ファンコミュニティの成功事例11選

2020-08-13 2024-07-23 コラム
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ビジネスに関わるコミュニティの1つに「ファンコミュニティ」が存在します。ファンコミュニティを上手に活用することで、ビジネスの成功や事業の発展に大きく寄与する可能性があるのです。ここでは、実際にファンコミュニティを活用して成功した8つの事例を踏まえて、ファンコミュニティを活用する意味について解説します。

ファンコミュニティとは?

「ファンコミュニティ」とは、商品やサービス、ブランドなどのファンによって構成される、相互通行型の集団のことです。

ファンコミュニティ内では、「ファン同士」「ファンと主催者(企業)」間で相互的なコミュニケーションが行われます。従来の「ファンクラブ」が「主催者⇒ファン」の一方的なコミュニケーションしか形成されていないのと比較して、SNSなどのツールを用いた相互的なコミュニケーションを行うという点が大きな違いです。

昨今、SNSなどを通じて「ファンから一般消費者へ」という流れで商品・サービスが勧められ、これが購買につながるという流れが主流となっています。これは、従来の「企業による自社商品の自画自賛」による購買意欲の促進からの大きな変動であり、ファン同士の交流がいかにビジネスの成功につながるかを物語っています。

ファンの交流の場であるファンコミュニティに必要な情報を適宜流入させ、必要に応じてメンバーの監視や警告などのアクションを行う「コミュニティ・マーケティング」により、ファンコミュニティはより活発に交流を行い、企業の利益につながる流れをもたらすことができます。

ファンコミュニティへのアプローチは、従来のマーケティング手法と比較して大きな違いがあります。従来のマーケティング手法ではマーケティングが進むにつれて対象ユーザー数が減少する構図でした。しかしファンコミュニティはマーケティングを進めることで「ファンが新しいファンを呼び込む」という構造により徐々に規模を大きくするという構図になるのです。

この点が多くの企業に注目され、有名企業でもファンコミュニティのコミュニティ・マーケティングが実施されているのです。

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ファンコミュニティの成功事例11選

では、ファンコミュニティへのアプローチに成功し、一定の成果をあげた成功事例を8つ紹介します。

スノーピーク

「スノーピーク」は、新潟に本社を置くアウトドア関連のメーカーです。1990年に「ミッションステートメント『The Snow Peak Way』」を制定し、徹底的なユーザー目線での製品開発を会社理念として掲げてきました。

ファンコミュニティマーケティングの中心にあったのは、1998年から毎年開催しているキャンプイベントで、30万人を超える会員やファンで構成されています。このイベント、実は同社のビジネスの中心であったオートキャンプブームが終わったことに起因しています。

同社が行った施策のメインとなったのは「マーケティングコストの見直し」と「永久保証の導入」でした。これらの施策は従来の「商品を売れば、それで終わり」という構図から「商品を売ってからも続く顧客との関係」という仕組みの必要性をもたらし、実践した結果、顧客満足度の向上とLTVの向上につながったのです。

また、同社ではオフライン(リアル)イベントを充実させた点も評価されています。イベントには多くの社員も参加しており、顧客との直接的なコミュニケーションによってファンの創出に寄与します。さらに、オンラインイベントと連動させることにより、顧客との接点をさらに強化しています。

株式会社カインズ

ホームセンターチェーンをメイン事業とする株式会社カインズは、2021年、DIYを楽しむユーザー同士がオンラインとオフラインでつながるコミュニティ「CAINZ DIY Square」 (カインズ ディーアイワイ スクエア)を立ち上げました。

同社では2019年より「DIYer100万人プロジェクト」をスタートさせ、日曜大工や家事、ガーデニングなどを行う「DIYer(ディーアイワイヤー)」をサポートする取り組みをオフラインで行ってきました。コミュニティの運営は、これらオフラインの活動とつながり、顧客の声を集めることなどが目的とされています。

コミュニティの立ち上げは、ワークショップやキャンペーンによく参加している顧客に声をかけ、実際にコミュニティを利用してもらうという形で始まりました。

顧客からは「ワークショップで作ったものをどのように活用しているのか知りたい」などさまざまな声が集まり、リリースに至ったということです。

コミュニティでは、「DIYのやり方がわからない」など困りごとを発信すると他のユーザーが教えてくれるなど、ユーザー同士で解決する仕組みができあがっています。また、DIY作品を投稿すれば多くのDIY仲間が閲覧して「いいね」などのコメントがつくなど、わずか1年の運営でコミュニティを活性化させることに成功しています。

以下の記事では、コミュニティマーケティングを実施して成功している事例を紹介していますので、合わせてチェックしてみてください。

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株式会社SUBARU

自動車メーカーである株式会社SUBARUには、既存の会員サイトでのファンによる過度な先鋭化や、一方的な情報発信となっていた活用法に課題がありました。

そこで、ユーザーとは比較的距離のある技術者とをつなぐため、ファンコミュニティを立ち上げ「協創」の実現に努めています。

コミュニティはディーラー店だけではなかなか得られない、技術者の「こだわり」の感じられる情報発信や、ユーザーが日々感じる要望のヒアリングへの活用が可能です。

今後はファンコミュニティにおけるユーザーの行動ログと、すでにあったユーザーのLTVとの相関を調査し、より価値あるツールになるよう期待されています。

導入事例インタビューはこちら▼
データ統合が進むSUBARUの「効果が見えるファンコミュニティ」。お客様と技術者のつながる場を目指して

マイネオ

「マイネオ」は、MVNO(格安スマホ)サービスを展開する通信業者です。活発で強力なユーザーコミュニティを運営しているMVNOとして注目されています。

MVNOは、そのサービスの性質上どうしても多くの競合他社が「安さ」を追求していく流れにありました。そんな中でマイネオは、それとは全く無関係な「情緒的な価値」による差別化を目指し、2015年から自社コミュニティの運営をスタートさせています。

このコミュニティを通じて、マイネオはユーザーと共同になってさまざまな価値を創出してきました。アプリの新機能開発やテレビコマーシャルの展開など、本来であればユーザーの介在がほとんどない場面においてユーザーを「会社の同志」と定めて取り組んだのです。

現在、コミュニティ「マイネ王」では「アイデアファーム」というコンテンツを用意しており、ここではマイネオのサービス改善点をユーザー自らが発信する場を設けています。さらに「フリータンク」「シェアスペース」「ゆずるね。」などのサービスを利用できるようにしており、その利便性がさらなるユーザー確保につながっているといえます。

Akamai

「Akamai」は、全世界を舞台にコンテンツ配信サービスを提供している企業です。日本では企業名があまり知られていない会社ですが、Akamaiが手掛けるコンテンツサービスに触れたことがあるという人は多いかもしれません。

一般消費者の興味関心がどうしても薄れてしまう同社のケースだと、消費者との接点を増やすスタイルのコミュニティマーケティングとは相性が良くありません。有効となる手段は、すでにサービスを利用している顧客との接点を増やし、コミュニティを形成する方向性になります。

同社のコミュニティ(技術者向け)は、ユーザー同士の技術的問題解決の場として機能しています。その結果、顧客から同社への問い合わせ件数が減少し、サポートセンターの業務を大幅に削減することに成功しています。これにより、サポートセンターのスタッフの負担を軽減し、サポートコストを削減することができるのです。

株式会社すかいらーくホールディングス

株式会社すかいらーくホールディングスは、厳選したロイヤル顧客だけが参加できるユーザーコミュニティ「おやさい学校 しゃぶしゃ部」をスタートさせました。

コミュニティ運営を決意したきっかけは、SNSの発信ではコミュニケーションのとり方が一方通行で、ユーザーのインサイトの把握には役立っていないと感じたためです。

コロナによる客離れに悩まされるなか、従来の自社が作りたいモノを作るスタンスから、ニーズを出発点にするモノ作りへとスタイルの変更を余儀なくされたそうです。

このような方針の変化に伴い、顧客の生の意見を吸い上げるためにコミュニティ内のユーザー調査に取り組んでいます。

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COHINA

「COHINA」は、2008年からスタートしているファッションブランドの会社です。「小柄な女性が日常生活で使いやすい服」を提供している会社であり、女性ファッション業界では珍しいスタイルかもしれません。

平均身長から外れた女性はどうしてもファッションの選択肢が少なくなります。この顧客層は「平均身長から外れている」という客層の少ない市場、そこへの進出となれば「人知れず安定した会社」というスタンスになってしまう可能性が高いのです。

同社はインスタグラムを活用してライブ配信をスタートし、顧客の生の声を集める手法を展開しました。これにより、顧客のニーズを確実につかみ、ブランドの開設から1年という短い期間で月商5,000万円を達成するという快挙を成し遂げています。

カゴメ

「カゴメ」は、飲料や調味料などの食品大手メーカーです。大手メーカーであるカゴメは、しかしながら「売上の3割は、2.5%のコアな顧客がもたらしている」と明言しています。

同社が運営するコミュニティは、業績が落ち込んでいるときに提案された企画の1つです。業績低迷の原因は主力であるトマトジュース市場の規模が縮小したことに加えて、売上の3割を支えていたコアな顧客の離脱だといわれています。

離脱の原因を「購入者の選択肢が増えたから」と考えた同社では、会員制のコミュニティサイトを誕生させ、会員数は増やさずにファンとのコミュニケーションを重視したコミュニティとして運営することを決めました。KPIとして「アクション率」を設定し、一般的なコミュニティのアクション率が1桁であることを考えると、同社のコミュニティでは10%以上という高い数値を達成しています。

ユニークなコンテンツなどを用意し、ファンは着実に増加し、特に若年層のファンが増加した点が評価されています。現在では、市場調査母体として商品開発などにもコミュニティサイトの反応が利用されています。

ネスレ

「ネスレ」は、スイスに本社を置く、日本ではコーヒーのメーカーとして有名な世界最大クラスの食品・飲料の会社です。カプセル式本格カフェシステム「ネスカフェ ドルチェ グスト」サービスを展開し、このサービスのユーザ向けコミュニティとして「ネスカフェ・ドルチェ・グスト・ロイヤルティクラブ」を運営しています。

商品開発やマーケティング戦略には、このコミュニティのユーザーの意見が活用されています。例えばコミュニティ内では「ケース単位では余るから、箱単位がいい」「新しいカプセルを試したいが、ケース単位は多過ぎる」という意見があり、この意見がサービス展開に反映されています。

同社では従来から、定量的なリサーチは数多く実施していますが、その結果からは見えない問題が多いことを実感しています。顧客の生の意見を集めることが、結果に直結する改善点の模索に役立つことを、コミュニティの運営によって実感しているのです。

スターバックス

「スターバックス」は、世界規模で展開するコーヒーチェーン店です。本場であるアメリカのスターバックスでは、コミュニティを活用して多くのアイデアを募る手法、いわゆる「共創」を実施しています。

オンラインコミュニティにおいて、同社はファンからの意見やフィードバックを集め、商品開発やサービス改善などに活用しています。熱狂的なファンの多い同社では、ときに従業員以上の熱量を持ったファンも存在し、当事者意識の強さが「本当の顧客目線でのフィードバック」につながるのです。

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アテニア

「アテニア」は、横浜に本社を置く化粧品や健康食品、アパレル商品を取り扱う会社です。同社ではファンコミュニティを活用することで「2度のV字回復」を経験しています。

同社では2度にわたる低迷期を経験しており、そのたびにファンコミュニティの意見を活用しています。ファンコミュニティでは「リアルな本音」が豊富に集まるという性質があり、自然に良い意見が集まるというメリットがあるのです。

「本音」だからこそ、ときに企業目線で歯築かなかった商品価値を知るきっかけになります。メーカーが知らないメリットや魅力を発見し、販売手法やプロモーションにも影響するのです。また、コミュニティに参加して日が浅いライトユーザーが、ヘビーユーザーの熱弁に影響を受けることが良い循環を生み出すとも考えられています。


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株式会社Asobica cxin編集部。
コミュニティやファンマーケティングに関するノウハウから、コミュニティの第一人者へのインタビュー記事などを発信。

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