昨今、チャットツールや勤怠管理ツール、会計ツールなどさまざまなツールがSaaSとして提供されています。SaaSには導入することで業務を効率化することができるという大きなメリットがある反面、課題もあります。本記事では1番の課題である「ユーザーの定着化」について解説をします。
SaaSとは
「SaaS」とは、「ソフトウェア・アズ・ア・サービス」の略語であり、ソフトウェアをプロバイダ側で稼働し、ネットワークを通じてその機能をユーザーに提供するサービスのことです。サービスの具体例としては、「Slack」や「Office365」などが有名です。
ソフトウェアを購入しパソコンにインストールしたうえで利用するのではなく、組織向けのアプリケーションを使う分だけレンタルする「従量課金制」となっているため、初期費用を抑えて、アプリケーションを利用することができます。
SaaSの普及状況
SaaSは企業の間で広く浸透しており、1社あたり平均5〜6つのSaaSを導入していると言われています。
ソフトの種類は「勤怠管理」「会計処理」など豊富にありますが、とくに導入率が高いツールは「コミュニケーションツール」です。自社でSlackやチャットワーク、スカイプの有料プランを使用している企業も多いのではないでしょうか?
SaaSを導入する理由は、主に「業務の効率化」や「コストの削減」です。チャットツールであれば、従来のメールよりも遥かに業務を効率化できるといった判断で導入が進められています。
SaaSが広まった背景
SaaSが広まっている要因は「顧客が利用に至るまでのハードルが低いから」です。
前述の通り、SaaSは導入コストが比較的低く設定されています。SaaSは「サブスクリプション型」のビジネスモデルであり、利用している間は月額料金が発生し続ける代わりに、初期費用が安く設定されているのです。
従来のソフトウェアが「パッケージ型」であったのに対して、導入時の購入費用がかからない「サブスクリプション型」のSaaSは導入のハードルが低いのです。
また、自社でサーバーを立ち上げなければならない製品と比較すると、SaaSはサービスを利用開始するまでの時間が大幅に短いという特徴があります。デバイスとインターネット環境があればすぐに使用することができます。コストだけでなく、所要時間という面でも利用するハードルが低いのです。
これらの理由でSaaSは多くの企業から注目をされています。また今後もSaaS市場は拡大傾向となるだろうと考えられます。ただし、そんなSaaSにも弱点はあります。以下ではSaaSを導入する企業が抱える課題を解説します。
SaaSを導入する企業が抱える課題
SaaSにおいてユーザーが離れてしまう主な原因として以下が挙げられます。
- 操作方法がわからない
- 成果が感じられない
- ユーザーサポートで問題を解決できなかった
- 社内トレーニングにコストをかけられない
このような問題に対して、ユーザー側が対策を行うことももちろん大切ではありますが、業務負荷が大きくなってしまいます。
ユーザーは使用するうえでの疑問点や不満を提供に伝え、企業はユーザーの意見をもとにサービスの改善を図る、協力体制を構築することが理想的と言えるでしょう。
それぞれの課題について詳しく見ていきましょう。
操作方法がわからない
「操作方法がわからない・わかりにくい」ことは、SaaSにおける重要課題の1つです。
UIがわかりにくい、または機能が充実しすぎていて使いこなせないという悩みを抱えているユーザーは非常に多くいます。いかに利便性のあるシステムであっても、ユーザーが使いこなせなければ意味がありません。
成果が感じられない
「成果が感じられない・感じにくい」と感じているユーザーも多くいます。
前述の通り、企業がSaaSを導入する理由の1つは「業務を効率化したい」ことです。例えばSaaSを導入したことで、今まで1時間かかっていた作業を30分で完了させることができれば、大幅な効率化に成功しているといえるでしょう。
しかし、すべてのシステムが数値化した効率化分析ができるわけではありません。仮に効率化できていてもユーザーがそれを実感できていなければ、費用対効果が悪いと判断されてしまいます。
ユーザーサポートで問題を解決できなかった
1つ目に「使用方法がわからない」という課題がありました。3つ目の課題は、疑問を解決するための「ユーザーサポートしたが対応が不十分だった」ことです。
提供側は、そんなユーザーのためのサポートを用意するのが一般的ですが、サポートが十分に機能していないとユーザーは問題を解決できません。
社内トレーニングにコストをかけられない
導入したSaaSを社内に定着されるために、社内マニュアルを作成したり、トレーニングを実施する企業も多いようですが、コストが気になると感じる企業が大半です。
育成を行えば、定着化を進めることはできますが、社内リソースを使うためユーザーは費用対効果が悪いと感じてしまうでしょう。
SaaS企業が課題解決のためにやるべきこと
新しく導入したツールに社員が定着しないという顧客側の課題は、企業が受け止めるべき課題でもあります。SaaS企業は、各顧客の継続率が売上に大きく関わるため、顧客の声を受け止めサービスの改善を行わなくてはいけません。
顧客が感じるSaaSの課題のうち、一番大きな課題はユーザーが定着しないことでした。
- マニュアルの制作
- FAQの制作
- ガイド機能の追加
- 講習会の実施
- サポートデスクの強化
上記の対策を行うことで、ユーザーが感じる疑問の解決を図りましょう。
ただし、あまりにも手厚く対処するとなれば、提供企業側の負担が大きくなってしまいます。提供側が手を加えなくても、ユーザーが自分で問題を解決できる仕組みを作り上げることが理想的です。
そこで重要になるのが「企業コミュニティ」です。
企業コミュニティの構築
企業コミュニティとは、ユーザー同士またユーザーと企業がコミュニケーションを取る場のことです。
参加するユーザーが質問や回答を自由にできる空間を提供することができれば、ユーザー同士で問題を解決をしてくれるでしょう。過去の質問がどなたでも閲覧できるようにすれば、だんだんとコミュニティにナレッジが溜まり、それがマニュアル・FAQとなります。
SaaSを利用する各企業が個別にマニュアルを作成する必要もありませんし、提供企業が手厚いサポートをする必要もありません。
「ユーザーの定着化」を最低限のコストで実現するためには、企業コミュニティの運用を考えてみるのも1つの手でしょう。
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