再来店の理由がわかる! 顧客インサイトを把握し顧客体験価値 を向上させるコミュニティ施策のポイントとは?

2023-09-26 コラム

流通する情報量が増え、企業発信の情報が顧客に届きにくくなっている昨今では、顧客体験の理解が重要性を増してきています。
どんな人がどのようなことをきっかけにその行動に至ったのかを明らかにするには、ロイヤル顧客と直接交流できる場があると重宝します。
本記事では、オンラインコミュニティを活用してロイヤル顧客と交流し、マーケティング施策に活かしている企業の事例をご紹介します。

顧客体験の理解がその重要性を増してきている

日本市場は少子高齢化や人口減少により、自社のターゲットとなる顧客が減っています。また、情報”砂の一粒”時代※1と例えられるように世の中を流れる情報量は非常に多く、そこにおける自社のサービスに関する情報はほんのわずかとなっています。企業から発信する商品やサービスの魅力が伝わりにくくなってしまっているのです。

※1佐藤 尚之氏『明日䛾プランニング 伝わらない時代䛾「伝わる」方法』より

そのような状況においては、安い、手頃、コスパが良いというような価値提供だけではなく、ブランドへの愛着や楽しく快適に利用できるといった機能的な付加価値を持たせ、ブランドを磨いていきたいというニーズが高まっています。

ブランドの価値を高め、選ばれるサービスになるためには、「頭の満足」と「心の満足」※2の2種類の顧客満足度を高めていく必要があります。「頭の満足」とは価格や性能、立地、味などの定量的な基準で合理的に満足をした顧客を指します。

一方「心の満足」とは接客や雰囲気、サポート体制、自分に合うなどの定性的な基準で感情的に満足をした顧客を指します。アメリカで行われた調査によれば※3、「心の満足」を得た顧客のほうが売上貢献度が高く、選ばれ続けるためには、感情的な面にも寄り添った価値提供が有効なことがわかります。

※2, ※3 今西良光氏 須藤勇人氏『実践的CXM』より引用

顧客体験向上の成功事例5選!CXが重要な理由や向上させるポイントも紹介

近いから、安いからではなく使い続けている人は、なぜ使い続けてくれるのか?

では近いから、安いからという理由ではなく、何度も繰り返し使い続けてくれる人はなぜサービスを使い続けているのでしょうか。日々、顧客理解や情報発信に取り組んでいるマーケティング担当者であっても、なぜ顧客が何度も繰り返し使い続けてくれているのか、正直わからないという声は少なくありません。

正しく顧客を理解するには、顧客がどんな感情でどんなシーンで自社のサービスを楽しんでいるのかというリアルタイムな顧客体験を深く知る必要があります。そこで用いられる方法としてリサーチやWebで収集するデータがありますが、これらは顧客理解においては十分とはいえません。

例えば通行人に声をかけてサービスに関する体験を尋ねるリサーチや、Webアンケートで謝礼を提供して回答を得るリサーチ方法では、サービスの体験とはかけ離れた非日常空間でリサーチが行われており、リアルな顧客体験とは少しちがう回答が収集されている可能性があります。

また、Webマーケティングで収集されるメールの開封率やWebページの閲覧データは、ファクト情報ではありますが、顧客の声がないため、実際の顧客体験は明らかになりません。SNSでのエゴサーチにおいても、ちょうど良く求めている声を収集できることは稀でリサーチとしては十分ではないケースが多いのです。

顧客のリアルな声を収集することはなかなか難しいものではありますが、顧客のリアルを観察し、選び続けてくれる顧客の声を直接ヒアリングすることは、顧客体験を向上させるために非常に役立ちます。

コミュニティは観察とヒアリングを容易にする

そこで活用したいのが、オンラインコミュニティというプラットフォームです。顧客の観察やヒアリングが容易にできる場としてオンラインコミュニティがあります。オンラインコミュニティは自社のサービスが好きな人が集って、そこにいつでも企業がアクセスできる箱だと考えることができます。

オンラインコミュニティの作り方とは?人気を出すためのポイント

SNSとの違いは、自社のサービスが好きな人しか来ないという点が最大の特徴です。実際にSNSで多数のフォロワーを有するアカウントを運営している企業がありますが、フォロワーの内訳を調査すると、検証用のアカウントや自社サービスを利用しているのかはっきりしないアカウントが半数程度を占めるケースが少なくありません。

実際にオンラインコミュニティの取り組みを進めている3社の事例から、好きな人が集うプラットフォームの活用方法をご紹介します。

事例1:「リアルタイムな顧客体験」の理解で分かること

ある食品メーカーでは継続摂取により健康効果を見込む調味料の愛用者が集うオンラインコミュニティをオープンし、まずは顧客が自社の調味料をどのように食べているのかという食卓シーンを調査することから始めました。「継続◯日目」というコメントと共に、どんな料理やデザートに混ぜたり、かけたりして使っているのか写真付きで投稿できる場を設け、ファン同士が交流しながら自社の調味料を楽しめるようになっています。

運用を続けていると継続30日、継続100日というロイヤルカスタマーが現れます。こうした顧客はカップラーメンやアイスクリームなどを食べる時に調味料をかけていて、まるで高カロリー食品を食べる際の免罪符のように使っていることがわかりました。

実は、企業がメインターゲットとして考えていた顧客像は、健康志向が高い女性であり、低カロリーな野菜などを中心とした食事にプラスアルファとして自社の調味料を使用しているというものでした。

つまり、オンラインコミュニティを活用して顧客体験を観察することで、想定していた顧客像と実際の顧客が大きく異なっていることがわかったのです。これを受け、販売店舗に掲示するポップなどの訴求の仕方を大きく変更していかなければならないのではないかと社内で議論が進んでいる状況です。

事例2:ヒアリングすべきファンがすぐに見つかる

コロナ禍を期にテイクアウトやアプリを活用して店舗体験を便利にしようと取り組む外食企業では、自社らしいテイクアウト体験を調査するためにオンラインコミュニティを活用しました。オンラインコミュニティのアンケート機能を活用し回答を募ったところ、募集開始から2時間ほどでオンラインコミュニティ会員の10%から回答を得ることができました。また、インタビューの候補者も目標の2倍の応募があり、スピーディーに協力してくれる顧客が見つかりました。

注目すべきはアンケートの内容や謝礼です。アンケートの設問は20問ほどと多く設定されており、一般的なモニターアンケートであれば途中離脱が頻発することが予想されました。また、謝礼はギフト券や換金可能なポイントなどではなく、オンラインコミュニティ上で活動することで得られるポイントのみです。このような条件でありながら、十分な回答数が得られたことは、自社サービスを好きな顧客が集まっているからこそといえます。

事例3:コミュニティの副次的効果「UGCの創出」

最後にオンラインコミュニティの副次的効果としてUGCの創出につながったフィットネスジムの事例です。オンラインコミュニティではフィットネスジムの利用者のモチベーション向上を目指した運営を行っており、利用者は「今日ジムに行った」「こんなトレーニングメニューを頑張った」というシェアができるようになっています。

このオンラインコミュニティをオープンしてから約4ヶ月間で、Twitter上で「#サービス名」をつけた月間ツイート数が12倍、リツイート数が40倍へと伸長しました。これらに付随するインプレッションまで含めて考えれば、継続的に大きなプロモーション効果を生んでいることになります。ファンがロイヤル化することで、オンラインコミュニティの外でもUGCを生み出してくれた事例といえます。

オンラインコミュニティ「coorum」

coorum(コーラム)は、ノーコードでオンラインコミュニティの構築およびデータ分析ができるロイヤル顧客プラットフォームです。画像やボタン、テキスト、リンクなどはドラッグアンドドロップで簡単に設定でき、2〜3時間ほどあれば顧客にお見せできるようなサイト構成ができあがります。企業事例にあったようなアンケート機能やポイントランク、掲示板やInstagramのような写真投稿機能など、コミュニケーションを促進する機能が標準搭載されており、早ければ即日でコミュニティサイトができあがる仕組みです。

ところが、立派なコミュニティサイトができあがったとしても、自然に顧客が増えて、自然に投稿が増えていくということはほとんどなく、企業の果たしたい目的やどういう風に顧客とコミュニケーションを取るのかを設計しなければなりません。coorumではノウハウを持ったスタッフが伴走し、オンラインコミュニティが活性化するようサポートしております。

なお、オンラインコミュニティ上での活動状況は顧客単位で、時間や反応したコンテンツやその内容なども細かく追跡できるため、どのような人がどういったきっかけでロイヤリティを高めたのか、その行動に至ったのかを分析することができます。

また、カード会員や購入者データなどの会員基盤をお持ちの企業であれば、coorumと連携して、来店履歴や購入履歴、coorum上での活動状況を紐付けることが可能です。実際に連携している企業のデータを見ると、オンラインコミュニティ上で頻繁にコメントやいいねをつけて活動している顧客は、一般の顧客の1.5〜2倍ほどの来店頻度や購入単価が高いことがわかりました。

オンラインコミュニティはこのようなロイヤル顧客の発見・分析から、顧客体験価値を最大化する取り組みへとつながっていきます。

コミュニティマーケティングとは?注目される理由や成功させるポイントを紹介

おわりに

オンラインコミュニティを活用してロイヤル顧客と交流し、マーケティング施策に活かしている企業の事例をご紹介しました。ある大手飲食チェーンのオンラインコミュニティ担当者に他社に紹介するとしたらどのように伝えますか?とインタビューしたところ、「ユーザーの声は自分たちが思っているところと真逆にありますよ」とおっしゃいました。

商品やサービスの体験価値を高めるためには、ロイヤル顧客の体験を理解しマーケティング施策に活かすことが有効です。オンラインコミュニティを活用して、リアルタイムな顧客体験に触れてみてはいかがでしょうか。

cxin

株式会社Asobica cxin編集部。
コミュニティやファンマーケティングに関するノウハウから、コミュニティの第一人者へのインタビュー記事などを発信。

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