コミュニティを活用しファンの声を商品化。しゃぶ葉が取り組んだ新だしプロジェクトを紹介!

全国に278店舗(2023年10月末現在)を展開しているしゃぶしゃぶ食べ放題・バイキングの専門店である「しゃぶ葉」。今回、しゃぶ葉が運営しているファンコミュニティにおいて、お客様と一緒に新だしを商品化しました。一連のプロジェクトについて、マーケティング本部しゃぶ葉開発チームの岡田氏にお話を伺いました。

本当のお客様の声を商品化。「博多豚骨だし」を11月にローンチ

株式会社すかいらーくホールディングス マーケティング本部(メニュー・プロモ統括) しゃぶ葉開発チーム 岡田 智子氏

── 今回のプロジェクトについて概要を教えてください。

岡田様:「お鍋だしの新開発プロジェクト」として、コミュニティメンバーとおだしの開発を行いました。2023年6月コミュニティ立ち上げの段階からプロジェクトの構想を始め、アイデアの募集と、集まったアイデアを絞り込む投票、出来上がったおだしに意見をいただく試食会を実施し、「博多豚骨だし」をこの11月に一般販売いたします。

── これまでの商品開発はどのように進行してきたのでしょうか。

岡田様:しゃぶ葉の担当になる前は別のブランドを担当していたので、そこでの商品開発の方法という話になりますが、グランドメニューは主に販売数やお客様アンケート、店舗スタッフの声などを分析し、課題点の抽出と改善を行っています。フェアメニューなどは、まず社内でアイデアを出したなかからいくつかの候補を絞り、絞ったアイデアをネットのサーベイ調査にかけていました。サーベイ調査の結果を見て、上位になったアイデアのグッドポイントを抽出しながら進むべき方向を分析して選定していくという流れです。

コミュニティメンバーから集めた80のアイデア。実際の声で施策の成功率アップを目指す

── このプロジェクトを始めようと思ったきっかけを教えてください。

岡田様:お客様の外食先の選択が一層厳しくなるなかで、しゃぶ葉としてもお客様の体験価値を磨きこみ、明確な来店理由を創出しなければならないという緊張感があります。

その上で、流行病、少子化、インフレなど、めまぐるしく変化する環境に適応しながら短スパンで試行錯誤をしていこうと考えた時に、実際にお客様とつながって、より精度の高いお客様理解と実際の声を伺うことで、施策の成功率を上げる必要性を感じたのがこのプロジェクトのきっかけです。

これまで社内でアイデア出しをする時には、現状の分析から数値的な課題を抽出していましたが、データとしてしか見ることができません。我々が生み出す想像の域を超えないアイデアは、本当にお客様にとって価値のあるものなのかどうかというのは計り知れないなか、ローンチしてから反応を伺うということをやってきていました。

またお客様の声としては、サーベイ調査やアンケート、お客様相談室に届くご意見はあったのですが、お客様全体のご意見として採用するには偏りがありすぎるように感じていました。

サーベイ調査の対象者は利用実態にかかわらずご参加いただくため、本当のお客様とは言い切れませんし、アンケートに答える時、本音や実態よりも少しきれいなことを言ってしまうというのはよくあることです。

さらに、ご意見をいただく立場からすると、仮にほとんどの方が肯定的な反応を示していても声を上げて頂いた少数の否定的な意見を強く見てしまって、否定的な意見に合わせた開発を行なってしまうということもありました。

そんななかで、お客様の声を真摯に受け止めることが解決策になるのではないかなと感じ、コミュニティの運営を開始。コミュニティメンバー、つまり本当のお客様の声から開発を行なっていくというのが今回のプロジェクトになります。

── 実際にコミュニティでアイデアを募ってみていかがでしたか。

岡田様:コメントで自由にアイデアを書いていただく形を取ったところ、18名の方に約80のアイデアを投稿いただきました。特に回答数の目標などは設けていなかったのですが、多数のアイデアが出たことに驚きました。アイデアの内容もリアリティがあり、量も質も想定していたよりも高く、非常に参考になりました。

── 多数のアイデアからどのように絞り込んだのでしょうか?

岡田様:まずは私の方で、似たアイデアを整理するなどして、80のアイデアから33種類の候補にまとめた上で、コミュニティメンバーに投票してもらいました。なぜそれを選んだのか理由も知りたかったので、単純に数字で回答するようなアンケートではなく、あえてフリーコメント形式を取りました。

試食会でのコメントはLPやメニューブックに採用。対面イベントだからこそわかる反応

──「販売決定のお鍋だしを先行発表」として、試食会を実施された狙いを教えてください。

岡田様:狙いは2つあり、1つはコミュニティの皆さんに発案いただいたおだしなので、発表前にイベントを開催して盛り上げたかったためです。

もう1つは、実際に食べている場で、薄すぎる、美味しい、まずいなどの味の評価をいただいたり、どのように召し上がっているのかを見せていただきたかったためです。社内では〆はラーメンをおすすめしようと考えていたのですが、「おうどんが合うおだしですね」と言って召し上がっていたのは意外な発見でしたし、「お野菜が本当に美味しく食べられるおだしですね」というご意見もいただき非常に参考になりました。

現在、LPやメニューブックの作成しており、試食会での発言や感想を、キャッチコピーやビジュアルに入れ込んでいます。

── コミュニティメンバーと実際にお会いして、顧客理解が深まったなという感覚はありますか?

岡田様:コミュニティを始める前は、データなどから想定した顧客像が正しいのかを確認する場だと考えていましたが、実際に始めてみると、日常的にどんな時に誰と利用されているのか、希少で魅力に感じる鍋具材は何かなど、データからは想定できなかったしゃぶ葉の魅力や何に価値を感じているかのお話を聞けたのは新鮮でした。

データから、来店頻度を把握できるのですが、おおよそ7割が新規のお客様、よく来られる方でも3ヶ月に1回くらいというのが平均的な数字です。今回お集まりいただいた方は毎週〜月に2回と非常に来店頻度が高い方が多く、特に平日ランチがお得という認知が強かったので、平日ランチの使い勝手の良さをもっとアピールしていくべきなのだなと改めて認識できました。

── 一連のプロジェクトを終えて、感想をお聞かせください。

岡田様:まずは非常に楽しかったなと思っています。お客様と会社というような隔たりのある関係よりももっと近づいた同じ部活の仲間のように、率直に意見をいただき、つながっている感覚を実感しました。このつながりをどんどん大きく広げて一緒にしゃぶ葉を良くしていきたいなと改めて思いました。

ご招待して目の前で食べていただいているので、大げさに褒めていただいた面もあるのかなとは思っていて、その分は差し引いて考えなければなりませんが、皆さん口々に美味しいと言ってくださったので、商品には自信が持てました。

今回のファンとの共創という取り組みが、一般のお客様にどう受け入れられるのか、実際にローンチして見極めていきたいと考えています。

── ありがとうございました。

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cxin

株式会社Asobica cxin編集部。
コミュニティやファンマーケティングに関するノウハウから、コミュニティの第一人者へのインタビュー記事などを発信。

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