ビジネスの会話の中において「ナレッジ」という言葉が登場する機会が多くなってきました。言葉の意味を知らないと、ビジネスシーンでの会話についていくことができなくなってしまうかもしれません。本記事では、今さら聞けない「ナレッジの意味」について解説します。
ナレッジの定義とは?
ナレッジとは、英語の「knowledge」、つまり直訳すると「知識」を意味する言葉です。ただし、単なる知識全般を意味するのではなく、ビジネス用語としてナレッジを使う場合には「企業や組織にとって有益な情報」を意味します。
ビジネスの場で注目されている理由
ビジネスの場においてナレッジという言葉がよく用いられる理由は、組織内での共有認識を確立しやすく、マニュアルなどの形式的なシステムの構築に役立つためです。
例えば「ナレッジマネジメント」は、社内に散在する優れた知識を共有化しやすい形にして、社内で共有することで自社の利益につなげようとする手法です。本来、知識というものは個人に依存するものですが、共有化することで業務を効率化して対応者による応対品質の差を埋めるなど、幅広い分野において利益をもたらします。
ナレッジと似た言葉との違い
ビジネスシーンには、ナレッジと似た言葉に「ノウハウ」「スキル」「ハウツー」などがあります。これらの言葉とナレッジにはどのような違いがあるのか、詳しく見ていきましょう。
ナレッジとノウハウの違い
ナレッジと似たような概念に「ノウハウ」があり、これもビジネスの場ではよく用いられる言葉の1つです。
ノウハウとは、実体験を通じて得た知識・知恵のことをいいます。一方でナレッジは、自身の体験や経験を通じなくても得られる知識のことで、例えば書籍などから得られる知識のことです。
ノウハウがあるからといって、ナレッジがあるとは限りません。ビジネスシーンにおけるナレッジには「企業にとって価値があり、共有する意味のある知識」のことです。そのため、個人のノウハウの中に必ずしも企業にとって利益となるナレッジが存在するとは限りません。
ナレッジとスキルの違い
スキルとは、実践的な仕事やタスクを遂行するための専門性の高い能力を指します。一方でナレッジは理論的な知識や情報の蓄積を指す言葉で、具体的には書籍やデータを通じて得られる知識のことです。
ナレッジは「知識」、スキルは「身につけている技術」を指すため、混同されやすい言葉ですが、両者には明確な違いがあります。
ナレッジをもとにノウハウを蓄積し、ノウハウをもとに身につけた技術が「スキル」とイメージするとよいでしょう。
ナレッジとハウツーの違い
ハウツーは、英語の「how to(どうやって)」が由来の言葉で、「実用的な手順」「手引き」などの意味があります。実用書をハウツー本と呼ぶことが多いように、方法ややり方を指す言葉として使われるのが一般的です。
方法ややり方も知識に含まれるためナレッジと意味が似ていますが、ナレッジは書籍やデータから得る幅広い知識、ハウツーは教わることで身につく実践的な手段という違いがあります。
ナレッジの共有・蓄積で得られるメリット
ナレッジの共有・蓄積には、以下のように多くのメリットがあります。
- 業務効率・生産性の向上につながる
- 人材育成の教材としての活用につながる
- 蓄積したナレッジが新たなアイデアにつながる
- 組織力の強化につながる
- 属人化の予防につながる
各メリットについて詳しく見ていきましょう。
業務効率・生産性の向上につながる
ナレッジの蓄積は、業務効率・生産性の向上につながります。蓄積したナレッジをもとにわかりやすいマニュアルを作成すれば、新入社員や中途社員を早期に戦力化できるためです。
マニュアルに沿って業務を行える体制を整えておけば、業務におけるムラや無駄が減り、少ないインプットで大きな成果を得られます。
また、トラブルが発生した際の原因や対処法を共有しておけば、同様のトラブルが発生した際に迅速に対応可能です。
人材育成の教材としての活用につながる
共有したナレッジは、研修やOJT指導などで人材育成の教材として活用できます。蓄積したナレッジを体系化すれば、研修やOJT指導で使用するマニュアルの質を高められるでしょう。
具体的には、業務の手順はもちろんのこと、業務の位置づけや関連部署、業務の目的などを盛り込んでおくべきです。すぐ業務にとりかかれるような質の高いマニュアルを作成しておけば、新入社員だけでなく、休職していた社員のキャッチアップも早くなります。加えて、限られたコスト・時間の中でも効率的な人材育成を実現できるでしょう。
蓄積したナレッジが新たなアイデアにつながる
蓄積したナレッジが新たなアイデアにつながる場合もあるでしょう。蓄積した膨大なナレッジを組み合わせれば、新たなナレッジが産み出される可能性があるためです。
例えば、他部署のナレッジを組み合わせれば、自分の部署でも活用できるアイデアが誕生する可能性は十分に考えられます。
さまざまな部署のナレッジを蓄積できるよう、ナレッジを一元管理できるようなツールを導入するとよいでしょう。Excelやスプレッドシートにまとめる場合は管理や共有に手間がかかってしまいますが、ツールを導入すれば効率的にナレッジ共有を促進できます。
組織力の強化につながる
ナレッジをわかりやすく言語化して情報共有できれば、意思決定がスムーズになり、組織力の強化につながります。
とくに、優秀な社員や組織の規範となるような社員の思考や行動パターンを共有しておけば、社員一人ひとりの勝ちパターンや成功パターンを広く共有できるようになるでしょう。
また、ナレッジを共有できる仕組みがあれば、人が入れ替わってもナレッジは企業に残り続けるため、組織として技術競争力の向上につながります。
属人化の予防につながる
ナレッジを共有・蓄積しておけば、属人化の予防も期待できるでしょう。属人化とは、特定の業務に関する手順や情報を業務担当者しか把握しておらず、ほかの社員に共有されていない状態のことを指す言葉です。
業務が属人化すると、業務担当者がいない場合に業務がストップしてしまい、顧客からの問い合わせにも対応できなくなってしまいます。しかし、ナレッジを共有しておけば、業務担当者が不在でもその場で対応できるため、現場の混乱を最小限に抑えられます。
ナレッジの共有におすすめなツール
ナレッジを共有する際は、以下のようなツールがおすすめです。
- Slack
- Notion
- flouu
Slackは、無料のビジネスチャットツールです。パソコンでもスマホでも利用でき、さまざまな外部ツールと連携できます。全体的に使い勝手がよく、社内コミュニケーションの活性化が期待できるでしょう。
Notionは、文書作成・管理機能やデータベース機能を備えたナレッジ共有ツールです。プロジェクトマネジメントに関する機能が充実しており、ナレッジを含むさまざまな情報を一元管理できます。
flouuは社内に散らばっている情報や文書を集約し、ナレッジの活用を促進する情報共有ツールです。テキスト情報や画像、動画など、さまざまな形式のナレッジを集約できます。
また、ポータルツールとして使いたい場合は「coorum(コーラム)」がおすすめです。誰でも簡単に構築できるコミュニティ・ポータルサイトを提供しているため、後述するナレッジコミュニティを運営したい際に導入するとよいでしょう。
ナレッジを含むビジネス用語
先ほども少し触れていますが、「ナレッジ」という言葉の入っている3つのビジネス用語の意味を解説します。
ナレッジマネジメント
「ナレッジマネジメント」とは、企業や組織内に存在する知識や情報を内部で共有することで、業務の効率化などの効果を得るビジネス手法のことです。
例えば「優秀な営業担当」には、いわゆる「営業の成功パターン」が身についています。この知識やノウハウはこの従業員の個別の強みではありますが、この成功パターンを部署内や社内で共有することができれば、優秀な営業担当の強みを多くの従業員で共有することができるのです。
ナレッジマネジメントにおいては、「暗黙知」という経験則に基づく情報を、「形式知」という言語化された情報に変換して共有しやすくすることが重要です。データベース化することで社内だけでなく社外とも情報共有しやすくなり、サポートデスクの業務効率化などのメリットもあります。
ナレッジマネジメントを行うメリット
ナレッジマネジメントを行うメリットは以下の3つです。
- 社内対応時間の削減
- 情報共有の効率化
- 問題解決能力の向上
例えば、人事部では書類の作成方法や、各種手続きの方法などを社員から質問される場合があります。手続き処理が多いタイミングはとくに質問を受ける回数が多く、社内対応に多くの時間が割かれてしまうでしょう。
このような場合、書類の作成方法や各種手続きの方法などのナレッジを蓄積しておけば、社内対応時間を削減できます。
さまざまなナレッジを一元管理しておけば、情報共有の効率化も期待できるでしょう。実績のある社員の知識は、ほかの社員が問題を解決する際の大きな力となるため、社員一人ひとりの問題解決能力の向上にもつながります。ナレッジマネジメントが重要視される理由
ナレッジマネジメント自体はそこまで新しい概念ではないのですが、従来のナレッジマネジメントは時間をかけて経験を受け継いでいく方法でした。
しかし、近年では終身雇用の崩壊や社会の移り変わりが早いこと、社会構造が複雑になってきていることなどの理由から、従来の方法が通用しなくなってきています。
以上の背景から、時代に合った新たなナレッジマネジメントを必要とする企業が増えた結果、ナレッジマネジメントが重要視されるようになってきているのです。
ナレッジベース
「ナレッジベース」とは、業務に関わる知識・知見を1か所にまとめた、いわゆる「データベース」のことです。ナレッジを日本語訳して「知識ベース」とも表現します。
転職や副業の本業化などによる人材の流動化が進んでいる現在、チーム単位や社外の人と働くといった仕事の仕方も増えてきました。その都度メンバーが変動するため、ナレッジベースのように業務に必要な知識を簡単に引き出すことができるツールが必要になったのです。
ナレッジベースを活用するメリット
ナレッジベースを活用するメリットは以下の3つです。
- ナレッジの迅速な共有
- 顧客への対応力向上
- 社員教育の効率化
ナレッジベースを構築すれば、有用なナレッジを迅速に共有できます。定期的にナレッジベースをアップデートすれば、常に最新の情報を得ることが可能です。
顧客との対応をナレッジとして蓄積していけば、顧客対応力の向上も期待できるでしょう。ナレッジベースの情報をマニュアル化すれば、社員教育の効率化にもつながります。
ナレッジベース構築ツールの種類
ナレッジベース構築ツールには、以下のような種類があります。
ナレッジベース構築ツールの種類 | 特徴 |
データベース型 | 膨大なナレッジを蓄積・共有でき、応用性が高い |
グループウェア型 | チャットやスケジュール管理機能があり、社員同士でコミュニケーションをとりやすい |
ヘルプデスク型 | 社内や顧客からの問い合わせ、クレームなどをデータベース化して活用できる |
社内Wiki型 | 社内版のWikipediaで、アクセス権を持っていれば自由に編集・検索・閲覧が可能 |
データマイニングツール型 | ナレッジを蓄積するだけでなく、AIによる分析も可能 |
以上のように、ナレッジベース構築ツールにはさまざまな種類があり、それぞれ強みが異なります。目的や用途によって使い分けるとよいでしょう。
ナレッジワーカー
「ナレッジワーカー」とは、知識を活かして新たな付加価値を生み出し、企業に貢献する労働者のことです。「知識労働者」と表現することもあります。
ネットワーク技術の発展などを背景としてナレッジワーカーは注目され始め、デスクワークによる知的労働の提供だけでなく、既存の情報をまとめて新しい価値を創造したり、未発見の問題点を発見したりといった高度な知的活動を行う存在です。チームや組織内の知識やノウハウ、アイデアを集約し、それらを発展させるための人材として多くの企業・組織で活躍する人材となります。
ナレッジワーカーの主な職種
ナレッジワーカーは一般的に以下のような職種を指します。
- コンサルタント
- エンジニア
- 金融アナリスト
コンサルタントは、企業や行政機関の経営課題を明らかにして解決手段を提案する職種です。膨大なナレッジを駆使して、最適な解決手段を提供します。
エンジニアは、IT技術の知識を持った技術者です。自身の知識を活かして、顧客の要望に応えられるようなシステムを開発します。
金融アナリストは、株価の予測や評価など、資産運用をサポートする職種です。金融や経済に関する豊富な知識が必要なため、ナレッジワーカーに該当します。
ナレッジワーカーに必要な能力
ナレッジワーカーには、情報収集能力や分析能力が必要です。豊富な知識が要求されるため、定期的に情報を収集して知識をアップデートしていく必要があります。
ただし、豊富な知識を有していたとしても、その知識を有効に使えなければ意味がありません。自身の持つ情報を分析し、情報を取捨選択できれば、どのような状況でも的確な判断・行動をとれるようになるでしょう。
ナレッジコミュニティ
ナレッジコミュニティとは、ナレッジを共有するためのインターネット上のコミュニティです。「Yahoo!知恵袋」や「教えて!goo」のようなコミュニティ型Q&Aサイトや、「Wikipedia」のようなインターネット百科事典サイトなどが該当します。
多くの企業が導入している社内Wikiや社内SNSなども、ナレッジコミュニティの一種です。ナレッジコミュニティを活用すれば、ナレッジやノウハウを社内で共有でき、業務効率や生産性の向上が期待できるでしょう。
ナレッジの使い方や例文
最後に、実際にあり得る会話の中で「ナレッジ」が登場するとすれば、どういった使い方をするのが正しいのかについて、5つの例文を紹介します。
- A社との提携で得たノウハウをナレッジとして共有し、新しい事業の展開に役立てたい
- ナレッジを共有するためには暗黙知を形式知に置き換えてまとめることが重要だ
- 〇〇事業に関連したナレッジを共有するために、社内システムに専用のFAQを作成した
- 膨大な情報量から我が社にとって価値のある情報を抽出し、ナレッジとして管理をする必要がある
- ナレッジマネジメントを有効活用するためには、目的と、その目的に合った共有するべき情報を明確にすることが重要である
解約(チャーン)防止や、LTV向上のためには、まずは適切なカスタマーサクセスのやり方を把握し、効率的に課題解決を進めていく必要があります。
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