成功確率の高いマーケティング施策が分かる!お客様の声をリアルタイムで集められるファンコミュニティ施策とは

2024-02-14 コラム

近年顧客ニーズや消費者の生活様式が多様化したことで、顧客のインサイトや商品体験の解像度を高く理解し、マーケティング施策に反映していくことが重要となりました。
しかし費用面や顧客との接点の少なさにより、顧客理解を高めるための施策を実施できないという企業も多いのではないでしょうか?
課題を解決し、お客様の声やニーズ、顧客体験をすぐに収集・把握・施策に反映する仕組みを作るために重要となるのがファンコミュニティです。
本記事では、お客様の声をリアルタイムで集められ、商品の実態を知ることができるファンコミュニティ施策のメリットや事例などをご紹介します。

顧客中心の経営を体現している企業の事例

早速ですが本記事では、顧客中心という言葉が多く登場します。
そのため顧客中心とは何か理解していただくために、実際に顧客中心の経営を体現している企業の事例について2つご紹介します。

顧客中心の体現事例①商品の顧客体験を収集・言語化し、商品改善に

まず1つ目は、株式会社ワークマンの事例についてご紹介します。

株式会社ワークマンは、企業内で商品開発やマーケティング施策について考えるのではなく、お客様の声を取り入れることで、精度の高い商品や施策を世に発信している企業です。

お客様の声を取り入れるために顧客との接点を強化し、自社のサービス・商品がどのように使用されているかを理解することで、施策のアイデアを考え、その検証も顧客に対して行っています。

以前株式会社ワークマンでは、年に2,000〜3,000枚売れていた溶接現場で使用される作業用の上着が販売されていました。そこでワークマンの女性ファンの方が、溶接作業用上着がキャンプに最適だとリアルな体験を発信してくれたことで、女性用にデザイン等を変更する施策を行い、10万枚の大ヒットとなった事例があります。

顧客中心の体現事例②ロイヤル顧客の育成方法を体験軸で言語化

また2つ目は、外食チェーンのすかいらーくグループが運営している「しゃぶ葉」の事例についてご紹介します。

しゃぶ葉ではコロナ禍の影響によりリピーターを増やして行きたいと考えた時に、リピーターとリピーターじゃないお客様の違いを調査すると、実は社会的な属性や店舗の距離に変化がないことが分かりました。

ではどこに違いが見られたかというと、サービスの楽しみ方に関するスタンスや店舗内での行動にロイヤル顧客ならではの特徴があることが、ファンコミュニティで体験を収集していく中で判明したのです。

そのためすかいらーくグループでは、プロダクトアウトの開発スタイルを長く続けてきましたが、コロナ禍で今までの開発スタイルは限界があるため、顧客中心の施策やメニュー開発のあり方を顧客のリアルな体験を起点に増やしていこうという取り組みをされております。

すかいらーくグループの具体的なファンコミュニティ施策については、後ほど詳しくご紹介します。

ロイヤル顧客やLTV経営が重要となった理由

そもそもLTV経営やロイヤル顧客が重要となった理由は、コロナ禍の影響があります。

しかしコロナ禍に関係なく、パレートの法則のように一部のロイヤル顧客で売上の大半を占めているのであれば「ロイヤル顧客を離脱させない」あるいは「増やしていく」ところに、売上の安定化を図るような施策を打つことが重要です。

また消費者の生活様式の変化や競合が増えてきているため、サービスやブランドの力を上げて、選ばれるサービス・商品にしていかなければいけなくなったことが、ロイヤル顧客やLTV経営が重要となった理由と言えます。

ロイヤルカスタマー(ロイヤル顧客)とは?定義とその重要性や育成・創出の仕方を解説

ファンコミュニティ施策のメリットとは

ロイヤル顧客やLTV経営が重要視されるようになりましたが、なぜ「ファンコミュニティ施策」を行うことが良いのでしょうか。

ファンコミュニティ施策のメリットは、以下の2つが挙げられます。

ファンコミュニティ施策のメリット

  • 失敗のリスクを最小化できる
  • 圧倒的なコストパフォーマンス

上記のメリットにより、施策を成功させるために必要な業務プロセスが、スピード・質・コストの観点でスムーズに進むのです。

ファンコミュニティの意味とは?導入事例やメリットなどもあわせて解説

成功確率の高い施策は、解像度の高い顧客理解が必須

そもそも前提として、成功確率の高い施策を生み出すためには、顧客の解像度を上げる必要があります。

顧客を売上データだけで見るのではなく、各セグメントごとに自社の商品を「どのように使用しているか」「どんなシーンで使用しているか」といったように、具体的に顧客体験が言語化されている状態を作ることが、顧客の解像度を上げるポイントなのです。

さらに、顧客体験を言語化するためにファンコミュニティを運用すれば、先ほどお話した通り「失敗のリスクを最小化」と「圧倒的なコストパフォーマンス」で施策を実現できます。

マーケティング業務におけるファンコミュニティ施策の捉え方

成功確率の高い施策を生み出すための前提をお話したところで、ここからはファンコミュニティ施策の内容についてご紹介していきます。

顧客中心の経営を体現するためのステップ

まずファンコミュニティにより顧客中心の経営を体現するためには、いくつかのステップが存在します。

以下の画像は、coorumで取り組みをさせていただいているステップをまとめたものになります。

1つ目のステップでは、ファンコミュニティで顧客とつながり接点を強化することで、今まで収集できていなかった顧客体験に関するデータを取得し、分析できるような状態を作ります。顧客体験に関するデータを取得・分析できることで、顧客とのつながり方や理解のあり方をまずアップデートすることができます。

次に2つ目のステップでは、顧客のインサイトを軸にマーケティング施策を作ります。さらに考えたマーケティング施策はいきなり世に出すのではなく、ファンコミュニティの中で仮設・検証し、期待する反応が見られるのかを事前にテストし、実際に実施することがポイントです。事前にマーケティング施策をファンコミュニティでテストすることで、顧客起点の施策実行へ考え方をアップデートできます。

そして3つ目のステップでは、狙いを持ち顧客を増やせるように輪を広げ、継続的に顧客とコミュニケーションを取れるような形を作ります。そのため画像のように各ステップごとにファンコミュニティ施策を進める必要があるのです。

顧客体験向上の成功事例5選!CXが重要な理由や向上させるポイントも紹介

ファンコミュニティは「スモールマス(小さな市場)」のこと

またファンコミュニティの捉え方は企業ごとにさまざまです。そして本記事をご覧いただいている方の中には、以下のような悩みを持たれている方もいると思います。

  • 成功確率の高い施策の見つけ方が知りたい
  • 他の企業はファンコミュニティをどう活用しているのか
  • 施策の失敗リスクを下げる方法は何か

結論からいうと、ファンコミュニティは「スモールマス(小さな市場)」のような捉え方をしていただくと良いと思います。

先ほどお話した通り、自社のサービス・商品がどう使用されているのか中々見ることはできません。もし見る場合は、インタビューや使用風景の写真を送ってもらうなどの必要があります。しかし国内には1億人の人がいらっしゃるため、いきなり実際の市場で顧客を理解しようとするのは難しいのです。

そのため実際と同様の市場感で小さく再現したファンコミュニティを作り、コミュニケーションが取りやすく、顧客の解像度を上げられる状態を作ることが重要になります。そしてマーケティング施策をスモールマスの中で実行し反応が良ければ、実際の市場でも実行するといったように検証用として活用することもできるのです。

ファンコミュニティと近い概念「MROC」の考え方やメリット

さらに、ファンコミュニティ内で検証を行う手法と近しい概念においては、2000年代にアメリカで生まれた手法で「MROC」というものがあります。

MROCとは、Marketing Research Online Community(マーケティングリサーチオンラインコミュニティ)の略で、自社でモニターを抱えてスモールマス的な検証や顧客理解を深めようというリサーチ手法です。

例えばいろんな接点に合わせて様々な検証を行い、集めたデータを購買データに紐づけたり、セグメント別に体験分析したりするとかなりの工数がかかります。

しかしMROCであれば、市場と同一のお客様を集め、その中で効果検証や顧客理解をしていけるため、スピードや質、コストの観点において優れたリサーチを行えるのです。

そのため顧客解像度を上げようという点においては、従来の手法だと調査に時間やお金がかかるため簡単に実施ができませんでしたが、MROCのような手法であれば、すぐに消費者のインサイトを抽出でき、効果検証も素早くできるようになるのです。

理想的なMROCとは

MROCの考え方についておさえたところで、ここからは理想的なMROCについて解説していきます。

理想的なMROCでは、まず市場の中から一定人数の顧客を抽出し、ファンコミュニティの中に招待していきます。その際に裏側で購買データと紐づけし、セグメントごとに意図的に顧客を集めてスモールマスを作ります。そして「顧客に確認したいこと」「聞きたいこと」「事前に検証したいこと」「アイデアを一緒に考えたいこと」は、作ったスモールマスの中で行っていくというのが理想的なMROCの形となります。

理想的なMROCでは、顧客から従来の調査では取れないリアルな顧客体験のデータが収集できたり、顧客のインサイトが得られることで、商品開発や販促などに関するアイデアを作ることができます。さらに簡単に検証を実行できるため、スモールマスの中で事前にテストを行い、セグメント別で期待できる反応が起こるかをデータで見た後に、実際の施策につなげていけるのです。

MROCの成功に向けたポイント

またMROCの成功に向けたポイントは、以下の3つになります。

MROCの成功に向けたポイント

  • 収集するモニターの購買情報や利用情報が紐づけられている
  • 発話に対し強いインセンティブや「自分の見え方」が影響しづらい環境を作る
  • WANTとジョブの違いを理解したコミュニケーションを取る

以下で1つずつ詳しく解説していきます。

ポイン①収集するモニターの購買情報や利用情報が紐づけられている

まず1つ目のポイントは、収集するモニターの購買情報や利用情報が紐づけられている点が挙げられます。収集するモニターの購買情報や利用情報が紐づけられていないと、実施しなくてもいい施策を実行してしまう可能性があるからです。

例えばファンコミュニティのユーザーからダメ出しが来た際に、ロイヤル顧客が発言しているのか、年に1回も利用しない顧客が言っているのかでは、重要性が全く異なってきます。

そのため顧客からの声は、どういった利用者からの意見なのかをきちんと精度高く分析することがポイントになります。

ポイント②発話に対し強いインセンティブや「自分の見え方」が影響しづらい環境を作る

また2つ目のポイントは、発話に対し強いインセンティブや「自分の見え方」が影響しづらい環境を作る点が挙げられます。ファンコミュニティに対する発話を目的としてしまうと、「なにか投稿しなきゃ」という風に出てくる声なので、信憑性がなくなる可能性があるからです。

またSNSだと「自分の見え方が気になるから綺麗な写真をあげる」「滅多にこの使い方はしないけど綺麗に写真が取れたからあげる」といった形で声が集まりやすく、データとして信憑性がなくなるため注意が必要です。もし発話を促す場合には、自分しか見れない日記のような場を作ったり、属性の近い顧客同士で交流させるなど工夫することがポイントです。

ポイント③WANTとジョブの違いを理解したコミュニケーションを取る

そして3つ目のポイントは、WANTとジョブの違いを理解したコミュニケーションを取る点が挙げられます。顧客のインサイトを収集する際に、WANTとジョブの違いを理解していないと、顧客が本当に感じている課題を解決できずに、施策が失敗してしまう可能性があるからです。

例えば顧客が「ヘルシーなハンバーガーが食べたい」と言っていたとしても、本来の課題は「ジャンクなものを食べて元気を出したい」だった場合は、ヘルシーなハンバーガーを販売したとしても売れない恐れがあります。そのため自分たちの商品がどう使用されているのか、どういった理由で選ばれているのかをきちんと分析し、顧客からの声を集めてアイデアに活かしたり、コミュニケーションを取ることがポイントになります。

ファンコミュニティを活用した顧客中心の施策実行の流れ

先ほどファンコミュニティで小さい市場を作る話をしましたが、いきなり実際と同じ市場のものを作れるわけではありません。徐々に顧客解像度を上げていきながら、いろいろな施策をまわしていくことが重要です。

まず顧客中心の意思決定によって施策の失敗確率をさげるために、ファンコミュニティへ顧客数を徐々に拡大・定着化させましょう。その際に顧客にアンケートやID連携などで、利用状況などを把握することが重要です。

さらにファンコミュニティが活性化するように、発話や情報が届く状態を作りましょう。

そして顧客理解を深めつつ施策を生み出し、検証・評価を行い、顧客の反応を振り返った上で、実際の市場で実行することが、ファンコミュニティ施策の流れになります。

ファンコミュニティの成功事例8選

coorumが取り組むファンコミュニティの事例

ここまで顧客のインサイトや商品体験を解像度高く理解し、成功確率の高いマーケティング施策に結び付けるためのファンコミュニティの運用についてお話してきました。

最後は、実際にcoorumで取り組まれているファンコミュニティの事例についてご紹介していきます。

事例①株式会社ニップン「アマニ油」のファンコミュニティ

まず1つ目は、株式会社ニップンで取り扱っているアマニ油のファンコミュニティの事例についてです。株式会社ニップンでは、アマニ油の利用頻度を増やすために、レシピ投稿を顧客に発信してきましたが、思った成果が得られないという課題がありました。そこで実際の顧客の消費行動やインサイトを知るために、ニップンアマニコミュニティと呼ばれるファンコミュニティを開設しました。

ニップンアマニコミュニティでは、アマニ油の利用頻度を高めるために、日々使用してくださっている方にどんな風に使用したのかを教えてもらう「アマニ継続チャレンジ!」という企画を実施しました。そしてファンコミュニティに集まったリアルな顧客体験を、毎日利用している人や途中で利用をやめた人などセグメントごとにデータを収集することで、いろんな施策を考えています。

実際にファンコミュニティを運用したことで、利用頻度の高い人はアイスやラーメンなど普段の料理にかけていることが新たに分かりました。そこで、今まで利用頻度を高めるためにアマニ油が料理の幅を広げるという訴求ではなく、普段の料理にかけて習慣化できるといった訴求の方が成功確率が高いのではという仮説が生まれたのです。現在株式会社ニップンでは商品販促の施策を仮説に従い、いろんな検証をファンコミュニティの中で行っています。

事例②すかいらーくグループ「しゃぶ葉」のファンコミュニティ

また2つ目は、先ほどもお話したすかいらーくグループの「しゃぶ葉」が運用しているファンコミュニティの事例についてご紹介します。

しゃぶ葉では、コロナ禍の前後で消費者の生活様式が変わったことで、今までうまくいっていた施策が全然はまらないケースが増えてきていました。また飲食店の業績が低下傾向になり、マーケティングの販促予算も減少したことで、一つ一つの施策を検証するフローを短くし、さらに成功確率を高めるためにファンコミュニティの運用を開始しました。

まずしゃぶ葉では、ファンコミュニティへ人を集めるために、SNSで募集をかけました。しかし誰でも入れるのではなく、入部試験を用意しそれに合格したしゃぶ葉好きしか入れないクローズドな場として用意しました。

さらにファンコミュニティ内では、スタッフからしゃぶ葉の想いや顧客のリアルな体験を集める形でコンテンツを展開しています。そこでは顧客理解のためのデータを収集することで、どんな人が何の課題を解決するためにしゃぶ葉に来て、どんな行動してるのかと言うことをファンコミュニティ内で分析しています。この分析により、ロイヤル顧客を増やすための施策とNG施策の推論がたてられるようになるのです。そして考えた施策は、ファンコミュニティ内で検証することができ、1か月単位など短いスパンでPDCAをまわすことができるようになっています。

導入事例インタビューはこちら▼
しゃぶ葉に熱い想いを持ったユーザーに限定したコミュニティ「おやさい学校 しゃぶしゃ部」が目指す、ユーザー全員にとって価値のある施策立案とは?

事例③ヤマダイ株式会社「凄麺」のファンコミュニティ

そして3つ目はヤマダイ株式会社の「凄麺」のファンコミュニティについてご紹介します。

ヤマダイ株式会社では、凄麺と呼ばれるご当地カップラーメンを展開しており、顧客の体験データを集めて、施策のテストを行うためにファンコミュニティを運用しています。

例えば味噌ラーメン1つにしても、「どういったものがいいか」「スープの種類にこんなのがあったらどう思うか」などを、ファンコミュニティ内で投票という形で検証を行っています。

また商品開発秘話などのコンテンツも展開し、顧客がファンとしてというよりは準社員のような形で参加するような雰囲気を作り、顧客の声をマーケティングに活かす形で施策開発やテストを行っておられます。

導入事例インタビューはこちら▼
本物の「凄麺」好きが集うヤマダイ株式会社のコミュニティ「すごめんち」。その熱さの秘訣とは

まとめ

本記事では、成功確率の高いマーケティング施策が分かる!お客様の声をリアルタイムで集められるファンコミュニティ施策についてご紹介してきました。

ファンコミュニティは顧客参加型のメディアになるため、顧客が価値を感じてくれないとファンコミュニティ施策は成果に現れません。

そのためファンコミュニティへ顧客を集めるときは、参加する理由や継続的に来る理由をきちんと作ることが重要です。

ファンコミュニティの運用方法や成果に結び付けるための方法に悩んでいる方は、今回の内容をぜひ参考にしてみてください。

cxin

株式会社Asobica cxin編集部。
コミュニティやファンマーケティングに関するノウハウから、コミュニティの第一人者へのインタビュー記事などを発信。

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