最近は企業コミュニティを設けている企業が増えています。企業によっては、自社のコニュニティを持つことで多数のユーザーを囲い込むことに成功し、大きな効果を得ている企業もあります。
そこで本記事では、企業がコミュニティの取り組みを行う必要性、コミュニティが増えた背景について解説します。
企業がコミュニティを作る3つのメリット
コミュニティを作るメリットは「ユーザーと直接やりとりができること」にあります。本章では具体的にユーザーとのやり取りがどのような効果を生むのかを3つ解説しています。
顧客のニーズを把握できる
企業側が行っているサービスや、販売している商品の率直な感想はなかなか集めにくいものです。例えば購入者に対してアンケートを取るなどの方法がありますが、手間がかかるうえに正確な声が集まるとは限りません。
一方、企業に高い関心を持つユーザーだけを集めた企業コミュニティであれば、商品に求めていることを真剣に回答してくれるでしょう。とくに、企業にとって大事な情報となるサービスに対するマイナスな意見も聞き出しやすく、ヒアリングが充実した内容になります。
自社サービスをユーザー視点で改良できる
ユーザーから聞いた情報をもとに自社サービスを見直すことで、サービスの品質を向上させ、企業の利益に繋げることができます。
新規サービスの開発や、既存サービスの改善を行う際、企業側だけの視点では、実際に顧客からどのように思われているのかを把握できないため、本当に良いサービスを作ることは難しいです。
コミュニティを運用する中で得た情報を活用することで、ユーザー視点での課題を把握することができます。とくにロイヤリティの高い顧客からの意見は、企業にとって重要な情報となります。
迅速にトラブルサポートできる
サービスを利用するうえで困ったことがあれば、ユーザーはカスタマーサポートを利用することになります。しかし、カスタマーサポートでは対応できる時間や人数に限界があります。また、企業に電話をかけることに対してハードルが高いと感じてしまうユーザーも多いです。
ユーザーコミュニティには、ユーザー同士がチャットで会話できたり、質問ページを作成できる機能が備わっていることがあります。この機能を活用して、ユーザー同士で問題を解決してもらうことが可能です。
企業としてはカスタマーサポートのリソースを削減することができる点、ユーザーとしてはスムーズに問題を解決できる点がメリットとなります。
企業が自社コミュニティを作るようになった背景
企業が自社コミュニティを作るようになった背景は大きく2つあります。
1つ目は、マスマーケティングの衰退です。
昔は、テレビCMや雑誌などを使ってとにかく広告を出稿して、認知を拡大することで売上を伸ばすことができていました。
しかし時代が変化し、人々が自由に生活スタイルを選べるようになるにつれ、マスマーケティングが人々に対して効きにくくなりました。
人々のニーズが多様化し、どこに広告を出したらよいか、わかりづらい状況になる中で、確実に自社に興味関心がある人を集めることができるコミュニティマーケティングが重要視されるようになったのです。
2つ目は、インターネットの普及です。
インターネットが普及したことで、消費者は購入の意思決定をする際に自身で比較検討ができるようになりました。
消費者の意思決定に大きく関わるポイントが、「他のユーザーの口コミ評判」です。このような背景から、ユーザーが自由にサービスのレビューを残すことができる「コミュニティ運営」が、有用なマーケティング手法として認識されるようになりました。
企業コミュニティの種類
企業が運用しているコミュニティには、目的に応じたいくつかの種類があります。
以下ではその代表的な種類を紹介します。
顧客の育成を目的としたコミュニティ
美容グッズの企業なら美容に関すること、スポーツジムを運営している企業ならスポーツに関することなど、顧客が欲しがっている情報を発信するコミュニティです。自社のサービスに関連する情報を発信することで、顧客を成長させることができるのです。
「ここの会員になれば趣味が充実する」、「仕事に活かせる知識が身につく」などのメリットを顧客に感じさせることで参加を募ります。
定期的にテーマに沿った役立ち情報、裏話など参加者の興味が湧きそうなコラムを投稿すると継続的に利用してもらいやすくなります。
サービスの認知拡大を目的としたコミュニティ
企業が提供しているサービスを広めるためのコミュニティです。
新商品のモニターを募集したり、レビューを投稿してもらうなどの活動を行います。ランク制度を設け貢献度に応じてランクをアップする、報酬として新商品をプレゼントするなどで、参加者を募ります。
新規顧客の維持を目的としたコミュニティ
見込み顧客や新規顧客が疑問に感じるポイントを解決し、継続的にサービスを利用してもらうことを目的としたコミュニティです。
ファン同士の交流を促すようなイベントを開催したり、FAQページを自由にユーザーが作成できる機能を設けることで、サービスを利用する上での不明点をなくし、新規顧客の離脱を防止します。
また、質問に対して回答をする既存顧客の、企業に対する愛着・当事者意識が高まるというメリットもあります。
新たな人材発掘を目的としたコミュニティ
採用を目的に、企業コミュニティを運用する企業も存在します。
企業のサービスに対するディスカッションなどを行うことで、企業(サービス)に強い関心を持つ人を探します。
ロイヤリティが高い顧客の中から従業員を確保することで、現在の社員とは違った視点で、企業やサービスの方向性を見直すことができます。
同業者の交流を目的としたコミュニティ
企業が作るコミュニティは、ユーザーだけを対象としているわけではなく、同業者と交流を持つためのコミュニティもあります。同業の他社従業員と交流を持てる場を設けることで、多角的な視点を得ることができます。
企業の中だけで話しているときには答えが出なかった問題も、別企業の人と話をすることで解決する場合もあるでしょう。
コミュニティ運用に成功した企業の事例
現在、企業コミュニティを実際に運用している企業は多くあります。以下では、コミュニティ運用に成功した実例を紹介します。
株式会社メルカリ
メルカリは、ユーザー同士の個人的な交流ができないことをアプリの課題として認識し、『メルカリボックス』という疑問質問をユーザー同士で解決し合うサービスを提供しました。(現在はサービスが中止されています。)
メルカリボックスでは郵送に関する疑問など、メルカリアプリ内で発生するちょっとしたトラブルを気軽に相談することができます。質問と回答は一般公開され、自分で相談しなくても他のユーザーのやり取りの中から解決策を学ぶことも可能です。使い方がわからないことを理由に離脱するユーザーを減らすことに成功しています。
株式会社ドリーム
美容や健康に関する商品を取り扱っている株式会社ドリームは、公式サイト内でモニターを募集しています。顧客育成を目的としたモニター募集は、潜在的な顧客が新規顧客になるきっかけとなります。
また、「家族や友達同士でも応募を許可したこと」にも注目すべきです。現実的なコミュニティを引き込み、周りの人と情報を共有させることで企業に対する関心を強め、長期顧客になるように工夫されています。
株式会社AKAISHI
外反母趾用の靴を販売している株式会社AKAISHIは、ユーザーコミュニティを使って、モニターを募集し、商品ごとに詳細なレビューを掲載する活動を行っています。
靴は実際にはいてみないと分からないものですので、ユーザーの口コミをまとめて閲覧できるコミュニティがあることは、靴を取り扱う企業には大きなメリットとなります。
AKAISHIではコミュニティ運用において注目点すべきは、会員制のサイトを作るのではなく、Facebook上で新商品の情報を発信したり、ユーザーとの交流を行ったことです。
株式会社日テレ7
株式会社日テレ7の「オンリアンコミュニティ」は、真面目にあそぶ、仲良くあそぶ、元気に遊ぶという3つのテーマをもとに運営されていました。(現在、コミュニティはなくなっています。)
コミュニティ内で番組に関する面白いブログを書くと豪華家電が貰えるキャンペーンを開催したり、日テレの通販番組で販売してほしい商品の提案を受け付けるなど、ユーザーが率先して参加できるコンテンツを用意することで、コミュニティを活性化させることに成功しています。
鎌田商事株式会社
醤油メーカーである鎌田商事株式会社は、Facebookを利用し企業コミュニティを運用しています。コミュニティは、新商品の情報を発信することをメインに活用をしています。そのほか、顧客同士の交流を促すなどの目的で使用をしているようです。
鎌田商事株式会社が製造する醤油は、日本人にとって毎日の生活に欠かせないものです。認知さえ獲得できれば誰でも顧客になる可能性がある商品です。そのため、拡散性の高いFacebookを利用してコミュニティを運営していると考えられます。
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