商品やサービスを提供するにあたって、企業が重視するべき項目の1つが「顧客満足度」です。
顧客満足度を高めるためには、企業側がどれだけ顧客を理解し、それを実務にフィードバックできるかが重要なポイント。そこで、顧客満足度を高めるために必要な要素や、顧客満足度を高めて成功した事例について解説します。
顧客満足度(CS)とは?
「顧客満足度」とは、顧客が商品やサービス、ブランドや企業そのものに「満足」を感じている度合い、指標のことです。英語では「Customer Satisfaction(カスタマー・サティスファクション):顧客の満足」と呼ばれており、「CS」と略されることがあります。
CXと混同されがちな用語ですが、CXは「Customer Experience(顧客体験価値)」を指す用語です。
CSは顧客が商品・サービスにどの程度満足しているのかを数値化したもの、CXは商品・サービスの利用からアフターフォローまでを通して感じた価値を意味します。
現代は、さまざまなサービスや商品が発売されており、ただ単に物を売れば買い手が付く時代ではなくなっています。商品・サービスの機能や価格よりも、商品・サービスを利用したことで得られる経験・体験を重視する顧客が増加しているからです。そのため、顧客の体験価値が高まるよう、企業は顧客目線でサービスを提供する必要があります。
そうした顧客目線でのサービスが実際にどう反響を生んでいるのかを確かめるための指標が顧客満足度です。
企業は顧客満足度のデータを元に施策の成功や失敗を判断し、サービスやプロモーション方法を改善していくことができるため、重要な指標であると言えます。
顧客満足度を向上させる6つの方法
顧客満足度を向上させるためには何が必要なのか、代表的な方法を6つ紹介します。
- 顧客の理解
- 定期的に顧客の声を調査する
- 顧客の期待値を超える商品・サービスの提供
- 接客品質を高め、従業員の質を上げる
- サービスの改善に努める
- 顧客満足度の定義を共有する
1.顧客の理解
企業側の視点だけで動いてしまうと、顧客が本当に求めていることをキャッチアップできず、求められている商品・サービスと違った展開やマーケティング施策を行なってしまう可能性があります。
顧客満足度を高めるためには、自社の製品・サービスに対して顧客が何を求め、何を満たしていれば顧客は満足して愛着を持ってくれるのかを理解する必要があります。
2.定期的に顧客の声を調査する
正しいニーズ・顧客インサイトを把握するため、顧客の心情に寄り添った施策を行うためには定期的な顧客の声の調査が必須です。
「顧客はこんなことを求めている」という内容が実際のニーズに合ったものでなければ空振りしてしまうでしょう。商品・サービスの品質には、「高品質」「低価格」「多機能」などさまざまな種類がありますが、顧客が特に何を求めているのかを定期的に調査して、それに合った方向性で改良する必要があるのです。
調査を通して顧客のニーズを把握し、ニーズを満たした商品・サービスを提供できれば、顧客満足度の向上につながるでしょう。
3.顧客の期待値を超える商品・サービスの提供
顧客満足度を上げるには、顧客の期待値を超える商品やサービスを提供することが必要です。そのためには「顧客の求めるレベル」を企業側が的確に把握しておかないといけません。
サービスを改善するうえでの目線が顧客ではなく、企業の利己的な目線になってしまっては顧客満足度を高めることは難しいでしょう。担当者の想像ではなく収集した顧客データドリブンで改善案を考えるべきです。
4.接客品質を高め、従業員の質を上げる
サービス業の場合、接客品質を高めることも顧客満足度の向上につながります。商品・サービスが高品質で満足できるものであっても、サポートを行うスタッフの接客態度が悪ければ、不満を感じますよね。
そのため、新人、ベテラン担当者問わず定期的な研修を実施し、顧客に気持ちよく商品・サービスを利用してもらえるような従業員スキルの向上につながる取り組みや、やりがいをもって職務にあたれる環境作りを意識しましょう。
例えば社内研修を定期的に実施したり、社内表彰制度を設けるなどが考えられます。また、顧客満足度と従業員満足度には相関があるとされているため、労働環境や待遇の見直しに努めて顧客満足度を向上させるためには、従業員満足度を高めることも大切です。
5.サービスの改善に努める
普段から商品・サービスの質を安定させ、常に一定の水準以上のクオリティを提供することが大切です。
顧客満足度を向上させようとするのであれば、普段から質の良い商品・サービスの提供を心がけ、その状態を維持しなければなりません。商品の品揃えやサービスの利便性などの改善に努めていけば、顧客が求める商品・サービスを提供できるようになり、顧客満足度の向上につながるでしょう。
おまけや懸賞などのキャンペーンも顧客満足度向上につながりますが、まずは、顧客がそのサービスに対して求めている本質的なニーズに応えることが顧客満足度を高めるために重要です。
6.顧客満足度の定義を共有する
ここまで「顧客満足度」とご紹介してきましたが、社内で顧客満足度は何か、共通認識を持っていますでしょうか。自社のサービスを通じて、顧客にとっての満足はなにを社内で定義しておくことは重要です。社員1人1人の描く顧客満足の定義がが異なると、サービスや対応に一貫性がなくなってしまいます。
顧客満足度を向上させる施策に限らず、会社全体で何か施策として打ち出す場合は、社内で具体的な認識を共有するべきです。社内で顧客満足に関する定義を定めましょう。
以上、顧客満足度を向上させる6つの方法でした。方法をご紹介してきましたが、なぜ顧客満足度が大事なのか。次の見出しで、重要視される理由について触れていきます。
顧客満足度が重要視される理由
近年なぜ多くの企業が顧客満足度を重要視しているのか、3つご紹介します。
顧客の購買行動が変化している
近年、顧客の購買行動に変化が生まれてきています。これまでは商品・サービスの機能面・価格面を重視し、購入基準とする顧客が一般的でしたが、近年では商品・サービスの利用によって得られる経験・体験を重視する顧客が多いようです。
SNSが普及して口コミの売上への影響が強くなった
購買行動が変化した理由としては、インターネットやSNSの普及が考えられるでしょう。インターネットやSNSの普及によって、様々な情報が入ってくるようになり、商品・サービスの情報だけでなく、企業やブランドへの共感や価値観が重要になってきました。
また、SNSは拡散力があるため、SNSに投稿された口コミは多くのユーザーに広まっていきます。そのため、SNSの投稿や、UGCコンテンツを見て購買行動を起こす顧客が今までより格段に増えています。
インターネットの普及で色々な情報にアクセスできるようになり、SNSなどのUGCコンテンツで購買行動をする顧客が増えたため、より良い口コミやUGCが増えるよう、顧客満足度が重要になってきます。
類似商品・サービスが増え差別化が難しくなってきた
類似商品・サービスが増えたことで商品・サービスの質や価格だけでは差別化が難しくなってきています。
そのため、競合他社との競争を勝ち抜くには、顧客が「商品・サービスを利用し続けたい」と思うような付加価値を高めなければなりません。顧客が満足できるような付加価値を提供できれば顧客満足度の向上にもつながるため、商品・サービスの質や価格以外の付加価値の重要性がより高まってきているのです。
少子高齢化が進む日本では、全体的な母数が今後も減り続けてしまうため、より一層選ばれる理由が重要です。
顧客満足度を向上させるメリット
顧客満足度を高める行為は、顧客にとってメリットがあるものと認識されやすいですが、企業にとっても多くのメリットがあります。以下では代表的なメリットを5つ紹介します。
1.収益性が向上する
顧客満足度の向上には「収益性が向上する」というメリットがあります。
顧客満足度を高め顧客ニーズに沿ったサービスを提供することで、顧客は商品やサービス、提供したブランドに対して感動や愛着を覚えるためです。その結果、今まで浮遊層だった顧客が固定客化することで、今まで競合他社に流れていた利益が自社に流れるようになります。
2.リピーターが増える(LTVが向上する)
顧客満足度の向上には「リピーターが増える(LTVが向上する)」というメリットがあります。
LTV とは、顧客が生涯(利用開始から利用停止まで)にわたって企業にもたらす価値や利益のことで、中長期的な企業の売上を担う重要な要素です。顧客満足度が上がることでリピーターが増加し、同じ商品やサービスを利用し続けてもらえることでLTVが向上します。
3.新規顧客の増加
顧客満足度の向上には「新規顧客の獲得チャンスが増加する」というメリットがあります。
サービスを利用し、高い満足感を味わった顧客は、ネットやSNSなどで「良い口コミ」を広めてくれます。良い口コミが広がることによって、その口コミを見たユーザーが新規顧客となる可能性が高まるでしょう。
昨今、口コミ・評判は商品やサービスの購入にあたって与える影響が大きいことが知られており、広告費をかけることなく新規顧客に自社の宣伝をしてもらえます。
また、口コミだけでなくUGC(ユーザーが作成したコンテンツ)の増加も新規顧客の獲得につながるでしょう。UGCはユーザーが撮影した写真や動画などが該当するので、文章のみの口コミよりもユーザーの興味関心をひきやすいためです。
4.ブランドイメージの向上
顧客満足度の向上には「自社のブランドイメージが向上する」というメリットもあります。
顧客満足度が高いと、サービスだけではなくブランドに関する良い口コミも広まるようになり、ブランドに関する良い口コミが拡散すれば、ブランドイメージの向上につながるためです。その結果、多くの人に自社ブランドを知ってもらうことができ、良い印象を与えることで自社の顧客へと引き込むことができる可能性が高まります。
5.ファンやロイヤルカスタマーを増やすことができる
顧客満足度を向上させれば、新規顧客だけでなくファンやロイヤルカスタマーを増やすことも可能です。顧客満足度の高い顧客は他社への乗り換えが少なく、商品・サービスの継続利用が期待できるため、LTVが高いファンやロイヤルカスタマーの獲得につながるでしょう。
また、マーケティング業界には「1:5の法則」と呼ばれるものがあり、新規顧客の獲得は既存顧客の維持の5倍のコストがかかるとされています。そのため、利益率を考慮すると新規顧客の獲得よりも既存顧客の維持を意識するべきです。
以上のことから、既存顧客を維持し、満足度を高めてロイヤリティを向上させる(ロイヤルカスタマーを増やす)ことの重要性は、非常に高いといえるでしょう。
顧客満足度向上の成功事例
実際に顧客満足度の向上に成功した企業の事例を4つ紹介します。
1.クラシエホームプロダクツ株式会社
化粧品や日用品など、さまざまな商品を開発・販売しているクラシエ株式会社。ファンコミュニティ「mä & më time(マーアンドミータイム)」を運営しています。
mä & mëというブランドでは顧客層が明確なため、顧客との関係性を強固なものにし、顧客満足度の向上を狙いたいと感じたことがコミュニティを設立したきっかけです。
コミュニティ運営を始めてからは、顧客の名前の声を通じてブランドへの共感、愛着の高さを実感することで、熱量を可視化できるファンコミュニティの良さを感じているようです。
導入事例インタビューはこちら▼
親子のヘアケア&スキンケアブランド「mä&më(マーアンドミー)」がファンとの共創を目指すコミュニティを始めた理由
2.株式会社コメダ
全国に喫茶店を展開している株式会社コメダ。コアファンが多いことで有名なコメダ珈琲店は、各店舗でイベントを開き、さまざまな顧客の声をもらっていました。
立地や時間などの関係でイベントに参加できる顧客の数は限られていたため、オンラインで交流できる場所はないかと考え、コミュニティを設立。
コミュニティでは顧客同士で楽しめる場所として運営しており、今後の展望としては、「コミュニティでの体験価値を良くしていき、顧客のブランドへの愛着や満足度をさらに高め、店舗の来店回数につなげていきたい」とのことです。
導入事例インタビューはこちら▼
「より多くのお客様が交流ができる」コミュニティを。株式会社コメダが運営する「さんかく屋根の下」がcoorumを選んだ理由。
3.京セラ株式会社
ファインセラミックスや半導体部品などの事業を展開している京セラ株式会社。スマートフォンTORQUEの顧客の声を調査し、声を理解する方法が少なく、オンライン上で顧客の声を集めるためにファンコミュニティ「TORQUE STYLE」を運営。
顧客が満足できるようなメディアの運営を実現できていて、今後の展望としては、「適切なペースで情報発信を継続し着実に会員数を増やしていきながら、顧客の声に耳を傾け、会員がより満足できるようなコミュニティにしていきたい」とのことです。
導入事例インタビューはこちら▼
コミュニティにメディアを集約してお客様との交流に注力。仲間に出会える「TORQUE STYLE」
顧客満足度を上げる具体例
顧客満足度は、さまざまな取り組みによって向上させることが可能です。具体的にどのような取り組みを行っていくべきなのか、詳しく見ていきましょう。
ロイヤリティプログラムを導入する
ロイヤリティプログラムとは、商品・サービスを継続的に利用している顧客に対して特典を提供する施策です。ロイヤリティプログラムを用いることで、顧客満足度や顧客ロイヤリティ、LTVなどの向上が期待できます。
ロイヤリティプログラムには、「価値共創型」「購入・利用促進型」「パーパス拡張型」などさまざまな種類があるため、ブランドイメージや商品・サービスに適した方法を選ぶようにしてください。
また、ロイヤリティプログラムを実施する際は、顧客中心の設計を心掛けるとよいでしょう。ターゲットとなる顧客の層を分析し、顧客がどのような特典を望んでいるのかを把握したうえでプログラムを設計していきます。
ユーザーコミュニティで顧客と交流・ファンマーケティングを実施
ユーザーコミュニティは、顧客同士、顧客と企業が双方向のコミュニケーションが取れる場所です。顧客が企業をより身近に感じられるようになるため、信頼性の構築につながります。
また、コミュニティを企業が持つことで、顧客のことを考えてる・お客様ファーストを意識してくれているという姿勢が伝わり、企業やブランドへの好意度が高まるでしょうか。ファンが集まればファンマーケティングを行うことができ、既存顧客・ロイヤル顧客の熱量アップから、ロイヤリティの醸成・売上アップにもつながります。
コミュニケーションをとるなかで商品・サービスに対するフィードバックを受け取り、商品・サービスの改善に活かすことも可能です。
CRM・SFAなどのツールを導入・活用する
顧客満足度の向上を目指す際は、CRMやSFAなどのツールの活用もおすすめです。
CRMは「顧客管理システム」の略称で、購買履歴や閲覧履歴などの顧客情報を管理することで、顧客との関係性を把握できるようになります。SFAは「営業支援システム」の略称です。営業活動を通して得た情報を、管理・分析できます。
これらのツールを導入すれば、顧客情報や営業活動におけるプロセスなどを各部門で管理・共有することが可能です。共有した情報を商品・サービスの改善に活用すれば、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。
顧客満足度の測定に役立つ指標
顧客満足度を測定する際は、顧客満足度の測定に適した指標を設定しなくてはなりません。ここからは、顧客満足の測定でよく用いられる指標を5つです。
- LTV(Life Time Value)
- JCSI(Expectation-Disconfirmation Theory)
- NPS(Net Promoter Score)
- C-SAT(Customer Satisfaction)
- .CRR(Customer Retention Rate)
上記などが挙げられます。
こちらの記事で詳しくご紹介しているので、気になる方はぜひご覧ください。
coorumを活用し顧客満足度を向上させよう
SNSの普及や購買行動の変化により、顧客満足度の重要性が高まってきています。顧客満足度が向上すれば、ファンやロイヤルカスタマーの獲得、ブランドイメージの向上などのさまざまなメリットにつながるでしょう。
顧客満足度を上げるための取り組みはさまざまですが、ただ漠然と施策を打ち出すだけでは思うような効果は得られません。適切な指標を用いて顧客満足度を測定し、現状の課題点を正しく把握することが重要となるでしょう。
顧客満足度を向上したい場合は、ロイヤル顧客プラットフォーム「coorum」の導入がおすすめです。
coorumは、顧客と継続的なコミュニケーションが取れるオンラインコミュニティを開設できます。オンラインコミュニティはノーコードで開設・運用できるため、専門的な知識は必要ありません。
多種多様なコミュニケーション機能を活用し、開設したコミュニティ内でロイヤリティが向上するような取り組みを実施すれば、ファンやロイヤルカスタマーを育成することが可能です。コミュニティを運営していくなかで得た顧客の声を、商品開発やプロモーションに活用すれば、顧客満足度の向上も期待できます。
また、coorumには顧客分析機能も備わっており、コミュニティ内の顧客データを蓄積・分析すればLTVの向上も実現可能です。
コミュニティの運営や顧客分析機能によって顧客満足度の向上を目指す場合は、ぜひcoorumの導入をご検討ください。