
第一想起とは、お客様が最初に思い出されるブランドのことです。商品の購入率向上が期待できるため、マーケティングにおいて重視されています。
この記事では、第一想起ブランドを獲得することで得られる効果や獲得方法、意識すべきポイントなどを解説します。
第一想起(Top of Mind Awareness)とは
第一想起とは、「〇〇といえば〇〇(社名や商品名など)」と、お客様が最初に思い出されるブランドのことです。英語では「Top of Mind Awareness(トップ・オブ・マインド・アウェーナス)」という名称が用いられます。
マーケティングにおいて、自社ブランドの認知度を図る指標として活用されています。
第一想起に関連する用語
第一想起に関する理解を深めるために、関連する以下の用語についても押さえておきましょう。
- 純粋想起
- 助成想起
- ブランド・カテゴライゼーション
純粋想起
純粋想起(Unaided Awareness)とは、手がかりとなる情報が一切ない状態で「〇〇と聞いて思い浮かべるものは?」と質問されたときの回答として挙げられるブランドのことです。「ブランド想起」とも呼ばれます。
お客様の純粋想起を確認するアンケート調査では、自由回答形式の設問が用いられます。ヒントがない状態で回答する必要があるため、後述する助成想起よりもお客様からの深い認知が求められることが特徴です。
純粋想起によって、真っ先に思い浮かんだブランドが「第一想起」です。複数のブランドが候補に挙がった場合、思い浮かべた順番に第二想起・第三想起と呼ばれます。
助成想起
助成想起(Assisted Recall)とは、手がかりとなる情報を与えられた状態で思い浮かべるブランドのことです。「ブランド再認」とも呼ばれます。
たとえば、車の車種を問う質問に対する回答がすぐに思い浮かばない人でも、具体的な車種の候補や写真を添えた質問形式であれば「これは知っている」と思い当たることがあります。こういったケースが、助成想起です。
純粋想起ではなかなかブランド名が挙がらないような場合に、なんらかの手がかりを与えることで回答が得られれば、そのブランドは助成想起による回答に該当します。
ブランド・カテゴライゼーション
ブランド・カテゴライゼーションとは、ある製品カテゴリーについて消費者の頭のなかにおけるブランドの分類を概念化したものです。ブランドの認知から選択に至るまでのプロセスを、以下の段階で表します。
1.知名段階:知名集合・非知名集合(ブランドを知っているか)
2.処理段階:処理集合・非処理集合(ブランドの製品属性で評価できるか)
3.考慮段階:想起集合・保留集合・拒否集合(購買を前向きに考えられるか)
4.選考段階:第一想起・その他の想起集合
考慮段階に含まれる想起集合のなかから最初に思い出されるブランドが、選考段階の第一想起にあたります。
実際の消費者の思考プロセスが、必ずしもこちらのステップどおりに進むとは限りません。しかし、知名段階からトーナメント戦のように勝ち残り、かつ消費者に最初に思い出される第一想起ブランドは、購買に近いポジションとして重視されています。

第一想起ブランドの効果
自社ブランドで第一想起を獲得することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、第一想起ブランドの獲得によって期待できる効果を解説します。
商品が指名検索されやすい
第一想起ブランドになることによって、ECサイトやGoogle検索などでブランド名が指名検索されやすくなります。指名検索とは、企業名や商品名などを含む検索のことです。
たとえば、自社のリュックサック「A」が、リュックサックの第一想起ブランドを獲得したとします。
お客様が「リュックサックを欲しい」と考えてインターネット検索する際、最初に連想するブランドが「A」であれば、「リュックサック」ではなく「A」が指名検索される可能性が高まります。
他社ブランドのリュックサック「B」「C」「D」など複数候補があるケースでも、第一想起ブランドは最初に検討されやすいため、検討の順番にアドバンテージを得られる点もメリットです。
指名検索されることで「リュックサック おすすめ」「リュックサック 安い」といった関連の検索ワードによる影響を避けられるため、自社コンテンツへの流入も期待できるでしょう。
商品の購入率が高まる
第一想起の獲得によって、商品の購入率が高まる効果も期待できます。
企業のマーケティング支援サービスを提供する、株式会社トライバルメディアハウスが実施した全15カテゴリーの第一想起に関する調査によると、すべてのカテゴリーにおいて第一想起に選ばれたブランドの購入率が最も高い結果となりました。
また、第一想起から第二想起、第三想起と順番が下がるにつれて購入率が下がる傾向も見られました。
商品の購入を検討するお客様は、すでに存在を知っていて信頼度が高い商品のなかからニーズに合うものを選ぶ傾向があります。たとえば「商品名に馴染みがある」「知り合いが使用している」などの背景が、購入に結びつきやすいと考えられます。
日用品などの消耗品の場合、一度使ってみて使い心地や費用などに納得してもらえれば、その後は直感的・習慣的に購入してもらいやすい点もメリットです。競合商品と比較検討される機会を抑えられるため、スムーズな購入につながるでしょう。
参考|株式会社トライバルメディアハウス「真っ先に思い浮かべるブランドはどれ? 15業界の調査結果を大公開!」
第一想起の調査・測定方法
第一想起の調査・測定方法は、主に以下の3つです。
- 市場調査
- アンケート
- インタビュー
調査・測定方法によって、以下の傾向が見られます。
調査・測定方法 | 得られる情報の量 | 得られる情報の質 |
市場調査 | ◎ | △ |
アンケート | 〇 | 〇 |
インタビュー | △ | ◎ |
それぞれの特徴を詳しく解説します。
市場調査
市場調査は、市場調査データや競合他社の分析によって、第一想起に関する情報を集める方法です。
3つの方法(市場調査・アンケート・インタビュー)のなかで最も多くの情報を取得しやすい一方、情報の深さや解像度は他の方法に比べて劣りやすい傾向があります。
アンケート
お客様にアンケートを実施し、最初に思い浮かぶブランドや製品を尋ねて調査する方法です。この方法は、第一想起の一般的な調査方法として活用されています。
アンケートにおける設問の順番は、必ず助成想起よりも純粋想起を先にすることがポイントです。
助成想起を先に設定してフィルターがかかり、以降の設問への回答に影響が生じると、正確な調査を実施できないためです。まずは、ノーヒント状態の純粋想起による回答を促しましょう。
「Webアンケートに回答するとポイント付与」などの特典をつけることで、アンケートの参加率を上げやすくなります。
顧客起点のマーケティングをサポートするツール「coorum(コーラム)」では、coorum research機能により、ゲーミフィケーションを活用した質の高いアンケート調査を実施できます。第一想起の調査・測定に、ぜひお役立てください。
インタビュー
第一想起に至るまでの思考プロセスや理由を、お客様にインタビューする方法です。お客様を特定の場所に集めて、グループインタビューを実施するケースもあります。
お客様から直接詳しい聞き取りを行えるインタビューは、質の高い情報を得られる点がメリットです。一方で、大人数へのインタビューを実施することは難しいため、他の方法に比べると得られる情報量が少なくなりやすいデメリットもあります。

第一想起の獲得方法4つ
第一想起を獲得するには、消費者の潜在意識にブランドを定着させることが重要です。そのためには、消費者に対する露出を増やし、ブランドへの関心を高める必要があります。
ここでは、第一想起の具体的な獲得方法を4つ紹介します。
- 宣伝広告を利用する
- 口コミによる拡散を狙う
- 第三者に紹介してもらう
- PR活動を行う
1つの施策に限定するのではなく、複数の方法を組み合わせて実施することが理想です。
1.宣伝広告を利用する
第一想起の獲得方法の1つ目は、宣伝広告です。
テレビCM・新聞・看板・交通広告などでは、不特定多数に向けて自社製品やサービスをPRできます。著名人やユニークなデザインなどでお客様に印象づけられれば、ブランド認知につながります。
一方、マス広告は費用が高額になりがちです。とくに、テレビCMは費用が高額になりやすいため、ある程度の企業規模を求められるでしょう。
特定ユーザーに訴求できる宣伝広告としては、Web広告が挙げられます。ただし、Web広告をクリックして商品を購入してもらう難易度は高く、KPIを設定しにくいので、成果につなげるためには、ある程度のコストも必要です。
2.口コミによる拡散を狙う
お客様の口コミで情報を拡散してもらい、第一想起の獲得を狙う方法もあります。多額の広告費用をかけることなく、自社ブランドの認知度アップを図れます。「口コミの投稿でおまけをプレゼント」などの特典をつければ、口コミ投稿数を向上させられるでしょう。
ただし、情報発信のコントロールができないため、ネガティブな情報が発信される恐れがある点には注意が必要です。
3.第三者に紹介してもらう
直接的な広告活動ではなく、マスメディア(テレビや新聞など)の第三者機関に、自社製品・サービスを紹介してもらう方法もあります。法人から紹介された場合、とくにブランドの認知度が高まりやすい傾向があります。
プレスリリースやニュースレターなどで新規情報をこまめに提供し、メディアにアプローチしましょう。
4.PR活動を行う
SNSやメルマガ配信などで情報を発信して、PR活動を行う方法です。コストや手間を抑えやすいため、導入のハードルは低めです。
なお、メルマガ配信の場合、開封に至らなくても、件名にブランド名などを表示しておけば一定の接触効果を期待できます。
認知度が高まった後も引き続きお客様に興味を持ってもらえるよう、定期イベントや新商品・サービスの告知や宣伝など、継続的なマーケティングを展開することが大切です。
第一想起を獲得するためのポイント
第一想起を獲得するためには、どのような点に注意すべきなのでしょうか。ここでは、第一想起の獲得に向けて押さえておくべきポイントを紹介します。
潜在ニーズの段階で認知してもらう
お客様の潜在ニーズがある、早期の段階でブランドを認知してもらうことが大切です。
お客様の購買プロセスには、以下の4つの段階があります。
1.潜在層:ニーズがなく、商品も知らない
2.準顕在層:ニーズはあるが、商品を知らない
3.顕在層:ニーズがあり、商品も知っている
4.明確層:ニーズがあり、商品の検討段階に入っている
明確層に近づくほど商品への関心度が高まり、購入に結びつきやすくなるため、広告市場への競合他社の参入による競争の激化が想定されます。潜在層の段階からブランド認知を高めておくことで、競合他社との激しい競争を避けられるでしょう。
また、ユーザーがブランドの検討を始める前の情報感度が高まっているタイミングで広告配信すると、第一想起率がアップしやすい傾向もあります。
調査でユーザーニーズを明確化する
ユーザーニーズを踏まえた第一想起の獲得施策も大切です。
第一想起は必ずしも、ポジティブなイメージとは限りません。ユーザーニーズから外れた誤ったPR活動を推し進めた結果、ネガティブなイメージによる第一想起を獲得してしまう恐れもあります。
ネガティブなイメージによる第一想起を避け、競合他社との差別化を図るためにも、調査の際にユーザーニーズを明確化しておくことは重要です。
第一想起獲得に向けたマーケティングならcoorum
第一想起とは、お客様に最初に思い出されるブランドのことです。第一想起ブランドを獲得することで、商品の購入率アップを期待できます。ポジティブなイメージでの第一想起獲得を目指しましょう。
第一想起を獲得するためには、ユーザーニーズを的確に把握したうえで、競合他社との競争が激化する前に対策を講じることがポイントです。
宣伝広告の利用や口コミ、第三者からの紹介やSNS・メルマガ配信によるPR活動など、複数の施策を組み合わせて実施するとよいでしょう。
「coorum(コーラム)」を通じたお客様とのコミュニケーションやアンケート調査は、第一想起の調査・測定やユーザーニーズの的確な把握に役立ちます。担当者による情報発信も簡単に行えるため、継続的なPR活動にもおすすめです。
第一想起の獲得に向けたユーザーニーズの調査・分析から自社ブランドのPR、効果測定までを一貫してサポートするツールとして、ぜひ「coorum(コーラム)」の導入をご検討ください。
