コミュニティを活用した共創プロジェクトとは?ルネサンスがファンとプロテインフレーバーを商品開発した取り組みを紹介!

スポーツクラブ運営や関連商品の開発・販売を行う株式会社ルネサンス。
PB(プライベート)商品であるプロテインの新フレーバー開発にあたり、アイディア募集とオンライン試飲会を実施し、お客様の声を生かした商品開発を行いました。
お客様と共創する商品開発プロジェクトの手法と、得られた成果についてスポーツクラブ事業企画部会費外事業チーム 山田 朋子氏とコミュニケーションデザイン部 則本 真奈氏に伺いました。

お客様の声で盛り上がるプライベート商品の開発

──まずはお二人の役割をそれぞれ教えてください。

山田様:私はスポーツクラブ事業企画部会費外事業チームとして、クラブショップ・ECサイトの運営、PB商品開発に携わっております。今回はPB商品であるホエイプロテインの新フレーバー開発において、お客様のアイディアを商品化する取組みを実施いたしました。

スポーツクラブ事業企画部会費外事業チーム 山田 朋子氏

則本様:私はコミュニケーションデザイン部のデジタルデザインチームに所属し、スポーツクラブ会員様向けのファンコミュニティを運営しております。今回の商品開発にあたり、山田から「試飲会ができないか」という相談を受けまして、ファンコミュニティの会員様向けに告知や募集、参加者の確定など、試飲会の企画を進めて参りました。

コミュニケーションデザイン部 則本 真奈氏

──今回のプロジェクトを実施することになったきっかけを教えてください。

山田様:きっかけは、九州地区の店舗でホエイプロテインの新フレーバーアイディア募集のイベントを実施したことでした。このイベントが大変好評で、お客様はプロテインへの興味・関心が高まり、PB商品の購入に繋がったため、この動きを全社に広めたいと思いました。
※このイベントで出たアイディアは、新フレーバーとして商品化され、2023年7月に数量限定販売を実施しております。

──これまでの商品開発プロセスと、そこでの課題などがあれば教えてください。

山田様:従来の商品開発は、開発メンバーやお取引先様のアイディアから試作品を作り、改良を重ねた末、商品化しておりました。
おかげさまで新フレーバーは都度好評いただいておりましたが、長く愛され続ける商品づくりには課題を感じておりました。

494件のアイデア+オンライン試飲会で得た生のリアクション

──今回のプロジェクトはどのように進行されたのでしょうか?

山田様:全国約100店舗でポスター掲示と会員専用アプリで企画の告知を実施しました。
実施期間は1ヶ月間です。投票方法は、アンケートフォームに商品化してほしいフレーバーをフリー入力いただく形式でアイディアを募りました。結果として494件と多数のご回答をいただきました。

その後、開発メンバーで新フレーバー候補を3種まで絞り、アイディア募集に参加かつファンコミュニティサイト「RENAISSANCE Colors」に登録されている有志の方にオンライン試飲会にご協力いただき、味などの監修をしていただきました。

また試飲会にあたっては、参加者の皆さんに同じ視点を持って評価していただきたいと考えていたので、評価シートを作成しました。またシェーカーの準備や試飲会より前に絶対に飲まないでほしい旨などをまとめたご案内を送付し、試飲会までの時間をワクワクしていただけるような準備をしました。

──オンライン試飲会を開催した狙いを教えてください。

山田様:狙いは以下の3点です。

・商品化する上で候補のフレーバーに対する率直な意見を伺いたかった
・商品ができるまでの裏側を知っていただきたかった
・一緒に商品を開発するワクワク感を感じて商品に愛着を感じていただきたかった

今までにない商品開発、愛され続ける商品を作りたかったため、特定の場所に捉われない、オンラインというデジタルを活用した試飲会でコミュニケーションを図ることに挑戦しました。

則本様:すべてのお客様に参加していただくのはなかなか難しい部分もありましたので、今回はコミュニティ(RENAISSANCEColors)会員の方に限定し募集をかけました。約20名の方から応募があり、抽選を行い6名の方にご参加いただきました。

実は試飲会をオンラインで行ったのにも意図があり、ルネサンスは全国に店舗を構えているのですが、リアルなイベントとなるとどうしても限られた地域での開催となってしまいます。オンラインであれば全国のファンと作り上げられるというのがオンライン実施の決め手になりました。

また、プロテインについては、封を開けた瞬間の香りや水と混ぜた時の溶けやすさ、溶かした後の香りなど細かな点も重要な要素です。その瞬間のリアクションや微細な表情が見られたことは貴重なフィードバックになりました。
アンケートなど文字で感想を書いていただくと、良い意味での配慮をいただいたり、言葉を選んで書いてくださったりということがあるので、オンライン試飲会では率直な生のリアクションが伝わってきてよかったです。
オンライン試飲会を通じて同じ時間を過ごすことによってこそ知ることができたことだなと思っています。

──新フレーバーはいつ頃発売されるのでしょうか?

2023年10月より販売を開始いたしました。

パッケージの裏面には、試飲会に参加された有志の方のニックネームを掲載しております。ファンコミュニティサイト「RENAISSANCEColors」内では新フレーバーをご購入された方の感想やアレンジ方法などの情報も発信されており、商品価値が高まっていることを実感しております。

熱量が高いお客様との共創はスタッフの自信にも

──店舗でお客様との接点が持ちやすい業態だと思うのですが、今回コミュニティをご活用いただいたきっかけを教えてください。

山田様:店舗独自でさまざまなイベントは開催しており、店舗スタッフとお客様の接点はもちろんあるのですが、商品開発に携わっている本社のスタッフという意味では、なかなかお客様の声を聞くという取り組みはできていませんでした。コロナ禍にECサイトを立ち上げまして、プロテインの定期配送を始めた今、PB商品を継続して手に取ってくださっている方の声を実際に聞くという動きを取れるようになりました。

私自身店舗に行きまして、継続している理由やなぜ選んでくださっているのか、今後どのようなフレーバーが欲しいかなどを伺うなかで、やはりお客様の声を販売に活かすのは大事なことだと認識できたことが今回のプロジェクトの大きなきっかけとなっています。そんななかオンライン試飲会という形を取ったのは、単にアンケートという形で改善点を伺うだけでなく、アイデア募集やオンライン試飲会まで共創していただくなかで、お客様にも楽しんでいただきたいなと思ったためです。
またテストマーケティングという文脈で、コストをあまりかけることなく実施することができるというのが良かったと思っています。

則本様:コミュニティにご登録頂いている方は、ルネサンスのお客様の中でも特に熱量が高い方だと認識しています。せっかくのプロジェクトなので、できれば熱量の高い人の声を聞きたいと思い、コミュニティの会員様へお声掛けいたしました。コミュニティでも、「お客様と共創する取組にチャレンジしてみたい」と考えていたのでちょうど良いタイミングでもありました。

──プロジェクトを終えて、これまでの商品開発との違いを感じた点があれば教えてください。

山田様:お客様のリアルな声を商品化までの改善点に活かせたこと。また、実際にお試しいただき商品化することで「販売されたら勧めるね」と自然と商品への愛着、口コミに繋がることを実感しました。
私自身も今まで以上に、自信を持って社内のスタッフに「美味しいから楽しみにしていてね」と言えることは、商品価値を高める素晴らしい取組みだと感じております。

今後も商品開発にお客様の声を取り入れ、たくさんの愛され続ける商品をお届けしたいと思っております。

──プロジェクトを終えての感想をお聞かせください。

山田様:お客様がルネサンスのPB商品をどんな風に見ていらっしゃったのかを直接お伺いできただけでなく、お客様と一緒に考えていく過程で、他のルネサンスのお客様にとっても良いのではないか、こういう風にできればルネサンスという会社にとっていいのではないかという思いを感じ取れたことが楽しかったですし、また自信を持って良いものを作っていきたいと思わせていただいた瞬間だったなと思っています。

今後の課題としては、どのように広げていくかということです。
コミュニティに限定したオンライン試飲会は、1つのステップとして実施できたので、今後はどんな風に、さらに多くの方と関わり巻き込みながらやっていけるのか試行錯誤しながらさまざまな取り組みに派生させられたらいいなと思っています。

則本様:参加者の方はルネサンスの社員なのではないかと思うほどに熱く考えてくださって、私も本当に嬉しく思いました。印象に残っていることが2つありまして、1つ目は感想コメントをいただいた際に「運営の入り口に一緒に立てたみたいですごく楽しかった」というメッセージをいただき、お客様も一緒に何かしたいと思ってくれているのだなと実感できたことです。
2つ目は、最終的にいくつかのフレーバーで票が割れた際に「結果的にもし自分が推しているフレーバーにならなくても、この過程を知っているから納得できるし、愛着もあるからどのフレーバーになっても絶対買います」と言ってくださった方がいらっしゃいました。
お客様と共創するというのはこういうことなのかと実感できた出来事だったなと感じています。

今後は、引き続きお客様と共創したいという思いはあるものの、社内で具体的な取り組みにはまだつなげられていないので、オンライン試飲会の事例を基に商品設計、サービス設計のシーンでお客様の声を取り入れられるよう社内に広めていきたいなと考えております。

cxin

株式会社Asobica cxin編集部。
コミュニティやファンマーケティングに関するノウハウから、コミュニティの第一人者へのインタビュー記事などを発信。

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