ファンベースマーケティングが重要とされる理由とは?事例や実行のポイント

2024-05-31 コラム

ファンベースマーケティングは、既存顧客をファンに育成してビジネスの拡大に繋げる戦略です。その理由は、新規顧客を獲得する難しさが年々増しているためです。ファンベースマーケティングの意味や重要とされる理由、成功のポイント、成功事例などを解説します。

ファンベースマーケティングとは

ファンベースマーケティングとは、顧客のファン化を促し、中長期的に売り上げ拡大やブランド価値を高めるマーケティング戦略です。新規顧客の獲得ではなく、既存顧客の維持を中心に考える手法ともいえます。

ファンは単なるリピーターではないため、安価な類似品を見つけても、簡単に乗り換えることはあまり考えられません。利便性や使い勝手などの商品としての魅力をこえて、提供元やサービスに愛着や信頼を感じています。

お気に入りのお菓子や文房具があると他の商品には目もくれず、ずっと同じものを買い続けてしまったという経験は誰にでもあるものです。

また、ファンになると売り手と買い手のビジネスライクな関係をこえて、人間同士の強固なつながりを築けます。

人口減少や少子高齢化を背景に新規顧客の獲得がますます難しくなるなか、既存のファン向けにPR活動を重視するファンベースマーケティングへの注目度が、日に日に高まりつつあります。

ファンマーケティングとは?メリットや戦略、成功事例を紹介

ファンベースマーケティングが重要とされる理由

ファンベースマーケティングが重要視されるのは、新規顧客より既存顧客を大事にしたほうが安定した利益を確保できるためです。

市場が高度に成熟した現代では、あらゆる商材で商品の数が多く、ユーザーは自分にとって何がよいのかわからず、混乱しがちです。

そのため、新たに顧客を獲得する難易度が高まりつつあり、既存顧客を重視するファンベースマーケティングが注目されています。

売り上げの多くをファンが支えている

ビジネスの拡大を考えると、つい新規顧客の開拓へと目がいきがちです。しかし、安定的な収益を支えているのは既存顧客の存在です。継続して商品を買い続けている優良顧客を大事にすることで、ビジネスを成功に導けます。

マーケティングの有名な法則である「パレートの法則」も、ファンベースマーケティングの有効性を主張しています。

パレートの法則とは、売り上げの8割は顧客全体のうち、上位2割の優良顧客が生み出しているというものです。

同じブランドを長期にわたって愛用している顧客は、拠出する金額も大きく、企業の安定を下支えしています。既存顧客のみで安定した収益を確保するには、ファンベースマーケティングの実施が不可欠ともいえます。

新規顧客獲得のコストが高い

母数が多い新規顧客に向けて、広告宣伝を行ったほうが効果は高いと考えますが、新たに顧客を獲得するコストの高さを考慮するとそうとも言い切れません。

新規顧客は離脱率が高いうえに、獲得・維持にかかる費用が既存顧客の5倍だとする「1:5の法則」があります。「1:5の法則」を信じると、今の顧客の維持に力を入れたほうが著しくコストパフォーマンスが高いのは事実です。

一度でも商品を購入して魅力的だと感じてもらえれば、次は広告宣伝に力を入れずとも自主的にリピーターになってくれます。

市場が成熟市場となり顧客の消費行動が消極的になった

今は商品の種類にかかわらず、マーケットに足を運べば、欲しい商品が見つかる時代です。市場が成熟し、これ以上の成長は期待しにくい飽和状態に達したといえます。

ユーザーにとっても選択肢が豊富で喜ばしい事態ですが、必ずしも企業の売り上げにつながるとはいえません。商品の種類が多すぎて選ぶことに負担を感じ、途中で購買行動を中止してしまうケースが散見されます。

コロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授が提唱した、「ジャムの法則」を例に説明します。

スーパーでジャムの試食販売を実施し、一方のグループには6種類のなかから、もう片方のグループは24種類のなかから選ばせ、購買率にどのような影響が生じるのか調査しました。結果は驚くべきことで、6種類のグループの高倍率が、24種類のグループの10倍に達しました。

選択肢が多すぎると選びにくいだけでなく、選んだ後に他の選択肢が良かったのではと、後悔の念が生じることも関係あるといわれています。

あらゆる商品で選択肢が豊富で消費者が選び放題な現代の市場は、企業にとって好ましくない状態です。

選ぶのに疲れて購入を諦めてしまうユーザーの存在を考慮すると、新規顧客の獲得の難易度は上がっています。「一度商品を買ったことがある」というだけで、企業にとっては存在意義が大きく、マーケティングの主たるターゲットだといえます。

新規顧客の獲得が難しい理由

新規顧客の獲得が難しくなりつつあるのはなぜか、もう少し掘り下げて考えましょう。メディアで注目を集めても「そうなんだ」程度の薄いリアクションにとどまり、購買に達するまでのモチベーションの向上にはつながらないというのが一因です。

また、高齢化や人口減少など時代背景を理由に、新しい商品を買う人が減ったのも関係しています。

SNSで話題になっても購買につながるわけではない

WebマーケティングではSNSを利用して、認知拡大や集客、ファンの育成を図ることが推奨されます。

しかし、SNSで話題になってもほとんどの場合は「気になる」にとどまるだけで、実際に購買まで至るケースは多くありません。たとえバズっても、発信元がまったく知らない人のアカウントの場合、信用がないという理由で問い合わせを行わないことがあります。

話題を集めることに成功しても、中長期的に人気を維持できず、一発屋に終わってしまっては企業の発展にはつながりません。認知拡大もマーケティングでは重要ですが、利益を生み出すとはいえないのが難しいところ。

以上の理由でSNSの活用による新規顧客の獲得は難しく、既存顧客を大切にするファンマーケティングの台頭を呼び込んだともいえます。

高齢化や人口減少で新しいものを買う人が減った

「他の商品に乗り換えるくらいなら今と同じものでいい」と考え、使い慣れた商品を買う人は少なくありません。

とくに、高齢者は新たな商品・サービスに挑戦する傾向が少なく、結局いつもの商品や使い慣れた商品を購入しがちです。バイタリティの低下や高齢化による衰えから、新しいものを導入しようとする意志がわいてこないケースも見受けられます。

将来的に人口の減少に向かい、全体に対する高齢者の割合が増えるのはほぼ確実です。シンプルに母数が減るため、若者をターゲットに据えた商品は今後ますます売れにくくなるでしょう。

ファンベースマーケティングを成功させるポイント

ファンベースマーケティングでは、単に商材の魅力をアピールするだけでは足りず、宣伝活動にも工夫が必要です。

商品の開発秘話やこだわりなど、普段は表に現れない話を積極的に公開しましょう。ファンの熱量を高めるためには、不可欠といっても過言ではありません。

ファン同士で、密な交流を図れるコミュニティの構築も効果的です。商材への想いを共有できる仲間が見つかると、より愛着や信頼を感じやすくなります。ここでは、ファンベースマーケティングを成功させる5つのポイントを紹介します。

ユーザーのフェーズに合わせたアプローチを行う

顧客一人ひとりのニーズに合わせて戦略を変える、one to oneマーケティングと似た側面があります。顧客のフェーズ毎にアプローチを変えて、実践するのがポイントです。

新規顧客に対しては、認知をしてもらうためにSNSでキャンペーンを開催したり、クーポン配布で購入ハードルを下げたり、既存顧客にはファンコミュニティへの参加を促したりすることで、ブランドに対する愛着を増やしていくなどがあげられます。

まずファン育成のシナリオを作成し、全体的な設計を組み立てた後、具体的な施策の立案に移るのがおすすめです。

ファン育成までには時間を要するため、ファンベースマーケティングは中長期的な視点で取り組む必要があります。

商品の開発秘話やこだわりを共有する

ファンの愛着度やブランドへの信頼をより高めるために、製品やサービスのストーリーやこだわりを発信するのもおすすめです。売れる商品ができるまでには、背景にドラマがあることも珍しくありません。

創業者の想いや打ち明け話に加えて、消費者の意見を取り入れてサービスを改善した体験談があると共感を得やすいでしょう。ファンを大切にしている気持ちの現れが消費者にも伝わり、口コミによる拡散効果も期待できます。

ファンベースマーケティングでは優良顧客の熱量を高めるために、感情を揺り動かすアプローチが求められます。普段商品を購入しているだけではわからない、裏話を積極的に公開してはいかがでしょうか。

ファンの間でコミュニケーションをとれるようにする

ファン同士で交流できる機会を、積極的に設けるのも有効な戦略です。ブランドに対する魅力の発見につながるだけでなく、利用者目線のアドバイスによって商品やサービスの改善にも役立つためです。

たとえば会員制コミュニティサイトの開設や、ファン感謝イベントの開催などがあげられます。ファンが自らコンテンツを投下できる仕組みを取り入れると、一緒に商品を創り上げている一体感の醸成にもつながるでしょう。

シンプルですが、コミュニティの構築はファンマーケティングの高い効果を期待できます。コミュニティ内には自分と近い価値観を持った人たちが集まるため、自らの嗜好により自身を持ち、より商品やブランドの熱量が高まることも期待できます。

狙うのは共感をこえた、「熱狂」の二文字です。

コミュニティマーケティングとは?注目される理由や成功させるポイントを紹介

施策が「ファンベース」であるか再検討する

今の施策が「ファンベース」に則っているかどうか定期的に見直しをかけ、フェーズに合わせて、それぞれのマーケティング投資を最適化しましょう。

私たちの普段の購買行動を考えると、まずSNSで企業の評判を見かけて興味を持ち、次により詳細な情報を得ようと、企業のオウンドメディアをチェックするという流れが多いのではないでしょうか。

続いてイベントの存在を知り、参加することでブランドや商品に対するコミットメントを高めるのは十分考えられます。

企業はファンのことを考えて施策を講じているつもりでも、実際は顧客のニーズからかけ離れた、見当違いの行動をとっている場合があります。

上記を防ぐために重要なのは、ファンの声に耳を傾けることです。ニーズを理解したうえで適切な情報提供を行わなければ、熱量の維持や向上を期待できません。

ファンの意見を吸い上げるために有力なツールが、DMP(データマネジメントプラットフォーム)です。ECサイトや店舗など各チャネルで得た情報を統合的に管理し、グルーピングを行った後、それぞれのグループに最適な情報を提供できます。

ファンベースマーケティングの事例

ファンベースマーケティングで失敗しないためには過去の事例を知り、参考にすることが重要です。弊社のオンラインコミュニティ構築プラットフォーム「coorum」を活用し、ファンコミュニティの運営に成功したお客様の例を紹介します。

株式会社コメダ

チェーン珈琲店「コメダ珈琲」を運営する株式会社コメダは、オンライン上にユーザー同士の憩いの場を作るために、コミュニティサイト「さんかく屋根の下」を作成しました。

もともとコメダ珈琲は常連客を店舗に招待し、試作品の試食会や理想のルノワールを研究する「コメダ部」というイベントを実施していました。顧客からの声を聞く機会はあったものの立地や時間などさまざまな制約から、実際にイベントに来られる顧客の数は限られています。

オンラインなら個人に起因する制約を気にせず、気軽な来往を期待できるため、オンラインコミュニティサイトの構築を決意したようです。

さんかく屋根の下は、約1万人の会員数を誇る大規模なオンラインコミュニティです。今後はアクティブに活動するユーザーの割合を増やし、ファンの熱量を高める施策を進める計画を予定しています。

株式会社カインズ

大手ホームセンターチェーン株式会社カインズは、DIYを楽しむ人同士が、オンライン・オフライン問わずつながるユーザーコミュニティ「CAINZ DIY Square」(カインズ ディーアイワイ スクエア)をオープンしました。

きっかけはカインズに来店していないときも含めて、より強固に顧客との接点を持ちたいとの思いがあったためです。

店舗でワークショップを開催しても、作った作品を実際にどのように活用しているかは、店頭でのやり取りだけではなかなか把握できません。

家で孤独に製作することが多いDIYの特性を踏まえて、ユーザー同士でコミュニケーションを図る機能を重点的に整備しました。

作成の過程で生じた疑問を気軽に解消できるうえに、完成した作品を共有して反応を得ることも可能になり、熱量の高いコミュニティの運営に成功しています。

ホノルルマラソン日本事務局

ホノルルマラソン日本事務局は顧客体験やユーザーのエンゲージメントの向上を目指し、「ホノルルマラソンOHANA」というオンラインコミュニティを開設しました。

きっかけはコロナの影響による渡航制限のため、現地に参加する人が減るなか、オンライン上でホノルルマラソンの魅力を感じてほしいという思いからです。

ホノルルマラソンは、大会当日に沿道から多くの人が沿道に出向いて応援する容器で温かい雰囲気が一番の魅力です。

オンラインコミュニティでもユーザー同士でティップスを教えあったり、現地の観光に関する活発な情報交換を行ったりといったハートフルな運営を渇望していました。

書き込みやログイン回数などユーザーのアクションに応じてポイントを付与し、獲得したポイント数によってランクがアップする仕組みを導入しました。ユーザーの熱量が可視化され、心地よさとともに活力もある素晴らしいコミュニティが実現しています。

ヤマダイ株式会社

お店で食べられるような本格的な味が魅力の、カップラーメン「凄麺」を製造するヤマダイ株式会社はオンラインファンコミュニティ「すごめんち」を開発しました。

もともと商品開発ではお客様の声を重視していたのですが、コロナ禍によって店頭での試食販売ができなくなり悩まされます。ユーザーとの接点がSNSだけでは心許ないため、ファンコミュニティの導入を検討したのです。

すごめんちではユーザーによる投稿が活発で、熱量の高さをうかがえます。立ち上げ当初は、SNSで凄麺の感想を投稿しているユーザーに声をかけ、コミュニティの初期メンバーへの参画を要請します。

その後、ユーザーの拡大を図るフェーズでは商品のファンだからこそ参加したいイベントを実現しました。ユーザーのニーズに合わせた施策の立案・実行によって、熱量の高いコミュニティの運営に成功した事例です。

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ファンベースマーケティングで業績に繋げよう

ファンベースマーケティングは新規顧客の獲得にリソースを割かずに、効率的にビジネスを拡大に繋げられます。

商品やサービスに対する愛着や信頼が購入の決め手のため、価格競争に陥らずに選ばれ続けやすいのが利点です。

ファンベースマーケティングには、ユーザー同士が気軽に打ち解けられるコミュニティの運営が不可欠だといえます。

効果的なマーケティング戦略の立案にお悩みの企業様は、ぜひ弊社の「coorum」をご検討ください。

cxin

株式会社Asobica cxin編集部。
コミュニティやファンマーケティングに関するノウハウから、コミュニティの第一人者へのインタビュー記事などを発信。

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