新たな働き方としてテレワークが注目されています。2019年から流行したコロナウイルスにより働き方が多様になったことで、テレワークで働く方がかなり増加しました。テレワークは働く場所を問わず仕事ができるため、今まで家族が理由で働くことができなかった方が新しく自宅で仕事ができるといったポジティブな面があります。一方で、生産性が低くなることを懸念して、導入をしていない企業も多くあります。そこで本記事ではテレワークを導入する際の目的、テレワークでも生産性を下げない工夫などを紹介していきます。
テレワークの導入目的
テレワークを導入している企業では、「労働生産性の向上」が導入目的の一つであるところも多いかと思います。
東京都内の会社に勤めるために東京近郊の県に住み、電車で通勤している人の中には、毎日往復3時間以上かけている人も珍しくありません。一方、テレワークは自宅で仕事をするため、通勤する手間が省け、労働に意欲的になる傾向にあります。
生産性の向上のほか、地域を制限せずに優秀な人材を採用するため、感染症対策のため、など様々な目的でテレワークは導入されています。
生産性向上の難しさ
テレワークの導入目的の一つである「労働生産性の向上」は、簡単に達成できるものではありません。
実際に、テレワークを導入したIBMやyahooは数年でテレワークを廃止しています。その理由はテレワーク社員がさぼったり、副業をはじめてしまったり、転職したりと就業態度が悪くなってしまったためです。
これほどの大手企業ですら、テレワークで生産性を向上させることができず、途中で運用を断念してしまっていることから、導入の難易度が高いことが伺えます。
なぜテレワークで生産性が下がってしまうのか
テレワークで労働生産性を向上させることは、たしかに難しいことではありますが、1つずつ原因を確かめ対策をすることができれば、オフィスワークと変わらないように働くことができるはずです。以下では、生産性が低下する原因を解説しています。
社員にサボりの意識が芽生える
テレワークは自宅で一人で仕事をすることがほとんどです。
先輩や上司の目がないことから、従業員には多少なりともサボりの意識が芽生えてしまうようです。従業員同士の決まったコミュニケーションには参加するものの、あとはダラダラ仕事してしまう傾向にあります。
また、管理者の目が届かないことに加えて、「誘惑が多い」という点もサボり意識発生の原因となります。ついつい、意識が緩んでしまい長く休憩をとりすぎてしまう人もたくさんいます。
認識のズレから手戻りが発生する
対面で仕事を頼む場合は、言葉にしにくい部分も身振り手振りや、ホワイトボードを使って的確に説明できますが、テレワークの場合は文字や画像などだけで説明をすることが多いです。
仕事を指示する段階で認識がズレてしまうと、数日かけて取り組んだ仕事を最初からやり直すことになる可能性もあります。その結果、労働時間や手間が増えて生産性が落ちてしまうのです。
社員のモチベーションが低下する
通勤する場合はスーツや企業が定めているルールに則った服装で勤務を行いますが、自宅の場合は部屋着でも仕事できてしまいます。そのため、上手にスイッチの切替えができず、やる気が出ないという状態に陥ってしまいます。
【会社編】生産性を向上させる体制づくり
生産性を向上させるためには、会社側が体制を作ることが重要です。
従業員個人で用意できることには限界があるので、会社側が率先して体制を整えてあげましょう。
テレワーク用ツールの導入
テレワーク用ツールの導入をすることで、従業員が自宅で働きやすくなります。
大きなプロジェクトのすり合わせを行う場合は、V-CUBEミーティングやZoomなどのWeb会議ツールを導入するといいでしょう。
日常的なやり取りであれば、SlackやChatoworkなどのチャットツールを導入するとちょっとした相談などもしやすくなります。
そのほか、ジョブカンなどの勤怠管理ツールや、トレロなどのタスク管理ツールなど、企業が直面してる課題に合わせたツールを導入することで、問題解決の糸口とすることができます。
社員の作業環境整備の支援、手当ての配布
テレワークを導入する場合、単純な環境の違いで生産性が落ちてしまうことがあるため、パソコンやタブレット、ソフトウエア、デスクやチェアなどを買い揃える必要があります。個人個人で全額出すのは負担になるので、ある程度会社が作業環境設備を支援しましょう。
また、毎日の業務を行うための通信費、光熱費も会社で手当を出してあげられるといいでしょう。まずは会社と同じ設備を自宅に揃えることを意識してみてください。
1on1の実施
1on1とは、1対1でのミーティングのことです。
テレビ電話を使って上司と部下、先輩と後輩、同僚同士などテレワークでやりとりを実施します。主に責任者が毎日順番に、従業員と1on1します。週1回以上を目安に実施すると、業務の認識のズレを修正できます。
テレワークで不便を感じている点や改善するべき点など、意見を聞くこともできます。またサボり防止や意欲低下防止になります。
朝会や夜会を取り入れる
従業員が毎日の業務を計画的に進められるように、朝会や夜会(始業直後に行う会議、就業直前に行う会議)を取り入れることも重要です。
通勤時と同じように、朝会までに着席し対応できる状態にしておくため、従業員は毎日のルーティーンを作りやすくなります。
1日の業務を夜会までに終わらせないけないので、「やりきり」の意識も生まれてくるでしょう。自分のペースで働けてしまうテレワークだからこそ、他人と接する時間を設ける必要があります。
労働時間の短縮
労働時間の短縮をすれば、短い時間で効率よく働く意識が芽生えます。
オフィスワークで毎日残業をしていた人でも、自宅で同じだけ集中力が続くとは限りません。基本的にテレワークで集中できる時間は短くなるものと認識した方がいでしょう。
テレワーカーの1週間の労働平均時間は約36時間と言われています。週5日間の仕事なら1日7時間程度です。テレワークの従業員には、長時間労働を求めるのではなく、会社側から短縮を呼び掛けてください。
オンライン飲み会の実施
作業をしているときに何気なくしている雑談が、テレワークではほとんどできなくなります。ストレスが溜まる原因となるので、定期的にオンライン飲み会を開催してみるのもいいでしょう。
お酒を飲みながら業務中に気が付いた点を報告したり、従業員同士のコミュニケーション不足解消の場にしたりしてください。朝会や夜会だけでは、話せないことを話すことでわだかまりなく働くことができます。
【個人編】生産性を向上させるコツ
会社側が実施するべき生産性を上げる工夫もありますが、個人レベルで行えるコツもあります。
1日のスケジューリングを決める
自宅での業務は気が散りやすく、休憩時間も不規則になりやすいです。1日のスケジュールを紙に書き、常に目に付くところに貼っておくことで、スケジューリングが楽になります。
日によって仕事の量が違う場合は、作業にとりかかる前にその日のスケジュールを書いておきましょう。スケジュールを引く際、休憩時間まで明白にしておくと、仕事のリズムを整えることができます。また、一度決めたスケジュールに沿って行動できるように、スマホのアラーム機能も活用することもオススメです。
ホウレンソウの徹底
コミュニケーションが足りなくなる在宅勤務では、ホウレンソウがいつも以上に重要になります。報告・連絡・相談の連絡手段をすべてバラバラにしたり、人によって変えると連絡漏れが起こります。全社員で同じツールを使うことを徹底してください。
また、同じツールでもチャット、メール、ビデオ通話、電話など機能が異なる場合は、どのような連絡でどの連絡方法を使うのかを明確に決めておくとスムーズにやり取りができるはずです。
便利になるグッズの購入
個人として無理のない範囲内で、テレワークの生産性が向上するグッズを購入してみるのもいいでしょう。
例えば、テレビ電話で使用するイヤホン、デバイス周辺機器、付箋やメモ帳などのタスク管理グッズなど。費用的に大きな負担となる備品は会社に相談をするべきですが、個人で揃えることができ、ビジネス用途以外でも使う事ができる品物であればポケットマネーで購入することも生産性を上げるための1つの手段です。
適度な就寝時間を確保
在宅での勤務は、だらだらと夜遅くまで作業を続けてしまう傾向にあるので、就寝時間を確保しましょう。適切な睡眠時間を確保できないと翌日の仕事に悪影響が出てしまいます。
オフィスワークをしていた頃と大きくリズムが変わらない就寝を心がけてください。作業を終えたあとの余りの時間を睡眠に当てるのではなく、スケジュールに就寝時間を組み込んでおくと、毎日決まった時間に眠りやすいです。
食生活や運動量の見直し
通勤している人に比べて、テレワークの人は運動不足になりやすい傾向があります。一般的な社会人であれば平均1日5800〜6800歩程度歩いていると言われています。時間にすると約40分程度です。一方、テレワーカーは一歩も家から出ずに1日を終えることもあります。運動不足によるストレスが仕事に影響を及ぼさないように、日頃から運動をすることを意識してみてください。
また、テレワーカーはインスタント食品などの食べ物に頼ってしまい、栄養バランスが偏ってしまうことがあります。食生活が乱れていると肥満や血行不良、体調不良、疲れやすい体質などを招きます。仕事への意欲低下にも繋がるので、健康的で栄養バランスがとれた食事を摂ってください。
趣味の時間を大切にする
テレワーカーは、自分の趣味を楽しむ時間を大切にすべきです。好きなことに没頭する時間はストレス発散に効果的です。テレワークをしていると、生活の時間が「仕事」「食事」「睡眠」の3つに固定されてしまうことが多いですが、きちんと自分の時間も確保するようにしましょう。
趣味は自分の好きなことで構いませんが、1日中画面を見ている方はガーデニングやDIY、料理などデバイスを使わない趣味がおすすめです。
社内コミュニケーションの活性化はcoorumで
何よりテレーワークをするうえで重要なことは、出社して仕事をしていたときのように、会社の上司や同期、部下といった業務上関わりがある人としっかりとコミュニケーションをとることです。普段の何気ない会話や雑談のなかで心理的安全性が担保され、人を知ることができます。
私達は「coorum」という社内コミュニティを提供しています。そのコミュニティのなかでは、会社のトピックや各社員の自己紹介や普段の出来事などを投稿することができます。そういった投稿に対する会話のなかで希薄になりつつあるコミュニケーションを担保することができます。
テレワークを推進していきたいけど、コミュニケーションの部分で悩まれている方がいればお問い合わせください。
▼参考メディア
人と組織の課題解決に本当に役立つ情報を発信するコラム(アーティエンス株式会社)