D2Cに強い食品メーカーが実践する顧客起点のマーケティングとは?お客様の声を生かし、ファンとブランドを作るコミュニティ活用術

2023年4月25日に開催したオンラインウェビナーでは、「coorum」をご導入いただいている有限会社九南サービスの佐々木様にご登壇いただき、株式会社Asobicaの上原がモデレーターを務め、『D2Cに強い食品メーカーが実践する顧客起点のマーケティングとは?お客様の声を生かし、ファンとブランドを作るコミュニティ活用術』というテーマで、パネルディスカッションを行いました。
今回イベントに参加できなかった方にもお楽しみいただけるよう、本レポートではイベントの内容をダイジェストでお届けします。

登壇者紹介

佐々木義和様 有限会社九南サービス 広報営業部

宮崎大学教育文化学部卒業後、宮崎県三股町役場に入庁。スポーツ振興に従事。休職し、2016年から2年間青年海外協力隊としてウガンダ共和国で水衛生分野の活動に従事。復職後は畜産振興に従事。2020年に有限会社九南サービスに入社。現在は、海外事業、広報などの業務に加えて、主担当としてコミュニティサイト「タマリバ」の運営に従事。

上原明子 株式会社Asobica カスタマーサクセス部

札幌のコワーキング・ゲストハウス・シェアハウスを運営するコミュニティ系不動産に新卒で入社。東南アジアを中心にバックパッカーをしながら、海外営業/新規店舗の立ち上げを経験。 その後、ライブ配信プラットフォームにて、CX関連の部署に所属しオンラインイベントの企画/実施や新機能設計、効果分析などを担当。現在はCS部で、幅広い顧客のコミュニティ立ち上げ・運用のフォローを行う。

イントロダクション

タマチャンショップは「しあわせ食を九州から」をコンセプトに、自然食品や健康・美容に関する食品を提供しています。安心安全・美味い・栄養沢山の食を楽しんでいただくことを目指して、独自の商品開発や、商品を直接お客様にお届けしている企業です。

様々な賞も受賞しており、ファンと共創すること、ファンの「声」をダイレクトに商品やサービスに転換することを、非常に大切にしています。

具体的には、7種類ぐらいのお菓子を定期的にお届けする「タマラボ」というサービスにおいて、ご購入いただいた方には必ずアンケートに回答していただき、お客様の声を収集することに注力していました。

今回ご登壇いただくのは、後方営業部の佐々木義和様(以下佐々木様)です。佐々木様は、タマチャンショップを運営する九南サービスに入社して4年目になります。営業や海外事業、広報など様々な業務の経験があり、ファンコミュニティ「タマリバ」の昨年8月のオープンに伴い、コミュニティマネージャーを担当しています。

今回はタマチャンショップのコミュニティ政策と今後の展望を中心に、お話を伺っていきます。

公式コミュニティサイト「タマリバ」はこちら

ファンコミュニティ導入に至った課題感

「口コミ」がシェアできる環境を求めてファンコミュニティを導入

上原:まずは弊社のファンコミュニティであるcoorumを導入したきっかけや課題感を教えて下さい。

佐々木様:「口コミをシェアできる環境」を探していたことがきっかけです。弊社のお客様が、SNSやレビューに素敵な投稿をしてくれてる中で、その「声」を他のお客様にシェアできる環境がないことが課題でした。

もちろん自社からの発信も積極的に行っていますが、やはり実際に使ってくださった方の口コミの影響力や重要度が増してきていることは社内でも実感しており、それを「届けたいお客様」のところに届けられる機会があれば、と考えていました。

上原:ありがとうございます。タマチャンショップさんはフォロワーが5万人ぐらいいらっしゃいますよね。「届けたいお客様」は、どういう人たちなんですか。

佐々木様:一番は、やはり商品を愛用してくださってるお客様です。ただそれ以外にも、初めて購入したお客様や、まだ購入したことがない潜在的なお客様にも届けていきたいです。

ファンコミュニティはお客様の「声」が蓄積されていく

上原:ありがとうございます。御社はファンコミュニティを運営されていますが、SNSだけでは補いきれない部分があれば教えていただきたいです。

佐々木様:ファンコミュニティはSNSと違って、お客様の「声」が蓄積されていきます。もちろんTwitterやInstagramなどのSNSにも、お客様の素敵な投稿が沢山アップされています。しかし、実際にそれらの投稿に触れに行こうとすると、蓄積という面では十分ではないと感じました。

上原:お客様の声が集約できるという点も含めて、ファンコミュニティを検討し始めたんですね。

導入事例インタビューはこちら▼
ユーザー投稿のレシピ・食へのこだわりが溢れるタマチャンショップのコミュニティ「タマリバ」。ロイヤル顧客を育てる仕掛けとは?

コミュニティ施策を選んだ理由

お客様とブランドを”共創”していく

上原:愛用してくれてるお客様の「声」をもっと届けていきたいという背景で、ファンコミュニティを開始されたとお伺いしましたが、それ以外の理由があれば教えていただきたいです。

佐々木様:ファンコミュニティを通じてお客様とシームレスな関係を構築して、共創していきたいからです。元々、弊社のブランディングの中で、ビジョンを商品の中にしっかりと落とし込んで、お客様にしっかりとお伝えすることを目指していました。その中で、ビジョンに対して共感してくださるお客様と、企業とお客様の垣根を越えた関係を構築して、一緒にタマチャンショップの未来を創っていきたいという想いから、数年前からファンコミュニティを検討していました。

上原:まさに、ブランドを一緒に創り上げていく「仲間」ですね。

ファンコミュニティを通じてLTVが向上したお客様

上原:ファンコミュニティ内のユーザーさんで印象に残っている人はいますか。

佐々木さん:ファンコミュニティのコンテンツの一環として、インタビューをさせていただいた1人のお客様が印象に残っています。この方は、以前は4商品程度のみの利用でしたが、半年前からタマリバに参加していただき、今では60商品ぐらいご利用いただいてます。

毎日のように素敵な投稿をしてくださっており、私たちよりも確実に商品や、商品のアレンジの仕方について詳しいと思います。もう完全に尊敬する存在です笑

https://www.community.tamachanshop.jp/announcements/u6ftljex9gb6jiih

上原:私も何度かユーザー会に参加しているんですが、様々な商品を個人的なアレンジを加えて素敵に楽しんでいらっしゃいます。スタッフさん本当に顔負けだろうなみたいと感じてます。

ファンコミュニティでの取り組みと実感

お客様の「声」を聞くことを大事にしている

上原:お客様を仲間や味方にすることは、タマチャンショップならではの強みだと思いますが、そのために意識していることやファンコミュニティ内での取り組みなどがあれば教えていただきたいです。

佐々木:お客様の「声」を聞くことは常に意識しています。

ファンコミュニティの中に「目安箱」という機能を設置し、そこでも様々な声を聞くことを目指しています。

更には、お客様の声を商品に反映させることにも取り組んでいます。例えば、「きのこっち」という、5種類の国産のキノコにそれぞれ味付けをした、おつまみチップスを販売していました。この商品を、「タマラボ」やファンコミュニティの「目安箱」でいただいた意見を基に、味を丸ごとリニューアルしました。その結果、注文数が伸びて高評価をいただいたという実例があります。

上原:お客様がいい意味で「口出し」できて、一緒の「共創」できている。とてもいい取り組みですね。

佐々木さん:マーケティングの観点でも、お客様の「声」は非常に大切にしています。

ファンコミュニティ内での新商品についての素敵な投稿を、実際に商品のランディングページの中に埋め込ませていただいたり、商品に同梱する紙媒体や年末にお配りするカレンダーにも、ファンコミュニティ内の投稿を載せさせていただいています。

ファンコミュニティのアンケート機能も多く利用しています。例えば、パッケージのデザインで悩んだときは、すぐにアンケートでお客様の声をいただいて、それを基に納得のいくデザインのパッケージを作ることができています。

上原:「共創」する過程は、クラウドファンディング的な要素がありますよね。商品やサービスを作る過程を共にすることが、とても良いプロモーションになってると思います。販売前の販促が非常に強くできていると感じました。

佐々木:お客様が新商品を楽しみにしてくれていることは、とても感じます。お客様の声に寄り添っているからのことだと考えています。

ファンコミュニティを通じてLTVの向上を実感している

上原:ファンコミュニティを通じて、実感している効果について教えてください!

佐々木:アクティブユーザーさんのLTVの向上は、確実に実感しています。

それ以外では、お客様同士の繋がりが強固になったことも実感しています。ファンコミュニティ内でのお客様の商品の質問に対して、他のお客様が回答や推薦をしてくれる。それによってお客様に安心してご購入いただけるという流れができています。本当にありがたいと感じています。

上原:お客様同士で繋がれるファンコミュニティは、とてもいいですね。

「他のお客様が回答や推薦してくれる」というお話がありましたが、それらもプロモーションにご活用されているんですか。

佐々木さん:はい。デザインやマーケティングに生かせる部分っていうヒントとして、多く活用させていただいています。とてもありがたいと感じています。

「お客様同士で繋がれるファンコミュニティ」という文脈で、お客様同士で商品を紹介しあっていて、「この方のおすすめだから買ってみたい」というお声もいただきます。

上原:そこがファンコミュニティの強みだと感じています。商品の推薦などのお客様同士の繋がりや、企業とお客様が双方向的な関係を構築できている点も、ファンコミュニティならではだと思います。

ファンコミュニティはスタッフのモチベーションの向上にも繋がる

上原:ファンコミュニティを導入して、どのような社内の反響がありましたか。

佐々木さん:確実に、スタッフのモチベーションの向上に繋がっていると感じます。ジーンとする投稿や、嬉しい投稿、素敵な投稿を見るたびに、着実にモチベーションを高められています。

また改めて、「やはりお客さんのことを一番に考えなきゃだよね」と、気づかせてもらえる。ファンコミュニティは、スタッフにとってもありがたい場であると感じています。

上原:元来から、タマチャンショップのスタッフさんは、お客様のことを非常に大切にしていますよね。その上で、やはりお客様の生の声を直接聞ける場所があることは、スタッフさんのモチベーションや、お客様をより大事にすることに繋がりますね。

今後検討している取り組みについて教えて下さい

お客様と商品開発を進めていきたい

上原:今後検討している取り組みについて教えて下さい!

佐々木様:商品開発をお客様と進めていきたいと考えています。ゼロイチの商品開発もそうですし、ある程度進んでいるものに関しても、サンプルをもうお渡しして、フィードバック機会を増やしていきたいと考えています。

ファンコミュニティのお客様とオフラインイベントも開催したい

それ以外には、オフラインイベントも開催したいと考えています。ファンコミュニティの中にもオフラインイベントを切望する声が沢山あるので、それに答えていきたいです。どこかのキッチンを借り切って、お客様にアレンジレシピを作っていただく、わいわいとした座談会のようなものを、ファンコミュニティのお客様と開催したいです。

上原:ありがとうございます!私もぜひ参加させていただきたいです。オフラインイベントは、お客様が主体になって開催するイメージですか。

佐々木:そうですね。企業から何かを提供するのではなく、お客様と一緒になにかに取り組みたいと考えています。お客様は本当に素晴らしいものを作ってくださるので、お客様が主体となって、それを企業がサポートするというスタンスが理想だと考えています。

ファンコミュニティのお客様に感謝を伝えたい

上原:タマチャンショップのファンコミュニティ「タマリバ」は、とても盛り上がっていますね。常に熱量の高い交流を促すために、何か取り組んでいることはありますか。

佐々木さん:オンラインイベントを何度か開催させていただいています。

上原:オンラインイベントでは、どのようなことを行っていましたか。

佐々木さん:ファンコミュニティのお客様とのオンライン座談会を定期的に行っています。自分たちの商品や乾杯ドリンク、おやつなどをお送りして、和気あいあいとお話する場を設けて、お客様の自己紹介や、美と健康に対する価値観がお聞きできるような座談会を開催しています。

上原:ファンコミュニティの中には、熱量の高いお客様が沢山いらっしゃると思うんですけど、そう行ったお客様と定期的に接点を持ち続けているんですね。

佐々木:そうですね。あとはいつも素敵なコメントをしてくださるお客様に、できる限り丁寧に感謝をお伝えしたいと考えています。

お客様の「声」を外にも発信していきたい

ファンコミュニティ内で、企業とお客様が共創していますが、それを外に発信していく取り組みも行っていますか。

佐々木:今後取り組んでいきたいと考えています。例えば、ファンコミュニティでお客様が作っていただいたアレンジレシピを、外に発信していきたいと考えています。お客様がアレンジレシピを作っている様子をSNSに投稿したり、プロの料理人に実際にアレンジレシピを作ってもらったり、様々なことを計画しています。

上原:現在の一般ユーザー数とログインユーザー数は何人くらいですか。

佐々木さん:ファンコミュニティを立ち上げて8ヶ月くらい経ちますが、会員数が2300名程です。しかし、目標にするべき数字は会員数ではなく、どれだけお客様がファンコミュニティの中で活動してもらえるかであると考えています。そのため、「タマリバ」にいるお客様の熱狂度を上げることに注力しています。実際に熱狂度が上がることで、LTVの向上などの様々な効果を実感しています。

上原:タマチャンショップのファンコミュニティ「タマリバ」は、「村」の世界観でコミュニティを作成していこうとしてますよね。むやみやたらに数を増やすのではなく、「タマチャンショップらしさ」の形成を目指しています。沢山活動してくださるお客様の声をどんどん蓄積していくことを目指していますね。

ファンコミュニティにお客様にきていただくために行った、具体的な施策を教えていただいてもいいですか。

佐々木さん:弊社の公式オンラインストアでリピートしてくれているお客様にメルマガなどで配信していき、本当に狭く狭く、徐々に徐々に広げていきました。

その後、大きめに広げていくタイミングでは、LINEやインスタグラムを活用して、ファンコミュニティの認知を拡大していきました。また商品の同梱物に、ファンコミュニティの案内やファンコミュニティ内の素敵な投稿を、紙媒体として添付してお送りしました。そこからファンコミュニティにきていただいたお客様も多かったです。

上原:ありがとうございます。D2CのECショップの場合、同梱物でお客様にアプローチをすることは、非常に有効ですね。特にファンの方は、同梱物にまで目を通してくださるので、非常に良い取り組みだと思います。

ファンコミュニティ限定キャンペーンの検討

上原:今後、更に「タマリバ」にいるお客様の熱狂度を上げ、ロイヤリティを上げるために、検討している取り組みがあればぜひ教えていただきたいです。

佐々木さん:自社の公式オンラインストアで、「タマリバ」のメンバー限定商品の販売や、セールを検討しています。また、20周年祭のオフラインイベントも検討していて、完全に「タマリバ」のメンバーも運営をお任せすることも検討しています。

上原:ロイヤリティの高いお客様限定のキャンペーンは、ファンの心がくすぐられますよね。

タマチャンショップにとって、ファンのお客様はどのような存在ですか

お客様は「仲間」のような存在

上原:タマチャンショップにとって、お客様はどういう存在であるか、ぜひ教えてください。

佐々木さん:「仲間」のような存在だと思っています。弊社はブランディング戦略の中で、「食を通じて美と健康を楽しむ世界、食のワンダーランド」を目指すことをビジョンに掲げています。そのような弊社のビジョンに共感・共鳴してくれて、「食のワンダーランド」という”村”を一緒に作ってくれる大切な存在だと思います。

だからこそ、タマチャンショップのファンコミュニティ「タマリバ」を、みんなで力を合わせて共創する”村”のような存在にしていきたいと思っています。

上原:とても素敵な世界観ですね。昨今は価値観が多様化してきていて、消費行動も様々ですが、「村の住民だから買いたい」という動機は、とても素敵で大きなインパクトがありますね。

上原:どうしても自社サービスありきの発想をしてしまうケースが多いですが、どのように顧客起点での発想ができるようになりますか。

佐々木さん:「サステナブルな事業を行いたい」という想いは強くあります。一方的に商品やサービスを提供するだけでは持続可能性はないと思っています。顧客起点で、お客様の声に寄り添って、共創し続けていくことこそが、「サステイナブルな事業を作る」ことに繋がると思っています。

上原:ありがとうございます。

さいごに

本日は、『D2Cに強い食品メーカーが実践する顧客起点のマーケティングとは?お客様の声を生かし、ファンとブランドを作るコミュニティ活用術』というテーマで、ファンコミュニティを通じた様々な施策をおこなっているタマチャンショップさんにお越しいただきました。

タマチャンショップは、お客様の声を大事にして「共創」ための、様々な取り組みをおこなっています。将来的に更にお客様との関係を深化させていきたいというビジョンの中で、ファンコミュニティを通じた支援という形で、関わることができて大変嬉しいです。本日は貴重なお話、本当にありがとうございました。

自社のお客様の声を聞くことができていないという課題感をお持ちの方、お客様と「共創」していきたいというビジョンをお持ちの方は、ぜひ我々にご相談ください。

cxin

株式会社Asobica cxin編集部。
コミュニティやファンマーケティングに関するノウハウから、コミュニティの第一人者へのインタビュー記事などを発信。

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