目的をクリアするためには、インバウンドマーケティングが重要となります。2つマーケティングの特徴をもとに解説しています。

インバウンドマーケティング

SaaSに適している手法は、インバウンドマーケティングです。

インバウンドマーケティングとは、従来型の広告やテレビコマーシャルといった一方的な宣伝を行うのではなく、消費者が興味関心を持つコンテンツをSNSやサイトといったさまざまな媒体で発信して、潜在顧客に見つけてもらう手法です。段階的なコミュニケーションに取れるため、発信する情報によってはリード獲得だけでなく既存顧客の維持やLTVの向上にも役立ちます。

後述するアウトバウンドマーケティングとの大きな違いは、「双方向のコミュニケーションを実施する」ことと「顧客手動でコンテンツを提供する」ことが挙げられます。

アウトバウンドマーケティング

SaaSにおいて、アウトバウンドマーケティングは相性が悪いといえます。

アウトバウンドマーケティングとは、企業主体で広告などを展開する手法です。電車広告やテレビコマーシャル、DMや展示会など、オフラインで古典的な手法が用いられます。

インバウンドマーケティングと異なり、「情報発信が一方通行でコミュニケーションの余地が少ない」「企業主導のメッセージアウトである」という特徴があります。数あるSaaS企業から自社を選択してもらい、定着させるためには、双方向型コミュニケーションが可能なインバウンドマーケティングの方が適しているのです。

SaaS企業の多くがコンテンツマーケティングを実施

コンテンツマーケティングのイメージ画像

一口にインバウンドマーケティングといってもその種類は豊富にあります。SaaS企業においては、「コンテンツマーケティング」を取り入れている企業が多い傾向にあります。

コンテンツマーケティングとは、オウンドメディア(企業や組織が所有して消費者に向けて情報発信する媒体)で情報発信することです。

コンテンツマーケティングが注目される理由を知るためには、「テックタッチ」「ロータッチ」「ハイタッチ」の3つの概念を理解しておく必要があります。簡単に説明すると、ハイタッチとは顧客価値が高い層へのアプローチ方法、テックタッチは顧客価値が低い層、ロータッチはその中間となります。

顧客数はテックタッチの層が一番多く、ハイタッチの層は少なくなります。このとき企業は、自社に大きな利益を生み出す優良企業への対応にリソースを投下すべきなのですが、どうしても企業数の多さからテックタッチ層の対応に追われてしまうことがしばしばあります。

コンテンツマーケティングが多く用いられているのは、テックタッチ層への対応負担を大幅に軽減し、ハイタッチ層のフォローにリソースを用いることができるためです。

コンテンツマーケティング(オウンドメディア)でできること

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では、具体的にコンテンツマーケティングがどのような役割を担うことになるのか、5つの役割それぞれを個別に解説します。

自社PRコンテンツの配信

コンテンツマーケティングでは、自社の魅力やどんな商品・サービスを展開しているのかを説明するためのコンテンツを配信します。

自社について知らない人に、自社の魅力を知ってもらうことが自社PRコンテンツの役割です。対象となるのは、主に新規顧客として見込みのある層です。また、就活生の情報収集用コンテンツとしても役立つ可能性があります。

Webページはもちろん、動画などの見やすい媒体を用いることで、よりユーザーの理解を深めたり、SNSでの拡散などに期待することができます。

自社製品のハウツーコンテンツの配信

動画や文章媒体を中心として、自社製品に関する詳しい情報を提供するためのコンテンツを配信します。

基本的に新規ユーザーも既存ユーザーもターゲットとなりますが、おもなターゲットとなるのは既存顧客の中でもサービスを使いこなせていないユーザーでしょう。「FAQ」や「使い方動画」などがこのコンテンツに該当します。

主な役割は「オンボーディング」です。新規ユーザーは「使い方がわからない」「何が良いのかわからない」といった悩みで離脱するリスクを高めます。ハウツーコンテンツを積極的に提供することで、ユーザーの悩みを解消し、定着化を促します。

問題解決コンテンツの配信

同じく文章媒体や動画を中心として、顧客が抱える問題を解決するためのコンテンツを配信します。自社製品の使い方だけではなく、ジャンルそのものに関するお役立ちコンテンツを指します。例えば、会計ツールを販売しているSaaS企業が、業務の効率化全般を取り扱う情報サイトを運営するといったイメージです。

問題解決コンテンツの役割はナーチャリングです。ナーチャリングとはユーザーを成長させることです。自社製品だけでなく、ジャンル(業界)全体の情報を発信することで、より自社サービスの強みに気づいてもらうことができるでしょう。

問い合わせページの設置

「問い合わせページ」を設置し、直接的な問題解決を図ることも可能です。

ターゲットは新規・既存顧客に関わらず、自社製品・サービスに興味・関心を持つすべてのユーザーです。形式は「メールフォーム」や「運営とのチャット機能」、「知恵袋機能」などがあります。

主な役割は顧客の意見を吸い上げることと、離脱を防止することです。問い合わせフォームを設置することで、ユーザーが何を思っていて、商品・サービスに関する改善希望として何を希望しているのかを把握できます。また、ユーザーの疑問を解決することで離脱を防ぐことができます。

ユーザーの囲い込み

コンテンツマーケティングに用いるサイトに「会員登録」などの機能やサービスを用意することで、関心のあるユーザーの囲い込むことができます。

ユーザーを囲い込むことで、自社サービスのコミュニティが形成されます。自社コミュニティには、競合サービスへの乗り換えを防止したり、ロイヤリティを向上される役割があります。

そのほかにも集まったユーザーを活用し、自社サービスや新商品の意見を集めたり、ユーザーが自由に発言できる機能を追加し、初心者ユーザーのサポートをしてもらうこともできるでしょう。


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cxin

株式会社Asobica cxin編集部。
コミュニティやファンマーケティングに関するノウハウから、コミュニティの第一人者へのインタビュー記事などを発信。

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