One to Oneマーケティングとは?手法の具体例や企業の成功事例を解説

2025-05-09 コラム

One to Oneマーケティングとは、顧客ごとに最適化された施策を実施するマーケティング手法のことです。顧客のロイヤルティを高め、LTVを最大化するための手法として、近年注目を集めています。

この記事では、One to Oneマーケティングの概要やメリット、主な手法や手順、導入企業の事例を解説します。ぜひ参考にしてください。

One to Oneマーケティングとは

One to Oneマーケティング(1to1マーケティング)とは、お客様と企業で1対1のマーケティングコミュニケーションを図り、お客様一人ひとりに対して最適化された施策を実施するマーケティング手法のことです。

One to Oneマーケティングのベースには、お客様と良好な関係を構築し、長期的なリピーターを育成することで企業利益の最大化へとつなげる「リレーションシップマーケティング」の考え方があります。

お客様一人ひとりに具体的な提案を行うOne to Oneマーケティングは、お客様との継続的な関係構築に役立つマーケティング手法として、近年注目を集めています。

マスマーケティングとの違い

マスマーケティングとは、不特定多数のターゲットを対象に展開するマーケティング施策のことです。個別のお客様にアプローチするOne to Oneマーケティングの、対義語にあたります。

マスマーケティングの施策のメインは、テレビ・新聞・雑誌・ラジオといった「マスメディア」への広告・宣伝活動です。自社や取り扱い商品・サービスなどを、「幅広いお客様に知ってもらうこと」を主な目的としています。

マスマーケティングは多くのお客様からの認知を期待できる一方、一人ひとりの価値観や嗜好に応えることは難しいため、思うような費用対効果を得られなかったり、ブランド嫌悪などにつながったりするリスクもあります。

一方、One to Oneマーケティングは、お客様に必要な情報を提供して満足度を高めることで、自社の商品・サービスを「能動的に選んでもらう」状態を目指すマーケティング手法です。

マスマーケティングと比べて訴求できる顧客数は少ないものの、マスマーケティングが持つリスクを避けながらCVR(コンバージョン率)の改善などを見込めます。

パーソナライズとの違い

パーソナライズとは、お客様の属性や購買・行動履歴などのデータをもとに最適な情報を提供することです。一方、One to Oneマーケティングは「パーソナライズされた施策を実施するための全体的なシナリオ設計」という意味を持ちます。

どちらもお客様ごとの行動に合わせた対応をとる点では共通しており、One to Oneマーケティングはパーソナライズド・マーケティングと呼ばれることもあります。

One to Oneマーケティングのメリット

One to Oneマーケティングの主なメリットは、以下のとおりです。

  • CVR改善につながる
  • 顧客単価やLTV改善につながる
  • 顧客満足度向上につながる

それぞれ詳しく解説します。

CVR改善につながる

One to Oneマーケティングの1つ目のメリットは、CVR改善につながることです。

One to Oneマーケティングでは、自社商品・サービスに対する興味・関心の高いお客様に向けた適切なアプローチを行います。

たとえば、「以前にメールを開封したことのあるお客様に絞ってオファーする」「見込み顧客の興味・関心に合わせた広告を配信する」といったアプローチで見込み顧客を取り込むことで、CVRアップを期待できるでしょう。

「自社ECサイトで集客はできているにもかかわらず、CVRが低い」という場合、One to Oneマーケティングに取り組むことで、顧客の検討フェーズに合わせて訴求を出しわけ、CVR改善につながる可能性があります。

顧客単価やLTV改善につながる

顧客単価やLTV(顧客生涯価値)改善につながる点も、One to Oneマーケティングのメリットです。

購入履歴や購買行動履歴をもとに既存顧客に効果的にリーチ可能なOne to Oneマーケティングは、アップセルやクロスセルを見込めるほか、「ファン化」も期待できるためです。

たとえば、登山グッズを購入したお客様に登山を楽しむコツをメール配信し、さまざまな登山グッズと使い方を案内しておきます。お客様がECサイトに再訪問したタイミングで紹介済のグッズをおすすめすれば、クロスセルにつながりやすいでしょう。

顧客満足度向上につながる

顧客満足度の向上につながる点も、One to Oneマーケティングのメリットに挙げられます。

One to Oneマーケティングにもとづき、お客様にとって有益な情報を適切なタイミングで提供することは、企業への信頼感や愛着心を育み、お客様と企業の良好な関係構築に役立つためです。

たとえば、必要としていない商品・サービスの広告が繰り返し表示される場合、お客様は企業への嫌悪感を抱きかねません。

一方、One to Oneマーケティングで適切なタイミングで見込み顧客が必要とする情報を届けられれば、「有益な情報を提供してもらえる」「自分を理解してもらえている」といった企業に対する信頼感や愛着心が高まりやすくなります。

また、顧客満足度が向上すれば、リピート購買や口コミによる宣伝効果も期待できるでしょう。

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One to Oneマーケティングの主な手法

One to Oneマーケティングには、以下のようにさまざまな手法があります。

  • レコメンデーション
  • リターゲティング広告
  • メール配信・DM送付
  • LPO(ランディングページ最適化)
  • MA(マーケティングオートメーション)
  • アンケートや診断コンテンツ

各手法について詳しく見ていきましょう。

レコメンデーション

レコメンデーションとは、ECサイトや動画配信サービスのWebサイトやアプリなどで、お客様の過去の購入履歴や閲覧履歴にもとづき、類似商品や関連商品をおすすめする手法のことです。

具体例は、以下のとおりです。

  • 健康食品の購入者に、似た効用を期待できるサプリメントをおすすめする
  • ボトムスの閲覧者に、対象商品を取り入れた全身コーディネート例を紹介する
  • 「この商品を買った人はこのような商品も買っています」など、類似顧客の購入アイテムをおすすめする

お客様の興味・関心が高い商品をおすすめするため購買につながりやすいだけでなく、UX(ユーザーエクスペリエンス)の改善も期待できます。

リターゲティング広告

リターゲティング広告とは、自社サイトを訪問して離脱した顧客をCookieの情報をもとに追跡し、他のサイト上で自社商品のWeb広告を表示させる手法です。

たとえば、複数ブランドの商品を比較検討するために、閲覧していた自社サイトから離脱する顧客もいます。そのような顧客にリターゲティング広告を打つことで、自社商品に再び興味を持ち、自社サイトへの再訪問・購入につながる可能性があります。

お客様から他社商品と比較検討されやすい商品や、高額で購入までに時間がかかりやすい商品との相性がとくによい手法といえるでしょう。

メール配信・DM送付

お客様に直接メールやDMを送るメール配信・DM送付は、メールアドレスや住所といった必要情報を収集できているお客様に活用可能な手法です。

以下の例のように、お客様の状況に合わせたメールやDMを送ることで購買意欲を刺激し、収益アップを期待できます。

  • 休眠顧客:セール情報や新商品情報、誕生月のクーポン配信などで掘り起こしを狙う
  • リピーター:特別優待情報や、クロスセルにつながるセット割引クーポンを配信する

LPO(ランディングページ最適化)

LPO(Landing Page Optimization)とは、商品の購入やサービスの申し込みに特化した広告ページ「ランディングページ」に訪れたお客様の購買率や会員登録率を高めるために最適化することです。

One to OneマーケティングにおけるLPOでは、以下のようにお客様に合わせた設定が求められます。

  • 既存のランディングページとは異なる新たなバージョンを作成し、ターゲットとなる訪問者に限定して表示する
  • 検索者がいる地域に合わせたランディングページを設定する
  • 訪問時期や時間に合わせて表示メッセージを変える

訪問者の過去の行動履歴などにもとづきLPOを個別設定することで、自社サイトの訪問率や成約率アップにつながります。

MA(マーケティングオートメーション)

MA(Marketing Automation)とは、興味・関心や行動が異なる顧客一人ひとりへの、個別コミュニケーションに必要な業務を自動化するツール・仕組みのことです。

たとえば、MAでは以下の一連の流れを自動化できます。

1.ECサイトを訪問したものの商品購入に至らなかった顧客に、リマインドメールを送る
2.リマインドメールを開封したものの商品購入には至らなかった顧客に、リターゲティング広告を打つ
3.リターゲティング広告をクリックしたものの商品購入には至らなかった顧客に、メールで特別オファーを送る

個別具体的なアプローチが求められるOne to Oneマーケティングを人の手で行うためには、多くのリソースが必要です。

指定条件に合わせたマーケティング施策を自動化するMAツールを活用することで、人的リソースに左右されない大規模なOne to Oneマーケティングを実現できます。

アンケートや診断コンテンツ

アンケートや診断コンテンツなどを活用した調査・分析では、属性情報や行動履歴だけでは掴めない、顧客のリアルな声や実態を把握することが可能です。顧客の趣味嗜好やニーズを的確に把握することで、One to Oneマーケティングの成功に近づきます。

アンケートや診断コンテンツの実施方法に悩む場合、顧客起点のマーケティングを実現する「coorum(コーラム)」の利用がおすすめです。ゲーミフィケーション型アンケート等により、顧客の心理・使用実態を収集可能な「coorum resarch」を活用して、質の高い情報を効率的に収集できます。

アンケートや診断コンテンツを活用したOne to Oneマーケティングを希望する場合、ぜひ導入をご検討ください。

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One to Oneマーケティングを行う手順

One to Oneマーケティングを行う具体的な手順を、以下のステップ順に紹介します。

1.顧客データを収集する
2.セグメンテーションを行う
3.ペルソナやカスタマージャーニーマップを作成する
4.施策を実施し、PDCAを回す

1.顧客データを収集する

顧客のニーズを把握するために、まずはECサイトや実店舗における顧客データを収集します。収集すべきデータの例は、以下のとおりです。

  • 購買履歴
  • 売上データ
  • 行動データ
  • 広告データ
  • CRMデータ

インタビューやヒアリングといったお客様との直接コミュニケーションやアンケート調査なども、データ収集に役立ちます。

自社でのデータ収集が難しい場合、マーケティングサポートツールを導入するとよいでしょう。

「coorum(コーラム)」を活用すれば「coorum resarch」でアンケート調査を実施できるだけでなく、「coorum community」による情報収取や「coorum insight」による顧客データの統合・可視化も可能です。

2.セグメンテーションを行う

集めた顧客データをもとに、セグメンテーションを実施します。セグメンテーションとは、市場や顧客をさまざまな切り口から分類し、特定のニーズや属性を持つグループ(セグメント)に分けることです。

分類方法は、以下のように多岐に渡ります。

  • 人口動態変数(デモグラフィック):年齢・性別・家族構成・職業・所得など
  • 地理的変数(ジオグラフィック):地域・気候・都市の規模など
  • 社会的心理的変数(サイコグラフィック):ライフスタイル・性格・価値観など
  • 行動変数(ビヘイビアル):商品の購入時間帯・購入経路・購入頻度など

セグメントの特徴や自社の状況・戦略などをふまえ、優先度の高いセグメントから施策を考えます。

3.ペルソナやカスタマージャーニーマップを作成する

顧客データの収集・分析を終えた後は、顧客が抱える課題や悩みなどを具体的なペルソナに落とし込み、カスタマージャーニーマップを作成します。

ペルソナとは、自社の商品・サービスを利用する典型的な顧客像のことです。デモグラフィック(年齢・性別など)や、サイコグラフィック(ライフスタイル・性格など)をもとに検討することが一般的です。必要に応じて、複数のペルソナを作成しましょう。

ペルソナの設定後は、顧客の購買プロセスにおける課題・感情・行動・タッチポイントや、自社の施策などを整理したカスタマージャーニーマップを作成します。フェーズごとのペルソナの課題や感情などを可視化できるため、施策の最適化に役立ちます。

ペルソナとは?ビジネスにおける意味や作り方、ターゲットの違いを解説

4.施策を実施し、PDCAを回す

作成したペルソナ・カスタマージャーニーマップをもとに施策を実行します。

初めから理想のOne to Oneマーケティングを実現できるとは限りません。定期的な施策の振り返りと評価を行い、改善に必要な新たな施策を実行するPDCAを回すことで、施策の精度を向上させることが重要です。

One to Oneマーケティングの成功事例

マーケティング施策において成功している企業では、One to Oneマーケティングをどのように活用しているのでしょうか。ここでは、One to Oneマーケティングに取り組む企業の成功事例を紹介します。

リンナイの事例

ガスコンロメーカーのリンナイは、自社サイトの登録ユーザー情報を詳細に分析し、行動履歴にもとづいたメールマガジンを配信する施策を実施しました。その結果、購買率は約12.6倍、メール開封率は約3.7倍、クリック率は約2.4倍に改善しました。

また、顧客アンケートの分析により、ある商品の利用顧客には特定の価値観パターンを持つ傾向があることが判明したため、分析結果を顧客に合わせたコミュニケーションに役立てる方針です。

参考|リンナイ「中期経営計画「New ERA 2025」」

参考|CNET Japan「共感を得るのが重要–CMOアワード受賞者に見るマーケティングの難しさ – (page 3)」

Amazonの事例

ショッピングサイトのAmazonは、膨大な顧客データを分析し、ECサイト内でユーザーひとりに最適な商品をレコメンドするシステムを構築することで、リピート率や売上の改善などを実現しました。

出品者向けに提供する効果的な広告プランと組み合わせることで、購入者と出品者の双方に有益なマーケティング戦略を実施していることも特徴です。

参考|日経クロストレンド「アマゾンが狙う「顧客基点の循環型マーケティングモデル」の実現」

coorumでOne to Oneマーケティングを推進しよう

従来の画一的なアプローチとは異なり、お客様一人ひとりに対して最適化された施策を実施するOne to Oneマーケティングは、CVR改善やLTV改善、顧客単価・顧客満足度の向上などに役立ちます。

人的リソースに限りがあるなかで、One to Oneマーケティングの実現に向けた十分な調査を実施し、お客様との継続的な関係を構築するためには、施策をサポートするツールの活用がおすすめです。

「coorum(コーラム)」は、顧客セグメントごとの「顧客の本音」収集から、既存顧客データも加えたデータ分析、お客様との継続的なコミュニケーションまで、One to Oneマーケティングに必要な機能を幅広く搭載したツールです。

アンケートを実施できる「coorum resarch」、収集データを分析・可視化できる「coorum insight」、ロイヤル顧客のリアルな声の収集やお客様とのコミュニケーションに役立つ「coorum community」などを備えています。

顧客のインサイト把握やロイヤル顧客の育成も図れるため、One to Oneマーケティングの施策に大いに役立てられるでしょう。One to Oneマーケティングを推進したい企業は、ぜひ導入をご検討ください。

cxin

株式会社Asobica cxin編集部。
コミュニティやファンマーケティングに関するノウハウから、コミュニティの第一人者へのインタビュー記事などを発信。

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